令和元年11月6日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日、発表案件は2件でございます。1件目、セブン-イレブン・ジャパンとの協定の締結について、2件目が、県内市町村の普通会計決算の概要でございます。
 それでは、知事、よろしくお願いいたします。

知事:
 第1点目は、セブン-イレブン・ジャパンとの社会福祉貢献寄贈品の協定です。これは奈良県では初めてです。一般の包括的な協定はセブン-イレブンと、あとファミリーマートかな、あるんですけれども、それは平成20年に既に協定してますけれども、新しい社会貢献のやり方として出てきたものでございますので、来週の水曜日2時15分から記者会見場で発表をすることにさせていただきます。
 内容でございますが、協定の内容はセブン-イレブンの商品の一部を福祉貢献活動に寄贈されるということでございます。寄贈商品は、加工商品や雑貨などでございます。販売期限が1カ月未満の商品などは除かれるということでございますので、ちゃんとした商品が寄贈されるということでございます。社会活動の一環、CSRの一環だというふうに思います。



平成30年度 県内市町村普通会計決算の概要について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 2つ目の発表でございますが、記者さんから、奈良県の市町村決算の報告がおくれているよということでございましたが、例年今ごろに分析しているので、言いわけがましくなるといけませんけれども、市町村財政の分析をこのように分析している県は多分ないと思います。ほかの県もちゃんとやっていると記者さん言ってたぞと、ちゃんとやってるって早く出してるよと言っておられたぞといって追及したんですけど、ほかの県では二、三枚の決算の数字をぱっと出しているというような県も多いようでございます。奈良県は分析しない情報は情報じゃないと、記事も同じですけども、分析しない情報は情報と言わないんだと、こういうふうにずっと言ってきてますので、このように分析をしてくれるようになったということでございます。この決算の様子をまた、今日ですか、市町村振興課から報告、説明することになってますので、私からは詳細は省略させていただきます。

 この決算分析というのは、当初から肝いりでやってきたものですから今どきになるんですけども、もっと早いほうがいいですか。速報とか、生データだけでも出したほうがいいのかどうかですけどね。私、生データはデータというだけで情報じゃないと、こう職員にずっと言ってきたので、データを出せと言われて出すのはやぶさかじゃないですけど、分析するのは大変だと思います。だから分析をしたのを情報と奈良県庁では言っているということの矜持でもあるんですけれども、それにしても早く出せよと言われるんだったらまた努力しますけれども。

 定例でこのぐらい、11月に入ったら出るよというふうになって、決算委員会の前に出せるかどうかというのは一つのポイントかもしれませんですね。県議会の決算委員会が、9月議会の中で決算委員会がありますので、その直前に出すと分析するの大変だからということかな。決算委員会を避けたわけでもないんだけど、記者さんの強い要望があれば、決算委員会の前にでも出すことをちょっと市町村振興課とネゴってみたいと思いますけれども。

産経新聞:
 要するに、その改善につながるかどうかが大事なんで。

知事:
 そういうこと、そういうこと。その改善につながるのはね、PDCAのCが入る、Cが議会を入れて行うというのが一つの民主主義のパターンなんで、改善につながるのは、これ資料出して市町村が見ないといけない。市町村の決算委員会の前に出すというのも一つ。秋には市町村議会の決算委員会あるでしょう。これを見て議員の皆様方、監視能力を使ってくださいというのも一つだと私は思うんですけど。

 すると、何か悪く見るとね、決算委員会が終わってから出すんだというと、あんまり迫力ないですよね。特にこの市町村財政だから、市町村の秋の決算委員会に間に合うように十分吟味できるように出すというのも一つのこれはいいサイクルだと。1年おくれだとちょっとぼやけるからという意味が産経の記者さんの意図に入っていれば、最大限ネゴってみたいと思いますが、いかがでしょうか。

産経新聞:
 この分析がどれだけの期間でできるのかということですよね。

知事:
 だからネゴってみますって、その意味があるかどうかと。これだけの分析してる県ないですからというのはちょっと誇りでもあるんですよ。しかも、市町村別の分析してるでしょう。市町村見てくれと首長には言うんだけど、議会も巻き込んで見てくれればいいのにと。議会で、うちの財政どうなってるんだと、こう首長に聞くような議会になればいいんじゃないかと思うんですけどね。それが一番、決算のほうが予算よりもよっぽど大事だと私は思ってきてますので、このような分析をしたんですけども、今おっしゃったように活用を十分されてないじゃないかというような意見にもつながると思うんですけどね、活用してほしいと思ってますので。

 記者さんの意見をきっかけに、そのご意見を忖度して、県と市町村の秋の決算委員会の前に議論に資するように出す努力を市町村振興課とネゴってみたいと思いますが、これは一方的な意向表明で、もう聞き流していただければ結構でございますので。

産経新聞:
 いや、このデータは本当にありがたいので、ありがとうございます。

知事:
 そう言っていただければ励みになりますよ。この資料、誰も注目してくれなかったんだから。ここにも出してるんだけども、読み解くの大変だからかもしれないんだけど、それもわかりにくいのかもしれないけど、こんなに注目して、そんなに目を皿のようにして見ていただいているのを見ると、私にとっては感激ですよ、分析こそ大事だと思っていたからですね。より広く分析資料を流布するというのは、我々の大きな仕事だと思ってますので、こんなに決算分析してるところはないです。市町村の財政が悪いということもあるんだけども、財政が悪いということをわかる前にこの分析が大事だというふうに思ってやっていた。

産経新聞:
 これが多分、冊子になって5月ぐらいに出るんですよね。

知事:
 そうそう。

産経新聞:
 それを多分見てる人がものすごく少ないんですよ。

知事:
 そういうことなのよ。

産経新聞:
 どっかの公的な図書館とかね、そういうとこに置いてても、多分誰も見ない。

知事:
 そういうふうに言って注目していただけるのはものすごくうれしいもんだから、ちょっと反応してますけれども。だからタイミングが大事だということ、旬が大事だということですね。

産経新聞:
 財政の悪い市町村の市政だよりとか見てもね、全く悪いということが伝わってこない。

知事:
 そういうこと、反応がない。そういうことです、そういうことです。

産経新聞:
 健全という言葉使うんですよ。

知事:
 そういうことです。

産経新聞:
 そこが一番よくなくて。

知事:
 この市町村のね、市民便りにこの情報が少しでも載ればうれしいなと思うんですよ。それが日本の財政全体もそうだけど、地方財政を、甘やかし地方財政から脱却するもう第一歩だと私は思ってきたもんだから。どのようにこれを取り上げていただけるのかなというふうには思ってきたので、記者さんがさっき目を皿のようにして見ていただける姿を見て感激しました。

