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五桃も穀ごこ穀く稲(いね)粟(あわ)小豆(あずき)ごこくいねあわあずき『古事記』にいう五穀とは、稲、粟、小豆、だいずげんだい麦、大豆のことです。現代の食事でもなじみ深いものがほとんどです。五穀は女おお....

五桃も穀ごこ穀く稲(いね)粟(あわ)小豆(あずき)ごこくいねあわあずき『古事記』にいう五穀とは、稲、粟、小豆、だいずげんだい麦、大豆のことです。現代の食事でもなじみ深いものがほとんどです。五穀は女おおげつひめのかみすさのおのみこと神である大宜津比売神が、須佐之男命にうばいね命を奪われた時に、目から稲の麦大豆(だいず)種、耳かあわあずきいんぶしりだいずら粟、鼻から小豆、陰部から麦、お尻から大豆ができたと『古事記』に書かはいせつぶつひりょうれています。お尻から穀物ができるのは、人の出す排泄物が、肥料になってこくもつじゅんかんいしき穀物を育てるという循環の意識が当時からあったからだとされています。いくつか見ていきましょう。いまの時代にも深いつながりがある食べものをものであり、『古事記』でも重じゅう視しされています。食べものは、人が生きていくうえで欠かせない3おおみわ酒三輪山のふもとにある大神神社(桜井市)は、酒のおおものぬしのおおかみ神としても知られる大物主大神をまつっていませっしゃす。『日本書紀』によれば、大神神社の摂社であるいくひいくひのみことおおものぬしの活日神社(桜井市)にまつられる活日命が、大物主おおかみみきささすじんけんじょういく大神に神酒を捧げ、崇神天皇に献上しました。活ひのみこととうじそじん日命は、酒造りを行う杜氏の祖神とされています。大神神社では毎年11月14日に行う「酒まつり」で、さんぱいすぎたまわた参拝した造り酒屋に「しるしの杉玉」を渡します。杉玉とは、杉の葉を集めてボール状にしたもので、のきさき酒屋の軒先につるされているものです。1 21.拝殿(はいでん)につるしてある大杉玉(すぎたま)2.大神神社の二の鳥居前には、酒樽(さかだる)がずらりと並んでいますももも甘い香りとジューシーな桃といえば食べたくなる人も多たんじょうごいのでは。『古事記』では、国土の誕生後に亡くなったいざなみのみことおどろいざなきのみことよ伊耶那美命の変わり果てた姿に驚いた伊耶那岐命が、黄みさいきじょ泉の国から逃げ帰ろうとした際、多数の鬼女らに追いかいざなきのみことけられる場面があります。伊耶那岐命は最後に桃の実をぜったいぜつめいききのがまきむくいせき投げて絶体絶命の危機を逃れます。桜井市の纒向遺跡かじゃらは2000個あまりの桃の種が出土しました。桃は邪をちょうほう払う果実として重宝されていたことがうかがわれます。写真提供:桜井市立埋蔵文化財センター纒向(まきむく)遺跡から出土した桃の種。古代の祭祀(さいし)で供え物として用いられていたという説も88