第6回奈良県教育懇談会討議の概要

◇日時 平成13年8月31日 13:30〜16:00

◇場所 奈良市登大路町「奈良県文化会館」

◇発言のポイント

T 意見交換

    ※下記の議事資料 「教育懇談会中間意見(具体的な施策案)」を参照


◇次回懇談会  平成13年10月22日(月)



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◇議事概要

T 意見交換

     ※上記の議事資料 「教育懇談会中間意見(具体的な施策案)」を参照

【会長】本日は懇談会の中間のまとめに焦点を当てて討議をお願いいたしまして、大筋の結論を出していただきたいと思います。
 お手元のB4サイズの資料2枚は事前に専門調査部会で作成しました「教育懇談会中間意見(具体的な施策案)」です。本日は、この案につきまして討議をお願いしたいと思います。大きな見出し項目が六つあります。一つの項目ごとに区切って、討論を進めていきたいと思います。
 
 それでは、大項目の1番の「教育懇談会からのアピール」ということであります。これは「教育の原点は家庭にある」とよく言われておりますが、そういう視点から家庭における親の役割と責任を明らかにし、あわせて教育改革の具体的なプランとして2番から6番までの施策プランを分かり易くまとめて本県の「県政だより」に掲載したいという案ですが、これについてはよろしいですね。

 次に、大項目の2番目の「家庭と就学前教育」については3つの施策があります。簡単に説明しますが、 (1)は「父親学・母親学マニュアル」ということで、父親・母親はいかにあるべきかという理念的なものから、しつけ教育のノウハウや親の責任までを具体的に分かり易く説明した冊子を作成するという案です。作成事業案等についての詳細な記述がありますが、これにつきましては、また事務局や当該部署と詰めなくてはなりませんので、大まかな案ということでご検討いただきたいと思います。
 (2)は、奈良県独自の就学前教育の指針をつくろうという案です。ご存じのように、幼稚園教育要領及び保育所指針が最近改訂になり、それぞれ別々に出ています。最近、幼稚園、保育所の連携ということが非常に言われており、二つの指針を統合して一つにしようということです。主な内容としては、4行目にある0〜3歳、4〜5歳、就学前半年あるいは1年程度と発達段階別に三つの構成にして、指針を作ってみるという案であります。それから、その一番最後のポツのところですが、今回はそこまでは考えていませんが、さらに発展させて幼保連携した奈良県独自のカリキュラムを作ればどうかということであります。
 (3)は、「『公立幼稚園の地域家庭教育支援センター機能』の実現」という案です。これに類似することは既に保育所ではある程度取り組まれているようです。具体的には、「機能の内容」というところに記載してある通りですが、親の家庭教育相談、場の提供、一時預かり保育、入園前の親子研修会、これらに関わってボランティアを組織すればどうかということであります。ボランティア活動の主なものは、4行目の「活動の場」というところに幾つか例示しています。
 以上の3点が家庭と就学前教育に関する施策プランでありますが、何か分かりくいところ等ありましたら、ご質問をお願いします。
 では、ご質問がないようですので、(1)、(2)、(3)と順にご意見、または具体的な施策がお有りでしたら、ご発言をお願いします。

(感謝の祈りによって子供が立ち直った事例もあり、家庭の中で子供と共有できる憲法のようなものを作る運動を起こしてはどうか。)
【委員】以前、新聞にぐれた子供に関する記事があり、子供が「うちの家は何でも与えてくれるが、たった一つ足りないものがある。それは祈りだ。」と言ったと出ていました。それ以後、その家庭では食事の前にはちょっとした感謝の祈りをするようになったそうです。それでその子は立ち直ったということでした。この2番の(1)のようなことをしていただくのは非常に良いことだと思います。そのとき、是非、家庭の中の憲法というか、家訓というと少し堅いのですが、ちょうど雅子様のお子様もお生まれになりますので、かつて今の皇太子がお生まれになったときの「ナルちゃん憲法」のように、家庭の中で子供と共有できる憲法のようなものを作る運動をするというのは一つのタイミングではないかと思うので、そういうものも取り入れると良いと思います。

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【会長】只今のご意見について何かありますか。では、今のご意見を取り入れてマニュアルを作りたいと思います。
 (1)につきましてご意見ありますか。それでは、特にないようですので、(2)についてご意見をお願いします。

(幼保一体化しにくい実情にあるので、幼稚園教育に視点を定め3年間の長い幼稚園教育というものを考えてはどうか。)
【委員】幼稚園等を預かっている立場からですが、県が「幼保の連携を見据えた」ということを本当に制度的に出せるかということです。やはり保育所は保育所としてのねらいがある。なかなか現場ではそれが一体化しにくい状況にある。それから、一方では、幼稚園も今は、0〜3歳、4歳、5歳と分けておられ、3歳児保育は非常に多くなってきている。そういう視点でまず現在の幼稚園教育に視点を定め、幼保連携までは考えないで、もう少し3歳児保育まで下げた3年間の長い幼稚園教育というものを考えてみればどうかと思いますが、もし県の方で幼保連携を今後とも推進するというお考えがあればお教えいただきたいと思います。

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【会長】只今の意見について、事務局からの説明をお願いします。

(子供の側から言えば、保育所でも幼稚園でも同じ内容を受け取るべきであるという観点から、福祉部と調整を図り内容的に一つのものを与えられても良いのではないか。)
【事務局】幼保の連携というのは時代の課題ですが、大変大きな壁があります。それは、片や厚生労働省の所管であり、片や文部科学省の所管であるという壁です。つまり、幼稚園の方は教育、保育園の方は保育・就労支援という視点があったことは事実です。ただ、子供を預かってもらう立場からいうと、ほとんどニーズに違いはない。それから、子供の側から言えば、保育所にいようと、幼稚園にいようと、ほとんど同じ内容を受け取るべきである。そういうことを踏まえて、確かに大きな制度的な壁はあるが、内容的に一つのものであっても良いのではないか。
 もう一つの課題は、民業との兼ね合いです。つまり、幼稚園と保育所が連携する課題と同様に公立と私立の業務の質的な相違も課題になるわけです。
 以上のことを含めますと、やはり利用者の側に大きくシフトして、ほぼ同じ内容というか連携をした内容で施策を展開していくべきではないか、さらに、将来的には幼保連携カリキュラムを作成し、それを展開していくべきではないかいうことを専門委員会の先生方にご議論頂きました。

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【会長】只今の点について、どなたかご意見ありますか。それでは、特にないようですので、(2)の案で進めていきたいと思います。
 次に、(3)に関してご質問、ご意見ありましたらお願いします。

(「地域家庭教育支援ボランティアの組織化」は非常に必要だと思うが、組織化をどういう形でするのか。)
【委員】質問なのですが、「地域家庭教育支援ボランティアの組織化」というものは非常に必要だと思うのですが、実際、運営上組織化するのはどういう形でするのでしょうか。地域には小さな形で保育グループ等いろいろあると思うのですが、地域に既にあるボランティアグループも活用するのか、それとも新たに全くゼロから募集するのでしょうか。やはりこういうものを組織する場合、お役所がトップダウンでやるのは、やはりボランティアされる方々にとっては自己実現しにくいのではないかと思います。つまり、ボランティアされる方たちは、自ら進んでやらせてもらっているという充足感を持っておられるように見受けますので、組織化というのを具体的にどう考えていくのかをお聞きしたいと思います。

