新春知事あいさつ

県民だより奈良 2020年1月号

知事 新春あいさつ
令和二年の初春のお慶びを申し上げます。
奈良県知事 荒井 正吾
新たな御代の始まり
 昨年は、第126代目の天皇が御即位されました。
「即位礼正殿(そくいれいせいでん)の儀(ぎ)」が10月22日に宮中で、「大嘗祭(だいじょうさい)」が11月14日夕方から同15日の暁前にかけて皇居内で、「大饗(だいきょう)の儀(ぎ)」が11月16日・18日に皇居内の豊明殿で、「神武天皇山陵親謁(しんえつ)の儀(ぎ)」が11月27日橿原市の神武天皇山陵でそれぞれ行われました。
 特に、天皇皇后両陛下御来県の折には、多くの県民の方々にとても温かくお迎えいただき、大変感激いたしました。
大嘗祭の始まりと奈良との関わり
 「大嘗祭」は、皇位の継承があった際には必ず挙行すべきものとされ、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式とされています。
 この「大嘗祭」は、上古の天皇が豊饒(ほうじょう)への感謝と祈願のために行われた新嘗祭(にいなめさい)に由来するとされていますが、第40代天武天皇が奈良の飛鳥浄御原宮(きよみはらのみや)で即位の儀をなされた673年の11月頃に皇位継承儀式として行われ、歴代天皇の即位後必ず行われることが皇室の伝統となったとされています。
 このように奈良で始まった大嘗祭は、戦国時代から江戸時代前期に相次ぐ兵乱などで経費の調達が困難なため行われなかった時期を除き、綿々と今日まで行われてきました。
大嘗祭はどうして奈良で始まったか
 天武天皇が即位された673年は、壬申の乱の翌年で、国内政治が不安定な上に、国際情勢では、660年に百済が滅び、663年白村江で倭の軍隊が唐・新羅連合軍に敗れ、668年には高句麗が唐に滅ぼされ、日本列島に強い危機感がただよっていた時代だったと思われます。
 古事記と日本書紀の編纂が命じられ、律令制に基づく国家体制を築く必要があった時代に、奈良の地で国家の求心力を高めるため、「大嘗祭」が行われたようにも思われます。
大嘗祭と大饗の儀で歌われる奈良の歌
 「大嘗祭」と「大饗の儀」では、奈良にゆかりのある歌が三つ歌われ、奈良県民としてとても誇らしい気持ちになりました。
 「大嘗祭」では、薄暗闇の中で「国栖(くず)の古風(いにしえぶり)」が奏されました。第15代応神天皇が奈良の吉野宮へ行幸になった折、国栖の人々が大御酒を醸して献上したときに歌った故事に由来する歌でした。
橿(かし)の生(ふ)に 横臼(よくす)を作(つく)り 横臼(よくす)に 醸(か)める大御酒(おほみき)
甘(うま)らに 聞(き)こし以(も)ち飲(を)せ まろが父(ふ)
 「橿の林で横臼(よくす)を作り、その横臼に醸した大御酒をおいしく召し上がれ、わが父よ」という意味です。奈良県には今も吉野町に「国栖」という地名があります。
 また、「大饗の儀」においては、古事記・日本書紀の神武天皇条にある「久米舞(くめまい)」が奏されました。
宇陀の 高城(たかき)に 鴫(しぎ)わな張る 我が待つや
鴫(しぎ)は障(さや)らず いずくはし 鯨障(くぢらさや)る
神武天皇が宇陀の兄猾(えうかし)を征討したときの御製で、久米部(くめべ)が歌い舞ったとされています。
 さらに、天武天皇が吉野宮に行幸され、日没に琴を弾じられたとき、山の端に神女が現れ、琴に合わせて舞ったとされる「大歌(おおうた)」も奏されました。
その唐玉(からだま)を 少女(をとめ)ども 少女さびすも
唐玉を 袂(たもと)に纏(ま)きて 少女さびすも
「大歌(おおうた)」の奏唱に合わせて、「五節舞(ごせちのまい)」が五人の舞姫によって舞われました。
 天皇の御即位に際し、奈良県ゆかりのものが多く披露されることは誠に誇らしいものです。
 折しも今年は日本書紀成立1300年の年にあたります。このような年の年頭にあたり、県民の皆様の御安寧と御多幸を心から御祈念申し上げます。
久米舞
久米舞(写真提供/橿原神宮)
奈良県知事 荒井 正吾
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