○奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例

平成二十二年三月二十六日

奈良県条例第五十号

奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例をここに公布する。

奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第八条)

第二章 森林づくり並びに林業及び木材産業振興指針(第九条)

第三章 森林づくりに関する基本的施策(第十条―第十二条)

第四章 林業及び木材産業の振興に関する基本的施策(第十三条―第十七条)

第五章 その他の措置(第十八条―第二十一条)

附則

奈良県は、県土の約八割を森林が占める森林県であるとともに、春日山の貴重な原始林、大峯奥駈道などがある山岳景観が印象的な森林、伝統ある吉野の人工美林などの多様な森林を有している。

これらの森林は、美しい景観を構成するとともに、自然災害を防ぎ、多様な生態系を保全し、豊かで清らかな水を蓄え、木材や山菜などの林産物を提供し、潤いと安らぎの場となるなど、県民に様々な恵沢を与え、木の文化をはぐくみ、社会経済の発展に寄与してきた。

しかし、山村地域における過疎化及び高齢化の進行や輸入木材の増加などに伴う木材価格の低迷などにより、手入れの行き届かない森林が増加するとともに、林業及び木材産業の不振が続いており、このままでは森林の有する多面的機能の発揮に支障を来し、県民の安全で豊かな生活に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

このような状況に対処するためには、県、市町村、森林所有者、森林組合等の事業体、木材産業関係者及び県民が相互に協力し、それぞれの役割を積極的に果たすことにより、森林を守り育て、林業及び木材産業を振興していかなければならない。

ここに、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興について基本理念を明らかにしてその方向性を示し、これらに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興について、基本理念を定め、県、森林所有者、森林組合等の事業体及び木材産業関係者の責務並びに県民の役割を明らかにするとともに、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興の施策の基本となる事項等を定めて、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、森林の有する多面的機能の持続的な発揮並びに林業及び木材産業の健全な発展を促進し、もって森林からもたらされる恵沢を県民の共通の財産として次世代に引き継ぐとともに、活力ある地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 森林づくり 森林を守り、又は育てることをいう。

 森林の有する多面的機能 森林の有する県土の保全、災害の防止、自然環境の保全、水源のかん養、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能をいう。

 森林所有者 権原に基づき森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者(国及び市町村を除く。)をいう。

 森林組合等の事業体 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)の規定による森林組合及び森林施業(造林、保育、伐採その他の森林における施業をいう。以下同じ。)を行う事業者をいう。

 木材産業関係者 木材その他の林産物の加工及び流通の事業を営む者をいう。

 県産材 県内で生産された木材をいう。

(基本理念)

第三条 森林づくり並びに林業及び木材産業の振興は、森林の有する多面的機能が県民生活にとってかけがえのない財産であるとともに、林業及び木材産業が地域社会の持続的な発展に重要な役割を担っていることにかんがみ、長期的な展望に立ち、県、市町村、森林所有者、森林組合等の事業体、木材産業関係者及び県民の適切な役割分担並びに相互の連携及び協力の下、将来にわたり持続的に推進されなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、森林所有者、森林組合等の事業体、木材産業関係者及び県民(以下「森林所有者等」という。)との協働に努めるとともに、国及び市町村との連携を図るものとする。

(森林所有者の責務)

第五条 森林所有者は、基本理念にのっとり、県が実施する施策に協力するとともに、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、その所有する森林の適切な整備及び保全に積極的に努めるものとする。

(森林組合等の事業体の責務)

第六条 森林組合等の事業体は、基本理念にのっとり、県が実施する施策に協力するとともに、地域における森林の経営の中核的な担い手として、森林の適切な整備及び保全並びに林業の振興に積極的に努めるものとする。

(木材産業関係者の責務)

第七条 木材産業関係者は、基本理念にのっとり、県が実施する施策に協力するとともに、県産材等の有効利用の推進その他の木材産業の振興に積極的に努めるものとする。

(県民の役割)

第八条 県民は、基本理念にのっとり、県が実施する施策に協力するとともに、森林がもたらす恵沢を享受していることの重要性についての認識を深めるよう努めるものとする。

第二章 森林づくり並びに林業及び木材産業振興指針

第九条 知事は、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興について基本的な指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。

2 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する目標

 森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策の方針

 森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策の基本となる事項

 前三号に掲げるもののほか、森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 知事は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、奈良県森林審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、指針を定めたときは、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

第三章 森林づくりに関する基本的施策

(森林の適切な整備及び保全)

第十条 県は、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、森林施業の促進その他の森林の適切な整備及び保全に必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、前項の施策を講ずるに当たっては、森林の植生状態、立地条件、利用実績等に基づく森林の重視すべき機能及び地域の特性に応じて設定した森林の区分に従うものとする。

3 県は、自ら森林の適切な整備及び保全を行うことが困難である森林所有者が他の森林所有者との共同施業、森林組合等の事業体に対する委託等により適切な森林の整備及び保全を行うことができるよう、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(森林に関する環境教育の推進)

第十一条 県は、森林の有する多面的機能についての県民の理解及び関心を深め、森林をすべての県民で守り育てる意識の醸成を図るため、体験学習の実施、指導者の養成その他の森林に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるものとする。

(森林づくりに係る協働の推進)

第十二条 県は、森林づくりに係る森林所有者、森林組合等の事業体及び県民との協働を推進するため、森林づくりに関する情報の提供、意見の交換その他の必要な施策を講ずるものとする。

第四章 林業及び木材産業の振興に関する基本的施策

(県産材の安定供給の促進)

第十三条 県は、県産材の安定供給の促進を図るため、高性能な林業機械の積極的な導入の促進、森林における路網の計画的な整備等の森林施業の集約化及び合理化の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、森林組合等の事業体が森林所有者相互の森林施業に関する合意形成の仲介、林業に関する計画の提案等により県産材の安定供給の促進に積極的な役割を果たすことができるよう、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(県産材の利用の促進)

第十四条 県は、県産材の利用の促進を図るため、県産材の認証制度の普及、公共事業における県産材の利用の推進、県産材を使用する住宅等の建設の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、木材産業関係者が県産材の加工の効率化及び流通の合理化等により県産材の利用の促進に積極的な役割を果たすことができるよう、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(林業従事者の育成)

第十五条 県は、林業従事者の育成及び確保を図るため、林業に係る高度な技術の習得のための研修の実施、労働条件の向上の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

(山村地域の活性化)

第十六条 県は、山村地域の活性化を促進するため、森林資源の総合的な利用、都市と山村との間の交流の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

(木の文化の継承)

第十七条 県は、地域における伝統的な森林施業の技術を次世代に引き継ぐため、歴史的木造建造物の保存及び修復に必要となる木の保育等の技術に係る研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、地域における伝統的な木工技術その他の木の文化を次世代に引き継ぐため、木の文化の普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

第五章 その他の措置

(市町村に対する支援)

第十八条 県は、市町村が実施する指針に沿った森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(先進的な取組に対する支援)

第十九条 県は、森林所有者等が行う森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する先進的な取組を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第二十条 県は、基本理念に基づき森林づくり並びに林業及び木材産業の振興に関する施策を実施するため、効果的かつ効率的に財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(実施状況の公表)

第二十一条 知事は、毎年度一回、指針に基づき県が講じた施策の実施状況をとりまとめ、公表するものとする。

附 則

この条例は、平成二十二年四月一日から施行する。

奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例

平成22年3月26日 条例第50号

(平成22年4月1日施行)