産経新聞:
 ありがとうございます。

知事:
 すると、とにかく秋の決算委員会の前に出して、なるべく出たてを扱ってもらうというのが一番ですよね、何事につけても。5月に出て10月かと、間があき過ぎているから、わざとアテンションしないように出しているわけじゃないと私は思いますけれども、印刷が5月というのは、そのとき予算がつくので、そういうことしてるということだと思いますけどね。そんなのは、予算の話だとどのようにでもなるので、その程度の予算だったら。だから何のためにこうつくっているのかと、議会での議論というのがやっぱり一番大事なので、特に市町村議会での議論に資するようにというふうに、それこそ市町村別に分けた資料でつくって、各市町村議会宛てに出してもいいぐらいだと思うんですけれどね。秋の市町村議会の決算委員会を目指して投げ込むという戦略をちょっと意識してしたいと思います。

産経新聞:
 実際にやろうと思ったら大変だと思うので、絶対にとは言いませんけれども。

知事:
 記者さんの意向を忖度して、そのように動きたいと思います。これがもし何か動けば、すごいことだと思っています。情報がちゃんと伝わってみるとね、そのようにしたいと。

 でも、決算委員会でなくても通常の議会でもできますけども、本会議はまた別だし、総務警察の財政でもなかなか出ないし、常任委員会はまたそれぞれセクター別になっているのが県でも市町村議会でも同じだと思いますので、財政に特化した、決算に特化した委員会というのは今、年1回ですけど、それがきっかけに毎議会で決算を予算に反映させるというのになれば一番いいですけどね。予算の審査のときに、予算審査委員会というのは予算が出るときは補正でも必ずありますから、予算のときには決算の情報をもとに、補正予算が出れば予算の総括、予算委員会は大体県でも市町村でもありますので、そのときにそのネタをね、財政状況のネタを基本にしてもらうというのも。決算を特化しなくて、決算は年1回だけど、そこでこなした情報を出してもらうというサイクルになれば、もう望外というか、望むところであります。

産経新聞:
 これはもう、内容的には冊子の内容ができてしまっているので、もう冊子にするだけですのでね。

知事:
 ええ、これをもう少し市町村別に分析したほうがいいですかね。

産経新聞:
 もう十分じゃないですか、これで。

知事:
 普通はそこまですると何か変な感じもするんだけど、この中から例えば上牧町の分析を抜き出して、上牧町の議会に出す資料として抜き取れば、大体ランクは全部出さないかんし、その中のバランスはここにそれぞれ書いてありますけども、県の分析を抜き取るとこういうことに、上牧町の財政はこのように見立てておられますということでも出ますから。

 これ県の市町村財政を集合して県が見立てるというのが基本になってますけども、市町村別にちょっと分解して出すとどういうことになるのかということも、市町村に配付するということを前提にすれば、ちょっとそういう分析も加えて資料づくり、配付資料をつくるということも考えたいと思います。

 話が発展して大変うれしいです。これはご報告ですので、以上であります。

時事通信:
 今回、こちらの決算資料の中で知事が着目されているポイント、ここに注目しているというポイントがあれば教えてください。

知事:
 奈良県としては、奈良県の全体、合計すると市町村財政が全国一悪いということをずっと注目してますが、誰が悪いのに寄与しているのかということになりますが、それは一言で言うと、町村よりも市の財政がこの全体を低下させているというふうに見立てられます。その寄与の程度、どこがよくなれば脱却できるのかということをちょっと改めて。別紙2-2という3ページの資料が、これ、今年新しく。

産経新聞:
 これすごい。これびっくりしたんです。

知事:
 いや、これにぽっと注目されるのはすごいと思うんだけど。

産経新聞:
 やっぱりこれ初めてですよね、初めて見た。

知事:
 これ初めてなんだ。

産経新聞:
 すばらしい。

知事:
 初めてなんだよ。全部悪いわけじゃないんだ。悪いとこは悪い。どの程度悪いのかということを分析してなかったので、悪口でなしにエビデンスだから。ここに書いてあるのは、本県の経常収支比率を全国平均まで持っていくとすれば、どの程度の削減が必要なのかということで、逆に悪くするのに寄与している市は、市町村はどこかという分析であります。こういうのを、やったのは初めてだと思います。

 これはそういう計算をしたわけですけども、するとごらんのように大きく寄与しているのが奈良市、32.5%が奈良市の責任だと、こう言うことができると思います。それは数字が言っているんだから。僕が言っているんじゃない、数字が言っているんだからと。その次が天理市が9.3%、郡山が6.9、桜井が6.6、五條が6、御所市が5.6、橿原市が5.6、高田が5.0で、4分の3、宇陀市が4.4、葛城市が2.8で、これで85%が市で占めているということで、市がよくなれば、こんなのあっという間に奈良県の財政は平均に戻るよということを言っているわけなんだよね。その意識が全然市町村に伝わってないというか、そういう意識が発生してないというのが、かねてからもう切歯扼腕していたのを、言ってないじゃないかとおっしゃっていただいたので、ああ、うれしいなというので、このようなわかりやすい資料をつくろうかということで、新しくこういう計算をしたものであります。

 首長さんは、ある面ごまかすんだよね。正確に言わなかったりして、悪いとは言わないんでね。悪いのを言う首長は偉いと思うけどね。マスコミがかわりに言ってやろうかということであれば、それも一つなんだけど、正確に言ってもらいたいということはある。データがないと言えないだろうということはあるかもしれないのでと。それは悪口じゃなしに、世の中をよくするきっかけだと私は思うもんだから。

時事通信:
 拝見すると、奈良市で60億ですか、削減しなきゃいけないということですけれども。

知事:
 はい、なかなか大変ですよね。

時事通信:
 大変ですね。奈良市に限らず、市部がやっぱり結構財政改革頑張る必要があるということで、ちょっと知事から市長さんたちに向けて一言、お叱りでも激励でもいいのでいただけますか、コメントを。

知事:
 全国平均まで達するのにこれだけこれは削減せないかんということなんですけれども、県もそうなんだけど、歳出の削減で財政改善を図るというのがメーンの手法、日本の地方財政は。しかし、これからというか、奈良県はそういうことやってこなかったんだけども、入りを量るというのがもっと大きなこと、税源涵養なんですけども、自主財源を量っていくというのをやるのが大きなこと。これ皆、決算だから歳出の話が中心なんですよね。決算で歳入の話もしてもいいんだけど、そのデータはまだあんまりないんですよ。歳入分析はまだないんですよ。だから歳入分析をもっとやろうということを指示しています。指示しました。税源をどのように確保するのか。

 奈良県もそうなんだけども、税源涵養をやり出してかれこれ10年たつんだけども、なかなか自主財源が確保できないけど、それは経済力ということになるんだけれども、経済力を確保する。地方の財政自主性あるいは政治の自主性を確保するには、税源もある程度自分で努力せないかんよということ。日本の地方政治、地方財政はおんぶにだっこみたいなとこもある。国がしっかりしているからということで、これじゃちょっともたない可能性もあると。

