平成20年度第2回人権施策協議会 議事概要 1 開催日時 平成20年8月29日(金) 午前10時30分〜午前12時 2 開催場所    奈良県庁5階 第1会議室    奈良市登大路町30番地 3 出席者        委 員:平沢委員(会長)、寺澤委員(副会長)、野口委員、佐々木委員、播磨委員、        高橋委員、松本委員、森下委員  事務局:松永くらし創造部長、岡口くらし創造部次長、三宅文化観光局次長、        仲尾人権施策課長、加藤男女共同参画課長、畑中健康増進課長、        筒井こども家庭課長補佐、藤井長寿社会課長補佐、平田障害福祉課長補佐        山本教育委員会事務局理事、土谷人権・社会教育課長、 浅田学校教育課長補佐 4 議  題 (1)奈良県人権施策に関する基本計画の推進について (2)人権に関する県民意識調査について (3)その他  ※配付資料    資料1 「奈良県人権施策に関する基本計画」事業実施状況及び事業計画    資料2 「奈良県人権施策に関する基本計画」事業実施状況及び事業計画前年度対比表    資料3 「奈良県人権施策に関する基本計画」各分野別関連指標の推移    資料4 人権相談件数等の推移    資料5 人権に関する県民意識調査の実施について(案)    資料6 人権に関する県民意識調査設問項目の概要(案)    資料7 人権に関する県民意識調査(案)    資料8 奈良県人権施策協議会規則 5 議事内容  ○議題(1)奈良県人権施策に関する基本計画の推進について  [委員意見(質問)要旨]   ・事業実施状況及び事業計画には、自殺問題が入っていないが、基本計画の段階で入って    なかった課題でも、新たにそれを人権問題として取り組みが行われているのであれば入    れた方がいい。   ・基本計画を立てた時点では、自殺問題とかニートやひきこもりなどの若者対策も、分野    別人権施策というカテゴリーに入っていない。現実が変化してきており、これらをどう    扱うのかという問題がある。   ・今日的な問題や施策推進の戦略のあり方とかについて、この協議会も含めてつくり出し    ていかないと、現実との乖離が生まれていく。   ・自殺防止対策の法律が一昨年の6月にできた。奈良は自殺率が非常に少ないが、1年間    に300人、過去5年で1500人が自殺されており、それに関わる自殺遺族は、すご    い数にのぼるが、そういう方に対しての対策とか、そういう人たちを生み出さない対策    をどのように考えているのか。また、みんなが安心して話のできる場所をつくっていた    だきたい。    ・問題解決には、コミュニティ力、地域力が大きな要因であり、NPOを育てていく必要    があるが、NPOをサポートするセンターが奈良県にはない。   ・NPOが就労のためのトレーニング、インターンシップなどしているが、ひきこもりの    人の受け皿をつくらないと相談して家庭だけで問題解決を目指すのは無理がある。   ・奈良のいろんな大学にボランティアセンターがある。その連携はどうなっているのか。   ・バリアフリーのメニューが少ない。特に公立の文化施設、美術館、図書館、博物館、史    料センターなどは、社会変革の拠点としていろんな情報を集めている。障害者、外国人、    子どもから高齢者までいろんな人の文化的なバリアフリーの点が欠落している。   ・心身障害者作品展に862人が出展とあるが、増えているのか、伸び悩んでいるのか、    見に来る人がどれだけいるのか。今大きい問題は、固定客化して、いつも同じ人が出展    し、誰も見に来ないという状態で、これは微妙な時期に来ているサイン。また、身体障    害者以外に知的障害者、精神障害者など幅広い障害者が芸術活動を通して社会参加して    おり、心身障害者作品展というネーミングは古い。変えた方がよい。多くの人に届ける    努力が必要。時代に合ったものにしていかないと障害者のイメージが落ちる。すばらし    いアートが奈良県でたくさん生まれているが、別のところに出されており、行政だけで    なく、芸術関係の施設とかと一緒に障害者の人たちのあり方、イメージを高めていく戦    略が必要。   ・刑務所から出てきた人をどうするのかという問題で、今大きな問題は、刑務所に入って    いる知的障害者の人が多いということ。行くところがないので軽微な犯罪で入る。福祉    との連携を行政でやらないと繰り返す。人権と福祉をリンクさせていく施策をお願いす    る。   ・「人権のまちづくり」において、全県民、全市町村民に対しての徹底した啓蒙、周知を    し、また反映させていかなければならない。まず住民に立ち上がってもらうことが大切    であり、行政と連携を図りながらやっていかなければならない。  [事務局回答]   ・県行政そのものが人権行政だという捉え方をしており、新たな課題については、できる    だけ盛り込んでいく形で対応したい。   ・自殺問題について、昨年の9月に奈良県自殺対策連絡協議会を設置し、関連機関も入っ    て、協議を昨年2回実施し、本年も9月に予定。また、本年度、自殺遺族の調査を実施    する予定。それを踏まえて検討していきたい。特に今年度、自殺の要因分析や奈良の自    殺率が低いことを関係課で協議している。事業実施状況に盛り込めるところがあればど    こかに入れておきたい。   ・ひきこもりに関する相談は、県内の保健所で親からも相談を受けている。精神にかかる    相談が1,264件あり、その中に少し、ひきこもりに関する相談がある。   ・ひきこもりについて、子どもたちが学校へ出られないという状況が発生しており、それ    ぞれ担当の先生が、保護者と連携をしながら取り組んでいる。教育研究所でも具体的な    相談を受けて、子どもたちが学校へ復帰できる取り組みをしている。  ・県にはハードとしてのNPOセンターはなく、課題であることを十分認識している。   ・協働を推進していくためにくらし創造部に協働推進課を設置して、円卓会議を設け、N    PO関係者、学識経験者、自治会などと協議、具体的なプロジェクトにつなげていく取    り組みをしている。   ・今年度から、NPOや自治体での取り組みを助成する事業があり、既に支援団体を決定    している。   ・大学との連携については、地域づくり支援課で大学連合の事務局を設置し、いろんな取    り組みをしている。県のいろんな施設、例えば野外活動センターと大学が協定を結んで ボランティアの取り組みをしている。  ・バリアフリーについては、特に文化的なバリアフリー、制度的なバリアフリーは十分で    ない部分があると思っている。   ・心身障害者作品展について、毎年1000人前後の出品があり、だいたい同じような件    数できていると把握している。見学者については、奈良文化会館の展示室で展示してお    り、一般の方に見学に来て頂けるようにしている。心身障害者作品展という名称だが、    身体障害者だけに限っておらず、障害をお持ちの皆さんということで募集している。  ○議題(2)人権に関する県民意識調査について    審議の結果、調査の実施について承認され、最終的な質問内容のとりまとめは、会長と   「人権に関する県民意識調査」部会長に一任とされた。  [委員意見(質問)要旨]   ・表、裏表紙合わせて12ページ、中身として10ページという限られたスペースで、回    答者の負担も考慮しながら、特定の分野に限定せずに、しかもいろんなものを取り込ん    で、できるだけいくつかの人権課題を1つの共通した筋でもって捉えようと考えた。   ・意識を支えるものが何なのか、例えば、問1の社会に対する見方、あるいは問2の自己    肯定感にその考えがあるのではないか。問4の満足感は、自分自身の不満という部分が    他者に対する攻撃という形となり、一方において差別というものを支えているという仮    説から、捉えてみる必要がある。問5(生活の程度)も同様だが、人権意識、差別意識    に影響を与えているものを探り、明らかにすることによって、これからの人権啓発のよ    うなものに取り組む際のヒントを得ることができる。   ・問6の3、「その時の人権侵害は、どのような内容のものでしたか。」というところで、    2年ほど前に大阪府八尾市の人権意識調査で回答した八尾市民の一番多くが、近隣トラ    ブルに関わる悪口やいじめとかだった。今回の選択肢の中にそういった内容がなく、ま    た、パワハラとかセクハラとかアカハラとかといった職場での体験も選択肢の中に入っ    ていないようなので、工夫できないか。   ・問11では、国の人権課題と言われている項目を取り上げて、2つの対立する意見を並    べて、どちらの考えに近いのかという意識の揺れの中でどういうような考えをもってい    るかを把握しようとした。施策の具体的なところにつながるようなところまでいくと、    一般県民からなかなか回答が得られないというところがあるので、リアリティをもって    反応できるような質問にした。できるだけ多くの人々にも答えられる状況を設定したが、    その結果を踏まえて、単純に何パーセントだからということではなくて、その意識が他    のどういう意識と絡み合っているのかというような中で、はじめて具体的な施策のあり    方というものが浮かび上がってくるのではないか。   ・問11のT「父親の介護を誰がするのか」は、「親の介護を誰がするのか」でいいだろ    うし、V「身体に障害のある人が自立できるように」とあるが、身体にという限定をつ    けなくてもいいのでは。   ・問11のY「刑を終えて出所した人が、偏見をもたれて社会復帰が妨げられるのは、仕    方がない」というところは、仕方がないと考える人がどの程度多いのかということで、    どんな施策が県にできるのかという観点でみると抽象的過ぎる。今後、刑を終えて出所    された方の社会復帰に向けて、国が調整官という役職をつくって社会福祉とつなげてい    く施策を行うと出されており、来年度以降、刑務所を出所された方がどこにもいくとこ    ろがなく、奈良県の高齢者福祉や障害者福祉に行かれたときに、どういう施策をしてい    くのかが問題になる。刑務所を出てこられた方について、まずどの自治体が支援してい    くのかが問題。奈良県としてそれに対処することについて、県民がどう考え、それはや    るべきなのだということであれば、奈良県の予算を使ってやっていくというところにつ    ながっていく。   ・問11について、それを政策的にどうするかということは、もう1クッション2クッシ    ョンおいて、例えば刑を終えて出所した人についてどうなのかということを踏まえた施    策づくりになる。これと施策をつなぐというのは少し難しい。   ・人権に対する市民社会の役割という項目が見当たらない。行政のみが努力して解決する    のは難しいわけで、市民社会、NPOとかボランティアの役割を聞いてみる必要がある。    こういう問題が起きたら行政がやれというのは大きな問題で、むしろ市民社会が積極的    に差別や人権の問題に取り組むことが大事。   ・市民社会の役割については、問19の項目6で「住民やNPOなどの団体による人権尊    重に向けた取り組みを充実する」という形で僅かながら入っているが、これではまだ不    十分ということか。   ・インターネットにおける学校ごとの掲示板のいろんな書き込みがいじめにつながってい    るという指摘があり、問13では、そういう書き込みがどうなのかを問い、その意識度    を市町村毎に集計できれば、学校教育上の取り組みにつながる。   ・インターネットに関する問いについて、裏サイトでの悪口とか、今の現状を反映するよ    うな形で問13、14をどうするのかということがある。政策的には、問15でどんな    対策をとるかということがあり、ある程度行政としての対応のあり方につながる。   ・問16の「最近、来日した外国人をめぐる人権問題」では、海外での買春とか臓器売買    とか、海外での人権侵害というものも質問する必要がある。   ・問16のE「性的マイノリティをめぐる人権問題」とあるが、性的マイノリティの理解    について注を入れておいた方がいい。   ・問19に、人権を侵害されている人々が、まわりの人々や社会に対して訴える、異議申    し立てするということについての設問を入れたらどうか。    ○議題(3)その他 特になし。