第18回奈良県教育懇談会討議の概要


       ◇日時 平成16年10月18日 9:30〜12:00
       ◇場所 共済会館やまと 
       
      
◇討議のテーマ 規範意識の向上と社会性の育成

◇発言のポイント

・奈良県教育懇談会からのアピールの配布等について
・奈良県キャリア教育推進事業について
・行政インターンシップを高く評価。人数拡大、市町村への拡大を期待
・職業体験学習・インターンシップをさらに充実しよう
・教育改革の取組状況の調査について
・奈良県教育懇談会委員による学校視察について
・規範意識に関して、小学校の現状から
・規範意識に関して、中学校の現状から
・規範意識に関して、高等学校の現状から
・全人的な教育、人間教育の視点を大切に
・最低限の規範を繰り返し教えることが必要
・人に役立つ経験を積ませよう
・年長者や先生を尊敬するのは規範の根本。教育以前の問題として社会全体で考えよう
・必要最低限の道徳は、小さいときから刷り込んでいく工夫が必要
・生徒の指導や学校の考え方について、保護者へのきちんとした説明が必要
・品位と誇りをもった日本人を育てよう
・社会規範について県民で議論しよう
・成果主義ではなく、遊びも含めた幅広い教育をしよう
・社会全体で子どもを見守ろう
・ボランティア活動を小学校から取り入れよう
・学校は地域の方々の力をもっと借りよう
・子どもに悪い影響を及ぼすテレビ番組などに対しては、行動を起こすことが必要
・子どもたちの健全育成については、みんなが参加しよう

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◇議事概要           

【会長】 奈良県教育懇談会からのアピール「望ましい勤労観・職業観の育成に向けて〜子どもを自立した社会人に育てよう〜」を7月22日、県教育長に提出しました。県教育委員会では、それを受けて各関係機関への配布・依頼をしていただいていますが、そのことについて教育企画課長から説明をお願いします。

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(奈良県教育懇談会からのアピールの配布等について)

【教育企画課長】 前回おまとめいただいたアピールには、県教育長に提出され、それを受け、県教育委員会では、各市町村、各学校、PTA関係団体、各企業・職場等に配布し協力のお願いをしています。奈良県商工会議所連合会、奈良県経営者協会、奈良県経済同友会、奈良県商工会連合会、奈良県中小企業団体中央会、奈良県建設業協会、奈良県工業会、以上7団体には、教育長が直接お願いに行かせてもらいました。その他、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、JC等各支部にも配布しお願いをしているところです。PTA関係団体にもお願いをいたしまして、県PTA協議会からは、県内各小・中学校のPTA会長に向けて奈良県教育懇談会からのアピールを配布していただいています。
 このアピールにつきましては、企業等や家庭の皆さんの御協力もお願いし、多くの方々にお読みいただけるよう、県の広報紙「県政だより奈良」9月号に概要を掲載しています。
 今後もいろいろな場面で活用し啓発に努めたいと考えています。

【会長】 奈良県教育懇談会からのアピールの中の提案の部分にありますように、奈良県キャリア教育プランの策定を進めていただいていますので、学校教育課長から説明をお願いします。

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(奈良県キャリア教育推進事業について)

【学校教育課長】 本県は、今年度から3年間、文部科学省の「キャリア教育推進地域指定」を受け、奈良県キャリア教育推進事業を進めています。7月5日に、学識経験者、経済5団体の代表者、学校の代表者からなる「キャリア教育実践協議会」を立ち上げ、子どもたちの身に付けたい力と題して協議いただき、本県のキャリア教育プラン、方向性をお示しいただきました。
 これを受け、「キャリア教育プラン策定委員会」を別組織として設置し、その中で、小・中・高等学校の12年間を通した系統的な奈良県キャリア教育プラン作成することにしました。8月には、キャリア教育校種別ワーキンググループで各校種の原案を作成し、それを基に、他校種との連携を考慮して原案を作成。10月に第2回の策定委員会でさらに検討し、現在、最終調整を行っているところです。このプランができましたら、教育委員会に報告し、全校に周知し具体的な展開をしていきたいと考えています。また、来年度には、インターンシップの手引きや実践事例集を作成したいと考えています。
 本年、奈良県では、体験学習の受入先の拡充を目的として、高校生を対象に行政インターンシップを実施しました。県庁内48課に63名が参加しました。知事部局を中心とした県レベルでのインターンシップは、全国でも初めてということです。      

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(行政インターンシップを高く評価。人数拡大、市町村への拡大を期待)