 おんぶの例え話は、おみこし担いでいるのが、おみこしは立っているんだけど、ぶら下がっている人の数が多いと、支えている人が何人か四隅で支えているからおみこしが支えているんだけども、おみこしをよく見ると足が浮いているという人も何人もいるよと、これは支え合いではないんですね。やっぱり地に足をつけて、弱い足腰でも支えるというのがワンチームだと思うんですけどね。そういうような国柄に、地方一人一人心がけていかなきゃいけないというふうに私は思うもんですから。

 すると今度は歳入改革、歳入に努力をせないかんというのがもう一つの柱だと私は思うんですが、歳入の分析を余りされないとこがあるんだけども、消費税なんかの配分基準を、地方消費税の配分基準不公平だといって突っかけていったのもそのような気持ちなんですけど。交付金は自主財源ではないですけど、自主財源的なものでありますので、地方の消費をそのとおり還元してください、地方で消費が行われたのはそこに戻してくださいというのが基本的な要求であったんですけども。今の交付金の形でももちろんいいんだけれども、人口基準のほうが地方消費の類似に近いということで判断されたというふうに思いますので。

 地方の税制は配分といって、国全体の税収確保と地方への配分というので、地方のそれも自主財源扱いになると思うんですけれども、そのように自主財源で地方消費税が配分されると、地方の消費を起こすと、地方で消費が回ると税源がふえるというパターンになるのに、余りそう意識されない。国から回ってくる税源だと思ってるとこがあるから、おんぶにだっこみたいになってきている政治状況かなと思うんですけれども。地方で消費も生産も投資も、地価、固定資産税もあるんだから、それをどのようにあるのかということを分析して、それを増嵩させよう、税源涵養しようというのが地方の財政当局の大きな仕事の一つだと思いますけども、税源涵養は弱いですね、日本の地方財政は大都市も税源涵養を努力してなったというよりも、自然と都市へ集まっているというのが東京都問題だと思いますが、地方が税源涵養をもっと自主的にするという国柄のほうが私はいいと。

 アメリカは全く違うんですね、日本の国柄と違うんですね。州は独立して自分で稼ぐというのがもう徹底してますから、連邦制ということで徹底してますから、日本は国が助けてくれる大変ありがたい国でありますけれども、それに依存してたらいかんというふうに私は思います。少しでも努力を、奈良なんか弱いから大きな口はもちろんたたけないんだけども、やはりそういう自立的なことに努力をせないかんと改めて思います。これは歳出の決算中心ですけど、歳入についてもちょっと分析をするように、刺激をするようにということを市町村振興課にお願いをしているところです。それも出たら、また注目してください。


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文化財の防火対策について

時事通信:
 先日、沖縄県の首里城が燃えてしまいまして、それに関してほかの各都道府県からの支援の声なども上がっていますが、奈良県として何かこのお考えはありますか。
 あともう1点、奈良も大量の重要な文化財を抱えておりますし、ことしから文化財の所管課が教育委員会から知事部局に移りましたけれども、その中で何か防火対策、災害対策等やっていかれるお考えはありますか。この2点、お願いします。

知事:
 首里城の再興支援ですけども、奈良県でも人ごとではないと思いますので、支援も集まると思います。行政としてするかどうかは、財政とも関係するという言い方はないですけれども、行政としては国が代表して、沖縄だからという動きがあるので、それは歓迎、やはり沖縄は特別だなと思って、それはいいようにとっています。沖縄はやはり文化的にも特別だと私は思いますので、それを国営公園になったのが焼けたというので、奈良も国営公園つくってますのでショックを受けています。支援はそのように思いますが、国の支援が軸にということにはなると思いますけども、それに民間の支援も集まるようにと。

 もう一つは奈良の文化財、木造が多いわけですから、本当に他人事ではありませんので危機感が走っています。私はもう戦慄をしています。このような報告の中で、指示しましたのは、仮称ですけども奈良県文化財緊急防火対策強化会議といった名前のものを招集して、文化財の防火対策を、特に木造の防火対策を強化しようということを指示しました。これは直接指示ですが、文化財保存課が教育委員会から外れて知事部局になった第一弾だと私は思っています。知事部局になったからこういうことが言えるんだぞと文化財保存課長に念を押しておきました。

 この文化財を何とかせないかん。知事部局だとこのような緊急の行動もとれるというように、まだ仮称ですけど、奈良県文化財緊急防火対策強化会議といったようなものを、至急開催するようにということを県庁文化財保存課に指示をしましたということです。とてもびくびく、本当に戦慄してます。

時事通信:
 この、奈良県文化財緊急防火対策強化会議ですか、どういったものか教えていただきたいんですけど、これは全く新しいものということですね、改革して。

知事:
 初めてです。

時事通信:
 初めてですね。メンバーとしては、どういった方が入られるか。有識者、民間、あとお寺さんとか。

知事:
 私のまだイメージですけど、文化財保存課のアイデアを待ちたいと思いますけど、私の指示したイメージですけども、社寺の防火対策のレポートをしてもらうと。ほかの社寺の防火対策をやっていると、進んでいるところとそうでないところのレポートがある。それをまとめたことが一度もないんだから、それを知事のお願いで集まってもらってレポートしてもらう。すると、「ああ、こういうことをやってるのか、うちもしなきゃな」というように姿勢をとってもらうというのが一番大きな会議の効果だと私は思っています。

時事通信:
 優良な社寺の防火対策の好事例に関して。

知事:
 今どうしてますかということを現実レポートをしてもらうと。このようにしてますから大丈夫だと思って、今、心細くなっておられることは確かですので、それで大丈夫ですかということを意見交換するというのが大きな会議。さらに改善の方向、余地はありますかということですね。何か県は助けることができますかというのが、その会議で続くと思うんですけど。

 今度の火災発生が電気系統かもしれません、まだわかりませんけど、法隆寺の金堂壁画が焼失したことを思い出しますね。あれは暖房器具で、冬寒いからあそこで番している人が電気ごたつをお尻に敷いていたということが報告されています。それがショートしたと。どこからの電源で引いたかということになるわけで、それでも焼失するんだから怖いですよね。だからそういうことは今はありませんかと。冬、見張りされている人も寒いからどうされているのかなというようなこともやはり確認しないといけないですよね。その後変わってますか、変わってませんかということを確認しないといけないですよね。だから文化財の中で電気座布団敷くとか、電気ごたつをお尻に敷くというのは怖いということを法隆寺金堂でわかったということを、何十年前に、だからそれを、そういうことは避けないといけないということを確認するとか、防火対策は文化財、社寺の私有物だから、私有財産を守るということに任されているけども、国立系の文化財、博物館ではどのようにしてますかと。それが好事例になればいいかと思いますけれども、正倉院ではどうしてますかということも、一緒に社寺と文化財保存者にできれば集まってもらって意見交換するという会議を緊急に招集して、招集の権限ないけども集まってもらって県の文化財保存の緊急会議をできたらと、これはお願いではなしに指示をしました。そのようなイメージです。

