深める 歴史文献で訪ねる奈良

大和名所図会で見る
今昔
矢田寺(大和郡山市)

矢田寺(金剛山寺)は、矢田丘陵の東に位置する矢田山の中腹にある寺です。壬申の乱の戦勝祈願のために矢田山を訪れた大海人皇子が、即位後の679年に、智通僧上に命じて建立させました。図会では、山の中腹を造営して建立された様子がよく分かります。図会の右上に「矢田地蔵」とありますが、これは本尊の木造地蔵菩薩立像(重要文化財)を指しており、矢田寺は日本のお地蔵さま発祥の地とされています。また、境内の中心にある本堂は、奈良県指定有形文化財となっています。

奈良県立図書情報館所蔵 大和名所圖會より
あじさいの季節

ここが見所

矢田寺は別名あじさい寺とも呼ばれています。境内には約60種10,000株のあじさいの花があり、6月から7月のシーズンには多くの観光客が訪れます。また、本堂の裏山には「矢田寺八十八ヶ所霊場」があり、四国八十八ヶ所霊場の各本尊を現した石仏を巡ることができます。