◇議事概要
【会長】 教育改革の取組状況の調査が今年度も行われました。その結果を事務局から御説明願います。
(平成16年度教育改革取組状況の調査結果) トップに戻る
【教育企画課長】
懇談会からの提言に基づく教育改革の取組について、平成15年度から行っている調査ですが、本年度は、平成16年11月1日付で調査を実施し、すべての学校から回答を得ました。以下、全校種での結果について項目ごとに報告します。
1 学校の経営改善に向けた取組
○ 学校の教育目標、計画の公表
79.2%が実施。昨年より上がっている。保護者に対し、配布物により公表する
学校が多い。ホームページでの公表は、昨年度14校、本年度96校(小・中・高合
計)
○ 教育目標達成度の公表
保護者、地域の人々に配布物等で公表する学校がやや増加し、29.3%。ホーム
ページでの公表は昨年2校、本年度9校(小・中・高合計)
○ 指導目標、計画について、教員から校長への報告
本年度は、口頭での報告は含めず、文書での報告について調査した。実施校は
47.3%。学級経営計画、教科の年間指導計画の提出に加え、評価規準や達成度の
設定の計画を提出する学校も数校ある。
○ 目標達成度について、教員から校長への報告
本年度は、総括会議での口頭報告等は含まず、文書での報告について調査を行
った。実施校は23.3%。所定の様式により、自己評価を行い提出、自己評価を全
体で総括し、冊子にまとめ、次年度に生かす学校もある。
○ 外部評価を受けて教育活動の改善を図るシステム
県立高校では、H14年度から学校評議員制度を導入している。小・中学校でも外
部評価を受け、改善を図る取組が進み、実施率は、小学校44.8%、中学校38.5%
と、昨年より少し上がっている。
2 学力向上に向けた取組
○ 基礎・基本の確実な定着のための取組
小学校は、反復学習、少人数指導、音読、スピーチ、補習、教材・教具の開発
・工夫など
中学校は、少人数指導、反復学習、小テスト、補習、学習内容の精選、英語の
歌など
○ 習熟度別学習の実施
小学校高学年では、15.2%が実施。算数での実施が多い。
中学校では、34.3%が実施。数学、次いで英語での実施が多い。
発展コースで意欲が向上する、基礎コースで理解が進む、教員が子どもの理解
度を確認しやすい、きめ細かな指導が可能など。反面、児童生徒どうしの教え合
いがなくなる、不適切なコース選択などへの配慮も必要
○ 小学校高学年での学級担任制の弾力化
29.1%の小学校で実施。教員の専門分野・得意分野を生かすことできる、学年
が同一歩調で学習を進められる、多くの教員で児童を把握できる、教材研究が深
まるなどが挙げられている。
○ 読書タイムの設定
小学校85.6% 中学校79.2% 高等学校37.2% 障害児教育諸学校44.4%
中学校では、毎日実施する学校が多く、小学校は、計算や漢字の反復練習と組
み合わせて週1〜4回設定する学校が多い。
3 体力向上と健康増進に向けた取組
○ 体力テストの実施
小学校68.7% 中学校55.7% 高等学校86.0% 障害児教育諸学校55.6%が実施
○ 小学校での1校1運動など、子どもの身体活動を促す取組
46.5%の小学校が実施。ランニング、縄跳びを行っている学校が多い。剣道、
木剣体操、竹馬、登山、一輪車など地域等の特色に応じた取組もある。
○ 健康3原則(規則正しい食事、適度な運動、十分な睡眠)の習慣付けの取組
朝食の摂取、運動の奨励、規則的な生活習慣の指導などについて、養護教諭、
栄養士による授業や保健便りの配布など、何らかの取組を行っている学校は、小
学校82.5%、中学校53.3%、高等学校55.8% 障害児教育諸学校88.9%
4 授業改善に向けた取組
○ 校内での相互の授業公開で評価しあう機会の設定
小学校96.1% 中学校55.2% 高等学校55.8% 障害児教育諸学校88.9%
全校種とも、いくつかの教科又はいくつかの学年から代表を出して研究授業を
行う学校が多い。
○ 児童生徒の意見を取り入れることによる授業改善
積極的に進めている学校は全体で53.9%
○ 保護者や地域の人々への授業公開
小・中学校で100%実施。一定期間を自由参観日として公開しているのは、小学
校17%、中学校29%
○ 講師として地域の人材の導入
校種 |
実施率 |
平均人数 |
学 習 内 容 等 |
小学校 |
96.1% |
24.7人 |