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(地域の状況や幼稚園のニーズ等を調査し、進んでボランティアに加わっていただけるような組織づくりを。)
【会長】その点についてはまだ具体的には考えておりませんが、地域の状況や幼稚園のニーズ等を調査して、できるだけ皆さんが進んでボランティアに加わっていただけるような組織にしたいと考えています。

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(ボランティアやNPOは参加している人の満足感というのは非常に重要な問題で、一斉にやろうとせずできるところからやっていく。ボランティアとアルバイトを一緒にした「ボラバイト」のような形を参考にしては。)
【委員】今の質問を私もしたかったのですが、上から押しつけて、いちにのさんでやるというのは、非常に難しいと思います。今既に幾つかやっておられるところもあると思うので、具体例とか成功例をもう少し我々にも教えていただけると有り難いというのが一つです。
 それから、大項目の3番のところで申し上げようと思っていたのですが、NPOの活用ということが書いてありますが、それをたくさん作っていかなければいけないと思って、東京でも議論して案を作りました。議論をしていて、参加している人の満足感というのは非常に重要な問題で、どこまで行政が関与できるのかというのは大変難しい問題があるので、いちにのさんで全部やりなさいというのではなく、来年度予算が始まるまでに試行錯誤しながら幾つかでもやっていくことが必要ではないかと思います。
 北欧とかオランダ等では、ボランティアとアルバイトを一緒にし、名付けて「ボラバイト」のような形のもので非常に成功しているので、参考にしていけばよいと思います。

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(民生との連携を考える。3世代同居の良さをアピールしていくべき。)
【委員】私の村では健康福祉センターがあり、民生部の方で子育て井戸端会議というのを1カ月あるいは2カ月に1回ずつやっているので、民生との連携を考えるという視野も持つべきではないかと思います。
  もう一つは、核家族化してしまって子育てが自然に学べないので、3世代同居という家族の在り方を一面ではアピールしていくべきではないかと思います。

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(乳幼児期の養育の中から作られた親子間の愛情のパイプが太い子供は、非行に走ったとしても直ぐに立ち直れる。)
【委員】私の仕事の経験から申し上げると、10代半ばぐらいを中心にして生じた非行の場合、すぐ立ち直れる少年は、結局、非行したことで悲しむ親の立場というものを身をもって感じとることができる子供なのです。つまり、自分が非行したことによって親が悲しむ痛みを自分の体が突き刺されたのと同じように感じとれる子供は見事に立ち直っていきます。幼いころからの親子間の愛情のパイプが太くでき上がっている子供は、「朱に交われば・・・」で非行に走ったとしても、見事にすぐに立ち直っていくという姿を目の当たりにします。そういう意味で、親子間の愛情のパイプやスキンシップを乳幼児期の養育の中から作っていくことが、極めて重要なのではないかと思います。

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(「学力向上」に関わって、小学校低学年での基礎・基本の徹底、絶対評価のための評価規準の設定、小学校高学年でのクラス担任制の柔軟化、習熟度別事業の推進、以上の4施策を提案。)
【会長】それでは、大項目の2番の「家庭と就学前教育」につきまして、只今貴重なご意見をたくさん頂きましたので、それを踏まえて修正あるいは加筆して成案を得たいと思いますが、大筋ではこれでよろしいでしょうか。ご承認いただけたようですので、そのようにさせていただきます。
  それでは、大項目の3番の「学力向上」に進みたいと思います。ここでは4つの施策がまとめてあります。(1)は、特に小学校の低学年での基礎・基本が身に付いていないのではないかという考え方に基づいて、小学校3年までの特に読み書き・計算に当たる国語と算数について完全に修得すべき内容を選び出してもらい、それを全児童が修得し切るということであります。
 (2)ですが、来年度に変わる指導要録では目標に準拠した絶対評価をすることになっています。これは大変難しい。つまり、今までの場合の相対評価というのは、テストをやって、点数をつけて、人数の割合で5段階に割り振るだけの簡単なことだったのですが、絶対評価というのはあらかじめ教師なり学校の方で目標を設定しないといけないわけです。例えば算数の2年生のこれについてはこういう目標、ここまで達成させたい、身に付けさせたいという目標を設定する必要があり大変難しいわけです。小中高すべてにわたって各科目・単元ごとの具体的な到達目標とその評価基準を設定しようという案であります。
 (3)ですが、特に小学校の子供たちは教師の影響が強いと言われています。それで、複数の教師に学ぶ機会があっても良いのではないか。あるいは教師の側からすれば、自分の得意な教科を隣の先生と交換して教えたいという希望もあると思うので、小学校高学年でのクラス担任制の柔軟化の推進ということを挙げてあります。
 (4)ですが、これは懇談会でもたびたびご意見をいただいた習熟度別授業の推進ということであります。習熟度別指導をやることの意義は、いろいろあると思います。例えば画一的な授業で、いわゆるできない子供は授業が分からない、一方ではいわゆるできる子供は退屈する、あるいはそれと関係して学力を向上させ、さらには個性を生かすために習熟度別の授業をすれば良いのではないか等、いろいろな観点があると思います。それで、ここの計画では指定校を作って、公立中学3校で研究してみればどうかということであります。できれば小学校でも習熟度別の方が良い、特に高学年では良いと思うのですが、とりあえず中学校で指定校を作ってやってみようという案であります。
  それでは(1)からご意見、ご質問あればお願いします。  

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(基礎・基本の徹底に、3年までと限定する必要があるのか。学級集団の数の柔軟化を。チームでの指導を強調。毎日10分間の読書活動を拡げる。小・中・高の校種間の断層・意識のずれを埋める対策を。)
【委員】基本的によく考えられている案と思いながら発言します。(1)では、小学校3年までとなっています。特に低学年における基礎・基本の徹底というのはその通りですが、統計などの報告では5年ぐらいの分数がそのまま中学校、高等学校での学力低下となっていることもあるので、特に小学校3年生までというのは当然だと思いますが、あえて3年までと限定する必要があるのかと一つ思います。
 それから、低学年における基礎・基本の徹底のときに、学習集団の人数というのがかなり大きな条件になると思います。調査によりますと、30人規模ぐらいの学習集団のときに教育効果が上がっているという統計もあるので、地方分権の法が通ったことでもあり、学級集団の人数については少し柔軟な対応が各市町村が取れるように促す必要があるのではないかと思います。
 それから、小学校の教員というのはどうしても学級王国的になりがちなところがあるので、是非、学年でというのか、チームで教育をするということを強調していただきたい。そうでなければ、名人芸みたいな先生のところは学力が向上して、そうでない先生のところでは学力が付かないという例もあるわけですので、チームでもって100%の児童に到達させるということを徹底するよう強調いただけたら良いのではないかと思います。
 それから、学力向上に直接つながるかどうかという問題はあるかと思いますが、私は読書運動をどこかで強調していただくことが大事ではないかと思っています。読書運動を小学校、中学校あるいは高等学校でなされている学校の実践例などを読みますと、子供たちが大変落ち着いてきたとか、それによって考える力がついたとか、あるいは校内での荒れが収まりつつある等の話もよく耳にするわけです。読書活動というのは、どの学校でも大事だと考えてはいるが、実際はなかなか時間が取れていないというのが大方の学校のように思います。今盛んに毎日10分間の読書活動が大変大事であるという認識と、その取組みが広がってきてはいますが、それが奈良県全体で広がるようにすることが大事ではないかと考えているところです。
 それから、私は幼稚園から小学校、小学校の低学年から高学年、高学年から中学校のところで断層というのか、意識のずれがあるように思えて仕方ないのです。特に幼稚園から小学校、小学校から中学校という校種が違うわけですから、当然指導が違って良いわけですが、そこでの子供たちの戸惑いというのは大変大きいように思います。免許状の関係があって難しいかもしれませんが、可能なら人事交流まで含めてその渡りのところを埋めていく努力をしないと、教育効果は上がっていかないのではないかと思います。人事交流が難しいのであれば、幼稚園と小学校、あるいは小学校と中学校の連携を密にするためにも何か研修会のようなものがあれば良いのではないかと思います。