朝日新聞:
 スケジュールとしてはいつごろの設置というか、開催を見込んでいるんですか。

知事:
 そうですね、今週にでもできないかとは言ったんだけども、でも、日程的なこととか、来られる人の準備とかありますので、早い方がいいと思っています。今週中というのは、もうこんなときで、内心無理かもしれないなと思っていて、指示の中身で、今週にでもできないかなと、これは指示にはならないか、願いになるかもしれませんが、そのぐらいのことを言っています。火災発生直後に言えばよかったんだけど、すぐに担当課と対話しないとなかなか発想が出てこないものだから、最近ですが、そのように指示をしたことを、できるだけ早くと思っています。

時事通信:
 こちらは常設の会議なのか、それともスポット的に行う会議なのかは。

知事:
 緊急会議でとにかくしますと。それ一段落するまでこの会議をして、緊急防火対策というのが、大綱、対策ができると思うんですね、各社寺、保存者はこのようにするとか、やはりその対策を確認し合うというのが一つできると思うんですけどね。それを、今後定期的に点検しようと提唱してもいいかと思うんですが、定期的に点検して、ボルト、ナットの、ねじの締め具合、緩み具合を見てみようというようなことを定期的に、ペリオディカル(周期的)にやってもいいかなと私は思っています。関係者の人と調整しなければいけないと思いますけど、やりたいぐらいです。

産経新聞:
 事例というのは、どういう、県内の事例を。

知事:
 県内で、もし、発展的になれば、進んでるところといえば、やはり公共系の県や国立の美術館の防火対策というのは建物からあれだけど、焼け落ちるような木造系の構築物の防火対策というのは緊急を要するんじゃないかと思います。それで進んでいるところというのがあるのか、すぐには思いつかないけど。大極殿は国立系の防火対策では、大きな木造構築物に違いない。免震は進んでいるんだけど、防火はどうなのかということを、あのように囲ってありますけれども、中に人がいないというのは、電源が入ってなくて座布団で発火することはないだろうとは思われるわけです。そういう発火原因が中にないということは一つの確認。

 すると、免震の電気系統はどうされているのかというので、電気系統のチェックというのは、劣化することにどう対応するかということにもなると思いますので、法隆寺の金堂の轍をやはり確認しないと、奈良県の法隆寺の金堂出火ということは、やはり思い出して、ああいうことは二度とないようにするぞという決意を新たにしないといけないと思います。

日経新聞:
 将来的には、まだこれから会議が始まる段階ですけど、独自の支援のあり方も考えられるのか。今、国宝や重要文化財になると修理する段階で結構国費とか県費も出るじゃないですか。そういうことは守られていると思うんですが、今回沖縄も焼けたのは新しい建物ですよね。平城宮跡も全部そうじゃないですか。ああいうのを守っていくためには、国のスキームでは多分守れないんだと思うんですが、その辺についても今後の検討課題と。

知事:
 そうですね、文化財の保存のほうの、国の組織と防火の組織は、全く別なんですね。文化財の防火というのは結びついてないんですよね。これは地方の現場にあると結びつけないとしようがないでしょうと。こういうものがもう焦った気持ちの県知事の気持ちですけども、どのように結びつけられるのかというのが、緊急会議ではあるけれども、一つのおとしどころとは思っています。防火対策は消防でいろいろありますので、それが中にどのようになるのかというようなことですね。

 それと文化財の保存の仕組みは文化庁が大体規制するわけですけども、スプリンクラー等の消防設備の設置義務、消防法の義務はあると思います。文化財構造物について、建築基準法が適用されていることで人が中へ入れないものがあるのか、消防設備の設置が適用されているのか確認して、体系的に整理する必要があると思います。中に文化財があるようなところは、周りにスプリンクラーを強化して設置しておかないといけないよということはあると思います。

 もし国の規制がそこまでいかなければ、県独自で、これはいいアイデアだとすれば、周りにスプリンクラーを置きますかということを提案して確認したら、実質そのぐらいなら、今まで他にぽつぽつあるけど、強化して置くよということを自主的にされる場合もあるし、独自の助成につながることもあろうかと思います。それは国がもう少し置くようにして、補助金もつけてくれたらどうかという要望につながることもあろうかと思います。現場が国の施策をできるまで待っていられないというのが、いろいろ起こっていると思いますので、地方は細々とでも先に駆け出すということはできますので、そのような気持ちで防火対策もできたらと思います。

 とにかくおっ取り刀ではないけど、まといではないけども、消火器を持って現場に駆けつけるというのは地方だからできることだとは思っています。国の制度があるからではなく、ないからしないといけないのだと。国の制度があるならそれで一安心ですけど、ないからしないといけないのではないかというところがたくさん出てきていますので、現場の声をよく聞いて、現場の声というのは、仏様は寒いのがいいけど、火が出ると「俺は嫌だよ」と仏様が仰っているのではないかと思いますので、どうすればいいんですかということで知恵をいただくと、火が出るとスプリンクラーが回り出すとかということもやってもいいかなと個人的には思います。専門家の意見を通した上で固まって、防火対策強化緊急会議でそういう恒常的なアイデアまで出れば、それはしめたものだと思っています。


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旧奈良県総合医療センター跡地活用について

NHK:
 先日、奈良市の仲川市長が、平松の跡地利用について、子どもセンターを別の場所にというような方針を示されましたけども、これに対して県としての今後の方針というのはどのようにお考えですか。

知事:
 平松町のまちづくりをプロパーでどのようにするかということ、そこに市が子どもセンターを建設したいということ、2つの事例がたまたま場所が重なっているということと理解しています。平松町のまちづくりですけども、子どもセンターが来るから遅れるとか、そういうことではないと思っていますが、まず平松町をどのようにするかということは基本的なことであるので、県立病院がなくなった跡地をどのようにするかということを計画段階から地元と話をして、市も一緒に参加していただいております。

 市のご意見、地域住民の方の意見、ワークショップで意見の中身をずっと聞いてますと、コミュニティセンターといいますか、地域の集まり場所、周りが住宅地ですので、集まり場所を設置してほしいとか、医療・介護の相談できる施設があったらいい、病院機能と違って包括ケアの施設、それから防災公園というような工業高校跡地でも防災公園というのが出てきております。防災公園は、今ここに挙げた例は市の業務になっているわけです。市にこういう要望があるけども、一緒にしましょうと、「県有地だけど、市が利用される場合、安く払い下げ、地価の半分ぐらいにはできますよ、それは議会に承認もらってますよ」ということでまちづくりの研究がスタートして、今までスタートしています。それは今後も変わりないと。

