深める 歴史文献で訪ねる奈良

西国三十三所名所図会でみる
今昔
當麻蹶速塚(葛城市)

図会は當麻寺の門前を描いています。画の上にある文には「分れ道の傍らに辻堂あり。ここに並びて大の石の五輪あり」と記されており、この五輪塔が今日では當麻蹶速塚と伝えられているものです。當麻蹶速は當麻に住んでいた怪力の持ち主で、普段から「力比べをして自分に勝る者はいない」と豪語していました。ところが、出雲の国に野見宿禰(のみのすくね)という力自慢がいることが分かります。垂仁天皇7年7月7日に、二人は御前で対戦し、當麻蹶速は敗れてしまいました。この対戦が国技相撲のはじまりとされています。

早稲田大学図書館所蔵 西国三十三所名所圖會より
當麻蹶速塚

ここが見所

當麻蹶速塚は、當麻寺へ通じる参道にあります。図会とほぼ同じ形の五輪塔があり、鎌倉時代の様式であるとされています。當麻蹶速が相撲の始祖であることから、相撲関係者の信仰を集めています。毎年7月には「けはや法要」(現役力士安全祈願・物故力士追善法要)が営まれます。