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読みやすさを優先した心づかい『古事記』の序じょ文ぶんには「理解しにくい場合には注をつけて意味を明らかにし」とあり、本文には多くの「注」(注ちゅう釈しゃ)くがみられます。例えば、「ここの部分は漢字の『訓....

読みやすさを優先した心づかい『古事記』の序じょ文ぶんには「理解しにくい場合には注をつけて意味を明らかにし」とあり、本文には多くの「注」(注ちゅう釈しゃ)くがみられます。例えば、「ここの部分は漢字の『訓くん』(意味)ではなく、漢字の『音おん』(発音)で読んでください。ここの『天』という文字は『あめ』ではなく、『あま』と読んでください」など、さまざまな注釈が本文に差し込まれていて、読みやすさを考えた心こころ配くばりがなされています。物語全体を考える有能編集者物語の構こう成せいにも工夫があります。例えば、『古事記』上巻に記される、須す佐さ之の男おの命みことによる大だい蛇じゃ退治を描えがく「八俣のおろち」の話。『古事記』では、初め「蛇へび」という文字を使わずに「八や俣またの遠お呂ろ知ち」と書かれています。具体的な姿は説明するものの正体がはっきりしないまま話が進み、最後に「蛇」の文字が出て初めて正体が明らかになります。これが『日本書紀』では、最初から「八や岐またの大おろ蛇ち」と書かれています。正体を明らかにせず、物語のワクワク感を大切にする演出だったともとれるでしょう。安万侶は、編集者の先さき駆がけといえるでしょう。悩み2どう読みやすく工夫できるかQ1:久羅下那州多陀用弊流A:「くらげなすただよへる」と読みます。国のはじまりの状じょう態たいを述べたもので「くらげのようにふわふわと漂ただよっていた」という意味。これは日本語そのままの語順で漢字を並べて、漢字を一文字ずつ仮名のように読む「音おん」を用いた書き方です。Q2:天地初発之時A:「天あめ地つち初はじめて発あらはれし時ときに」と読みます。意味は「天地が初めてあらわれ動きはじめた時に」。日本語の言葉とほぼ同じ意味を表す漢字を並べたもので「訓くん」を用いた書き方です。Q3:宇都志伎青人草A:「うつしきあをひとくさ」と読みます。「宇う都つ志し伎き」が「音おん」で、「青あを人ひと草くさ」が「訓くん」を用いた書き方です。「生ある人々」という意味です。古事記のことばQA&『古事記』に出てくる次のことばはどう読めるかな?チャレンジしてみよう。難しい漢字がいっぱいだね読みやすいように工夫されているんだね30