 子どもセンターを作るのも、その周辺住民だけではなく、市全域にかかわる話だと思いますが、そこにつくるということは別にやぶさかではないので、たびたび言いましたが、それだけ作って、あと知らないということになれば困るねということを牽制しているわけです。それははっきりしませんが、とにかく平松町の跡地まちづくりについては、周辺住民の意向を十分勘案して作っていきましょうということが、普遍であり、変わらないということです。

 途中で児相だけみたいな雰囲気も漂ったが、それでは地元の意向に沿わないというのが、私の見方でして、協議がスムーズにいかなかったという面もありますが、子ども児相を切り離して、作ってもいいけど、児相を早く作りたいということについては、汚染土壌の撤去と跡地の整備の工事を今後行っていきますが、この前も言いましたように、いろいろ土壌汚染の環境浄化も含めてやりますと、そこだけをするととても期間が長くなるというのと、費用がかかる、周りに迷惑かけるという3つのハンディが出てきましたので、それを乗り越えてそれだけやりますよということはなかなか言えませんねと文書で返しています。

 そのようなことも踏まえて、市か市長は、他も考えてますよというのが報道で出たと背景としては思っています。場所を、市の児相だから、どこに作られようと全く県は関与しないということには変わりありませんので、ここで作ってほしいと頼んだこともなければ、ここでなければいけないということも言ったこともありませんので、どこかにとにかく早く作りたいということであれば、早くできるところを考えて作られることには、それはそれで結構なことじゃないかと思っています。3つのことを申し上げました。

NHK:
 知事としては、子どもセンターが平松以外の場所で作られることに関しては、そのようにされることについて。

知事:
 別に市のお話ですから、というように思います。

NHK:
 そうすると、当初、この基本構想の案を作られていますけども、そこは少し見直しというか。

知事:
 平松町の住民の方からは、平松町へ児相を持ってこいという意見はあまり出てこなかったように思います。市の意向で、ここにどうかと言われたように思います。県も、児相どうかと。県の児相がありますので、あるところに市の児相もやるというのは、珍しいことでありますが、中核市だからできるんですけども、市の権限だからどうこうはないけど、ここに作ることについては、他もやりたいのにこれが出てくる、バッティングすればまた別だけど、空いていればどうぞと言うしかないとは思ってますけども、どこに作られても、良いところに作られたらというように思います。

NHK:
 そうすると、平松町に子どもセンターがなくても、あそこは市、どちらが主体であるかという話ですが。

知事:
 いやいや、それはもとの話だから、もとはそんな話なかったんだからということですよね。もとは、先ほど申し上げましたように、コミュニティセンターとか、昔でいう公民館みたいなものです。集まり場所が周りにないからというような意見は聞こえてきましたし、休日夜間診療所などもあったらという意見もあったが、休日夜間診療機能がある病院でも、救急の場合に救急車を呼ばないとあそこへは行けない。自分で相談に行くのは、市が市役所の前に持っておられるようなものがここに移られるかどうかという話になるわけなので、地元住民の方の意向は、市がされていることの延長でしょうということで、来てもらって一緒に考えましょうという体制になってきているわけですよね。

NHK:
 仲川市長の発言の中では、もともと県有地なので、県のほうが主体になってという……。

知事:
 そんなことはない。高校跡地でも、市も主体になってます。それは間違いだと思う。県有地の活用は、県の業務で使うときは主体となりますけども、地元の主体となられることは、優先的に払い下げますよということを言ってます。ほかも県有地はたくさんありますので、県が今度できるコンベンションセンターなどは県有地です。あれは全県に裨益するので投資をしたということですけども、周りだけに投資するようなのは、県の事業としては余りふさわしくない。だから周辺のまちづくりを県が県有地だからするという法則はないですよ。

NHK:
 いえいえ、私は仲川市長がそういう発言をされていたと。

知事:
 それは間違いだと。言ってる。

NHK:
 先日の会見では。

知事:
 県立の敷地は、県が主体的に考えていかないといけないというのはおかしいと思いますね。市が主体的にやってもらっても結構ですよと言っている。事業の中身だと思います。処分するときは主体的にはしますけど。市がこれにしたいと言われるのは、優先的に使ってもらいますよということは今まで言ってるんですから。コミュニティセンターも県が主体的に、防災公園も主体的にともし言っておられるならば、それは間違いだと。他ではそうは言っておられない。工業高校跡地に防災公園を作りたいという地元の人の要求で、防災公園というのは小さな公園だから、県全域の防災公園ならば別だけれども、それぞれの避難所とかをつくるのは、防災公園も避難所兼務だと市の責任になってくるでしょう。これは要望があった人に、「市が作るべきサイズじゃないですか」と言ったら、「わかった」とおっしゃった。それに市長は、「そうだね」とおっしゃっていたから、同じことだと思います。同じ県有地だから、言っていることは矛盾してなければ、工業高校跡地で防災公園を作ることと、ここで防災公園を作ることと、どちらも市が主体的になるべき話じゃないか。「中身によりますよ」ということで、県有地だからともし仰っているとしたら、工業高校跡地で言われたことと、こちらで言われたことと、矛盾することを仰っているんじゃないかと思われます。もし言われたとすればそのように思います。


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令和元年11月行幸啓について

共同通信:
 今月、天皇陛下が奈良にいらっしゃいますが、率直なお気持ちを教えてください。

知事:
 奈良にお越しになるのは、初代天皇の神武天皇陵にご奉告に来られると聞いています。奈良は、天皇家ゆかりの土地だと思います。誇らしいことだと思っています。平城遷都1300年という地方のお祭りともとれるような、平城遷都、国の都の最初の都城をつくったときのお祭りをしたときに、今の上皇・上皇后陛下がお越しになりました。その時に、奈良は父祖の地ですからとおっしゃっていただきました、天皇のお言葉として。だからとてもうれしい限りです。当時の陛下から、父祖の地ですからとおっしゃっていただいて、だから父祖の地は、やはり歴史も含めて守っていかなきゃいけないと思います。歴史を守らなきゃいけないと。天皇制発祥の地でもあります。

 あしたから東アジア地方政府会合をいたしますが、その精神ともつながってるんですけれども、日本が発達・発展したきっかけは、奈良時代、奈良にずっと歴代の天皇がおられた時代に、韓半島(=朝鮮半島)と唐が大きく発展した、世界の中でも最先進国であったと。文字どおりグローバルセンター、ほかに匹敵するようなグローバルセンターがなかったですよね。まだイスラムも出てないし、ヨーロッパもまだ、キリスト教のギリシャ、ローマがちょっと衰退した後の時代だったですから、8世紀の時代。唐の長安が一番センター、それが日本の近くにあったというのは、日本にとって僥倖(ぎょうこう)だと、ラッキーだと。そのときに日本の国制、天皇制を中心とした政治体制が生まれたと私は思います。

