ブックタイトル祈りの回廊 2016年9月~2017年3月

ページ
6/24

このページは 祈りの回廊 2016年9月~2017年3月 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

祈りの回廊 2016年9月~2017年3月

のバイブルとなっています。訓抄』は800年近い時が流れた現在も、雅楽に、雅楽の知識や技法をまとめました。この『教雅楽を後世に伝えるべく『教きょう訓くん抄しょう』という書物日大社の程近くに残されています。狛近真は、狛こまの近ちか真ざねを祭神とする拍ひょう子し神社が、興福寺や春また、雅楽伝承の立役者とも言うべき人物、に、瞬きをするのも忘れます。る蘭らん陵りょう王おう。粛々として絢けん爛らん豪ごう華かな歌舞の世界ず舞われる萬まん歳ざい楽らくや、代表的な舞楽の一つであ国風歌舞のひとつである東あずま遊あそび、慶賀の際には必る機会は、やはり春日大社のおん祭でしょう。奈良で雅楽の神髄に触れることができる最た奈良で雅楽に触れる地。それが奈良です。ように、今なお神仏に歌や舞が捧げられていることなく受け継がれ、本来の雅楽がそうである雅楽が伝えられ、発展した地。そして絶える声楽「朗ろう詠えい・催さい馬ば楽ら」などです。奏となる「管かん絃げん」、器楽の演奏を伴う平安時代の中国などから伝えられた「舞ぶ楽がく」、器楽だけの合国古くから伝わった「国くに風ぶりの歌うた舞まい」、朝鮮半島や雅楽には大きく4つの種類があります。わがの音楽と舞踊です。や像を美しくも厳かに飾り、祈りを捧げるためませんが、本来は仏様を荘しょう厳ごんする、つまりお堂神社で奉納されているイメージが強いかもしれ雅楽は仏教とともに渡来しました。現代では雅楽伝来は日じ本まのり雅の楽地奈良雅楽の生き字引雅楽を語るProfile笠置侃一(かさぎかんいち)昭和2年(1927)生まれ。雅楽奏者で南都楽所(なんとがくそ)※楽頭。奈良大学名誉教授。平成23年度日本芸術院賞授賞。※南都楽所とは:狛光高を祖として始まった旧南都楽所の伝統を継承する雅楽団。宮中方、天王寺方とともに南都方と呼ばれる三方楽所の一つ国の音楽や舞踊が一堂に会したというらにはシルクロード各地のさまざまなわった雅楽、そしてベトナムやインドさの舞、中国大陸、朝鮮半島や渤ぼっ海かいから伝もって仏様を荘厳するのです。日本古来読経が響くなか開眼がなされ、歌舞を孝謙天皇、聖武太上天皇、光明皇太后。大だい仏ぶつ開かい眼げん供く養よう会えです。並んでおられるれは天平勝宝4年(752年)の東大寺集大成」というものを挙げるならば、そ雅楽の歴史において、「これぞ雅楽の東大寺大仏開眼、雅楽ここに極まれりを守り続けるのが春日若宮おん祭です。人々が拝聴拝見する。その雅楽本来の姿げし、神様に楽しんでいただく。それをに雅楽は寺社とともにあり、仏様にお捧鑑賞することもできますが、奈良では常ん。時にはホールで演奏会形式で雅楽を現在も大きな法要に雅楽がかかせませ法隆寺、東大寺、薬師寺などの大寺では、毀釈でこのかたちが崩れました。しかし、たが、明治維新の神仏分離ひいては廃仏けでなく、もともと興福寺も主催者でしといえば雅楽です。おん祭は春日大社だ雅楽といえば春日若宮おん祭、おん祭雅楽はおん祭、おん祭は雅楽雅楽は仏教と共に、わが国に伝わりまいまひとたびの「雅楽は仏教と共に」守られたのです。人々によって、奈良の雅楽はかろうじてければならない」とした志あるわずかな春日若宮おん祭を続けて伝えていかなに瀕しました。しかし「なにがあろうと治期です。この時は、おん祭さえも危機救われました。次の危機は廃仏毀釈の明憂いて『教きょう訓くん抄しょう』を記した狛近真によりれた鎌倉期。これは雅楽の衰すい退たい途と絶ぜつを経験しています。口伝での伝承が危ぶまそんな雅楽も途絶えかねない事態を雅楽の危機と記されました。す。続しょく日に本ほん紀ぎには「筆舌に尽くしがたい」大だい仏ぶつ開かい眼げん供く養よう会え。これは雅楽の一頂点で大仏開眼供養図(部分)元禄5年(1 6 9 2年)の開眼供養会と宝永6年(1 7 0 9年)の大仏殿落慶供養会を一双の屏風に描いたものの一部。?太鼓(だだいこ)が描かれています(写真提供:東大寺)て受け継がれていくのです。しての本来のあり方を伝えるものとしこれからも奈良の雅楽は、宗教音楽と源の楽器です。鼓」と呼んで親しんでいるあの太鼓の起来となるのでは。皆さんが「でんでん太眼1250年慶けい讃さんの。私たちが平成大14年法に要行でわ演れ奏たし大た仏以開が登場します。これは非常に珍しいもは、おそらく雅楽の落慶法要(平成の楽30年予定器の一つ「振ふり鼓つづみ」)。この時に楽の粋に触れる機会は、興福寺中金堂奈良で大きな法要が行われ、こうした雅の大仏開眼のことを申しましたが、次に「これぞ雅楽の集大成」として東大寺舞踊」。「音楽と舞踊」が雅楽です。必要なのが「花」「灯り」「香」「水」「音楽とした。「仏」を荘厳つまりお祀りするのに大仏開眼1250年慶讃大法要平成14年(2002年)10/15に営まれた大仏開眼1250年慶讃大法要の際のひとこま。行道の先頭を行く南都楽所の左右の楽頭(写真:植田英介)東大寺聖武天皇祭毎年5/2の聖武天皇祭で舞楽が奉納されますMAP P19 d-1特別開帳P10奈良市雑司町406-1 ? 0742-22-5511●JR・近鉄奈良駅から市内循環バス「大仏殿春日大社前」下車、徒歩約5分●近鉄奈良駅から徒歩約20分http://www.todaiji.or.jp/雅楽を訪ねて6