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(基礎・基本の徹底で小学校3年生までという限定は一考を。基礎・基本の中に是非読書の強調を。)
【委員】(1)で小学校3年生までと限定されて書かれることについては、私も先ほどの発言者と同じ考えです。県の算数・数学の学力テストを実施しておりますが、一番差がついてくるのは、少し抽象化されてくる小学校4年生となっています。そこでつまずいた子はずっと最後までつまずいていくという結果も、30年程やっている学力傾向調査の結果に出ているので、一考していただきたいとまず思います。
 国の方から「算数の分数の学力が低下している」と新聞での発表がありましたが、奈良県でも小学校、あるいは中学校でも学力集団テストをやっていますので、本当に学力が落ちているのかどうかを一度整理しようと取り組んでくれています。
 それから、私の学校でも読書を取り入れております。朝の早朝10分間の読書、担任もそこに入って、来年度から全校体制で取り組んで行こうとしています。私も時々見に回りますが、漫画以外の本を自分で持ってきて、非常に静かに、担任と共に読書をしてくれています。本を読むということは、考える力、創造性も含めて、学力を養っていく一番大事なことと思うので、基礎・基本の中に是非読書を強調していただければ大変有り難いと思います。
 それから、少し教えていただきたいのですが、習熟度別授業の推進ということで、来年度から3校の研究指定校ということをお書きいただいております。この学習を高等学校等は実施されているとお聞きするのですが、劣等意識を持たない形でうまくいっている学校がありましたら少し紹介していただければ大変有り難いと思います。

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(習熟度別指導は、親への理解を徹底し、子供にもその内容をよく理解させ、個人の要望によって選択させることがポイント。)
【委員】私の村の中学2年生の数学で習熟度別の指導を6月からもう実施をしています。習熟度別指導を実施するためには、親の理解を徹底して得るとともに、子供にも教科書の内容は同じだがドリルや演習が違うということを理解させることです。それから、個人の要望によって選択するということでスタートしています。私はTTから少人数指導で、40名を単に20名に割ったのでは良くできる子とそうでない子がいるのは同じです。指導法を変えないといけないわけです。そういう意味で、是非、親の理解も得ながら習熟度別学級を実現して欲しい。やっと中学校の方で実現し、何とか成功しているように思っています。私も授業参観もしたのですが、子供たちはお互いに生き生きとした感じで、質問もよくして学習しておりました。

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【会長】それでは、(1)につきましては、只今のいただいたご意見を取り入れてまた考えたいと思います。

(シンプルな分かり易い目標で。楽しく学ばせること。基礎・基本の徹底は高校まで続くもの。NPOとかOBとか保護者が協力して学校をよくするモデルケースづくりがまず第一歩。)
【委員】具体的な施策案を大変よくまとめていただいたので感心しているのですが、一つお願いです。学力向上というのをやはりきちんとやらなければいけないので、お題目ではなく、できるだけシンプルな分かり易い目標を立ててこれを実行するということを是非お願いしたいと思います。
 それから、国語、算数とあるのですが、カバゴン先生で有名な阿部進先生とお話ししていて、「何で阿部先生のところに来る子供はみんな生き生きと勉強しているのですか」とお聞きしたら、「学ぶことが楽しいと思わせた瞬間にもう成功するのです」と。だから、楽しさを教えなければいけない。是非そういう楽しく学ぶこともこの中に入れていただくと有り難いと思います。
 それから、前のお2人の先生と同じなのですが、(1)の基礎・基本の徹底は3年生まででなく、高校まで続くのではないかと思うのですが。
 それから、特にNPOとかOBの活用あるいは保護者の協力によって、落ちこぼれをなくすという面でも何かお願いできるのではないかと思っていますので、是非協力して学校をよくしていくというモデルケースづくりをやっていただきたいと思います。形を作って、「さあ、やりなさい」と押しつけてもうまくいかないと思うので、校長先生や市長さん、あるいはPTAやOBや先生方が是非やりたい、学校を良くしたいと思っているところから始めると良いと思います。それから、協力できる分野というのも非常にたくさんあると思うのです。良い提案をしていただいているので、是非一歩踏み出して何か具体的な成功例を生み出していただくと嬉しいと思っています。

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(知育だけではなく、心の部分もこの学力向上の中に組み込むことが必要。)
【委員】学力向上の課題を論議しているので、この中に入れるべきかどうかと思うのが、子供の情意面です。知育だけではなく、心の部分もこの学力向上の中に組み込むことができないものかと思います。一番心配するのは、小学校のときに学力への興味をなくしてしまったり、劣等感を持ってしまうということです。価値観には多元化した尺度があるということも心の教育の部分で進めていただくのも必要ではないかという感想を持つのですが。

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(創造性の教育という側面を忘れていてはいけない。先生方が協力して教材の開発を。)
【委員】資料の一番上を見ましたら施策プランとなっていますので、懇談会はいろいろな施策を提案していくのか、あるいは習熟度別指導のように制度的なものを推進していくのか、あるいは今話に出たように学力とは何かというものを考えるのか、その辺少し自分自身で整理がついていないのです。学力につきましては、今の発言が当然出るだろうと思っていたのですが、アメリカがスプートニックショックのときにやったのは、理科と数学の教育と同時に芸術教育の推進だった。創造性の教育という側面を忘れていてはいけないと思うので、今の発言に賛成をしたいです。
 それから、もう一つ、先ほどもご発言がありましたが、やはり日本の子供たちは算数なんかの学力は落ちていない。しかし、その教科が好きになれないと言うのですね。やはり教材開発を先生方が協力してやっていくということを強調する必要があるのではないかと思います。

