平成20年度第3回人権施策協議会 議事録要旨 1 開催日時 平成21年3月23日(月) 10:30〜12:00 2 開催場所    奈良県庁議会棟 第2委員会室    奈良市登大路町30番地 3 出席者    委 員:平沢委員(会長)、寺澤委員(副会長)、野口委員、訓覇委員、播磨委員、        松本委員  事務局:松永くらし創造部長、岡口くらし創造部次長、仲尾人権施策課長、        加藤男女共同参画課長、石橋長寿社会課長、畑中健康増進課長、        筒井こども家庭課長補佐、森川障害福祉課長補佐、正垣国際観光課長補佐、        山本教育委員会事務局理事、土谷人権・社会教育課長、吉田学校教育課長 4 議  題 (1)人権に関する県民意識調査報告書(案)について (2)その他  ※配付資料    資料1.「人権に関する県民意識調査」実施経緯 資料2.「人権に関する県民意識調査報告書」(案) 資料3.「人権に関する県民意識調査報告書(概要版)」(案) 5 議事内容 ○議題(1)人権に関する県民意識調査報告書(案)について (事務局(久森人権施策課課長補佐)から資料2の報告書本編に基づきポイントを説明後、) ◆回答者の属性、人権侵害の経験の設問についての意見等 野口委員  回答者の性別について、無回答が8.9%と、前回調査の3.3%からかなり       増えており、年齢についても同様で、プライバシー意識みたいなものが高まって       きたのかもしれない。前回の調査と比べ、男性の回答数が若干増え、女性がやや       少なくなっているかもしれないし、年代では、20歳代、30歳代の人たちの回       答が前回よりやや少なくなっている。調査結果は、性別、年齢別によってかなり       影響を受けるので、その変動も読み込みながら受け止めていかなければならない。      地域分けについて、都市部と農村部とかいろんな分け方があるが、このアンケ       ートでは、行政的な区分をとって19の市・郡に分けた。19の区分を表にする       とかなり大きくなるので、参考資料の居住地域では、北部から南部まで5つの分       類をされている。もう少し突っ込んだところを知りたいという気持ちはあるが、       小さい区分ところだと回答数が10人とか20人とか非常に少ないので、あまり       一般的な傾向は読み取りにくく、いくつかのグループに分けて集計せざる得ない       ところもある。  訓覇委員  以前と比べて市町村合併が進み、なかなか地域特性がわかりにくいが、奈良県       の地域を5つに分類したのは、前回の調査にあわせたのか。また、「最近5年間       で自分の人権が侵害されたと思ったことがある」という問いは、何故、前回と変       えたのか。 事務局(仲尾人権施策課長) 地域分けは、昨年5月に実施した県の県民アンケート調査に       あわせた。   野口委員  人権侵害の経験の設問についは、前回は、時期を限定せずに聞いており、戦争       の時にとかというようなものが出てくる。時期を限定せずに聞くと、その数字を       どう解釈していいのかわからない曖昧さを含んでくる。前回から6年ほど経って       おり、それ以降の人権侵害を受けた経験があるかないかに絞って聞いた方がいい       のではないかということで、今回5年間に限定した。 ◆相談についての意見等  平沢会長  今回、相談したと回答した人が16人で、有効回答の1,378の1%と非常       に少ない。平成14年度調査では、複数回答項目とはいえ、例えば「両親や親戚       とかに相談した」人が28.3%で100人を超す。聞き方が違うからとは思う       が、「何で奈良はこんなに相談が少ない」と誤解を生む可能性があり、データの       出し方に工夫が必要。  松本委員  我々は、顔の見える人権擁護委員を目指して学校や小さな団体にも出向いてい       るが、調査結果から、まだまだ人権擁護委員の存在を知っていただいていない。       平成21年度は各市町村単位で足元からというようにといわれており、もう少し       皆さんに知っていただけるかなと。法務局や市町村の窓口での相談は少なくなっ       ているかもわからないが、他の相談業務では相談件数は増えているという認識を       しているが。 野口委員  最初に「最近5年間で人権が侵害されたことがありますか」と聞き、次に「あ       る」という人に「どれぐらいのものなのか」を聞いて、そこで「そのときどう対       応したのか」と8つの選択肢があり、そのうちの一つが「相談した」なので、       「相談した」と辿り着くまでにいくつかの段階があり、かなり絞りこまれた結果       ではないか。 播磨委員  相談相手として、行政的なものや議員、自治会などは後退し、弁護士とか専門       職がなっている。また、相談相手に家族が増えているのは、孤立した家族内でや       っているという読み取りもできる。