【レポート】唐招提寺御影堂 保存修理工事現場の見学会が開催されました

国宝「鑑真和上坐像」を安置する御堂です

【ナラプラス現地リポート】(令和3年3月)

2月27日(土曜日)、重要文化財「旧一乗院宸殿(しんでん)、殿上及び玄関」(唐招提寺 御影堂)の保存修理工事現場の見学会が開催されました。
この建物は慶安2年(1649)に興福寺の子院(しいん)に建立され、明治以降は県庁や奈良地方裁判所の庁舎として使われていました。唐招提寺境内へ移築されたのは、比較的近年となる昭和39年(1964)です。
移築後は「唐招提寺 御影堂(みえいどう)」と呼ばれ、国宝「鑑真和上坐像(がんじんわじょうざぞう)」が安置され、昭和46~57年にかけて東山魁夷画伯が描いた「鑑真和上坐像厨子扉絵(ずしとびらえ)・ふすま絵・障壁画」が収められていることでも知られています。
平成29年度より基礎工事と銅板葺屋根の葺替え修理を実施しており、見学会では屋根葺替えの様子が間近で観察できました。

ナラプラス現地リポート
天候にも恵まれ、見学会にはたくさんの人が訪れました。見学者は安全のためヘルメットを着用します。新型コロナウイルス感染拡大予防のため、混雑時には入場制限も行われました。


ナラプラス現地リポート

正面の建物が旧一乗院の「宸殿」、右手の覆屋の部分が「殿上及び玄関」となります。現在も修理工事が行われており、2022年3月に完了する予定です。



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工事の概要や図面など。旧一乗院は天禄元年(970)に創立された興福寺の別当坊の一つで、大乗院とともに皇族や摂関家の子弟が入門した格式高い門跡寺院でした。過去に何度も火災に遭いながら、その都度再興され、現在の建物は慶安2年(1649)に再建されたものです。

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「殿上及び玄関」の覆屋の内部。足場が組まれていて、作業中の屋根が間近で見られました。すでに下地にあたる「野地板(のじいた)」の補修は終えており、この日は銅板の葺直しに着手した状態が公開されました。

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足場から屋根の軒下を見たところ。歴史ある建築物をこの高さで観察できる機会はめったにありません。とても貴重な体験となりました。

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玄関部分の屋根も間近に見られました。唐破風(からはふ)と破風が二段になった端正な建築で、なめらかな曲線が見事です!
地盤が軟弱だったため、昭和39年の移築後から建物が沈み込んで傾斜してしまい、建具の開閉が困難なほどだったそうです。今回の工事で修復されます。

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厚さわずか0.4mmの銅板を一枚に繋ぎあわせて使う「銅板葺(どうばんぶき)」で屋根を覆います。間近で観察すると、とても複雑で繊細な技法であることが理解できます。現在は光沢のある銅色ですが、年月を経ると緑青(ろくしょう)と呼ばれる渋い色に変化していきます。

建物全体を「曳家」で30mも移動させました


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こちらは「宸殿」部分です。普段は国宝「鑑真和上坐像」を安置し、東山魁夷画伯のふすま絵・障壁画が彩っていますが、今だけはその厳かな雰囲気はありません。修理工事前は、北側の銅板葺屋根から雨漏りが発生していたため、応急処置を施した状態だったそうです。

 


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今回の修理工事にあたって、基礎工事を行うために建物全体をそのままの状態で移動させる「曳家(ひきや)」という工法が用いられました。複雑な形で繋がっている二棟の建物を約60cm浮かせて、そのまま背後へ30mも動かしたのだとか!すごい技術です。

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宸殿の床下には、奈良時代末期~平安時代初期の「瓦窯(かわらがま)」の遺構が眠っています。さすが古代からの歴史が積み重なった場所ですね。

ナラプラス現地リポート

また、天井板貼りも施工中で、その構造がよく観察できる状態でした。今しか見られないとても貴重な光景です。

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地下の基礎工事を行うために礎石を一旦動かす必要があり、その礎石を原位置に正確に据直す方法を解説した模型もありました。日本建築の技法を進化させてきた大工さん達の知恵と技術を間近で見ることができた、素晴らしい体験になりました。

■重要文化財 旧一乗院宸殿、殿上及び玄関 保存修理見学会(※終了しました)


●日時:2021年2月27日(土曜日)10時~16時
●場所:重要文化財 旧一乗院宸殿、殿上及び玄関(唐招提寺境内)
●参加費用:無料(※別途唐招提寺拝観料が必要です)
●参加方法:当日受付(事前申込不要)
詳しくはこちらをご覧ください


(リポート・写真 / ナラプラスライター N)


(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 中路・林野
電話番号 0742-27-8325

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