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(教材の宝庫と言われる奈良県の自然に触れさせ、学ぶことや遊ぶことが楽しいという経験をさせる施策を。学ぶことが楽しいということを徹底する鍵は、発見する喜びを学校で打ち消さないこと。NPOの活動から、人間同士の触れ合いが一番の人づくり。)
【委員】先程からのお話はすべてこの教育懇談会の大黒柱であります。これらの課題は、子供たちが生きるためにどう逞しく健全に教育するかというところに絞り込まれると思います。そういったときに、先ほど発言のあった心の問題、あるいは創造性や社会性にも発展するのです。学力を上げるために塾通い等にウエイトを置かれているお母さんが非常に多いのですが、塾に通わさなくても、あるいは特別な教材を考えなくとも、奈良県には教材の宝庫と言われるくらい自然に触れられるところが沢山あるので、この自然の環境の中で本当に学ぶことや遊ぶことが楽しいという経験をもう少し盛り込んだ施策にしていただければ良いと思うことが一つです。
 先ほど、「学ぶことが楽しい」と感じた時点で教育は成功であるとの発言がありました。学ぶことが楽しいということを徹底する鍵というのは、幼児期の積み木や葉っぱ遊び等で発見する喜びを学校で打ち消さないようにして、幼稚園・小学校・中学校で科学の目というものを教師がいかに育てるかにあると思います。これは、教師あるいは親の才覚に掛かっているかかっているような気がします。ということになると、改めて小学校で基本的に基礎的に学力を徹底させるための教材ということよりも、幼児期の教育が大事になります。例えば、先ほど読書のお話も出ていましたが、データが出ているように子供が寝る前に少しお母さんが読み聞かせをするだけで非常に本に興味を持つ。夏休みに海や山等で自然を経験させるというのは非常に深く考える力がつくというデータもあります。教材を改めて考える以前にもう少し子供に今しつけるというのは何かというところに立ち返って施策案に反映させて欲しいと思います。
 先ほどNPOの活動で成功例の紹介を、という話がありましたが、まだingの段階ですが紹介させていただきます。この夏休みに自然の宝庫が一杯の上北山村へ、私たちのグループは家族連れの総勢30人程で出かけました。川を目の前に自然の中での子供は、「ああ、自分の子供って結構素敵じゃない」とか「すばらしいな」というお母様方の発見があり、その子供たちの姿を見て私たちがいやされたということがありました。思い切り怒ったり泣いたりしても、夕飯のバーベキューをするときには、それぞれの子供たちがお兄ちゃんが下の子供たちに「あっ、お肉焼けたよ」とかいう子供同士のフォーラムになったりし、人間同士の触れ合いが人を作るのを見た思いです。今私たちが子供に与えなければならない一つの大事な宝物がここにあるような気がしますので紹介します。

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【会長】「父親学・母親学マニュアル」の中に、今、先生が言われたことも盛り込めると思っております。それから、いま出ました心の教育についての具体的な施策のご提案がありましたらお願いします。

(心の問題を探求する方法としては、読書で心の監督をしていくことが一番。また、読後の感想文によって自分の考えをまとめさせること。)
【委員】心の問題というのが、出るべくして出てきたわけですが、一体どうしたら良いのかというのは非常に難しい。心の問題を何かの形で教えるということが本来できるのだろうかとも思います。むしろそれは教師の方が全人格的な態度によって自然に子供たちに影響を与えるというのが本来は一番望ましいわけです。
 しかし、一つ言えることは、先程おっしゃった読書というのも一つの心の問題を探求していく上で非常にプラスになるのではないかと思います。先ほどのお話ですと、どのような読書でも良いのだと。入り口はどのような読書でも良いのでしょうが、そのうちある程度の題を選別しながら、こういう本を読んだらどうかというサジェスチョンをしながらの読書、それに応じてのいろいろな心の問題も含めた監督をするということでしかできなのではないかというのが私の考えです。
 読書をやるときに是非、読書の感想を書かせるということは大切なことなのではないか。要するに本を読むだけでは駄目なので、それをいかにまとめて、いかに自分の考えを形成するかというところに読書の本当の良さがあると思うので、それもあわせて読書と考えることが望ましいのではないかと考えます。

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(学力をしっかり身に付けさせ実態を明らかにするために、県として学力調査の実施を考えては。また、すばらしい作問によって、学校にも良い影響を与える。)
【委員】3番の(2)は、国の方も示していることでもあり、他の検討会でもやられており、特に懇談会では言わなくても良いのではないかと思います。問題はむしろ(1)で学力をしっかり身に付けさせることがポイント。そして、その実態を明らかにするために県として学力調査をするぐらいのことを打ち出されても良いのではないかと思います。
 高校入試の問題作成でも、やはり学習内容に準拠した本当に良い問題を出されると、それが中学校教育に良い影響を与えていく。小学校でやはり欠けている面というのは、中学校入試がなく、競争がない。学力というものを全県的に見るということがない。国の方でやるようでありますが、県としてもすばらしい問題を出して、そしてその学力を正当に評価していくことこそ、この絶対評価をどうのこうのというよりもある意味では刺激があって良い方向に向くのではないかという感じがします。

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(習熟度別指導を実施するには、保護者の理解・一般の方の理解が必要。)
【委員】今の世の中で習熟度別指導を完全に実施するということになると、親の意識をどう捉えるかという課題があると思います。生徒は自分のことは自分で一番知っているので納得はできると思うのですが、今、保護者の方の理解、また一般の方の理解というものが非常に難しいと思うので、そこを十分検討しないと難しいだろうと思います。私が高校時代に受けた習熟度別学習の経験からは、今になって思えば、私自身の競争力というか世の中の競争原理をそこで習ったかなという、全く別の意味での良い評価を持っております。従いまして、習熟度別指導は私も賛成ですが、その辺の運用についてはかなりの時間をかけて浸透させないと学校側が大変な立場になることもあると心配しています。

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【会長】この項目については、いろいろご意見をいただいたので、また専門調査部会の方で案を作りたいと思います。
 それでは、大項目の4つ目の学校の運営でありますが、4つの施策があります。教育活動の場合、当然のこととして、目標の設定と評価という点が中心に書いてあります。そのもとにある精神は前回にもありました「ディスクロージャー」という観点であります。
 (1)は、これは学校長と教員それぞれが、教育目標を具体的に作ってそれをディスクローズする。公表するといっても、その範囲や方法まではまだ詰めてありません。(2)は、それについての自己点検あるいは自己評価を行い、これも公表するということであります。(3)は、外部評価として保護者あるいは専門家等による評価を行ったらどうかという案です。最後に、地域の連帯ということで、学校評議員制度を(4)に書いてあります。
 以上の4つでありますが、どれからでも結構ですのでご意見をお願いします。

(組織を良くしていくには、組織の長は熱い思いを示し、達成できた仲間を評価することが肝要。)
【委員】先ほどの学力の向上のところでもそうなのだと思うのですが、組織を良くしていこうとすれば、やはり長の熱い思いというのがないとそれはできないと思います。そういう意味ではこの「経営」ということに関わって、言うなれば奈良県のボスは県知事さんですし、教育長さんは会社でいえば代表取締役副社長教育担当役員ということになると思いますので、やはり代表者がこういうふうにレベルを上げるのだという熱い思いを県民に伝えるべきだと私は思います。この「学校の経営」のところでいいますと、校長先生が目標を策定して公表して表現する。そうしますと、ボスたる者は、一緒に戦ってくれた仲間が成果をあげたときはきちんと褒めてあげるということをやらないとおかしいので、「是非目標を立てなさい。やりなさい」と言ったら、教育長さんや県知事さんがそれをきちんとよく見て、「よくやった」と一緒になって喜んであげるということをやっていただきたいと思います。

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(目標を持つことが、意欲に繋がる。生徒が楽しく学べ好きになる学校にするのは、校長なり教員の義務である。自己評価や外部評価は当然必要なことであるが、一般県民からの評価よりも、育友会・同窓会・地域の方からの評価を。)
【委員】校長は、お互い年度初めにまず口頭で最初にやはりこの話をするのですよ。そして、年度初めは大ざっぱなことになりますが、月々に二、三カ月単位での目標も出しながら、学校の目標をきちんと周知していく。その辺は割にどの学校でも大なり小なりやられています。ただ、気を付けなければいかないのは、各学校によって目標の視点の置き方が随分違うということです。はっきりと目標を定め易い学校の校長は幸せですが、目標を定めにくい学校については、非常に苦しさが伴ってくるという印象があります。これは、先生方の方も同じで、はっきりと目標の持てる先生は意欲的になりますね。その辺の目標を持てるか持てないかということがまずスタートであるので、生徒が楽しく学べ学校が好きになるという視点で学校をどのように経営していくかということは、大きな課題であるとともに校長なり教員の義務でもあると思います。この意味では、ここに書いてあることはその通りだと思います。
 あわせて、自己評価をするというのは当然なことだし、外部評価も当然必要なことであります。ただ、一般県民から評価を受けるということは、なかなか視点が合わないという難しさがあるので、育友会なり、同窓会なり、ごく一部の地域の方という限られた範囲内でしか評価はしにくいのではないかと思います。

