ブックタイトル祈りの回廊 2017年3月~9月春夏版

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概要

祈りの回廊 2017年3月~9月春夏版

別話特別講話19庶民信仰とならまちつじ元興寺住職/(公財)元興寺文化財研究所理事長辻むら村たいぜん泰善地蔵会万灯供養写真提供:奈良市観光協会元興寺地蔵会8/23(水)・24(木)灯明皿万灯供養やこどもまつり(8/23)、禅室南側にて奉納演奏や特別法要(8/24)などたのです。信仰など庶民信仰とともにある寺となっして「まちの寺」となり、浄土信仰や地蔵で浄土信仰が浸透し、元興寺は「中世化」と京都と奈良(南都)。奈良は「ならまち」達します。鎌倉時代のまちといえば、鎌倉浄土信仰は農村やまちでそれぞれに発まった浄土信仰でした。き残ります。それは鎌倉時代に庶民に広しました。しかし、新たな特色とともに生えましたが、以降は他の官寺同様に衰退奈良時代は国が管理する大寺として栄域がこの旧境内にあたります。ら)の飛鳥と呼ばれ、「ならまち」のほぼ全良の都へと遷されました。寺地は平城(な際に、蘇我氏寺から官寺に性格を変え、奈で、もとは飛鳥にありました。平城遷都のした寺。飛鳥時代に蘇我氏が建立した寺元興寺はその名の通り、仏教の元を興さい。ています。その深い歴史をお聞かせくだ都七大寺の一つで、世界遺産にも登録され―奈良時代には東大寺や興福寺と並ぶ南所奈良市中院町11 ? 0742-23-1377行●近鉄奈良駅から徒歩約12分●JR奈良駅から徒歩約20分http://www.gangoji.or.jp/MAP P19 c-2境内写真:奈良市観光協会さんみたいな生き方が大事だと師匠で地蔵信仰とは何か。我々僧侶はお地蔵のが地蔵信仰でした。―中世以降、元興寺で最も盛んであった思っています。大寺の中でも我が寺の特色ではないかと伝えられたらと思います。それが南都七外の方にも、日本人が仏教に持つ思いを中を明るくするのだと信じています。海法を楽しく解いて実践する。それが世の仏教文化財を守り伝える寺として、仏理に取り組んでいます。した元興寺文化財研究所を設置。研究、整指定を受けました。そこでお寺と一体化ては日本で最初の重要有形民俗文化財の十万点の資料が見つかり、信仰資料としんと古い、奈良時代からのものも含む約戦後に解体修理をしたところ、ずいぶ資料も伝わっています。そして元興寺には中世庶民信仰の貴重ないにしえから祈りの地であったのですね。―「ならまち」は元興寺の旧境内にあり、となのでしょう。心で、お地蔵さんを求めているというこ思ったように、人々もまた、深い祈りの蔵さんみたいにならないといけないとがたくさん残る。それは我々僧侶がお地お地蔵さんが案内してくれる。そんな話なってあの世がどこか分からなくても、る「身代わり地蔵」がいます。また、亡くに刺さるなど、代わって苦しみを受け世でも武士が矢を射られても寺の地蔵てあの世でも助けてくれるのです。このてくれる。亡くなった子を我々に代わっ襲うと、そこにお地蔵さんが来て、助けたお前の供養をしないからだ」と言ってでこうなるか。生きている人が亡くなっる」と言う。鬼は「情けない。お前がなんるお父さん、お母さんの供養のためにすた崩していく。子は鬼に「今、生きてい鬼が来て崩していく。また積んでも、まの頃五、六歳の子が河原で石を積んだら信仰の説話にこんな話が伝わります。歳含めて千五百以上が残っています。地蔵うね。この寺にも石のお地蔵さん、石塔お地蔵さんもたくさんあったのでしょ「市の地蔵」との記載も残ります。まちのお地蔵さんの名前も出ますし、す。資料には東大寺や福智院のさんがたくさん祀られたそうでとともに南都に浸透し、お地蔵信仰は中世では大乗仏教の教えく。呼んだら来てくれる。地蔵までも何かがあったら助けに行この世だけでなく、地獄の果て道、地獄道と、どこへでも行く。人間道、修羅道、畜生道、餓鬼地蔵さんは六道、すなわち天道、ある父が申しておりました。おはないでしょうか。抱く。太古の昔と変わらない祈りの姿でて、偉大なもの、不思議なものに畏れを人も庶民もみんな同じ、魂や命を感じ原点の姿ではないかと思います。高貴なす。これは庶民の中で息づいた、信仰の消えたら、消えてはいけないと、また灯とか戒名なども書いて灯す。それで火がに祈願を墨書し、中には何々家先祖代々の火がつながっているからだと。灯とう明皿みょうざらないでしょうか。今、私があるのは先祖ながり、命のつながりを感じるからではは火に感動するものです。それは魂のつこの祈りの行事には火があります。人人も清々しい心持ちとなるものです。ずに、縁があると供養する。手を合わせる前の中世からのもの。これを無縁仏とせここにあるものは檀家制度が成立する以に並べて供養したことから始まりました。埋もれていた石仏や石塔を、一つずつ大事境内に山のように積まれ、歴史の中でますね。仰を今に受け継ぐ行事として息づいてい―元興寺の「地蔵会万灯供養」は、地蔵信辻村泰善1952年奈良市生まれ。1976年関西学院大学文学部美学科卒業。1986年より真言律宗元興寺住職。真言律宗総本山西大寺教学部長、(社福)奈良いのちの電話協会理事、ボーイスカウト奈良県連盟わかくさ地区協議会会長、日本ユニセフ協会奈良県支部評議員、(一財)奈良市総合財団評議員、(公財)大和文華館理事、(公財)元興寺文化財研究所理事長8