○奈良県公契約条例

平成二十六年七月十日

奈良県条例第十一号

奈良県公契約条例をここに公布する。

奈良県公契約条例

(目的)

第一条 この条例は、公契約について、その基本理念、基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、県並びに受注者及び下請負者等の責務を明らかにすることにより、適正な労働条件の確保その他の社会的な価値の実現及び向上を図り、もって地域経済の健全な発展及び県民の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 公契約 県が発注する建設工事の請負契約、県が業務を委託する契約及び県と地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者との公の施設の管理に関する協定をいう。

 特定公契約 公契約のうち、第八条から第十七条までの規定の適用を受けるものとして規則で定める種類及び金額のものをいう。

 受注者 県と公契約を締結した者をいう。

 特定受注者 県と特定公契約を締結した者をいう。

 下請負者等 次に掲げる者をいう。

 下請、再委託その他いかなる名義によるかを問わず、受注者その他の県以外の者から公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により、自己の雇用する労働者を受注者又はに掲げる者のために公契約に係る業務に従事させる者

 特定下請負者等 次に掲げる者をいう。

 下請、再委託その他いかなる名義によるかを問わず、特定受注者その他の県以外の者から特定公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の規定により、自己の雇用する労働者を特定受注者又はに掲げる者のために特定公契約に係る業務に従事させる者

 特定労働者 特定公契約に係る業務に従事する労働者のうち、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第一項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者であって規則で定めるものをいう。

(基本理念)

第三条 公契約は、その履行により提供されるサービス等が県民の生活及び福祉を支えるとともに、その当事者には、地域社会に貢献する経済主体にふさわしい行動及び役割が強く期待されていることに鑑み、その締結及び履行に当たっては、適切かつ公正に行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念にのっとり、公契約を通じて適正な労働条件の確保その他の社会的な価値の実現及び向上を図るため、公契約の相手方の適切な選定及び公契約の適正な履行の確保のための必要な措置を講じなければならない。

(受注者及び下請負者等の責務)

第五条 受注者及び下請負者等は、第三条に定める基本理念にのっとり、公契約の当事者としての社会的責任を自覚し、公契約の適正な履行に努めなければならない。

(基本方針)

第六条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、公契約の相手方の適切な選定及び公契約の適正な履行の確保を図るものとする。

 公契約の相手方の選定に当たっては、適正な労働条件の確保その他の社会的な価値の実現及び向上に対する寄与の程度を勘案すること。

 公契約の履行に当たっては、受注者及び下請負者等に対し次に掲げる事項その他の法令の遵守を求めること。

 最低賃金法第四条第一項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対し、同法第三条に規定する最低賃金額(同法第七条の規定の適用を受ける労働者については、同条の規定により減額して適用される額をいう。)以上の賃金(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十一条に規定する賃金をいう。以下同じ。)の支払を行うこと。

 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十八条の規定による被保険者(同法第三条第四項に規定する任意継続被保険者を除く。)の資格の取得に係る届出を行うこと。

 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十七条の規定による被保険者(同条に規定する七十歳以上の使用される者を含む。)の資格の取得に係る届出を行うこと。

 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四条第一項に規定する被保険者について、同法第七条の規定による届出を行うこと。

 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第四条の二第一項の規定による届出を行うこと。

(社会的な価値の勘案)

第七条 県は、公契約の性質又は目的に応じ、規則で定めるところにより、地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百六十七条の十の二第三項に規定する総合評価一般競争入札その他公契約の相手方の選定において、適正な労働条件の確保その他の社会的な価値の実現及び向上に対する寄与の程度を勘案するものとする。

(特定公契約に係る措置)

第八条 県は、特定公契約の締結に際して、特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項を約した者をその相手方とすることとし、当該事項の遵守を確保するため、次条から第十七条までに定めるもののほか、特定受注者及び特定下請負者等に対し、公契約の相手方の選定において必要な措置を講ずるものとする。

(特定公契約履行責任者)

第九条 特定受注者は、次条から第十五条までの事務を行わせるため、特定公契約履行責任者一人を選任しなければならない。

2 特定受注者は、前項の規定により特定公契約履行責任者を選任したときは、当該特定公契約履行責任者の氏名その他規則で定める事項を知事に報告しなければならない。

(特定労働者への明示)

第十条 特定受注者は、締結した契約が特定公契約であることその他規則で定める事項を特定労働者に明らかにしなければならない。

(特定下請負者等への明示等)

第十一条 特定受注者は、特定公契約に係る業務の一部を他の者に請け負わせ、若しくは委託し、又は当該業務に他の者が雇用する労働者を従事させようとする場合は、当該業務が特定公契約に係るものであることを明らかにした上で、特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項を約した者を特定下請負者等としなければならない。