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(地域社会とは連携から融合へ前進している。)
【委員】昨年度までは文部科学省あたりも地域社会とは連携、連帯だとおっしゃっていましたが、今年4月の我々の総会の折、文部省の方は「もうそれは古い。今年からは融合だ、一緒なのだ」という強い口調でおっしゃっていました。

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(外部監査システムは慎重に。いろいろな人の力を借りても、先生方は何もすることがないというのも困る。)
【委員】先生方や校長先生は真剣にやって自己評価もし、入試の成績とかいろいろな角度からトータルな外部評価を受けているわけですが、学校外の方で外部監査システムを検討するというのは、これは大きなショッキングなことで、慎重に取り扱っていただきたいと思います。
 そして、(1)ですが、開かれた学校づくりというのは、学校は今までは閉じてしまっていたという点での批判だろうと思うのです。問題はやはり学校の教育機能を十分果たすということなので、あまりいろいろな人の力を借りては先生方が何もすることがないとなっては困ると思います。先生方自身がしっかりしていただきたいということであれば、(1)にはもう学校評価システムや、開かれた学校づくりを言及しなくても良いのではないかという感じがします。

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【会長】(3)と(4)については、再度検討したいと思います。

(子を預けている親という立場から、保護者による外部評価は難しい。)
【委員】保護者を代表して母親の本音としてお話をしたいのですが、保護者による外部評価をどのように実施するかは別として、母親たちの意識の中には子供を人質にとられているという感覚があると思います。だから、どの先生がとか、学校にはこうして欲しいとか、はなかなか本音では言いにくいことを少し付け加えたいと思います。

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(アメリカ等の学校では、保護者等が一緒になって働いているケースが多い。)
【委員】今のご発言に関連するのですが、これは「保護者が」となるとそういうことになるので、アメリカ等の学校を見れば、地域、保護者、それからOB組織、そういったものが一緒になって働いているケースが多いと思いますので、ご参考までに。

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(目標や評価の項目は、県としては例示ができれば良い。)
【会長】「学校経営」の項目について、その他にありませんか。例えば自己評価の項目や点検する項目の内容等の具体的なものについてはまだ検討しておりません。各学校で作っていただいても良いのですが、一応県としては最低限やっていただくべき例示ができればと思っています。

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(これからは、結果平等論を乗り越えなければならない時代がきている。これを経営目標策定の中心に。)
【委員】学校経営をする場合に、これから乗り越えなければならないのは、やはり結果平等論だと思います。伸びるものは伸ばしてやり、悪いものは悪いとしていく、そういったことが必要ではないかと思う。文部省でも、例えばスーパーサイエンススクールというのを推進しようとしています。そのように伸びる子は伸ばしていく、あるいは大学の飛び級、大学への飛び進学というものあります。そういう視点を教育界全体が持っていかなければいけないという感じがするのです。
 私の村では、中学2年生を12名だけアメリカへ派遣するのですが、そのとき3倍ぐらいの希望者があり、選考するのです。それに対して、落ちた子をどうするのかとか、義務教育の段階で選考するのはおかしとか、いろいろな意見を聞くのですが、その事業がもう6年目にもなり、選考することによってやはり成功しているのではないかという感じがします。また、そういう視点で教育を進めていかなければいけない時代が、到来しているのではないかと思います。これが経営目標策定の中心になって欲しいと思います。

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(色々な立場から評価をしていくというのは当然であるが、監査システムの在り方が問題。新しいシステムを開発するときには、共に作り上げていくという視点が必要。)
【委員】学校経営の中身に関わっての問題なのですが、例えば会計監査のようにはっきりと数字でイエス・ノーが分かる場合は、全く問題ないのですが、教育という中身がソフトで、ある程度ファジーなものを評価することの難しさがあります。ですから、自己評価、内部評価、外部評価と何らかの格好で評価をしていくというのは当然であるのですが、監査システムというのはやはり大きな問題があるのではないかと思います。点検やチェックをしていくことの必要性は当然認めているわけですが、そのあり方がまず問題であると思います。
 私いつも思うのですが、こういう新しいことをしていくときには、立場がかわって自分がもしするとなればどうするかということを常に考えてシステムを開発していかないと、一方的な話になってしまうと思います。これは学校におる者からいいますと、攻撃を受けることは幾らでもあるので、共に作り上げていくという視点を絶対忘れてはいけないし、大事にしたいと思います。

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(子供たちは受け身の立場にあり、教育を考えるときは子供が基本。)
【委員】今のご発言、非常に大事なご発言だと思うのですが、ここでやっぱり共通して捉えておかなければいけないのは、子供たちはいつも受け身の立場にいるのだということです。彼らの代弁を誰がするのかということです。このことをやはり基本にしっかり押さえておかないと方向を間違うのではないか。要するに、叩かれたらかなわないということのようですが、評価というのは褒められる面もありますので、一面だけ見てのご発言のように思いますが。とにかく、まず子供が基本だということをしっかりお互いに押さえるべきだと思います。

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(「目標を立てて、活動して、評価する」という3つのプロセスの確立と、やる気の出る評価の工夫を。)
【会長】いろいろな考え方や難しい問題があると思いますが、基本的には「目標を立てて、活動して、評価する」という3つのプロセスを具体的にきっちりとこなしていれば、良い教育ができるのではないかと思うわけです。評価というのはやる気を起こさせるために評価するというのが本来だと思うので、できるだけ教員のやる気をなくさないような評価の方法を開発し、「単に駄目だ」ということではなく、駄目なら、具体的にこういうところが駄目でどう直していったら良いかというところまで評価しなければならないと思っています。

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(学校選択の自由を与えて、先生方や学校間の競争によりお互いの高め合いができる。)
【委員】(3)については、別の視点から考えても良いのではないかと思います。例えば、高等学校なんかはもう既に外部評価を受けているわけです。だから、あとは小中の問題だろうと思うのですが、東京都が区でやっているような小学校でも学校選択の自由というのが、これが一つの外部評価に繋がるのではないか。これによって、先生方がお互いに競争し、学校間でも良い意味での競争が起こる。(3)の監査システムを作るよりも、むしろトータルな評価の方が良いのではないかという感じがするのですが、小・中学校の先生方のご意見をお聞きしたいと思います。

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(校区に本当に支えられる学校づくりを我々が目指すべきで、学校選択の自由は検討の余地あり。)
【委員】小学校の立場で発言させていただくと、今のご意見、私もその通りだと一部思います。ただ、校区というのは、学校を支える大変大事な要素になっているわけです。ですから、校区に本当に支えられる学校づくりを我々が目指すべきであって、学校選択にすれば本当に良いのかどうかは、若干検討の余地があるのではないかと思います。むしろそれよりも校区をしっかり固めていく我々の学校経営の視点や配慮が今こそ求められているのではないかと思います。特に安全面が強調されていますが、校区がしっかりしていればいるほど学校は安全性が高いのではないかと思います。