地域、栽培、福祉、環境、「昔の遊び」国際理解等 |
中学校 |
79.2% |
14.8人 |
職業に関する内容、地域、福祉、人権、マナー、和楽器等 |
高等学校 |
76.7% |
12.2人 |
職業に関する内容、高大連携の取組、部活動指導等 |
障害児教育諸学校 |
33.3% |
3.2人 |
社会で活躍している障害者、療法士等 |
5 勤労観・職業観の育成に向けた取組
○ 勤労観・職業観の育成にかかわる取組
小学校・・・・・・校区の商店、スーパーマーケットなどでの調べ学習、消防署、清
掃局などの職場見学等
中学校・・・・・・職業調べ、職場体験学習、職業人を招いた授業や講演(職場体験
学習は、ほとんどの学校が第2学年で3日間実施。中には、4日間
又は5日間実施する学校もある。)
高等学校・・・・職業人を招いた授業や講演、インターンシップの実施
6 その他
○ 現在重点的に取り組んでいる、学校における教育改革
小学校・・・・・・・・・・・・開かれた学校づくり、学力向上、体験活動、地域人材導入等
中学校・・・・・・・・・・・・開かれた学校づくり、学力向上、評価の改善、不登校生徒
への取組等
高等学校・・・・・・・・・・学力向上、教育課程の特色化等
障害児教育諸学校・・地域の小・中学校との連携、地域の特別支援のセンター的
役割等
○ 上記の取組による成果
小学校・・・・・・・・・・・・図書室利用者増加、学校の情報提供が進むなど
中学校・・・・・・・・・・・・習熟度別学習により意欲向上、地域の協力が得やすくなっ
たなど
高等学校・・・・・・・・・・英検や商業に関する検定などに成果、フリーター希望者の
減少など
障害児教育諸学校・・教育相談が充実、児童生徒理解が進むなど
○ 学校での教育改革を進める上での課題及び課題に対する取組
小学校・・・・・・・・・・・・教員の意識改革、外部評価の充実、保護者との連携
中学校・・・・・・・・・・・・外部評価の充実、教員の意識改革、総合学習の内容づくり
高等学校・・・・・・・・・・教員の意識改革、教員の研修
障害児教育諸学校・・教員の共通理解、教員の意識改革
【会長】 この報告についてご意見があればお願いします。
(調査結果に関する質問及び意見) トップに戻る
【委員】 学校評価、外部評価とは、どのような方法で行うものなのでしょうか。
【教育企画課長】 外部評価は、保護者、地域の人々、児童生徒、学校評議員などからいただく評価です。県教育委員会が作成した「学校評価の手びき」に載せていますが、評価項目を決めてアンケートを行うなどの方法があります。
【委員】 学校評価については、数値目標を掲げて達成度を記述してもらうことは大切ですが、数値目標を強く前面に出すと評価が形骸化することもあります。学校をこういう状態まで高めたいという目標の達成度のサンプルを示して、今後調査されたらいいと思います。具体的な例示をしておくと書きやすいのではないでしょうか。
【委員】 昨年末から子どもの学力についての国際比較調査について報道されていますが、家庭での学習時間が少ないことに驚いています。学校は宿題をあまり出していないのでしょうか。また、テレビ視聴時間が各国に比べて長いことも気になります。
【委員】 小学生に対して学習全般に関するアンケートをしましたが、家庭学習の時間は少なく、平日は1時間以内、休日はそれ以上に少ないのが現状です。低学年では、基本的な内容を繰り返し行う宿題を課しています。高学年では、自分で課題を見つけて学習できるよう指導しています。1時間以上かかる量の宿題を出している先生は少ないように思います。
【委員】 中学校は教科担任制ですので、全教科で宿題を出すと、子どもも大変です。教員は複数学級を担当していますから、毎日宿題を出していると点検が追いつきません。授業の中で、次の授業に向けての学習の仕方を教える時間をとっていますが、意欲のある子は予習をしてきます。
【委員】 私の高校では、目的意識が高いといわれる学科の生徒でも、宿題をしてくるのはおよそ半分という状況です。
【委員】 学ぶ習慣を身に付けさせることができていないのですね。私の周辺を見ていると、よく勉強する子どもとそうでない子どもの二極化が進んでいます。生活指導をきちんとして、県全体で学ぶ姿勢や習慣作りに取り組んでいただきたい思います。
【委員】 学習塾で教えてもらうなど、他人任せの学習が普通になっています。そこで学ぶものは受験技術です。大学入試の在り方から考えていかなければならないと思います。