2 特定受注者は、特定下請負者等が前項の規定により約した事項を遵守していないと認めるときは、約した事項の遵守を図るため、当該特定下請負者等への指導その他必要な措置をとらなければならない。

3 前二項の規定は、特定下請負者等が特定公契約に係る業務の一部を他の者に請け負わせ、若しくは委託し、又は当該業務に他の者が雇用する労働者を従事させようとする場合において準用する。

(賃金支払状況等の報告)

第十二条 特定受注者は、規則で定める時期に、特定労働者に支払った賃金の額、特定労働者に係る第六条第二号イからまでに掲げる事項、特定公契約に係る事業について同号オに掲げる事項の遵守の状況その他規則で定める事項(以下「賃金支払状況等」という。)を知事に報告しなければならない。この場合において、特定下請負者等の賃金支払状況等を報告しようとするときは、特定受注者は、当該特定下請負者等から賃金支払状況等を報告させ、その報告された結果(当該特定下請負者等から報告がない場合にあっては、その旨その他規則で定める事項)を知事に報告しなければならない。

(説明等の要求)

第十三条 知事は、前条の規定により報告された特定受注者又は特定下請負者等の賃金支払状況等に疑義が生じたときその他特定受注者又は特定下請負者等の賃金支払状況等を確認するため必要があると認めるときは、特定受注者に対し、説明又は資料の提出(以下「説明等」という。)を求めることができる。

2 特定受注者は、前項の規定により説明等を求められたときは、知事に説明等を行わなければならない。この場合において、知事への説明等のため特定下請負者等に説明等を求める必要があるときは、当該特定下請負者等から説明等を求め、知事に説明等を行わなければならない。

3 前項後段の場合において、特定受注者が特定下請負者等に対し説明等を求めたにもかかわらず、当該特定下請負者等から説明等がないときは、その旨その他規則で定める事項を知事に報告しなければならない。

(立入調査)

第十四条 知事は、特定受注者が前条第二項の規定による知事への説明等若しくは同条第三項の規定による知事への報告を行わないとき又は説明等若しくは報告のあった賃金支払状況等になお疑義があるときは、その職員に、特定受注者若しくは特定下請負者等の事業所若しくは作業場に立ち入り、必要な物件を調査させ、又は質問させることができる。

2 前項の規定により特定下請負者等の事業所又は作業場に立入調査をするときは、特定受注者は、当該職員に同行するとともに、当該特定下請負者等に対し、必要な指示をし、立入調査に協力させなければならない。

3 第一項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、特定受注者又は特定下請負者等の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(措置報告)

第十五条 知事は、第十三条第二項の規定による説明等若しくは同条第三項の規定による報告又は前条第一項の規定による立入調査により、特定受注者又は特定下請負者等が特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項を遵守していないと認めるときは、特定受注者に対し、その内容を通知する。

2 特定受注者は、前項の規定による通知が当該特定受注者に係るものであるときは、特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項の遵守のために必要な措置を講ずるとともに、講じた措置及びその結果を知事に報告しなければならない。

3 特定受注者は、第一項の規定による通知が特定下請負者等に係るものであるときは、当該特定下請負者等から、特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項の遵守のために講じた措置及びその結果を報告させ、その報告された結果(当該特定下請負者等から報告がない場合にあっては、その旨その他規則で定める事項)を知事に報告しなければならない。

(過料)

第十六条 特定受注者が次の各号のいずれかに該当するときは、五万円以下の過料に処する。

 第十二条の規定による知事への報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 第十四条第一項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

 前条第二項の規定による知事への報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定により講じた措置が特定公契約に係る第六条第二号アからまでに掲げる事項の遵守のために必要な措置であると認められないとき。

 前条第三項の規定による知事への報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

(公表)

第十七条 知事は、前条の規定により過料に処したときは、過料に処した特定受注者の氏名又は名称その他規則で定める事項を公表するものとする。

(奈良県公契約審議会)

第十八条 知事の諮問に応じ、この条例の運用方針その他重要事項について調査審議させるため、奈良県公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(奈良県公契約執行適正化委員会)

第十九条 第十六条の規定に基づく過料の適否その他のこの条例に基づく公契約の適正な履行の確保のための措置について調査審議させるため、奈良県公契約執行適正化委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(その他)

第二十条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前において行われた公告その他の契約の申込みの誘引又は指定管理者の選定に関する募集に係る公契約については、なお従前の例による。

奈良県公契約条例

平成26年7月10日 条例第11号

(平成27年4月1日施行)