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市町村財政の健全化に向けて

 「子育てに不安・負担を感じる」
そう答える人が約10年間で約2倍に増えています(平成8年・20年 奈良県調査)。子育てをする環境がますます厳しくなっている中、児童虐待により子どもを死に至らせてしまう事件が後を絶ちません。なぜ虐待は起きるのか。どうすれば虐待は防げるのか。児童虐待を特集します。
あなただけではないんです
 「子どもって大っキライ!」と思うときがある。これは実際に相談機関で親からよく聞く言葉です。子育てに不安・負担を感じている人は年々増加しています。核家族化が進み相談できる親せきが身近にいない、近所にも話し相手がいない、配偶者の帰宅が遅い、など親が孤立していることが背景にあります。子育てに悩みや不安を抱えているのは、決してあなただけではありません。
先輩ママの生の声

秋本 恵子(あきもと けいこ)さん
(3才児のママ)
 自分の子がかわいいのは当然なんですが、嫌いと思ったことはありますよ。駅前は危ないので「走っちゃダメ!」って何度も何度も言ってたのに、全然聞いてくれず、無視されているように感じ、あるときひどく怒って、帽子でたたいてしまったこともあります。私は、普段怒ったりするタイプじゃないので、周りからも驚かれましたが、「気持ちは分かる」と言われて、少しホッとしました。


神山 裕美(かみやま ひろみ)さん
(3才児のママ)
 四六時中、赤ちゃんと向き合っていて、自分の時間が全く持てず、気分転換も難しかったので子育てが嫌になったことがあります。人が集まる場所に行きたくなくなったこともありましたが、妊娠中に参加した地元のパパ・ママ教室で出会った友達から、みんなのようすや悩みを聞くうちに、「みんな一緒なんだなぁ」と気が楽になりました。
なぜ虐待は起こるのか
 奈良県児童虐待対策検討会委員で、全国的に数多くの児童福祉関係の委員や講演をされている、流通科学大学教授の加藤曜子さんにお話を伺いました。
今これを読んでいるあなたも虐待してしまうかもしれないのです
 自分の子どもと初めて対面した時、多くの親は「生まれてきてくれてありがとう」と思っています。しかし、子育ては、自分が思っていたこととは違うことの連続なんです。我が子はかわいいけれど、24時間愛せない時、しんどい時もあるということをまずは知ってください。
 虐待を起こしやすい要因は、大きく分けると次の4つがあると言われ、それが絡み合った時に発生します。そのため、要因が重なれば誰だって虐待してしまうかもしれないことを、皆さんも理解してください。

流通科学大学教授
奈良県児童虐待対策検討会委員
加藤 曜子さん
①孤立
身近に相談する人がいない、育児の手助けをしてくれる人がいない など
②家庭環境
配偶者が子育てに協力的でない、経済的に困っている など
③保護者
初めての子育て、育児の負担が大きい、体調が悪い など
④子ども
病気などによるケアが必要、泣き止まない など
虐待の現状
 では、どのような虐待が起きているのか。児童虐待は円グラフのように4つに分類されます。
 奈良県においても、残念ながら年間972件(平成23年度)も、児童虐待の相談が寄せられています。
 虐待者の内訳をみると、約68%が実母で、実父(約25%)、実父以外の父親(約5%)と続きます。

(平成23年度 県こども家庭相談センターへの児童虐待相談件数より)
どうすれば虐待は防げるのか
 虐待を防ぐためには、子育ての不安や負担を軽減するとともに、親の孤立を防ぐことが必要です。それには、
①子どもが生まれる前からの支援
②子育て中の支援
③みんなの声かけ
が重要です。

①子どもが生まれる前からの支援
 生まれる前から親に支援することはなぜ重要なのか。奈良県両親教室プログラム検討委員会アドバイザーで、大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部長の佐藤拓代(たくよ)さんにお話を伺いました。
子育ては大変なもの。
だから相談したらいいんだよ。

 子どもが生まれてから毎日が大変。そのため、生まれる前からサポートしてあげることで、最初のスタートをうまくきれるようになります。統計でも、妊娠中から家庭訪問をして相談に乗ることにより、児童虐待が少なくなるというデータがあります。
 周りの人は、頑張りすぎているお母さんに気付いてあげて、負担をとるための「声かけ」や「手助け」をすることが大事なんです。

佐藤 拓代さん
②子育て中の支援
 子育て中の家庭をサポートするさまざまな制度があります。「自分でなんとかしないと」とひとりで抱え込まないで、どんどん利用してください。
例えばこんなサポートがあります
子育ての悩みなどを相談したり、子育て中の仲間に会える「地域子育て支援拠点」
用事のある時だけでなく、育児疲れのリフレッシュ時にも一時的に子どもを預かってもらえる「一時預かり」「ファミリーサポート」(有料) など
 その他にもたくさんのサポートがあります。詳しくは、各市町村児童福祉担当課へお問い合わせください。
③みんなの声かけ
 身近に相談する人がいなくて、ひとりで悩みを抱え、苦しんでいる子育て家庭には、皆さんの温かいひと声が大きな救いになります。自分の小さい頃や子育て中の頃を思い出し、地域のみんなで子育て家庭を応援しましょう。子育てへのねぎらいの気持ちを持って、まずは、あいさつを交わすことから始めてみてください。
ひとりで悩まずご相談ください
 相談しても「しかられる」「相手にされない」と思いがちですが、困っている人には「温かい手」を差し伸べ、一緒に考えてくれる人が対応します。
もしかして虐待かもと思ったら
 次のようなサインを見かけたら、ためらわずに下記問い合わせ先へご連絡ください。連絡することで親も子も救えます。虐待をしている親を専門機関の支援につなげるきっかけにもなります。
 子どものサイン 
■不自然なやけど、切り傷、アザがある
■よく泣き声が聞こえる
■保護者を怖がっている
■家に帰りたがらない
■いつも衣服や身体が汚れたままになっている など
 親のサイン 
■異常な怒り方や怒鳴り声が続く
■子どもを残したままよく外出している
■子どもを登校させていない
■食事を与えていない など
問 市町村の児童福祉担当窓口
tel 各市町村役場
 各市町村により異なります
問 県中央こども家庭相談センター
tel 0742・26・3788
 児童虐待の緊急連絡は24時間年中無休
問 県高田こども家庭相談センター
tel 0745・22・6079
 月〜金 9時〜17時(祝日・年末年始を除く)
 
 
 
問 県こども家庭課
tel 0742-27-8605
fax 0742-27-8107

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