【委員】 子どもが中学生の時、学校の勉強で分からないところがあるというので、塾に行かせたところ、少人数で先生と近い距離で教えてもらったことにより、勉強の仕方が分かったということがありました。中学校で教員をしていたことがありますが、40人学級では、理解の遅い子どもに十分に手をさしのべ、学び方を伝えることは、たいへん難しいことだと思います。
【委員】 宿題を点検することは、個々の児童生徒を把握する絶好の機会です。特に小学校では、宿題をしたか、しなかったかだけでなく、提出したものをきちんと点検して返してあげることにより、学び方を身に付けさせることができます。
【会長】 先ほどでていました、学力の国際比較調査の結果について、教育委員会から何かコメントがありましたらお願いします。
【学校教育課長】 現在は中間報告の段階ですが、学校外での学習時間が少ないことと、学んだことが何かに役立つという意識が低いことが気にかかります。解釈する能力が低く、学び方を学ばせることが大切だと考えています。教員は、自分の教えたい内容をどう教えるかについては工夫をしますが、子どもがどう学ぶかという視点も大切にしなければならないと考えています。
IEAの調査での出題内容ですが、たとえば、理科で出題されたプリズムは、現在の学習指導要領から削除されており、学習の量的な面から見ると低下しているということになります。
【委員】 授業改善のために校内で授業公開を行い、互いに評価し会うことはとても大切なことです。やっている、やっていないだけでなく、互いに鍛え合う内容や方法の開発が求められます。
児童生徒の意見の取入れは、以前にはあまりなされていませんでしたが、今は約半数の学校で進められていて、望ましい方向にあると感じました。
いつでも授業公開ができる体制をとっている学校や、一定期間自由に授業が見られるように公開される学校が出てきました。このようなことが授業改善につながりますので、さらに進めてもらいたいと思います。
【委員】 教えるということは、すべての仕事を進める上で共通するものです。このスタイルができるとそこにものごとを当てはめるだけで仕事は進みますが、より分かりやすく伝えるためには相互研鑽によって、さらによいスタイルをつくらなければなりません。分かっている人の話は分かりやすいが、分かっていない人の話は難しいものです。
【委員】 1校1運動など体力向上の取組をしている小学校が46.5%というのは少ないと思います。健康3原則の習慣付けについては、中学校での取組が少ないのが気にかかります。NEETといわれる無気力な若年無業者をつくり出さないためにも、生活習慣についての指導が大切だと思います。
習熟度別学習についても、何のためにするのかという視点をもつことや、そのための工夫をすることが大切です。理解の遅い子どもに徹底的に分かるようにするためのサポートシステムをつくらなければなりません。
【委員】 学校の経営改善に向けた取組では、教育目標、計画、達成度の自己評価等を公表している学校が少ないですね。企業では当たり前のことです。そして、1年間やってきたことはきちんと評価してもらいたいと思うはずですが、年度末に校長に報告しないのはなぜでしょうか。
校内での相互の授業公開で評価しあうことは、地域の人への授業公開と同じように大切なものだと思います。
児童生徒の意見の取入れについて、子どもからどんな意見が出ていますか。
【委員】 中学校での生徒の意見としては、先生の声が小さい、板書の仕方がよくない、必要な注意をしない、考える時間を与えない、進め方が早いなどが考えられます。このような意見に対しては、すぐに改善をしなければなりません。
【委員】 学び方を身に付けること、個人の能力を伸ばすこと、授業の質を上げるため相互に研鑽することなどは大切であることは当然のことです。具体的に、どのようにすればそれらのことができるのか、目標を実現するためには何をすべきなのかを私たちは毎日考えています。しようとしてもできないのはなぜなのか、そこにはどのような現実があるのかについても目を向けていただけたらと思います。個人差があって、我慢ができない子どももいます。ディベートの授業で、本当に何も言えない子どももいます。こうあるべきだということよりも、そのためには何をするべきか、何が必要かという議論が必要だと思います。