身近な人では、いろんな悩みとかをNPOみ       たいなところに関わっている人が持ち込んでいることが多く、特にDVとかはそ       うだが、こういう役割がチェンジしつつあり、行政が窓口を熱心にやることもい       いが、人権を担うNPOとか様々な市民組織が、これから担っていくとも読み取       れる。 ◆40歳代、60歳代についての意見等 訓覇委員  結婚に反対される事例がみられる立場の人を列挙した設問で、年代別にみると、       40歳代に「考え直すように言う」という割合がかなり高い傾向があるようで、       仮説として、この年代は遠からず我が子の結婚を控えており、理屈ではわかって       いても、いざ自分のこととなると、そういう本音的な気分が出ているのかなと。 野口委員  そういう場合は、他の市町村の調査だと50歳代で、40歳代は少し早い。       同和教育の取り組み状況がこの辺に差があったのか。それから、啓発活動をよく       やられていた世代の60歳代の意識がかなり高く、最近、啓発活動が手薄になっ       てきている影響が出てきているかどうか。 播磨委員  40前後の世代は少し違っているのではないか。60代とか60前後の世代は、       70年代から80年にかけてものすごく活発にやった世代で、その意識と繋がっ       ているところがあり、高い人権意識を持っている世代。 ◆「楽観性」「同調性」という言葉についての意見等 寺澤副会長 分析、考察の中で「楽観性」という言葉が出ているのが、その概念はつかみに       くい。例えば、「どのような人が楽観性を持ちやすいのかということを考察する       ことも今後の教育啓発の課題である」となっているが、これはきちっと説明しな       ければならなくなるだろう。あまり馴染んでなかったら、いい言葉があるのなら       変えた方がいい。 野口委員  この表現は、「努力すれば報われる」、「みんなで協力すれば世の中のしくみ       を変えられる」とかに「そう思う」と答えた人たちを総称して使われており、       「タテマエとホンネを使い分けないと損をする」、「うまく立ち回っている人間       だけが得をする」とかというような考え方を持たない人というような形でも使わ       れている。表現としては少し軽い印象を与える。      もう一方の対立軸として、悲観的という、世の中をシニカルな形で、人間は利       害を求め闘うホッブス的な人生観的なものを持っているということに対する変革       可能性みたいなものを軸に調査項目を考えてきた。 平沢会長  悲観的という言葉はここには出てこなくて、楽観的だけが出てくるとニュアン       スが違う。要するに楽観性とは、現実は何か変えられるという意味。      同調性は、自分がことさら偏見を持っているわけではないかもしれないが、ま       わりがそうするのだったら自分も合わせておこうということで、結果的に差別に       与するというパターンを同調型差別と呼んできたみたいだ。 播磨委員  ポジティブという意味で楽観と使ったのだろう。楽観主義は、みんな能天気な       ことの意味にとっているが、本来はよく生きることを考える人たちがいて、ポジ       ティブな発想とか生き方とかを求めているということ。      「同調性」というのは、仕方がないということをいうのか、仕方がないという       諦めと裏返しような関係で繋がっている。高齢者が律儀に回答しているので、こ       ういう仕方がないとか、諦めみたいなものが色濃く出ているのかなと。そういう       意味では、若い世代は少し違う意識を持っているのかなと。 事務局(松永くらし創造部長) ポジティブな意味で楽観性という言葉を使っていたらいい       が、一般に能天気なと受け止めたときに、人権問題に対してあまり深い理解を持       たないという誤解をされないような言葉の使い方の解説がいる。楽観性という言       葉がいいのかどうか検討する。 ◆調査結果の出し方について 播磨委員  自己責任とかあらゆる面で、助け合うというより、新自由主義的な発想、勝ち       組み負け組みを含めて競争社会であり、そういうグローバリゼーションを受け入       れできないとという感覚が我々の日常生活の中まで出ているのではないか。格差       社会の固定化みたいなものが感じられ、所得のある人とない人の考え方の分化な       どの出し方が大事。奈良県の新しい県民性の変化とかをビジュアルで楽しく、漫       画でもいいし、アニメーションなんかを使って、奈良県民として新しい方向性も       提示しながらPRされたら。 平沢会長  前の調査からみて、いわゆる人権意識が悪くなっていると読み取れるようなも       のが多いが、そういうトーンで調査結果を発表されるのか。人権問題に関するイ       ベントとかに参加している人ほど、人権意識が高くなるなどの相関が出ており、       何か見通しが出そうという示唆がされていたようなので、その両方が結果として       出るのかなと思っている。  