平成31年初登庁式あいさつ

                                                          平成31年4月15日 第一会議室

 この度4期目に入ります。荒井県政のやり方の流儀について、職員の皆さんがよく理解し、付いてきてくれた結果、様々なことが良くなってきたと思いますが、改めて荒井県政のやり方、方針を申し述べさせていただきます。

 1つ目は、統計重視です。単なる数字、分析のないデータは情報と言わないということを心に刻んでいます。分析をした上の数字の意味を考えてそれを役に立てるようにするということです。言い換えれば、数字が表す事実に基づいて行政を行う、方向を決めるということです。観念に基づいて、あるいは単なる法律、通達に基づいて行政を行うのではないというのが、固い決意です。

 2つ目は、現場重視です。現場をよく見る、足元をよく見ること。現場を良くすることが我々地方行政・政治の原点です。逆に言えば法律や通達を待たないように、現場の声を聞くようにということです。県政は現場が少なく、国の執行機関の中間点のように思われてきましたが、2000年の地方分権一括法ですっかり県の役割が変わったと私は思っています。国の執行機関という性格は全くなくなりました。法律を読まないで現場を読むということを言っていましたので、それもよく理解をしてくれたと思います。

 3つ目は、県の立ち位置、役割は、市町村を助けることだということです。これは、当初から言ってきました。県が市町村を助けると大きな効果があったように思います。シンクタンク機能と言いますか、数字を分析する機能は、地域の中では、県だけであろうかと思います。そのような数字、統計重視と相まって県政の向かうところを情報提供して共有するという手法です。現場を改善するという目標の中で市町村を助けるのは当然のことで、このことを標榜して、「奈良モデル」という新しい方式が発見されたように思います。

 4つ目は、気持ちの話です。リスクを恐れない、失敗を恐れないようにということを言ってきました。平城遷都1300年記念事業の時に「失敗するのが君たちの役割だ。新しい分野は失敗が必ずある。失敗をしないということを前提にすると、なかなかお祭りのような新しいことはやれない。100億円でどんどん失敗しなさい。」こういう言い方をしたのを思い出します。そういうと失敗しないもので、転ぼうと思っても転ばないように足が動いてしまうというのが職員の能力であったように思います。「これからも失敗をするように」と言いたいぐらいです。それはリスクを先読みしないということで、リスクは入口に入ってから読むように、リスクはプロセスの中で読むようにということを改めて申し上げたいと思います。プロセスの中でリスクの所在がもう少し発見できますし、その対処法もプロセスの中でしか発見できない。入口に入らないと発見できないリスクが多いわけです。リスクはあってもプロセスの中でやっつけるという気概があれば、奈良県庁は鬼に金棒かなと改めて思います。これまでの奈良県政の発展を、このようなやり方で支えてきていただいたように思います。

 繰り返し申し上げると、統計重視、現場重視、足元のまわりを見つめる、市町村を助ける。オシムさんのMF(ミッドフィールダ-)になるように、賢く考えてよく走るようにといったことを思い出します。それを実践し、失敗を恐れないようにチャレンジ精神でという流儀で成果があったように思います。

 そのような流儀の中で、奈良県政がしてきたことは、一言で言えばポストベッドタウンの政策であったかと思います。ベッドタウンとして発展した奈良県には、欠けているところがたくさんあり、それを補うということをずっとしてきたように思います。ベッドタウンに欠けていたのは医療、若者の働き口、遊び場所、訪問される方を楽しませる場所、あるいは教育、子どもの育てる場所などです。他の地域でも、大都市近郊はそのような傾向であったかと思います。その改善として、ベッドタウンの不足していたものを補う、ポストベッドタウンを補おうという要請がずっとあったように思います。これからどのようにするのかということになります。

 奈良県のポストベッドタウンと並ぶもう一つの課題は、バランスが欠けているところを補うという行政であったように思います。ベッドタウンとして振興したのは奈良県の北和・西和中心ですので、表面上南北格差といわれるような現象が広がってきました。経済格差という意味だけではなく、南北の性格は違うので、それぞれ誇りを持って将来を見つめるような家庭が増えるようにという行政の思考であったと思います。ベッドタウンの中で発生する高齢者と若者のバランス、男性と女性、また企業の被雇用者と自営業者、農業者とのバランスなど日本全体にも関係するような事象が奈良県でも発見されています。奈良県のモデルが全国のモデルになるようにということでやってまいりました。実際にモデルになるようなこともたくさんあります。これからポストベッドタウンを作り上げるとともに、奈良県のバランス、均衡ある発展という古い言葉に昔とは違うそれぞれが誇りを持てるというような意味を付け加えたいと思います。

 また、新しい奈良県政発展ビジョンというものがいるように思います。これまでやってきたことも、新しいことを目指してということですが、その大きなきっかけは市町村とのまちづくりの協定です。協定をつくる過程で、このまちの目指すテーマは何ですかという質問を何度も発しましたが、なかなか見つからないことが多い。まちづくりの新しい積極的なテーマを市町村に見つけてもらうというのも大きなテーマだと思います。市町村による市町村ごとのテーマの発見、発展ビジョンとともに、その上で包括的・包摂的な県政発展ビジョンが作れたらと思います。県政が上に浮いているのではなく、市町村の発展ビジョンとともにかみ合うような発展ビジョンがいるように改めて思います。そのような市町村と絡み合ってのビジョン、それと各分野が絡み合っての発展ビジョンを作られた県はないと思います。国は縦割りなので、国の発展ビジョンでは、なかなかそういうことはできない。だから国の方針を見ていたら地域の発展ビジョンはできないと思います。地域の発展ビジョンを市町村と一緒に作ろうという思考は、今までなかったと思います。市町村との連携のまちづくり、奈良モデルが発展し、それをどのように県政全体の発展ビジョンの中で位置づけるのかという新しい課題を見つけ出してきているような気がしていますので、また考えを深め、皆さんと議論できるのを楽しみにしています。そのような気持ちでこの初登庁の挨拶の壇上に立たせていただきました。これからもよろしくお願いします。