【委員】 行政インターンシップについてですが、県が率先して行ったことは、たいへん高く評価できると思います。参加人数をもっと拡大して、市町村でも行われるようになるといいと思います。それから、中学生にも参加できるようにしていただくとすばらしいですね。

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(職業体験学習・インターンシップをさらに充実しよう)

【委員】 職業に就かず、学校へも行っていない、訓練を受けているのでもないというNEETといわれる無気力な若者が問題になっています。このことを考えると14歳くらいの中学校の時期の職業体験学習は、子どもの成長においてたいへん大きな意味をもっていると思います。不登校の生徒が職業体験学習に参加したことで、その後、登校できるようになったという例もあります。富山県や兵庫県では、中学校の職場体験学習が1週間行われ、効果を上げていると聞いています。

【委員】  NEETの問題や子どもの無気力への対応には、高校からでは遅いのではないかと思います。中学校からインターンシップの導入をお願いしたいなと思っています。

【委員】  大学卒の無業率は20%で、大学生の中には、職に就くことに不安感をもっている者がいます。高校生についてもそのことを調べてみる必要があるのではないでしょうか。高校生の職業体験学習は、自分がしたいことや適した職種を探すこと、自分に合ったもの、したいことを探すということを目的に掲げたものであってほしいと思います。

【委員】  インターンシップの効果は確かにありますが、問題はインターンシップに出てこられない人たちをどうするかです。なぜ働かなければならないかという本質的なことを小さいころから教えなければならないと思います。

【会長】 次に、教育改革取組状況調査について教育企画課長から説明をお願いします。

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(教育改革の取組状況の調査について)

【教育企画課長】  平成12年設置以来、奈良県教育懇談会から様々な提言をいただいてきました。そのような教育改革について各学校でどのように取組がなされ、どのような成果が上がっているかを把握するため、昨年度から実施している調査です。
 昨年度の調査以降にいただいた提言に関する項目を加え、今年度、実施したいと考えています。

【委員】  100マス計算の陰山先生の教育方法で私が感心するのは、生活指導、特に朝食をとる指導をきちんとやっておられることです。大切なことだと思いますので、体力向上・健康増進にかかわって、朝食の指導についてたずねていただきたいと思います。

【委員】  教育改革の取組については、たいへん興味をもっています。その方法、内容、成果や課題など、多くの先生が知りたがっていることを具体的にたずねてほしいと思います。

【委員】  教員の質の向上を図る取組や、ストレスを感じている先生のケアをどうしているなども他の学校で参考になるのではないでしょうか。

【会長】  次に学校視察について教育企画課長から説明をお願いします。

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(奈良県教育懇談会委員による学校視察について)

【教育企画課長】  懇談会ではこれまで様々な討議をいただいてきましたが、一度、委員の方々に実際に学校を訪問し、教育教育改革を進める学校の活動を見ていただく機会を持ちたいと考え計画しましたので、ご参加をよろしくお願いします。

【会長】  それでは、今日の討議のテーマに入ります
 先日、専門調査部会で、今求められる教育問題について検討をしたところ、子どもの規範意識について、また、もっと広げて社会性の育成について議論してはどうかということで意見がまとまりました。これは、内容的に非常に難しい問題で、何回かにわたって議論いただけたらと考えています。
 資料がありますので教育企画課長から説明をお願いします。

【教育企画課長】  今まで、学力や体力の問題や学校経営の問題等様々提言をいただいてきましたが、子どもの心の問題について議論をいただけるということでありがたく思っています。資料については、議論をする上での参考となればと思い、配付したものです。
  ・高校生の生活における意識及び実態に関する調査
               (奈良県高等学校生徒指導研究協議会調査 平成15年度)
  ・子どもの規範意識の調査(ベネッセモノグラフ 中学生版 平成7年)
  ・奈良県の教育改革に関する「県民5,000人アンケート」自由記述の抜粋等(平成14年)
  ・児童生徒指導要録行動の記録の評価項目及び校種、学年別の趣旨 (文部科学省通知)
  ・徳性の獲得に影響を与えたもの(「徳性に関する調査」日本青少年研究所 平成3年)
  ・不良行為に関する保護者の認識と子どもの実態との相違(日本PTA全国協議会平成9年)


【会長】  このテーマについては、今回が初めてですので委員の皆様のそれぞれのお立場から自由にご意見をいただきたいと思います。今回から小・中・高等学校の先生に委員としてお入りいただいていますので、最初に最近の子どもの状況や学校の様子、また、日ごろ感じられていることをお話しいただけたらと思います。

