大雀命(仁徳天皇)・石之日売命
二柱の神が国を生む/黄泉国に妻を追う
難波(大阪)で天下を治めた仁徳天皇は、炊事の煙が立っていないことを見て民の貧窮を知り、三年間、税を免除したので聖帝とたたえられました。后の石之日売は嫉妬深く、天皇がほかの女性を気に入ると、地団駄を踏んでくやしがります。后の嫉妬を恐れた黒日売(くろひめ)が故郷の吉備に逃げ帰ろうとすると、船から追いおろして徒歩で帰らせました。また、石之日売が、儀式に使う御綱柏(みつながしわ)を採りに船で紀国(きのくに/和歌山)に行っている留守中に、天皇は八田若郎女(やたのわかいらつめ)と昼夜戯れ遊んでいました。石之日売はそれを知ると、恨み怒って大事な御綱柏をすべて海に投げ棄ててしまいました。そして、そのまま淀川をさかのぼって山代(やましろ/京都)の地に籠もってしまい、天皇は后のご機嫌をとろうとわざわざ出かけていきました。