ebook

ebook page 34/100

電子ブックを開く

このページは ebook の電子ブックに掲載されている34ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
仁徳記民をいつくしむ政治を行う大おお雀さざきの命みこ(と仁にん徳とく天皇)は、難なに波わの高たか津つの宮み(や大阪市中央区法円坂付近)に都をおくと、農業の生産性を高めるために、大規模な河川の改良工事を....

仁徳記民をいつくしむ政治を行う大おお雀さざきの命みこ(と仁にん徳とく天皇)は、難なに波わの高たか津つの宮み(や大阪市中央区法円坂付近)に都をおくと、農業の生産性を高めるために、大規模な河川の改良工事を行いました。しかし、それにより民衆への負ふ担たんは増えることになりました。そんなある日、天皇は国の様子を見るために高い山に登って、四方を見渡わたしました。するとどうでしょう。人々が暮らしているようには見えません。天皇は「国中を見渡すところ、どの村もひっそりしていて、かまどの煙けむりが上がっていないではないか。これはいたるところで、人々が炊たいて食べるものがないからで、それほど暮らしが貧まずしくなっているということだ。今から三年の間、税金はとらず、またすべての労働についても免めん除じょせよ」と命じました。暮らしに平へい穏おとん活気が戻もるどそれからは宮殿のあちこちで雨あま漏もりがしても、修しゅう繕ぜんすることなく、木の箱で雨水を受け、天皇は、雨が漏もらないところを探しては移動し、何とかしのぎました。その結果、天皇が再び高い山に登って四方を見渡すと、今度は打って変わって国のいたるところから、かまどの煙が勢いよく上がるようになっていました。そうして再び国づくりのための税金や労働を命じました。人々は暮らしの蓄たくわえが十分にできていたので、無理をせずに働けるようになり、天皇は人々から「聖せい帝てい」と称しょうされるまでになりました。民みん衆しゅをう思いやった聖せい帝てい仁にん徳と天く皇の物語3232