第22回 奈良県教育懇談会討議の概要


     ◇日時 平成18年3月23日(月) 15:30〜17:10
     ◇場所 春日野荘 (奈良市法蓮町757-2) 
       
     ◇討議のテーマ
      教育改革の取組について


◇発言のポイント


  ○教育改革については、中身(質)がどうであるかが問題

  ○管理職がもっと研修を積み、リーダーシップを発揮すべき

  ○学校の経営改善には、まず、自己評価をきっちり行うことが大切

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◇議事概要           

【事務局】
 これまでの奈良県教育懇談会の提言にかかわる、「学校の経営改善」、「学力向上」、「体力の向上と健康の増進」、「授業改善」、「勤労観・職業観の育成」の5つの内容について、教育企画課から改革への取組状況について説明。

【会長】
それでは、ただいま説明のあった5つの内容について、質問やご意見がありましたらお願いします。

○教育改革については、中身(質)がどうであるかが問題
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【委員】
 奈良県と全国とを比較できる数字はあるか。奈良県の弱点はどこだと考えているか。

【事務局】
 数字での比較ということでは、調査の方法等の違いにより、比較できないものも多い。比較できるものの例として、学校評価の公表率などは、奈良県は全国の概ね半分程度かそれ以下となっている。

【委員】
 ここであげられた5つの内容への取組は、全国で始められてきている。課題としては、全国共通ということだ。ただ、取組を始めることも大切だが、問題となるのは、その取組の中身だと考える。例えば、読書活動への取組も、ただ、時間を設けて一斉に読みますというレベルで留まっていては意味がない。それができたら一歩進んで、どんな本をどれだけ読んだか等の質のチェックが重要である。
取組で実施したことが、どれだけ子どもの力になっているのかという視点を持つことが大切だ。実施しただけで、成果が上がっていないところがあるのではないか。質の部分で、もう一歩踏み込んだ調査が必要な時期だと思う。

【委員】
 体力の向上と健康の増進にかかわって、昔に比べて小学校における体力テストの実施が低調である理由は何か。
 また、授業改善で、授業の受け手である生徒の意見を取り入れることは必要だと思う。学校によっては、アンケート等を実施していると聞いているが、中身はどうなのか。実際に改善された点はあるのか。

【事務局】
 全般的に授業時間の削減により、体力テストの実施が難しくなっている状況がある。
 生徒の意見の取り入れについては、アンケート等、意見の取り方にもいろいろなレベルがある。実際に改善された点についての具体的な例は聞いていない。

○管理職がもっと研修を積み、リーダーシップを発揮すべき
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【委員】
 学校の現状を分析してみると、組織の経営で疑問がある。学校の目標の公表はされているが結果の検証が不十分である。校長は管理職として指導力をもっと発揮すべきではないか。県の指導はどうなっているのか。

【事務局】
 県の指導はどうかという質問に関連して、来年度の取組を説明させていただく。
 県教育委員会では、来年度から学校教育課に学校アドバイザリーチームを設置する予定である。
 これまで学校の教育活動については、現場で指導に当たる教職員の専門的判断にゆだねることが大きく、その評価等は積極的に行われてこなかった。そこで、学校経営に取り組む学校管理職や教育活動に腐心する教職員を積極的に支援するため、1チーム5人程度で編成するアドバイザリーチームを設置し、学校の教育活動全般を診断し改善点を明らかにして改革を進めていこうと考えている。
 義務教育は、学校設置者と、教員の給与負担者が異なるという状況で運営されているが、これまで小・中学校の指導については、主に市町村教育委員会が取り組んできた。県教育委員会としても、市町村教育委員会と協力しながら、もっと積極的に小・中学校についても支援していこうとしている。 来年度から数年間をかけて、県内すべての小・中・高校を訪問したいと考えている。

【委員】
 アドバイザリーチームについては今までよりも踏み込んだ取組だと思う。ただ、教員1人1人の目標達成をある程度保証する工夫も必要ではないか。教職員の管理という部分で、難しいところはあると思うが工夫していただきたい。

