奈良漬けはその名の通り奈良が発祥の地である伝統食品の一つと言われています。その起源は約1300年前にさかのぼり、奈良時代の長屋王邸跡から「加須津毛」(かすづけ)と記載された木簡が出土し、当時の貴族が賞味したことがしのばれます。また、奈良市の南東部にある菩提山正暦寺で、室町時代に清酒造りが始まり、その酒粕に野菜を漬け込んだ漬物が現在の奈良漬けの基本的な形になったと言われています。江戸時代には、白うりの他にも、なす、すいか、きゅうりなどの野菜も漬け込むようになり、幕府への献上物や東大寺に参拝する人々に土産物として売り出され、奈良を訪れる旅人によって一般に普及していきました。現在では、県内の数社の業者が、奈良県を代表する特産品として奈良漬けの製造、販売を行っています。

 この様に歴史のある奈良漬けですが、現在奈良漬けに加工される野菜は、徳島県や鳥取県などの他県産や、インドネシアや中国などの海外産が多く使われています。昔は、県内でも奈良漬け用のきゅうりや白うりが栽培されていたのですが、現在ではほとんどその姿を見なくなりました。しかし近年、奈良県産の野菜を使った奈良漬けを作ろうと、奈良市や大和郡山市などで、奈良漬け用のきゅうりや白うりなどの栽培が行われています。6月に植え付けられた野菜は、7月から収穫が始まります。生産者は、収穫した野菜に塩をまぶして塩漬けにしたものを奈良漬け業者に出荷します。塩漬けした野菜は、下漬け、中漬け、上漬け、本漬けの工程を経て、べっ甲色の奈良漬けになります。

 奈良漬けの茶色い成分はメラノイジンといわれ、抗酸化作用やビタミン類の吸収を助ける働きがあると言われています。豊富なビタミン類を含むウナギが奈良漬けと相性が良いというのは、まさに理にかなっています。これを機会に奈良漬けを見直すきっかけにしていただけたらと思います。

 豆知識
「奈良漬けの上手な食べ方」
 水洗いはさけて、粕を手や布巾などでぬぐってから、小口に切ります。酒の香りがきつい場合は少し置いておくとアルコール分が揮発して食べやすくなります。また、味が濃いと感じるときは、小さく刻んでお茶漬けやおにぎりの具などに使います。

「奈良漬けの作り方」
(材料)白うり…4kg、塩…1kg、酒粕…4kg、みりん・焼酎・砂糖…カップ1
(1)白うりは縦に2つに割り種を取り除き、切り口を上にして、白うりの窪みに塩を詰め込んで5日程度おきます。
(2)出てきた水を捨て、乾いた布でよく拭きます。
(3)樽の底に粕床(酒粕、みりん、焼酎、砂糖をよく混ぜたもの)を2cmぐらいの厚さに敷きます。
(4)白うりの窪みに粕床をつめ込み、白うり同士が触れあわない間隔で粕床上に並べます。
(5)一段並べ終えたら、さらに粕床を敷き、同じように白うりを並べていきます。
(6)最後にビニールシートで覆い、ふたをして重しをのせます。
(7)冷暗所で保管し、1~3ヶ月程で出来上がります。

奈良漬け白ウリ

写真:白うりの奈良漬け

奈良県農業総合センター
普及技術課
野菜指導係 主査 川合良永

掲載日:2009年7月12日