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(学校選択が自由化すれば、ある学校へ多くの子供が押し寄せ、教室・教員が足りないという問題も発生する。校区のどの学校でも同じように喜んで来てくれる学校をどう作るかが先決である。)
【委員】中学校の立場で発言させていただきます。学校としては、地域、保護者、それから生徒から信頼される学校をどう作っていくのかということが、これから益々大事になってくると思います。東京都は、小学校の校区を拡大して、校区制を廃止して、本人あるいは親の希望によって校区でない少し遠い学校も選択できるとしました。しかし、今すぐそういう状況になったとすれば、ある学校へ非常に多くの子供が押し寄せていく。教室が足りない。先生も不足する。そういう問題が出てくる可能性もあるので、一朝一夕にはいかない問題が山積していると思います。
 校長はもちろんでありますが、教員も本当に信頼される学校、あの学校のあの先生に子供を預けたいと思っていただけるような学校を目指さなければいけないのは事実ですので、たとえ校区が廃止されたとしても、校区に5つの中学校があれば5つの中学校へ均等に来てくれるような学校をどう作っていくのかということがまずは先にあるのではないかと思います。

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(外部監査システムではなく、アドバイザリーボードというイメージの方が適切。)
【委員】先ほどのご意見にもありましたが、外部監査システムというのは、やはり少し言葉が適切ではないように思います。しかも5年に1回というのは、校長先生が変わってしまいます。だから、年に1回くらいにし、外部監査というよりもアドバイザリーボードのようなものでいろいろな課題について校長先生とよく話し合うというイメージの方が実現し易いのではないかと思います。

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【会長】「学校の経営」のところについてはこのくらいで収めたいと思います。ご意見を参考にして専門委員会で相談して書き改めたいと思います。

(休憩)

【会長】大項目の5番目の「高校の特色づくり」には、2つの施策が書いてあります。(1)は入試のこと、(2)は履修単位のことについてです。これらの点についてご意見をお願いします。

(高校入試選抜の尺度の多元化を。2、3種類の入試問題を作るのは、膨大な作業になり無理。)
【委員】高校入試に関わっては、送っていただく中学校の側と受け入れる高等学校の方では幾分思いが違うかと思いますが、高等学校側から先に話をさせていただきます。まず、(1)の高校入試のところですが、それぞれの学校の特色を生かせるような入試ということでは、基本的にはこの通りで良いと思います。ただ、内申書の重視というのは、現在既に分割選抜ではそのようになっていますし、一般選抜では只今進行中です。一部学力検査を重視するような入試の導入も現在検討中ですが、一方では内申書重視、他方では学力検査重視というシステムというのは、選抜の尺度の多元化という観点から非常に大事なことでもあり、学校現場からいうと非常に有り難い。是非、入試の選抜の尺度については多元化でいろいろな尺度で、極端に言えば面接だけで合格させるような学校があっても良いのではないかという気もします。
 あわせまして、(1)のところに書いてある2〜3種類の問題を作成するということですが、現在、分割選抜、一般選抜、二次選抜という3つの入学試験が行われ、最低3種類の問題はあるわけですが、それに加えて各教科でさらに2、3種類の問題を作るということになれば、これは膨大な作業になる。例えば学校で1種類の問題を作れと言われても大変だなと思う中で、それだけの多くの問題が果たして教育委員会で本当に作れるのかという気がしますので、現在のような高校入試問題のシステムで良いのではないかという気がします。

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(特色ある学校を目指すならば、各高等学校で入試問題を作成する方向を目指す。)
【委員】私も教科二、三種類の問題を県教委で作成するというのは不可能ではないかと思います。むしろそれよりも特色ある学校を目指すならば、例えば一部の県なんかで導入されているように、各高等学校で入試問題を作成するというような方向を目指す。あるいは、問題の30%あるいは50%ぐらいを県の教育委員会が作って、残りをそれぞれの学校が作成することを考える方が特色づくりとしては良いのではないかと考えます。

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(入試問題を各学校で作って、県教委で点検。そうすると、学校の序列感が解消し、中学の教育内容の把握と自校の特色づくりにメリット。調査書点と学力検査点の案分については細案が必要。)
【委員】2番目の問題ですが、やはり私は各学校で作った方が良いのではという気持ちを持っています。制度的には教育委員会で行うことになっているのですが、各学校で作って、そして県教委で点検をしてもらう。そうすると、学校の序列感といいますか、そういったものもなくなってくるのではないかという気がする。また、作問をするということは中学校の教育内容をしっかり把握するという面と、自分の学校の教育の特色を考えるという面とが生まれ、両面から高等学校の教育が良くなるのではないかという気がします。この学校で作問をするという点については、県教委が十分に内容を検討するという方法で良いのではないかと思います。
 それから、1番目については、調査書点と学力検査点の案分や各教科のウエイトについてのもう少し詳しく具体的なものを出さないといけないのではないかと思います。これは各学校に任せて公表するのか、あるいは県教委の方で何か学校の申請に基づいて検討した上で公表するのか、その辺を明らかにする必要があると思います。

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【会長】各学校で作問をというご意見なのですが、実は専門調査部会でも、最初に実施された和歌山の事例を調べたのですが、どうもうまくいかなくて、またもとへ戻ったということでした。また、果たして各高校で毎年毎年良い問題ができるかということもありました。そこを何とかして各学校で問題を作る、ということであれば、傾斜アイテム等は全然問題なしでその学校独自にやるようにもできるとも思いますが、いかがでしょうか。

(入試問題の各校独自作成は、基本的には正しいことでそうあるべき。ただ、そのための手だてが必要。)
【委員】期せずして各学校で問題を作ってはというご提案をいただいていますので、私も基本的にはそれはやはり正しいことだと思うし、そうあるべきだと思います。ただ、そのためには、人的なことで現有のメンバーで作るとなるとなかなか難しさがあるから、そういったことをする場合にはそれなりの手だてを考えていただければ可能であるという気はします。ただ、テクニック的にいろいろいな方法があるのですが、一方で大学進学を目指している時期に高校入試の問題を作っていくということになれば極めて負担が大きくなる。ですから、時期をずらして、問題は夏に作ってしまう等の方法があるかと思うのです。この作問という作業がいかに大変かということは、口には言い出しにくいほどの苦しみがあるということは関わった方は皆ご存じですが、やるべきであると私も思います。そして、先にご発言がありましたが、これによって高等学校の先生は中学校のことを理解できるということが最大の収穫になっていくと思います。

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(負担が重い無理、ではなく教育改革ということを視点に置きながら、どのようにすればできるかを考えていくべき。)
【委員】お話を聞いていますと、現行では無理だとか、負担が重いとか、能力がないとか、これでは通らないと思うのですが。教育改革ということを視点に置きながら、もし各学校で作るとしたら、行政的にどういう配慮が必要で、どういう行政施策を打っていくのかを考えていくべきなのではないのでしょうか。例えば内申の問題でも、子供の評価が相対評価から絶対評価に変わった場合、今の内申重視という形でいけるのかという検討も当然必要で、そういう見通しのもとでいろいろな現状の問題点をどう打開するのかを考えるべきだと思うのですが。