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(規範意識に関して、小学校の現状から)

【委員】 以前は、中学校や高等学校のことと思われていたような反社会的行動といわれるもののほとんどは、小学校にもあります。喫煙、単車盗、深夜徘徊など、件数としては中学校・高等学校に比べると少ないと思いますが、近くに大きなスーパーマーケットがいくつもあって、万引きした子どもを引き取りに行くことはよくあります。また、このようなことが、中学年・低学年で増えてきていることがとても危機的なことだと捉えています。
 給食の指導でしっかり食べさせようとすると、保護者から「嫌いなものは食べさせないでください。」と言われたり、万引きをした子どもの指導の中で「うちの子だけ捕まって運が悪かった。」という捉え方をされたりすることもあります。
 そういう状況の中で、学校としては、小さなことをきちんと指導し、それを積み重ねていくことが大切だと考えています。人の話を聞くこと、約束を守ること、忘れものをしないなどを繰り返し教えていくことが、規範意識を育てることにつながるのではないかと思います。
 小学生の場合、中学年くらいまでは自己中心的な面が強いのですが、その時期に話し合い活動やグループ活動の中で社会性につながるものを身に付けさせていくことが必要です。小さいころだからこそ、それは、できやすいと考えています。この時期にきちんと指導することがとても大切です。 
学校週5日制の実施にともない、行事の見直し、精選が進められていますが、子どもが前面に出る集会活動や報告会などが、準備がたいへんだという理由で削られてしまいます。小学校では、子どもをいきいきと活動させることができる行事を大切にしていくことが必要だと考えています。

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(規範意識に関して、中学校の現状から)

【委員】  学校では多くの生徒がそれぞれ違った課題をもっています。学校へ来ても学校に適応できない子ども、授業に入れず、教員の指導に従えない子ども、それを見ても無関心で、自分の生活だけは自分で守っていこうとする大半の子ども、さらに不登校の子どもいます。
 問題となるのは、学校に適応できず、授業に入れない、マナーを守れないといった子どもたちです。学校で指導しきれない問題があって保護者に連絡すると「子どものことは学校に任せてある。」という返事が返ってくることもあります。
今では、保護者にとって、学校の活動は、最優先に考えるものではなくなっています。また、教員が子どもや親から尊敬される対象ではなくなってきています。そういう状況での指導は非常に難しい。たとえば、喫煙をしている生徒の指導で、確かに吸っていても、火を消して、既にたばこを手に持っていなければ、「俺は吸っていない」で通してしまう。保護者を交えて指導しても「子どものことを信じてもらえないのか」と、逆に言われるとどうにもなりません。また、喫煙しているところを友だちに見られていて事実が確認できても、「吸っていない」と言い通すこともあります。以前でしたら、「あの子も見ていたよ」といえば、やはり友だち関係を大事にして「吸いました。」ということになることが多かったのですが、今ではそういった人間関係もなく、「こいつが見もしないのに嘘をついている」と平気で言ってしまうような例もあります。
 このような子どもたちは数として、そう多くはありません。100人に2、3人くらいでしょうか。この子たちに、職場体験学習や学級活動での話し合いをと思っても非常に難しいのですが、それでも様々な問題をもった子供に何とか対応していかなければならないと思っています。

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(規範意識に関して、高等学校の現状から)

【委員】  電車の中では、高校生が制服のまま床に座っていたり、服のボタンを止めていなかったり、腰パンや化粧、染髪などの姿が見られます。このような高校生を県民の皆さんはどのような思いで見ておられるかと気にかかります。
 ほとんどの高校生は、当たり前に高校生らしい生活を送っていますが、飲酒や喫煙などで特別指導を行うことはあります。しかし、そのような指導をしなければならない生徒でなくても、廊下に座り込んでいますし、学校でお菓子を食べ、また、あいさつができない、敬語が使えない、ゴミの処理ができないという状況があります。授業中にメールのやり取りもあります。それを注意すると「逆ギレ」といわれる状況になって反抗的な態度をとります。とにかく今やりたいことを今やりたい。それを制限されると不快になり、注意を素直に聞けないという子どもが多くなっています。
 高校生としての在り方や恥ずかしくない生活態度は、家庭でしつけるものだと思っていましたが、今は考え方が変わりました。家庭でできなければ、学校がやろう、これも教師の仕事だと思うようになりました。その指導を受け入れる態勢が家庭に必要だろうと思っています。
 喫煙に関して、「家で吸うのはいいが、外では吸うな」という指導をしている家庭がありました。それでは喫煙を止めることはできなくて、警察に補導されて初めてその子どもが、「喫煙はしてはいけないんだ」と理解するわけです。
 これから学校と家庭の連携はますます重要になってくると思います。親の考えを正すところまではなかなかいきませんが、とにかく時間をとって話し合うことが大事だと思います。
 学校では、特別養護老人ホームや地域の老人会、幼稚園などとの交流会を行っています。普段は注意されても素直に聞かず逆に怒り出すような生徒が、70代のおじいちゃんと交流しているのですが、その生徒は、おじいちゃんに怒られても言うことをよく聞いてとても優しい表情で活動していました。それを見て、まだまだ希望はあるなと感じています。