 そのときに仏教の伝来もそうですが、国際社会の中に入ろうと、聖徳太子からそのように思って努力をされた。100年以上の努力で仏教国に、国家仏教が導入されたというような歴史もあると。当時の天皇陛下が受戒されたと、仏教徒になられたというような時代でもあったわけなんですが、そのようなすごいグローバルセンターがあったというのと、日本の歴史の中で一番国際性が豊かだった時代だと思います。そのような時代に初代天皇からずっとおられたということと、陵墓があるということで、父祖の地にご奉告されるという儀式と理解していますが、大変うれしいのと誇らしいことだと、その歴史を守っていかなきゃいけないという気持ちでいっぱいです。

 その歴史を守るというのは、歴史は後で規定されることもあるので、後で規定されたのは本当かどうかわかんないとこもあるので、ちゃんと日本が隆盛すると、昔からそうだったと思い込むこともフェイクになる可能性が、昔はやはり韓半島、大陸は進んでいたと私は思います。漢字が輸入されたというのも、文字がなかった国だったということを謙虚に考えるとそういうこと。それが、鑑真さんもそうだけども、程度の高い仏教思想あるいは発達した国家統治思想が日本に一挙に来た。それをうまくこなしたというのが、大きな日本の特質だと思う。うまくこなしてきたでしょというぐらいは言えるかもしれないと。

 受容したというのも、島国ならではの流れ着くところだから受容したというのは必然的にそうなったというように、どのように真実に近い歴史を認識するかというのも、今の時代で繰り返し歴史は塗りかえられますので、いつも真実の歴史を探るという、歴史を守るというのもその一環として、守り方になります。真実がどんどん掘り起こされているところもありますので、まだ古代もわかってないことが多いんでね、だからそれを掘り起こしながら守るというのが大きな地方行政の役目だと思います。そのお越しになること自身は、今みたいな気持ちでうれしく、誇らしく思っています。


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橿原市長選挙後の連携について

毎日新聞:
 先日、県内2番目に大きい橿原市の市長さんが12年ぶりに交代になると、選挙でそうなったわけなんですが、橿原の市長さんがかわられることの受けとめと、今後これまで県議をされていた亀田さんがなられるわけで、知事との距離感も今までよりも接近するだろうという形で、連携強化をはかっていかれるのかなと思われるんですが、県として橿原市さんとのつき合い方といいますか、今後どんな形で、どんな部門、運動公園の話とか今後あるんでしょうが、どのようなお考えなのかお聞かせ願えますか。

知事:
 先ほど市の財政の話で、今までは市町村財政は県は関係ないよというスタンスだったんだけど、介入はできないけれども、市町村財政を助けるのは国の業務になっているんで、県は仲介をしたり、その情報を出して努力を一緒にしましょうよと、税源涵養なんかは工場誘致なんかでもできますので、そのような地方でできる努力を探してしましょうよということをしていますが、そのほかのテーマとしては、県から見ると、県内のテーマというのは、市がやるのか県がやるのかは別にして、今やるべきテーマというのは幾つも目立ちます。それは都づくりでも書いていることですが、大きなテーマは健康づくりですね。高齢化が進むと高齢者の健康づくりというのは、医療だけじゃなしに地域の健康づくりとなると、市町村も一緒にできたらいいねというようなことが健康づくり。

 それから、奈良県の税源涵養に学び経済活性化ということであれば、経済は今、3次産業が随分大きな要素を占めていますが、消費が大きな要素。奈良県は世帯別の流動資産というのは、東京都と並ぶぐらい、全国2位の金持ち世帯の県なんですね。あまり報道されないけども、そのような県なんで、それがうまく消費とか投資に回るようになればありがたいなとは内心思っています。その道筋がなかなかできないんだけど、しかしその道筋のきっかけになるのはまちづくりですね。居心地のよいまちづくり、高齢者の健康にもつながる若者の仕事がでる、発生するまちづくり。だから2つ目は経済・雇用というのが大きな課題だと思う。ベッドタウンの、高齢者ばかりになるベッドタウンをリニューアルしようよ、あるいは若者が働けるようなまちにリニューアルしていこうよというように、ほかにもありますが、そのような課題があります。

 これはむしろ今まで普通だと、まちづくりは市の責任だと国は規定しているんですが、奈良県は財政が弱いこともあって、まちだけでなかなかできないので、奈良モデル方式でまちづくりのスキームを決めて、ソフトは2分の1、ハードは4分の1助成しますよというユニークな制度をつくって、一緒にやりましょうということを呼びかけて、数年たってどんどん進んできていますが、実例をつくり上げるのにもう少し時間がかかると。だから市町村とうまく協調ができているところは、まちが発展しますよと、こちらからのメッセージとしてはそう思っています。

 だから首長さんには、知事が市町村を助けたいという思いを利用されるといいですよと。しかし、話が合わないと、市はサボるから県やっといてくれと、これは私、受け付けてませんので、今まではそういう首長さんもおられたと。うちも努力するけど、県も助けてくれよというのが普通の言い方じゃないかと私は思っています。だからそのような、先ほどの県有地でも活用でも、新しいまちづくりでも同じような気持ちで、それは奈良モデルの精神です。サボる人は助けないよ、頑張る人を助けるよというのが奈良モデルの精神ですので、そのような首長がおられたら、そのまちは発展すると私は思っています。

 だから橿原市長選でも奈良市でも、みんな同じなんだけども、俺も頑張るからおまえももうちょっと気張ってくれよという言い方が普通だと。私の考え、言葉ではそう思うもんですから、橿原市も県とのタイアップというのをどんなふうに進めようかということをいろいろ言ってもらったら、弾むことになろうかと思っています。橿原市は、大事な地域だし、大きな市だからね。もし橿原市で弾んでどんどんできるようになればね、この先、市のモデルになればと願っています。それは亀田さんとの関係ということがあります。強要はもちろんできませんが、私の気持ちとしては、特に市レベルの首長が県の意向をうまく利用してまちの具体的な発展につなげるやり方を模索して提案されると、それに呼応したいなという気持ちは十分ありますので、そのような気持ちで新しい市長を迎えたいと思っています。

毎日新聞:
 それで、橿原市のほうは副市長のポストがあいているわけなんですけども。

知事:
 ああ、そうですか。

毎日新聞:
 県のほうから職員さんを出されるみたいなお考えってあるんでしょうか。

知事:
 要望ベースですからですね。

毎日新聞:
 要望があればということですか。

知事:
 要望があれば。あと、奈良市でも言ってるんだけど、桜井市には副市長ではないけど、県の林さんが行ってね、まちづくりのアイデアに貢献されている例もありますが、大きなまちはね、県でなくてもいいですよと。例えばね、国交省とか、まちづくりのテーマに応じて国の役人に来てもらってもいいじゃないですかということも今まで言ってきてますのでね。いや、国の役人に来てもらうと困るよとか、よその人に来てもらうと困るよという首長さんも多いんだけども。