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(各学校で作問をするというのは、決して負担の大きいものではない。作問過程で指導観や評価観が確立できる。)
【委員】今おっしゃられた通りだと思います。みんな高等学校での教育に携わっているわけですから、それだけの力はあるだろうと思います。私は、過去に15年間にわたって現場で、毎年中学校の入学試験と高校の入学試験を作ってきました。決してそんなに負担の大きいものではない。平素の自分たちがやっている教育活動から評価というものを考えていく、そういうことで良いのではないかと思うわけです。中学校の教育内容をよく点検する、どの教科書にも出ている内容を点検する、ということでお互いに先生方同士が厳しい切磋琢磨をするのは良いことだと思います。そして私も新米のときには、なぜ君はこんな問題を出すのかという教育観まで問われるような次元での切磋琢磨があったように思うのです。そういったことが、やはり自分の理科教育の指導観というものに繋がっていったように思うので、やはりこれによって各高等学校の先生方がさらにしっかりとした指導観や評価観を確立していただくことができると思う。そういう意味でも、今思い切って各学校で作問をするというのは一番良いことではないかと思います。

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【会長】高校入試につきましては多くのご意見をお伺いしたので、また専門調査部会で検討したいと思います。
 次に、履修単位の自由化についてご意見ありますか。

(自由選択制では学力低下を来す。必修単位を多くして、選択は少なくし高等学校教育も基礎・基本だという視点で考える。)
【委員】履修単位の自由化というタイトルを変えてほしい気がします。というのは、外国でも自由選択制で学力の低下を来しているわけです。あまり選択を自由にして好きなものだけを取ると、医学部へ進学しても理科が全く分からない生徒が入ってくるというようなこともあるわけで、私はむしろタイトルを教育課程の特色づくりの推進とし、その中で若干の履修単位の自由化があっても良いと思います。あまり「自由化、自由化」と言いますと、必修単位はもう少なくても良い、残りは好きな教科を取ったら良いということでは学校に混乱を来たし、必ずや高等学校教育の学力低下を来すと思います。だから、できるだけ必修単位を多く選択は少なくして、高等学校教育も基礎・基本だという視点で考えた方が良いように思います。

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【会長】只今のご意見でよろしいでしょうか。では、そこのところを改めたいと思います。

(高校生にいろいろなところで働くOB等の話を聞かせたり姿を見せたりして、自分の将来の進む道を考えさせる。)
【委員】「高校の特色づくり」に関わってですが、先だって首都圏のある高校の3年生に「21世紀に求められる人材」というテーマで話をしに行ったのですが、生徒の顔を見ていたり、あるいは校長先生と話していて、最近の子供は自分の将来が分かっていない子が増えていると思いました。特に親がサラリーマンというケースが増えたせいか、親が働いている姿にあまり接していないこともあると思ったりしています。高校生というのは一番物を考える時期なので、我々の仲間でできるだけ学校に行って話をやっていますが、高校生にいろいろなところで働いているOB等の方々の話を聞かせたり、働く姿を見せたりということを是非やっていただきたい。例えばここにも元外交官である先生がおられますが、外交の世界の話なんてきっとチャーミングと思うのです。活躍しておられる先輩たちの姿を見ることによって、自分の将来の進む道を考えることも結構あると思うので、いろいろな単位を取るのも良いのですが、考えさせる時間をもう少し与えても良いと思います。

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(OBによる高校生講座、先輩方が創立記念日に後輩へ話をする、これらの実践は有効。好きな科目を選ぶのは間違いで、自分の進路に関わって必要な科目を学ぶべき。また、人間性を高めるという視点でも学校設定科目等を幅広く選択させる視点が大事。)
【委員】只今の委員がおっしゃったように、本校では3年前からOBによる外務省の高校生講座というのを実は実施しています。これも手前みそになってしまいますが、芸術関係の方からビジネス界の方までいろいろなタイプの先輩方が、毎年の創立記念日に必ず来られ後輩に話をするということもやっています。これは、そういう先輩に恵まれたということもありますが、こういったことは選択の幅を広くするという意味で非常に有効なことではないかと思います。
 もう1件でありますが、(2)であります。選択幅の拡大ということの中で、先に指摘がありましたように、好きなものを選ぶというのは、これは大きな間違いであり、自己実現を図っていくために自分の進路に関わって必要な科目を学ぶという視点を絶対に忘れてはならない。あわせて、先ほどからもあるように、学校設定科目等を幅広く選択させて人間性を高めるというという視点も大事ではないかと思います。本校の場合は、学校設定の科目を5つ設けていますが、入試には直接関係ないですが希望者が多いという非常に有り難い状況があります。なお、これに当たりましては、50分授業が標準なわけですが、65分にしますと1日に5時間授業となり、45分にすると1日7時間授業になるのでいろいろなタイプの授業を計画でき、必要に応じて2時間連続にする等いろいろな工夫をして、生徒のニーズに応え易いという視点も大事ではないかと思います。
 履修と修得については、先ほどありましたように、必修科目は当然これは履修・修得しなければならないですが、あとの選択については履修だけでも良いということもあり、74単位以上と現在決められていますので、選択の幅は多ければ多いほど非常に幅広く学習できるというメリットがあることになります。そんな点から、ここに書いてあるように、幅広く選択をしていくということは大事であると思いますが、好きなものだけを選ぶということのないような一言が必要ではないかという気がします。

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【会長】それでは、最後の大項目「県民から信頼される教師」ということでありますが、言い換えれば、教員の資質向上をするにはどうしたら良いかということにもなりますが、何かご意見があればお願いします。

(学校現場に、地域の人材活用を。)
【委員】先ほどの5番目の「高校の特色づくり」とも関連し、県民から信頼される教師あるいは講師ということで参考にしていただければと思うのですが、地域のおじさん・おばさんたちが真剣に働いておられるその勢いに高校生たちが魅了されるというようなことが現実にあるわけです。従って、地域でいろいろな仕事をして活躍されている人たちを講師として授業を受け持っていただくということが、大阪では実践されていますので取り入れてもらっても良いのではないかと思います。

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(人の評価は大変難しいので、教員採用の人選びにはひと工夫もふた工夫も必要。)
【委員】教員採用試験についての内情は分からないのですが、大学で教えていたときに、それぞれの学生を採用試験に送るわけですが、4年間なり、その後も付き合う中で、大学の先生方は意外に学生の資質を知っていて推薦文等を書かせてもらう場面がありました。こういう学生が教員になれば良いだろうという子が意外とうまくいかないのです。やはり人の評価というのは大変難しいのではないかと思われますので、最初の採用のときに、本当に先生になりたいという熱意のある人選びにひと工夫もふた工夫もあればという感想を持っています。

