Ⅳ.身近に今も息づく古事記

第四章では、『古事記』ゆかりの古社の貴重な神宝や文献史料、『古事記』にルーツがあるとされる能、全国各地に残る神楽について、映像も交え、紹介します。

七支刀 国宝
[古墳時代 石上神社蔵]
展示期間:10/25〜11/24(その他の期間は複製品を展示)

身の左右に各三本の枝刃を交互に作出した鉄剣。社伝では「六支鉾」または「六叉鉾」と称し、身に刻まれた銘文は「七支刀」と記す。身の表面に34(35)文字、裏面に27文字が金象嵌の技法で刻まれている。また、文字を囲むように、身の縁に沿って金線が象嵌され、それは各枝刃の元で分岐しながらそれぞれの中央にのびている。象嵌の一部が剥落し文意不詳の箇所もあるが、銘文の大意は、泰和4(369)年に百済王世(子)が倭王のために七支刀を造ったと解釈できる。『日本書紀』神功皇后五十二年条の「久氐等従千熊長彦詣之。則献七枝刀一口・七子鏡一面、及種々重宝」(久氐らは千熊長彦に従ってやってきた。そのとき、七枝刀一口・七子鏡一面および種々の重宝を献上した)という記述にある「七枝刀」が、七支刀を指すものと考えられている。

黒漆平文鏡台 国宝
[鎌倉時代 春日大社蔵]
展示期間:10/18〜12/14

支柱から下がる2本の腕の先に鏡を載せ、鏡の裏面中央の鈕に通した紐を支柱の金具に掛ける形式の鏡台。鏡は神の御魂が宿るとして神社で大切にされてきた。本鏡台は安定した形態に唐草形の装飾が付き、表面は黒漆塗り平塵(金粉蒔き)地に、現在は殆ど失われたが平文(金属板の文様を貼り、漆を塗ってから研ぎ出す)が施されている。類似の鏡台を貴族の邸内で用いる様が、春日明神の霊験を描いた「春日権現験記絵」にも見られる。

石見神楽提灯蛇胴
[島根県立古代出雲歴史博物館蔵]
展示期間:10/18〜12/14