記紀に親しむ

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 御所市の森脇に一言主神社というお社(やしろ)がある。一言主神社に祀(まつ)られている神さまは、一言主大神。この神さまは、託宣(たくせん)の神で、良いことも、悪いことも一言で託宣を下す神さまである。『古事記』にこんな話が載っている。

 雄略天皇が葛城山に行幸した時の話。お供をしていた多くの役人たちは、皆紅い紐を付けた青摺(あおずり)の衣を着ていた。その時のこと、谷を隔てた向かいの山の尾根を登る人びとがいた。それがまったく天皇にお供でつき従っている人びとそっくりで、区別すらできない。そこで、天皇はこう言った。「この大和の国に、我のほかに二人と王はないはずだぞ。今このように行くのは誰なんだ(けしからんではないか。同じ装束を着て歩くなどとは)」と。すると、相手の答えて言う様子も、天皇の言葉と同じではないか。天皇は怒って弓に矢をつがえ、お供の者たちもみな弓に矢をつがえた。すると向こうの人びとも同じように矢をつがえるではないか。そこで、天皇は、「お前の名を名乗れ。そしてそれぞれ名乗りあってから矢を放とうではないか」と言った。これに対して、相手は「自分が先に尋ねられたので、まず自分が名乗りをしよう。自分は、悪いことも一言、良いことも一言、事を定めて託宣する神だ。葛城之一言主之大神だぞ」と言った。天皇はあわてて、「畏れ多いことです。神さまとは気付きませんでした」と言い、身に着けていた御刀と弓矢をはじめ、役人たちの着ている衣服を脱がせて、一言主大神に献上したというのである。

 この話で重要なことは、天皇と同じ衣を着用することは古代においては不敬とされたことである。もう一つ考えねばならないのは、まるで鏡に映し出された自分を見るように、相手が自分と同じ行動をとるということであろう。そこに、神の恐ろしさが表現されているのであろう。
 この話は『日本書紀』にも、ほぼ同話が載っている。天皇の力を上回る葛城の神の出現を描いた話であろう。
 
古事記の舞台へ
一言主神社
葛城山の麓にあり、地元では「いちごんさん」と呼ばれ、一言だけ願い事を叶えてくれると親しまれている。境内には、ご神木である樹齢1200年を超える大きなイチョウの木があり、秋には見事な紅葉が見られる。
(行き方)近鉄御所駅から市コミュニティバス(西コース内回り循環)「森脇」下車すぐ。コミュニティバスは1人1回100円(小学生以下は無料)。
 
 

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