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(教師というのは人間を扱う仕事なので、試験の点が良い人ばかりが合格することのない採用試験を。若い先生もいる学校でなければ、子供たちの本当の能力が生かし切れないのではないか。)
【委員】教員採用試験に関して意見があります。私も実は若いときに教師経験があり、そのとき思ったのですが、何の問題もなく優等生で来た先生というのは、問題があると言われる子のことが、案外分からないと感じたのです。本当に自分自身が挫折を味わったとか、極端な話、中学・高校で非行に走ったぐらいの先生だったら、きっとこの子たちにもっと何か魂に訴えかけられるようなアドバイスをしてあげられるのではないのかと思いました。ちょうど私が教師になりましたころは校内暴力華やかなりし頃で、すべての子たちをうまく扱えなかったなというのをすごく感じました。そのとき感じたことは、ペーパーテストが幾らできても、教師というのは少し違うのではないか、特に小学校・中学校は人間を扱う仕事だと思いました。
 最近、特に教師になったが、子供と繋がれなく子供にうまく接していけない先生がいるという話を聞きますが、中・高・大学と良い成績をとって、採用試験も良い成績で合格すると、やはりそういう可能性もあるのではないかと考えるのです。この意味においても、やはり私は面接試験というのが大事だと思います。教師というのは、子供とのコミュニケーション能力が大事だと思いますので、面接も1回ではなくて、複数回やっていただきたいと思います。それも個人面接だけではなく、コミュニケーション能力があるかどうかを見るのはやはり集団面接だと思います。面接される複数の人がお互いにどのようなコミュニケーションを取るかによって、相手に対する配慮をする人もあれば、逆に自分ばかりを押し出そうする人もあり、それはいろいろ出てくると思うので、いろいろな角度からの面接をもっと重視して、試験の点が良い人ばかりが合格することのない採用試験の在り方を考えていただければ良いと思います。
 これは本当に親の立場なのですが、若い先生がいないと感じます。特に小学校の低学年の子というのは、やはり元気な若い先生と一緒に休み時間は校庭で遊びたいということもあると思います。もちろん、ベテランの先生の熟練した授業というのも味があって良いと思うで、いろいろな先生がいる、つまり、熟練した先生もいれば、若い元気の良い先生もいる、そういう学校にならないと、子供たちの本当の能力が生かし切れないのではないかという気がします。大阪のある市が25人学級にするということで、大阪府から予算が降りなければ市独自の予算ででもするというニュースを聞きました。要するに教員の数が増えれば若い先生が入ってくる余地もあるので、教員の採用に関して何か枠が取れないものなのでしょうか。これを何とかしていただきたいといつも思っています。

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(学校はもっとリズミカルできちっとしたものであって欲しく、先生の身だしなみということも頭に入れて欲しい。)
【委員】教員の評価は、すごく難しいと思っているのですが、授業評価だけではなくて、こういう面も見ていただけたらと思うのですが、私は先生の服装が大変気になっているのです。学校へ行かせていただいても、ジャージーにタオルを巻きつけて、つっかけを履いてごっそごっそと廊下を歩いておられる先生方が多いのです。こういう先生のその姿が、女の子のルーズソックスとか、男の子のずたずたのズボンとダブるのです。だから、学校はもっとリズミカルな、もっときちっとしたものであってほしいと思いますので、この評価の中に、授業評価だけではなくて、別にきちっとネクタイをして背広を着てくださいというのではないのですが、先生の身だしなみということも頭に入れていただきたいと思います。

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【会長】今日は多数のご意見ありがとうございました。大枠はこれでいくといたしまして、いろいろとご意見をいただきましたので細かい点については専門調査部会の方で検討してみたいと思います。
 ただ、一番気になっているのは、基礎・基本の完全修得を小学校3年生まで、あるいはどこまで行くかという話です。専門調査部会では、少なくとも全員が確実に修得できる内容というのは、当面小学校3年生ぐらいになるだろうという議論をしたわけですが、この点についても専門調査部会の方でまた検討してみたいと思います。
 今後の予定でありますが、一つは、前々から計画しています「県民5,000人アンケート」についてであります。本日のご意見、討論を踏まえて、アンケート項目の案を専門調査部会で作成します。そして、出来上がった時点で、委員の方々に郵送することになるかも分かりませんので、ご意見がありましたら事務局の方にご連絡をお願いします。それを基にするとともに、質問文を点検する意味で予備調査も行い、完成したアンケートにしたいと思います。それで、今のところ予定ははっきりとは言えませんが、できれば今年の12月までには何とかデータを集計できればと思っていますので、予定通りに運べば次回の懇談会までには調査を委託業者に依頼するということになるかも分かりません。
 最後に、次回の懇談会ですが、これは既に先生方のご都合をお聞きしてありましたので、10月22日の月曜日に1時半から4時まで春日荘の天平の間で開催したいと思います。
 テーマは前回から延び延びになっている「高校教育、職業教育、大学教育、生涯教育」と、県民「5,000人アンケート」調査についてです。なお、基調提言なしで意見交換をお願いしたいと思いますのでご準備方よろしくお願いしたいと思います。
 どうも長い間ありがとうございました。

【教育長挨拶】本当に熱心なご議論をありがとうございました。理念から具体的な内容に入っていく大変貴重なご議論を展開していただいたと思います。やはり人づくり、人間教育が本当に大切であるということを多くの国民が認識して、ある危機感を感じているというのが正直な皆さんの感想だと思います。そういう中で、どのような形で人間の教育をしていき、どういう環境づくりをどうしていくのかというのはこの懇談会のスタートだったと思うのです。そういう意味で、今日のご議論をお聞きしましても、やはり今の状況では駄目なので、それを改善というよりは改革が必要なのではないのかという強い主張をお伺いしたように思います。
 例えば教育国民会議の中でも家庭教育を初め17の提言がありましたが、後の法律改正の中できちっと家庭教育を教育委員会の業務として位置付けられ、いろいろな事業が展開されていくという形で、教育国民会議の成果も生かされつつある段階だと思います。奈良県でもこの教育懇談会で先生方からいただいたご意見を具体化していくという必要性を強く感じました。それと、どんどん改革に結びついたご意見をお出しいただくことによって、私どもも力を得て進めると思います。
 例えば今日提案してもらいましたが、低学年で子供たちが100%達成したということの確認をしっかりするというのは、これは県民に向けても大変な提言であり、主張だとも思います。ただ、具体的にどんな形でそれを確認していくか、例えば共通の学力テストを行っていくというようなこともあるかもしれないし、達成してないときにどういう対策をするのかという具体的な検討というのもさらに必要ではないかと思います。とにかく、これは、一つの大きな主張になると思います。
 あわせて習熟度別というのも、今まではややタブーという言葉でもあったと思います。これはやはり、機会平等が結果平等になってしまう画一化傾向があったわけです。そこのところを大きく変える提言をこの教育懇談会から県民の方々にぶつけていただくというのは大きな意味があると思っています。
 また、教員採用の話もありましたが、面接は本県では実はよくやっている方なのです。つまり、個人面接は2回やります。校長先生にやっていただくのと、私たちの教職員がやるのとあります。それから集団面接がさらにあります。だから、面接だけでも3回あって、時々教科によっては模擬授業をやっていただくという大阪府の記事はよく新聞に載りますが、奈良県は正直言って、あれ以上のことをやっているのではないかと思います。
 ただ問題は、そういう形を取っているのだが、先ほどの「優等生は・・・」というご指摘もございました。子供を育てるという意味では非常に人間性を問われる職でもあるとしたならば、大きく変えるという意味で、これは大丈夫だなと思ったら正式に採用する等の考え方をしても良いのではないだろうかということもあるかもしれません。これらのことを今後議論していきたいと思います。
 本日は大変具体的なご議論をしていただき、会長さんをはじめ各委員の方々から、私たち自身が熱い思いでもって取り組んでいくいろいろな道具だてをここでいただけたと思っております。私たち自身、今後努力もいたしますので、引き続きご指導の程をよろしくお願い申し上げ閉会の挨拶にしたいと思います。



〔文責は奈良県教育委員会事務局〕

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