【委員】 教えることのプロである教員が、保護者や教えられる立場の児童生徒から意見を聞かなければならないというのは、情けないのではないでしょうか。
学校の経営改善に向けた取組の中の教育目標、計画や達成度の報告などは100%できていて当たり前だと思います。
【委員】 日本では、勉強の目的が自分が将来をどのように生きるのかではなく、いい高校、大学に入学することになっていますが、オーストラリアでは、小さいころから職業意識を取り入れた教育が進められています。生徒は、16歳になると校長先生からアルバイト許可のライセンスが与えられ、一定期間働きます。そのようなことをとおして、子どもがそれぞれの興味や適性により、途中での方向転換も含めて、自分に向いたコースを選ぶシステムができています。
今、日本での議論は、学校週5日制やゆとり教育から学力低下をどうするかに移ってきています。このような動きに振り回されるのではなく、奈良県は、この調査等に基づいて、文科省追随でない独自の政策を出していくべきだと思います。
【会長】 それでは、本日の中心のテーマである「規範意識の向上と社会性の育成」についての討議に入ります。
(規範、規範意識、社会性の定義等) トップに戻る
【会長】
最初に、規範、規範意識、社会性の定義等について参考にしていただくために、私の方から以下のようにお話しさせていただきます。
1 規範
・規 範:判断、評価、行為などの基準、規則、模範
・集団規範:集団成員によって共有される規則、集団成員として期待される行動の基
準、集団内で自己の適切な行動を選択する基準、他の成員の行動が許容
範囲であるか否かを判断する際の基準
・社会規範:社会において多少とも制度化されている慣習、規則、道徳、法律
慣習−生活上の必要性から、長期にわたり成員が遵守している行動様式
道徳−善悪の判断基準という倫理的意味をもった規範
法律−公的権力によって規定され、全ての成員に普遍的に適用される規範
2 規範意識
・規範についての関心や理解。規範を尊重し、遵守しようとする意識
規範についての考え方や善悪の判断。規範を犯す行動を許容するか否かの判断
・規範意識の発達的変化
幼児では、順番を守ることや仲良く遊ぶことなどへの関心や理解
小学生では、遅刻や忘れ物をしない、約束を守ることなどへの関心や理解
一般に、規範そのものへの関心や理解から、なぜそのような規範が必要である
かということへの関心や理解へと変化する。
3 社会性
@社会的基準に照らして行動できる「社会化」
自己の行為の適否を社会的基準に照らして判断できる。社会的に承認される行為
を選択する。きまり、ルール、約束を守る。
A集団行動に参加できる「集団参加」
仲良くする協調性、協力しあう共同性、役割を果たす責任性、リーダーシップなど
B思いやりや共感性などの「向社会的行動」
人や集団を助けたり、人々のためになることを自発的に行なう。
援助する、寄付する、慰める、協力する、物を分け与えるなど
C対人関係をよりよくし、社会生活に適応していくための「社会的スキル」
基本的スキル:人の話を聞く、会話をはじめる、質問をする、自己紹介をする、
助けを求める、ものを頼む、断る、謝る、礼を言うなど
その他のスキル:許可を求める、集団の中で発言する、友達を求める、相手の感
情を理解する、相手 の気持ちに共感する、自分の行動をコン
トロールするなど
〈参考〉指導要録「行動の記録」における関連項目
「責任感」「思いやり・協力」「勤労・奉仕」「公平・公正」「公共心・公徳心」
【会長】 次に、規範意識にかかわることで、県教育委員会各課等で取り組んでいることについて、主なものを説明してください。
(規範にかかわる県教育委員会等の取組) トップに戻る
【研究所副所長】 平成12年から14年にかけて家庭教育アンケート調査を行いました。そのアンケートの中で、普段、子どもが親から言われていることは、「早く寝なさい。」「片付けなさい。」「勉強しなさい。」などが多く、あいさつをすること、友達と仲良くすること、弱いものいじめをしないことなどは、ほとんど言われていません。「ほめること」と「叱ること」はしつけの基本ですが、よくほめられよく叱られる子どもは、自分から進んで手伝いをする、困っている友達の相談にのる割合が高く、約束を破る、道にゴミを捨てるなどの割合が低いことが分かりました。そのような結果を基に「家庭教育7か条」リーフレットを作成し、保護者に配布しました。