 奈良県なんか、国の役所の人に来てもらって、立派な人をこき使ってますからね。すごい力ですよ、国の人をこき使って、奈良県の人も能力あるから一緒に働いてくれよと、こう言っていることで、それが一つの馬力にはなっているように私は思っています。評価しています。国だけじゃなしに、県庁の職員の人も一緒になって、やり方なんか今まで知らなかったことも、世の中変わってきているんだから。

 地方は世の中の変わり目にマッチするのがちょっと遅めになるけど、頭さえ前を向いていれば早くマッチできる。国よりも早くマッチできると。国は、感じてもなかなか仕組みをつくるのが1年おくれになると。予算をつくって、政治を動かしてやるのに、すぐやるのは1年おくれになる。地方に来ると2年おくれになると。すると地方は2年先にすぐに取っかかるアドバンテージがあるよと。すぐに取っかかればできるんだから。奈良県がやっていることを1年おくれで国がやった制度って結構あるんですよね。その後1年、ほかの地域がすぐに国の制度をまねしても2年先にできるということはもうわかってきているから、とにかくすぐに現場にやることを取っかかろうよということ。国の役人はそういうことも見えるからね、このようにやったらというテクニックは十分持っておられますから。だから副市長も、国の方を招くという気持ちがあれば、その相談に行く先兵になってもいいです。

 広域消防の最初、消防庁に私、陳情に行きましたよ。僕は広域消防の顧問にすぎませんけども、最初の組織だから消防庁の長官のとこへ行って、いい人送ってくださいねとお願いに行きましたよ。中本さんってすごく立派な人に来ていただきました。それも一つのやり方で、それは首長とか責任者の自由ですけどね。だけど、そのようなぐらいは人脈をつくってしてきましたので、できますよということですね。県はそのようないい人を招いて働いてもらってますよという実績も言えるしということはあります。ミックスが大事だと思いますね。

 別に県庁の人でよかったら、来いよとおっしゃればまた検討しますが、役所の世界だからね、いろんなテーマに応じて、医療のときは、奈良県の医療担当部長は県立医大のお医者さんだったんだけども、国から医官を招いて奈良の医療は随分変わりました。人だけの話ではないですけどね、随分変わりました。やり方で随分変わるなと。今や医療先進県になってきました。本当に10年で変わりますから。市町村も変わりますよ、やり方によって。市町村のほうが変えようと思ったらすごく変わると思いますね。そのような期待をしてますし、本当に変わると思います。首長次第だと思いますけどね。

産経新聞:
 その橿原の関連で、ちょっと私たち実際取材してないのでどこまで本気であるかわかんないですけども、県庁を橿原に移転したいというようなことをおっしゃってまして、それについてはどう思われますか。

知事:
 橿原移転、南部移転は県としては反対しています。賛成していません。それは、一つは財政的にお金がかかるというのと、県庁の移転が意味のあるような仕立てでないと、北にあり過ぎるから南というだけではいけない。そういう意味が発見できないので反対ですね。南に行く意味が、どこにありますか。その場所もすぐに見つからない。県が場所を探してつくれよ、そのような意見であれば、あまり耳を傾けるべき意見ではないのではないかと思います。こういう場所だったら県の発展のためにいいよという話なら別ですが。

 県庁移転の例で、古い中心地にあったところで、石川県が金沢市役所と一緒にありましたが、昔のお城があって鉄道があるという古い城下町で、港がある。金沢は港がある。県庁は、駅の北の港のそばに移って、これは新開地ということになります。同じ市の中で新開地に行って建てられたという例は、一つの政策がある例だと、県庁移転の政策がある例だと思います。金沢から移転してどこかにという、その地域間の競争ではなく、効率性を新開地のほうへ行って、まちの中心地はほかに使おうというふうに石川県は思われたということです。

 あとは、もう古い話では、熊本県です。大体お城のそばに古い、明治時代の県庁庁舎があることが多いが、熊本の場合は空港が東のほうの阿蘇山の麓にある。空港のそばに持っていったわけではないですが、健軍(=熊本市内の地名)というまちの中から郊外に出てビルを建てられたという例があります。

 そのように県庁が外に出るというのは、韓国は中核市の大きな、日本でいう政令指定都市に道庁がありますが、それが同じような、道の仕事と市の仕事が重ならないということになっています。そこにいても場所があるだけということなので、道庁を移転するというのは行われ、姉妹関係の忠清南道という百済の都ですが、道庁は新しい場所に行きました。あれはどこから行ったのか、公州か、昔の大きな市から行った。市の仕事は何もしてないです。韓国は割り切りがいいです。

 日本は政令指定都市は重なっています。その調整でみんなもめてるとこばかりです。だから一つの考え方として、県は中核市以上とか、政令市、特に政令市以上は府県の仕事はないというふうにするというのも一つですが、京都府と京都市の場合は、京都市のほうの権限が多くなって、人口も多いため、京都市の場合はほとんど京都市の仕事は京都市がしている。府の仕事は総務・警察と教育か何か2つしかないと野中さん(=野中廣務、元京都府副知事)がいつも言っていた。京都府は京都市の仕事はほとんどないと言っておられました。それは全部、警察も、政令市に任せて、府庁は園部でもほかに行くという考え方も、韓国をまねるという考え方も私はあると思います。

 日本は割り切れない国なので、なかなか割り切らないです。ごちゃごちゃしても、ごちゃごちゃを楽しむ皆様に材料を提供するという国になっていると思っています。韓国は、割り切りはいいので、その結果がいいかどうかはまた別ですが、日本は日本流の結果を出している面もありますので、ごちゃごちゃするけれども何かうまくやっているのではないかと思われてるとこもあります、不思議な国です。

 今の話は、県庁の移転の話で、その考えはありませんということです。


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JRおおさか東線開通後の効果について

共同通信:
 JR西日本が春におおさか東線を開通し、新大阪駅と奈良駅が直通になってから半年ぐらいたったんですが、効果を何か実感されてたり、受けとめを教えてください。

知事:
 JRおおさか東線は、貨物線を複線に強化して久宝寺から新大阪までを結ぶ旅客線とする、これは塩川正十郎先生の情熱が実現したプロジェクト。もう亡くなっておられますが、塩川さんがいないと実現しなかったプロジェクト、その身近にいましたので、よくできたなと思っております。奈良県との関係では、新大阪から奈良までの直通列車が走ることとなったと。JR西日本から聞くと平日は利用が多いそうです。通勤者でおおさか東線を通って北に行かれる方も多いと聞いてます。一方、休日があまり利用がないんだとおっしゃっておられ、休日の利用を促進するために特急列車を臨時的に走らせられることとなりました。その休日の利用で大きなのは観光需要ですね。特にJR西日本の姫路、岡山、広島、場合によっては山口、北九州から来る列車で新大阪に来て、今までは新大阪にもとまらないで京都に直行される、旅行商品がそうなってたんだけども、旅行商品自体を新大阪でおりて、この特急で奈良に来るようにというのが一つの仕掛けだと思います。だから西のほうのお客様が奈良に直行する魅力ある旅行商品をどうつくるかというのが、まだ課題として残っています。