【事務局】
県教育委員会では、昨年度から教員評価に取り組んでいる。教員1人1人が自分自身で目標を明確にして、その結果を評価するという手法で取り組んでいるところ。

【委員】
 管理職である校長の権限をもっと強くするべき。職員会議の位置づけは、はっきりしてきているがまだまだだと感じている。
 また、指導力が不足している教員の指導は県立の教育研究所で行われていると聞いているが、指導力が不足している管理職の指導はどうなっているのか。管理職が研修をもっと積むべきではないか。奈良県の管理職の降格制度等はどうなのか。教えていただきたい。

【事務局】
 現在、教職員の自己評価の徹底を進めているところ。指導力不足教員、(不適格教員)の特別研修は教育研究所で実施している。
管理職の降格制度については、自己申告による制度を設けている。強制的に降格させることや教員としての職をはずすことは、公務員の身分に関わることなので法的に難しい部分がある。国レベルで教員免許の更新制の検討がされていることも、これらの問題とかかわっている。

【委員】
 これまで、学校管理職が専門的な経営の訓練を受けていないという状況が問題。これは、大学でも同様であるが、経営の訓練は大切であり、もっと積極的に、労務管理やリーダーシップ等の訓練をやるべきではないのか。

【事務局】
 奈良県でも毎年数名ではあるが、平成16年度から教員の大学院での経営学研修を実施している。

【委員】
 指導力不足教員の件で、教員は身分的に保護されすぎているように思う。もう少し厳しく対応してもいいのではないか。

【委員】
 学校アドバイザリーチームについては、各々の市町村教育委員会間の格差を埋める意味でも重要だと思う。ただ、アドバイザリーチームの構成員には学校経営経験者が必要だと考える。

【委員】
 教育改革の進捗状況において、県立学校と小・中学校との差が感じられる。
 勤労観、職業観の育成に向けて、各学校が積極的に取り組んでいただいているのはわかった。ただ、報道等で、奈良県のIT教育は、ハード面、ソフト面ともに全国的には低位にあるということなので、財政が厳しい時代であるが、今後一層の努力をお願いしたい。

【委員】
 コミュニケーション力や審美眼を育てることが、人育てでは重要だと考える。また、先人の知恵を吸収する読書や、自分の個性をアピールする表現活動は大切だと思う。読書活動はかなり盛んになってきているようだが、スピーチ等の表現活動への取り組みにも力を入れてほしい。

○学校の経営改善には、まず、自己評価をきっちり行うことが大切
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【委員】
 経営改善については、外部評価を重視する声もあるが、組織、個人共に、まず、自己評価をすることが大切だと考える。
 大学でも評価制度を導入した最初の頃は、年次報告書には、ほとんど内容が無かった。そこで、難しい評価をいきなりやるのではなく、今年できたことは何か、できなかったことは何かを1つ1つ整理してまとめていった。まず、自分たちのやったことを振り返ることが重要と考え、多少大雑把でもよいからと形にしていった。次に、それについて、具体的な根拠資料を添付することを行った。ここまで来れば、外部評価を必要以上におそれなくなり、次に進むことができるようになった。
 まず、自分たちのやったことを客観的に振り返る力がないと、次の改善の段階には進めない。そのためにも、自己評価をきっちりとやることが大事。

【委員】
 経営改善には、リーダーと構成員の対話が不可欠である。自己評価でも何でも書類を出すことが大事ではない。そういった事を、リーダーである学校管理職に教えることが大切。そういったことが不十分ではないか。

【委員】
 大変厳しい指摘があったが、学校現場では、確かに書類で目標達成度等を提出することは十分に定着していない。ただ、学校では、それぞれの教科や校務分掌等の部署における総括会議は必ず行われている。教員1人1人の報告も大事だが、各部署やチームとしての反省や課題を明確にするための取り組みは進められている。

【会長】
 それでは、今日の皆さんのご意見を事務局の方で整理し、次年度の取組に活かしていただくようお願いします。ありがとうございました。

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