【学校教育課長】 日常の授業や学校行事、遊びなど生活の中で子どもたちは、無意識的に規範意識を身に付けていきますが、これらをさらに深化させるため、道徳等の時間の活用が大切になってきます。道徳教育については、「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」を実施しています。指定校で研究を進め、その成果を多くの学校への普及を図りたいと考えています。また、特別活動では、望ましい集団活動を進めるため、体験活動、地域間交流、長期宿泊体験を行う「豊かな体験活動推進事業」を進めています。
企業・行政インターンシップ、いきいき・なら体験事業(中学生の職場体験学習)の中でも、社会規範が身に付くよう取組を継続したいと考えています。
【会長】 奈良県の少年非行の概況について説明をお願いします。
(奈良県の少年非行の概況) トップに戻る
【教育企画課長】
平成15年 奈良県の少年非行の概況については、奈良県警察少年課ホームページに詳しく掲載されています。
犯罪少年(犯罪少年:罪を犯した14歳以上20歳未満の少年)の人数割合は増加し、平成15年の人数は、1,498人で、14歳以上の少年1,000人当たり14.9人です。
犯罪少年1, 498人のうち14歳以上の刑法犯少年は、1,404人で、その内訳は、中学生502人、高校生548人、その他学生73人、有職少年93人、無職少年188人です。
犯罪別には、窃盗が986人(万引き387 オートバイ盗231 非侵入盗177 自転車盗151 侵入盗40)、粗暴犯158人、 凶悪犯18人、占有離脱物横領127人(遺失物等、占有を離れた他人のものを横領すること)その他115人となっています。
触法少年(刑罰法令に触れる行為をした14歳に満たない少年)の人数は平成15年で124人、年齢別の人数は、8歳以下1人、9歳5人、10歳5人、11歳3人、12歳24人、13歳86人です。
不良行為によって、平成15年に補導された少年(深夜はいかい、飲酒、喫煙、家出など自己または他人の徳性を害する行為をしている少年)は、24,137人で、6歳から19歳までの少年人口1,000人あたり、113.3人となります。警察が不良行為少年の早期補導に取り組んだ結果、平成14年の約2倍となっています。
(規範意識の向上に関する意見) トップに戻る
【委員】 社会の一員として生活することや人間関係のつくりかたは、子どもが学ばなければならない大切なことです。生活の中で学んだことを、学校教育、特に道徳教育でどう深めるかが大切になります。また、道徳教育を学校に任せきった親の姿勢、家庭の在り方が問題であり、学校、家庭の連携がさらに重要になると思います。
【委員】 ある経営者は、高卒者の採用の際に、コミュニケーション能力と我慢する力を条件にしているようです。うまくコミュニケーションがとれず、上司に怒られたら我慢できずにキレてやめていく。これには、体力のなさも原因になっているのでしょう。
【委員】 保育所では、子どもが自分から社会性を身に付けていくこと、意識より体が覚えていくような取組が必要だと思っています。子どもの行動に対して「他の子はどう感じていると思うの」という問いかけなどにより、並んで順番を守ることや、人に譲ることなどが身に付くようにしています。
【委員】 子どもたちは、学校だけで育っているのではありません。教員が子どもに一生懸命話したことがテレビ番組の中の一言で吹っ飛んでしまうこともあります。同じように子どもを囲んでいる学校とマスコミですが、これだけ影響力が違うものなのです。そういったことにも目を向けていくべきだと思います。
【委員】 県では、「ならっ子みんなで育てよう」「親学サポートブック」など、いい取組をしていただいていますが、その結果はどうだったのか、どのような効果があったのかを検証しなければなりません。
警察や法律関係の専門家を学校に外部講師として学校に導入するためにはどのような実行プランが考えられるのか、専門の方にお教えいただきたいと思います。
【委員】 規範については、子どもだけでなく、大人が学ぶべきこと、実践すべきこと、また、家庭が何をするべきかなども大切なことだと思います。学校が地域の活動を取り込んでいくなど、身近なところから取り組めるものを具体的に提案できるといいと思います。
教育の場ではあまり宗教的なことは出さないようですが、先祖を大切にしたり神仏を尊んだりすることは大切なことですので、誤解を招かないやり方で子どもに伝えていくべきだと思います。