 奈良は、メインのデスティネーションというか、メインの目的地になかなかならない。奈良だけのチラシというのは東京でなかったんですね。参議院議員だったときに、奈良もメインにするチラシをつくってくれといって旅行会社にネゴして、やっと1枚できた。京都、大阪、神戸、奈良と、4番目に小さな字で書いてあるパンフレットが普通だが、ちょっと情けないよと。奈良をメインの目的地にするには、魅力を向上させないかん、泊まる場所も。こういう場所に幾らで泊まって、幾らの旅行商品ですよと書くのがパンフレットの定番ですので、奈良をメインのデスティネーションというか、目的地になるよう旅行商品をつくっていきたいと思っています。それは、DMO(=観光地域づくりの舵取り役を担う法人)と言われる地元の商品開発が発地(=出発地)に向けて売る商品開発、商品造成につながるように各地でやっているところですが、奈良はその力を強化して、奈良の魅力を遠くで売るというような旅行商品につなげるようにと思っています。

 特急で奈良駅まで来るんだけども、奈良に来て天理のほうにも行けるんですね。JRで天理のほうにも行けて、天理の山の辺の道とか、地元のビジターズビューローのような団体が頑張ってずっとやっておられるんですけども、山の辺の道歩きというような商品をね、週末の新聞の広告によく出ている旅行商品の広告のどっか下のほうでもいいですから、出るような商品づくりができたらなと思っています。

 カニ食べ放題というわけにいかないけれども、柿食べ放題や、大分値打ちが違いますが、イチゴでもいいんですけどね。そのような食べる魅力を展開するような旅行商品を開発できる。旬を売るというのが観光商品の大きなことですので、仏像を見にいらっしゃいといっても、ずっとあるものはそのうち行くよみたいな反応や、旅行会社にもちょっと見たらそれでいいよというふうになってしまうハンディがあるので、それには付加価値をつけて、おいしいものを食べて、ついでにあの貴重な仏像も見られたらというのを戦略の基本にしています。そのような観光地の一般魅力を上げるというのが課題ですね。おおさか東線が開通して、アクセスはよくなってきましたというのはありがたいことだと思いますが、それを利用して地元への誘客を図るというのは地元の努力が要ると改めて思っています。

共同通信:
 関空から直通電車というのは、どう。

知事:
 ホテルやコンベンション施設もできますので、国際会議すると関空から直行って、泊まるところはJWマリオットだと思って来られる。すると普通はバスが出るのですが、ひとりでぷらっと来られる参加者もおられるときに、鉄道でほかも旅行したいからJRパスを使ってこの会議に出るんだとなる。バスよりも鉄道で行きたいという人には、直通があればいいなと思います。それも今までJR西日本と歴代交渉してますけれども、一つは、関空から奈良への直通のお客さんが少ないから意味がないんじゃないかという返事がありました。

 これがだんだんコンベンションやホテルができたりすると、JR西日本が新大阪から奈良の直通特急を走らせていただくというような時代になってきましたので、関空から奈良への直通の快速でもいいから走らせてもらえないかと、需要との関係でそのような環境には近づいてきたかなと思います。もう一つの難点が天王寺駅の折り返しで線路が複雑になることです。奈良に行くときは、南から来て右のほうの線路に入って奈良に行くということになると、横切る線路が多少あって行けないことはないが複雑になるからという返事がありました。天王寺駅の一番端っこにゼロ番ホームというのがあり、空いており、そこに着けて行くという手はあるんだよとJR西日本は最近言ってくれています。

 ゼロ番ホームは南海電車が持っているんですよね。そこを使ってないから譲ってくれとか貸してくれとか交渉しているけれども、動かないんだってJR西日本の人が言っています。南海電車が奈良に行くのにそのホームを使わせてさえくれれば、十分可能性があると思います。一番端っこに入って、奈良へ向かう。快速ですから、ほかのお客さんがゼロ番ホームへ行くのに多少不便でも、天王寺駅から奈良への快速は別途大和路快速が出てますので、関西空港からは天王寺に折り返しだけれども、ゼロ番ホームに入って奈良直行という列車が運行してもらえたらと思いますので、また引き続き陳情の努力をしたいと思っています。

産経新聞:
 もしそれが実現されたら、リニア支線構想ってあるんじゃないですか、関空と奈良をつなぐ。あれの意味がちょっと薄れてきてしまいませんか。

知事:
 そうですね、関空と奈良を結ぶという意味もあるけれども、リニア中央新幹線と奈良市附近駅で結ぶというのは、交通体系の面からは、例えば今度のリニア中央新幹線は長野県、山梨県、岐阜県の中部山岳の3県に行くわけですね。中央アルプスのほうへ、北アルプスにも行ける飯田線というローカル線があります。そこに今、白馬のスキー場もオーストラリア人でにぎわっているということで、どこからか空港で行って白馬に泊まられる、とてもいいリゾートになってます。そこで、関空でおりられて、リニアの直通で奈良市附近で乗りかえて飯田まで行って白馬に行くというルートができますと、スキー板を担いだ、あるいはスノーボードを担いだ人が関空におりて、奈良市附近駅で乗りかえていると、どうしてだろうと、長野に行くらしいよというルートができるというのが私の願いというか狙いであります。そういうネットワークを強化して、日本のいいところに多くの人に行ってもらおうということ、山もまだ行けるよということを、その関空直結リニア新幹線では狙っています。

 東京に行くのは、東京の空港に直接ですが、インバウンド観光では、関空に来る人は中部に行けますよということです。中部は松本空港があり、松本から白馬は近いけれど、松本空港に外国便が直接ぼんぼんおりるという感じでもないので、関空でおりてそこに行かれると、帰りは金沢へ回ってでも、奈良を経由して関空から帰られるのでも、大阪、京都でもいいし、スキーは託送便で送って、あとは気楽で違う観光をして帰ろうというスタイルにもなると思っています。そのような観光地に日本は成長する余地が十分あると思います。

 スイスみたいな感じですね。スイスの山の中でスキーをしてゆっくりするといったようなことは、ある程度の安い値段でできるということが大事ですので、スキー場はほかにもたくさんありますけども、中部はスキーだけでなく、夏はトレッキングがいいと思いますので、関空に軽装でおりて長野でトレッキングするんだと。トレッキングもすごくはやっているんですね。紀伊半島もはやっていますけれども、高い3,000メートル級の山もすごく魅力がありますので、それにインバウンドを結びつけるというのは、まだネットワークを開発する余地があるというふうに関空直結リニアでは思っています。うまく事業仕立てができるかどうか、これからの勝負ですが。狙いだけはいいけれど。

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問はどうでしょう、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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