事務局(松永くらし創造部長) そういう分析だが、気になっているのは、例えば、結婚観       を確認しているときに、「こうした考えをなくしていかなければならない」が圧       倒的なウェートを占めておきながら、実際「あなたの子どもが結婚するときにど       うですか」というときに、「親として反対だが、子どもの意思が強ければやむを       得ない」とか、少し本音の部分が出てきているのではないか、人の意識の問題と       してそういう部分もあるのかなとの思いもある。実例として出したときに反対と       いうか、差別意識というものが出てきており、差別意識を持ちながら、なくして       いかなければならないという矛盾した思いを同時にもって、葛藤している部分が       あるのかなと思う。      記者発表を考えており、漫然と出したので受け止めていただけないので、県民       にわかりやすくアピールする部分を絞り、工夫する。 ◆自己イメージについての意見等 平沢会長  自己イメージで、「人並みには、価値ある人間である」という問いに対して、       「どちらかといえばそう思わない」と「そう思わない」の両方を足すと12.5       %だが、同じ設問を青少年にした調査では、日本の子どもの特徴として、「人並       みに価値があると思わない」と答えた子どもが、平成14年の調査で4割を超え       ていた。中国とアメリカの場合、それは1割を切っており、これは自尊感情のあ       り方の問題だということで、東京都の最近の自尊感情の調査でも、「自分のこと       を好きだと思わない」と答えた中高生が6割いたと。東京都は自尊教育をしなけ       ればいけないと言い出している。今、人権というときに、重要なポイントとされ       ていることだが、今回のデータをみると回答した大人の場合では少ない。 野口委員  自尊感情を持てない人たちがどのような回答をしているのか。そういう人が、       仮説として、権利ばかりを主張してといえるようになっているのかどうか。その       クロスは少し触れられてはいるが、あまり強調されていない。 ◆思いやりややさしさについての意見等 事務局(松永くらし創造部長) 思いやり、やさしさは重要な価値観だが、それで人権問題       が解決するわけではないと一般的にも言われている中で、「思いやりや、やさし       さをみんながもてば人権問題は解決する」という設問の結果だけを載せて、一般       の県民が読んでどう理解するのか、少し怖い部分がある。 平沢会長  「人権の尊重された社会をつくるには何が重要」の問いに、公的な取り組みよ       りも「思いやりの心を育むなど、家庭教育の充実」の回答が一番多いのが象徴的。 野口委員  この設問は、建前で回答できるところで、これの多い少ないで判断すると誤解       を与えるところがある。同様に、「差別は、人間として最も恥ずべき行為の一つ       である」にみんな賛成しているが、「人権や権利ばかり主張して、我慢すること       ができない者が増えている」も増えており、両立している。それをどう読んでい       くのかが重要。   播磨委員  これは多分、日本の中に市民社会と市民意識が形成されていく過程で起こる現       象で、例えば地域では利害と要求がぶつかり、どう調整するかがNPOを仕事で、       行政では難しいことをやる時が今来ていると。施策がリンクしていかないとダメ       だが、方向性がバシッと決まるわけではなくて、県民が葛藤しながら市民意識を       形成していく手助けを行政が積極的にやることが大事ではないか。 ◆議題(1)のまとめ 平沢会長  楽観的という言葉についてはもう少し検討することになったが、概ねこの内容       で出たときに全体の特徴をどういう枠組みで県民に出していくのかということと、       まだ深く分析していないが、今後もこういう観点でもう少し掘り下げてみたらと       いうテーマが出されたので、引き続き注目してやっていくという認識で、この議       論を終える。いただいた意見を踏まえて修正する必要があるところは修正するが、       その修正については、野口部会長と私に一任していただき、事務局で修正して、       最終的な報告書の報告をもって委員の皆さんに知らせる形でよいか。      (委員から意見なし。)  野口委員  調査結果をどのような形で施策に反映していくのかは、それぞれの担当課で考       えていただけると思うが、この協議会にどう反映されるのか。 事務局(松永くらし創造部長) 施策への反映については、毎年の協議会で報告していける       と思っている。今回の報告書(案)は、不十分な点もあるが、施策にどう反映す       るか、県民にどう打ち出していくかというのは、これからの我々の課題と思って       おり、このアンケートを出来るだけ有効活用できるように、すべての部局に周知       をして、十分検討いただくように働きかけながら、出来るだけ県民の人権意識の       高まりというものをサポートし、醸成していきたいと考えている。   ○議題(2)その他 特になし