【委員】 説明では小学生の非行の数は少ないのですが、小学校高学年には心配な子どももいます。卒業後に、それが現実になって中学校、高校から連絡をもらうこともあります。小さいころの指導が大切だと感じています。
校長先生が子どもたちに、あいさつをすること、廊下を走らないこと、掃除を熱心にすることなど、分かりやすく具体的な目標を掲げ、そして、教員個人でなく、みんなで学校経営の視点をもって徹底的に指導したら、子どもに落ち着きがでてきました。別の校長先生は、読書活動に一生懸命取り組みました。すると、読書好きの子どもが増えるなどの効果が表れてきました。校長先生を中心に、みんなで行動を起こすことで学校は変わります。
【委員】 小学校では、宿泊体験学習の取組をしていますが、私の経験から言うと、1泊を2泊にすることによって、規範意識を育てる効果がとても大きくなると思います。
【委員】 人間は社会的生物であり、個人の自由と自由が衝突する中で自由の内在的制約が出てきます。その中で生きるために道徳や宗教があります。道徳規範、宗教規範、法規範という万人共通のルールを守ることや、我慢すること、責任感、根気などは、小さいころから理屈抜きのしつけによって身に付けさせなければなりません。
兄弟は社会生活の先生であり、私たちは、兄弟間で互いの自由をどのように調整するかを訓練してきました。一人っ子が多くなり、子どもが群れて衝突しながら遊ぶことが少なくなったことが気になります。
子どもが危機に立ったとき、子どもが戻れる居場所を保障できる親子のつながりがとても大切だと思います。
【委員】 教員も保護者もほめることと叱ることのバランスを取ることが大切です。今の学校では、子どもを叱ることが少ないのではないでしょうか。これでは、ほめて叱って育てるという本当の意味の教育ができていないことになります。
【委員】 県教育委員会では学校教育番組の制作を行っておられるようですが、私たちも小さいころから本も含めて当時の教材で道徳心や社会性を得てきました。今は、レベルの低い、見せたくないテレビ番組が多いですが、子どもにはいいものを見せることが大切です。
【委員】 学校、家庭、地域で、子どもには、その場その場できちんと注意、指導することが大切です。
【委員】 犯罪少年の数は、14歳から16歳がそれぞれ300人台で18、19歳になると人数が少なくなっています。犯罪少年の総数のうち中高生の数を見ると1校に数人いることになります。不良行為で補導された子どもの数もかなり多いですが、警察と学校は連携しているのでしょうか。警察や学校以外にも、子どもたちをサポートするシステムはないのでしょうか。
【研究所副所長】 学校外での子どもの問題行動については、警察から学校に連絡が入るシステムがあります。健全育成の立場から、この連絡制度が始まっています。問題行動を起こした子どもからの学校への申し出が増えたという効果が出ています。
学校、警察以外では、こども家庭相談センターで相談が行われています。
【委員】 14歳から16歳で犯罪少年の数が多いのは、成長過程の中で、心が揺れる思春期であることが一つの原因ですが、親に保護能力が無い、子どもの精神的な居場所が無いなどの条件が重なっていることもあります。最近は保護者の離婚が多いことも実感しています。教員は、家庭と連携し、子どもの背景を理解して指導することが大切だと思います。
【委員】 警察からの連絡制度については、連絡が入るのは遅いですが、それまでに、生徒が自分から学校に申し出ることが多くなりました。
専門家のゲストティーチャーからの指導により、生徒の心が動かされることがあります。先ほど、法律関係の専門家を外部講師として導入することについてお話しがありましたが、生徒が自分たちにかかわる法について考える機会をつくるため、学校に弁護士等法律関係者の方を招くことができたらいいと思いました。
【委員】 学校の生徒指導は、犯罪防止という意味ではなく、子どもの心の内面を育てるものでありたいと思います。社会が訴訟社会になりつつあることが心の教育を難しくしています。たとえば交通事故を起こした場合に、謝ったら負けという考えが子どもにも影響しています。
学校では、教員は、学校という組織の仕事として、プロ意識をもって規範意識や心の教育を進めてほしいと思います。
【会長】それでは、次回の懇談会までに、前回と今回の議論をまとめていきたいと思います。
トップに戻る
|