深める 歴史文献で訪ねる奈良

西国三十三所名所図会でみる
今昔
吉野川(吉野郡吉野町)

図会では、上市(吉野郡吉野町)付近の吉野川が描かれています。右下には、「この所を桜の渡しといふ。春より秋までは舟わたしなり。冬にいたれば橋をかくること図のごとし。」とあります。昔、吉野川には椿・柳・桜の3つの渡し場があり、上市には桜の渡しがありました。吉野山へ参詣するには、この3つの渡し場のうちどれかを使う必要がありました。左下には、「上市より千町田へ半里余、これより多武峯への道すぢ、いづれも山路にして嶮岨おほし。」と記されています。

早稲田大学図書館所蔵 西国三十三所名所圖會より
※図会内の赤丸は奈良県地域振興部文化資源活用課で追加した目印となります。
桜の渡しの碑

ここが見所

吉野町役場の前にある石碑です。桜の渡しが存在したことの証しとして、昭和61年に建立されました。桜の渡しはなくなりましたが、ほぼ同じ場所に桜橋が造られており、橋の上から当時を偲ぶことができます。