(全人的な教育、人間教育の視点を大切に)

【委員】 学校で実際に子どもたちに接しておられる先生方に委員をしていただいたことはとてもよかったと思います。学力や体力、勤労観、それから規範意識や社会性の育成など学校教育が受け持つ幅の広さが感じられます。全人的な教育、人間教育の視点が大切だと思います。

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(最低限の規範を繰り返し教えることが必要)

【委員】 今の親は、何を教えたらいいのかわからなくなっています。たとえば、「モーゼの十戒」のような最低限、教えなくてはならない規範をつくって小学校で繰り返し教えることも必要かと思います。
 昔は地域の人たちが先生を支えていましたが、今、先生が尊敬されず、そういう状況で教えることは非常に難しいと聞いています。このことについて1年くらいかけて議論してアクションプランのようなものをつくってはどうでしょうか。


(人に役立つ経験を積ませよう)

 いつもキレている子が、お年寄りとの交流で、自分の役割を果たす機会が与えられ、優しい表情を取り戻したというお話がありましたが、家や学校で、人の役に立つことを経験することはとてもすばらしいことです。こういう経験を積ませる仕組みを考えなくてはなりませんね。

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(年長者や先生を尊敬するのは規範の根本。
             教育以前の問題として社会全体で考えよう)


【委員】 先生が尊敬されないということですが、年長者、親、先生を尊敬することは、規範の根本だと思います。目上の人を尊敬し、後輩をいたわるといったことが社会全体で崩れてきていると思います。
 自分の子どもさえよければいいという発想の親がずいぶんいます。生徒を指導したことで、逆に先生が親に謝らなければならないというようなことではおかしいですね。
 企業犯罪がいろいろと起こっていますが、企業は何のためにあるのかということを経営者がわかっていたら、そういうものは起こらないわけです。同じように、大人が規範意識を持って模範を示していかなければならないと思います。教育の問題以前の社会全体の問題として考えなければならないのではないでしょうか。

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(必要最低限の道徳は、小さいときから刷り込んでいく工夫が必要)

【委員】 「しつけ」というものは小さいときにするものであり、社会で必要なルールは親が厳しく教え、大きくなるにしたがって、だんだんと緩めていくべきですが、実際には逆になるパターンが多いのです。小さいころに、王子様、王女様のような扱いをし、それが大きくなって、目に余ることが出てきて「あなたも、もう社会人なんだから…」と諭して締めていこうとしても、変なあつれきを生むばかりでうまくいかないわけです。必要最低限の道徳を、小さいときに刷り込んでいくための工夫が必要なのではないかと思います。また、失った日本人の精神的支柱を取り戻して、必要最低限度のものを示せたらと思います。 

                           
(生徒の指導や学校の考え方について、保護者へのきちんとした説明が必要)

【委員】 たいへんな保護者もいるということは事実ですが、それを見過ごさず、保護者に対して、学校として、特に管理職が責任をもってきちんと説明していく必要があります。また、教員が尊敬されない状況であっても、何か見本を示すことができる教員であることが大切だと思います。 

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(品位と誇りをもった日本人を育てよう)

【委員】 地球市民という言葉がありますが、これはバーチャルなものであって、我々は現実にはローカルな世界に生きています。ローカルな世界の人間関係の中で行動を考えることで規範というものが生まれてくるのだと思います。
 日本人が世界で尊敬され、品位と誇りを得るためには、日本の特色を知らなければならない。日本という国の誇りや品位について若者に教えていかなければならないと思います。

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(社会規範について県民で議論しよう)

