ブックタイトルなら記紀・万葉 名所図会 古事記神様・人物入門編

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なら記紀・万葉 名所図会 古事記神様・人物入門編

18『古事記』に登場する神様や人物の暮らしは決して、平和で穏やかなだけではない。むしろ驚愕のエピソードに事欠かないことは、そろそろ広く知られつつあるのではないか。神様や人物は、問題が起きれば、知恵を出し合って解決し、また、良いことが起これば、皆で喜びを分かち合う。一方で、孤独を抱えること、怒りのあまりに我を忘れることもあった。『古事記』の世界に起こった悲喜こもごものニュースのなかから、とくに印象深く、人間味溢あふれる(神様もいるけど)出来事をご紹介したい。尽力の面々、歓喜の声と想像して『古事記』の物語を新聞記事風にまとめてみました。「やったー!開いた!」。歓声が沸き起こった。先年より、高天原の天あめの石いわや屋に天照大御神がお隠れになるという懸案が、ついに解消した。◇思金神さん「八百万の神々の思いを受け止めて計画を立てた。天照大御神なしに、世界は成り立たない。なんとしても成功させる必要があったので、今はほっとしている。出てきてくださったことに感謝しています」◇伊斯許理度売命さん「八尺の鏡を作ったが、こんなに大きな鏡は、めったに作れるものではない。貴重な経験になった」◇天手力男神さん「求められた結果は出せたのではないか。満足している」◇天宇受売命さん「無我夢中で踊りました。天照大御神がお出ましになったときの喜びは、一生忘れられないと思います」勘違いし驚く天照大御神。このワンチャンスを逃さなかった天あめのたぢから手力男おのかみ神は大殊勲だ。石屋戸にできたわずかな隙間から手を差し込み、天照大御神を引き出すことに成功した。なお、天岩戸神社(橿原市)は、天照大御神が隠れた天岩窟だと言われる巨石を御神体としている。今回の「天の石屋戸開きプロジェクト」で、緻ち密みつな作戦を見事なチームワークにて遂行した神々の働きは、後世においても大いに賞賛されるに値するだろう。また天照大御神におかれては、末永く世界を照らし続けてくださることを願うばかりである。開けて外の様子を覗かずにいられないほどだったのだ。細く開いた戸の先には、前述の八尺の鏡が用意されていた。鏡に映った自分の姿を、神々しい別の神だとをかけた御幣を持つ役割、天児屋命には天照大御神出現祈願の祝のりと詞を唱える役割も与えている。そしてこの計画のクライマックスは、なんと言っても、天あめの宇う受ず売め命のみことが全身全霊の舞踊を見せたことだろう。ひっくり返した桶をステージに、手には天香具山の笹の葉を持ち、一心不乱に踊る天宇受売命の迫力と妖ようえん艶さに、集まった神々は我を忘れて熱狂。その高揚ぶりは凄まじかった。石屋戸の向こうで心を閉ざしていた天照大御神も、思わず戸を細く喜びも悲しみも神様も人物も天照大御神が石屋にこもってしまって以来、多くの不幸に見舞われてきた。それだけに、天照大御神がお出ましになり、世界に光が戻ったことの意義は大きい。今回の天の石屋戸開きは、高天原きっての知恵者、思おもい金かね神のかみの計画にのっとって行われた。思金神は、鍛冶の天あま津つ麻ま羅らを捜して、伊い斯し許こ理り度ど売め命のみことに八やあた尺の鏡を作らせ、玉たまのおや祖命のみことに八やさか尺の勾玉の玉飾りを作らせた。また、天あめ児のこや屋命のみことと布ふ刀と玉たま命のみことの二人に、天香具山(橿原市)の鹿の肩の骨を焼いて占いをさせた。さらに、布刀玉命には八尺の勾玉の玉飾りをつけ、八尺鏡古事記新聞社和銅5年1月28日古事記新聞天の石屋戸ついにオープン。歓声と拍手沸き起こる。天の石屋戸開きプロジェクトメンバーの声喜喜天香具山あめのかぐやま? MAP P28上巻