コロナ禍に負けない!2020年の初コンサート
【ナラプラス現地リポート】(令和2年10月)
9月27日(日曜日)、奈良県立ジュニアオーケストラ「秋のコンサート」が開催されました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、3月の定期演奏会、5月の「0歳からのコンサート」が中止となったため、この日が2020年の初コンサートでした。今回は3月の定期演奏会で演奏予定だった、ドヴォルザーク作曲の「弦楽のためのセレナーデ」、ベートーヴェン作曲の「交響曲第5番『運命』」の2曲が演奏されました。
コロナ禍のため、当日リハーサルを除き、全体練習は各曲1日ずつしか実施できないという状況でしたが、各自で地道に練習を重ね、楽団員全員の心が一つとなった素晴らしい演奏が披露されました。

奈良県立ジュニアオーケストラは、2011年6月、荒井正吾 奈良県知事を団長に結成され、小学生から高校生まで約50名の楽団員が練習に励んでいます。「秋のコンサート」は、奈良県文化会館 国際ホールで行われました。

新型コロナウイルス感染症への対策として、観客は入場時に検温・手指消毒、会場内でのマスク着用などが義務付けられました。さらに、会場の座席間隔を空け、演奏の合間の休憩時間には場内の換気も行われるなど、対策が徹底されました。
コンサートに先立って、奈良県立ジュニアオーケストラの音楽監督・指揮者である梅沢和人さんのご挨拶がありました。この日をみな特別な想いで迎えたこと、子どもたちの演奏を肌で感じてほしいということなど、観客に対して熱い言葉で語られました。
心を一つに。素晴らしい演奏が披露されました

まずは、ドヴォルザーク「弦楽のためのセレナーデ」が演奏されました。演奏前、梅沢さんはこの曲についてこう解説していました。
「ひたすら演奏が楽しい曲です。踊ったり、時には悲しみをこらえたり表したり、人間臭さがあります。我々がこうやって一つの場所に集まって演奏できる、その喜びを何としてでも表現したかったため演奏させていただきます。」

奈良県特産の吉野杉を使用して製作した「スギバイオリン」2挺と「スギチェロ」1挺も使用されました。スギバイオリンを演奏したのは、コンサートマスターも務めた林駿成さんと、2ndバイオリンの中本花香さんです。

吉野杉製のスギチェロを演奏したのは、山口有香さんです。スギ楽器の落ち着いた深い音色が響きました。

柔らかく響く音、鋭く切れ込むような音。全体練習の回数が少なかったとは思えないような、美しいハーモニーが奏でられます。楽団員全員の心が一つになった素晴らしい演奏でした。

2曲目に演奏されたベートーヴェン「運命」について、梅沢さんからこんな解説がありました。
「ダダダダーンという形が全曲を通して4百箇所以上も存在していて、それが全体の統一感を生み出しているんですね。(このフレーズが)全体を支配する、それでいてこれまで誰も書いたことがないような曲になっています。
ベートーヴェンのこの交響曲には、苦悩と葛藤と運命に勝利した歓喜が表現されているんですね。第三楽章の終わりから第四楽章にうつるとき、長い長い長いドミナントという和声が使われています。暗くて暗くて暗くて『いつ明けるんだろう?』と思っていたら、7小節の間に一気に人生の勝利、『俺は人生に勝ったんだ!』と。誰にでも作れるようなドミソファミレドというたったこれだけの音ですべてを表し、凌駕してしまう。すごいなと思います。」
まさにコロナ禍に見舞われている今だからこそ、という選曲です。演奏でも曲の醍醐味がしっかりと伝わってきました。

最後は観客への挨拶です。素晴らしい演奏をありがとうございました!
■奈良県立ジュニアオーケストラ 秋のコンサート(※終了しました)
●日時:2020年9月27日(日曜日)14時30分開演
●場所:奈良県文化会館 国際ホール
●入場料:無料(※要事前申込)
●プログラム:
・弦楽のためのセレナーデ/ドヴォルザーク
・交響曲第5番「運命」/ベートーヴェン
(リポート・写真 / ナラプラスライター N)
(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 中路・林野
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