【委員】ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の教典の基本になっているモーゼの十戒や、孔子、孟子の教え、それに、聖徳太子の17条の憲法など、いろいろな素材を基に、先生、PTA、宗教者などで1年くらい県民的な議論をして、社会規範について考えてもらうといいと思います。
 保護者をどう説得するかという問題ですが、教員だけに責任を負わせるのではなく、学校に法律の専門家、顧問弁護士を入れてきちんと判定することも必要だと思います。

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(成果主義ではなく、遊びも含めた幅広い教育をしよう)

【委員】 企業においても不祥事等の問題が出ています。社会的責任などを企業自身がどう考えるのかが大切になります。
 また、企業では成果主義が強まって、できる人がどんどん上がっていくようになってきています。学校でも成果主義で、できない人が切り捨てられているのではないんでしょうか。それが先ほど言いましたNEETに結びついていくのではないかと思います。塾に通う子どもが多い中で、遊びも含めた教育をもっと進めていただけたらと思います。

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【委員】 経済優先の社会で、自分の会社さえよければいいという考え方から、企業の不祥事がよく起きます。そのようなことから、社会全体が教育力をなくしているのだと思います。
 子どもの深夜徘徊については、大人がそのような場所を提供していることに問題があります。先日、夜10時ころ、近所のスーパーマーケットで、小学校高学年くらいの子どもがひとりで買い物をしているところを見たのですが、店員さんは、その子どもに、大人に対するときと同じ言葉遣いで対応していました。そこで子どもに一声かけてあげることで、大人は自分を見てくれているんだと感じるのだと思います。社会全体で子どもをみることが大切だと思います。
 またある日、80をすぎたと思われるおばあさんが、ジベタリアンと言われる高校生が電車の中で床に座っているのを見て、「気分悪いの?ここに来てお座り」というと生徒は素直に立ち上がりました。建前から出た言葉ではなく、子どもに対する愛情から出た言葉は、受け入れられるんだと思います。服装検査、頭髪検査についても、先生方は指導の指針をしっかりもって、とにかく愛情を持って接していただきたいと思います。

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(ボランティア活動を小学校から取り入れよう)

【委員】 不登校の子どもが、知的障害をもつ子どもの施設に行き、ボランティアで世話をするうちに学校へ行けるようになった例があります。それを知って、他の不登校の子どももその施設にやってきてボランティアをするようです。ボランティア活動は、小学校からもっと積極的に取り入れていただくといいと思います。

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(学校は、地域の方々の力をもっと借りよう)

 先ほど、学校に顧問弁護士を置いてはどうかというお話しがありました。弁護士でなくても地元の企業の方など信頼される地域の方が、何か問題があったときに立ち会って客観的に見ていただくのも方法だと思います。
 倉敷市では、地域の方にお願いして、学校に不登校支援委員、生活支援委員、勉強支援委員を置いています。不登校支援委員というのは、学校の相談室で、教室に入れない子どもの勉強を見たり、家庭を訪問したりします。このように地域全体で子どものことを考えることが必要だと思います。

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(子どもに悪い影響を及ぼすテレビ番組などに対しては、
                    行動を起こすことが必要)


【委員】 私は、基本的には、子どもたちは昔も今も変わっていないという考えで子どもに接しています。
 日本PTAで委員長をしていたときに、子どもたちに悪い影響を及ぼすテレビの俗悪番組をなくす活動をしてきました。マスコミ(放送局)には視聴率を上げるという至上命令があり、子どもへの影響など考えていないと思われることがあります。ですから、俗悪番組トップとされたロンドンハーツという番組をなくすには、提供しているスポンサーを回って不買運動まで持ち出すことが必要だったわけです。

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(子どもたちの健全育成については、みんなが参加しよう)

 学習や進学に関することで集会を開くと多くの方が集まります。ところが、青少年健全育成についての集会にはあまり集まりません。保護者には「うちの子に限って」という意識があり、そういった問題をみんなで考えていこうということにならないのです。
 お父さん、先生、お巡りさんの権威が失墜しています。それに政治家も加えて私は4大失墜と呼んでいます。これは、マスコミの姿勢にも関係があると思います。
 子どもたちに話をした後、子どもの感想文を読んでいると、基本的には子どもは、昔も今も変わっていないと感じます。社会が大きく変わってしまったのだと思います。

【会長】 ありがとうございました。専門調査部会では、「規範意識の向上と社会性の育成」と考えていますが、今日の皆さんのご意見を伺いますと「規範意識」に傾いていますので、次回も「規範意識」について議論いただきたいと思います。その後、専門調査部会で御意見をまとめていきたいと思います。ありがとうございました。

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