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島崎宏之さん |
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渓谷美の産地と黒い田舎蕎麦の悲話蕎麦の産地といえば、美しい渓谷にある小さな山村を思い浮かべるが、長年蕎麦を見つめ続けてきた島崎さんは、決して山岳部が生育に適しているわけではない、という。お米がとれない貧しい土地でも収穫できる食材が蕎麦だったから、というのがホンネであるらしい。 |
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こだわりが高じて、蕎麦の栽培へ島崎さんの食材、蕎麦へのこだわりは、甘みや香り、そして味の濃さだ。こだわりが高じて、栽培方法に到るまでを農家に依頼すると、先祖代々何百年も前から継承された村の流儀があるからと断られる。 |
真夏の炎天下、高原郷の急斜面を開墾する地産地消、奈良県産蕎麦が存在しない現状を残念がっていた島崎さんは、過疎化が進む川上村高原郷の耕作放棄地を蕎麦畑として再生すべく2010年6月、開墾作業をはじめた。急な斜面での水やりは一歩間違えれば転げ落ち、炎天下での草むしりは4日で再び草が生えるという過酷な自然条件だった。 |
ゆっくり時間をかけて、生産意欲を高めて、「地域活性局」藤丸氏とともに蕎麦作りをスタートさせた島崎さんは、蕎麦を特産品に育てるなら4、5年はかかる、ゆっくり時間をかけることが大切だという。 |
収穫率が悪くても、味の濃い蕎麦を作りたい一度にいろいろな種類の種を蒔けば、簡単にどれが土壌に合うのか分かるわけではない。一斉に芽を出した後、急に伸びる品種と、少しずつしか伸びない品種があるのだそうだ。花の時期、味にも差がある。それらの特性を考慮して、毎年毎年、播種時期をずらして、試行錯誤して、データを蓄積して、必ず高原独自の方法をみつけ出したいという。 |
霧がかかると、甘みがのる!高原郷は標高650mで蕎麦に霧がかかって甘みがのる。霧がかかるのは、1日の寒暖差が激しいためだが、実はこれが甘みの条件。過酷な環境に磨かれた香り、開墾地で生きるための吸肥性の強い生命力が、蕎麦の実にぎっしり詰め込まれるのだ。 |
蕎麦も、野菜も、お天道様次第!蕎麦だけでなく野菜も同じように、地形、気候、土壌などによって味が変化する。加えて、年によって気象条件が異なるので、同じ種が同じように育つ保証はないのだそうだ。 |
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蕎麦の食べ方に、歴史を知る現代では蕎麦といえば麺だが、麺という手法が発明されてまだ600年前後だと、島崎さんはいう。昔は、殻を外して手でひいて、つなぎなしでかき混ぜて作る「蕎麦掻(そばがき)」か、米の代用品としての「蕎麦雑炊(そばぞうすい)」かのどちらかであり、蕎麦の食べ方の主流であったのだそうだ。 |
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