シルクロードを介して交流があった両国
【ナラプラス現地リポート】(令和3年3月)
大駐日ウズベキスタン共和国大使館の協力を受け、ウズベキスタン文化交流イベント「ナウルーズ in 奈良」が開催されました。
中央アジアに位置するウズベキスタンは、ヨーロッパとアジアを結ぶシルクロードの交差路として栄えました。シルクロードの東の終着点として大陸より様々な文化・文物がもたらされた古都・奈良とは、古代よりシルクロードを介してつながっていました。
会場では、現地でシルクロード都市遺跡の発掘調査を行った帝塚山大学客員教授の宇野隆夫氏の講演、ウズベキスタン駐日大使による観光PRなどに加えて、華やかな民族舞踊が披露され、知られざるウズベキスタンの魅力に触れることができました。

奈良県コンベンションセンターの天平ホールで開催された「ナウルーズ in 奈良」。ソーシャルディスタンスを保つために席の間隔を開け、収容人数を減らして行われましたが、たくさんの観客が訪れました。
なお、“ナウルーズ”とは、ウズベキスタンの春の訪れを祝うお祭りのことです。

まずは荒井知事の挨拶です。ウズベキスタンがかつてはソグド人が支配した地域であり、歴史的に奈良県とは縁が深いことを、様々なエピソードを交えて紹介されました。
・鑑真和上の没後に唐招提寺の長老となった安如宝(あんにょほう)はソグド人だったと言われている。
・大仏開眼の際の舞に使われた伎楽面(ぎがくめん)は、鼻が高いソグド人をモデルとしていたのではないか。
・高松塚古墳壁画の「飛鳥美人」のスカートは、ソグド人のスカートと様式が似ている。 など。
また、ウズベキスタンとはこれからも交流を継続・発展させていきたいとの思いを述べられました。
続いて、ガイラト・ファジロフ駐日大使から、日本語でご挨拶をいただきました。
シルクロードを介して先祖たちが交易を行ってきた両国は、歴史や文化、そして自然にいたるまで共通点が多いのだとか。日本の「百聞は一見にしかず」と同じことわざがウズベキスタンにもあることを紹介した上で、「ぜひ現地へ来てみてほしい」とアピールされました。
現地での5年間の発掘調査をもとにした講演
【第1部】は、宇野隆夫氏(帝塚山大学客員教授、国際日本文化研究センター名誉教授)から、ウズベキスタン・サマルカンド市にあるシルクロード都市遺跡「カフィル・カラ城」において、5年間にもわたって取り組んでいる発掘の成果について講演が行われました。

サマルカンド市は、南はインドへ、北はウズベキスタン・タシケントへと続く“南北のシルクロード”、そしてユーラシアを横断する“東西のシルクロード”の十字路となる重要地点でした。
南北のシルクロード上に位置する、アフガニスタンのティリヤ・テペで出土した金冠は、聖樹をモチーフとした飾りをもち、多数の円形の垂れ飾りを金の糸で吊り下げています。東アジアでは非常に珍しいものですが、奈良・藤ノ木古墳から類似した金銅冠が発見されており、交流の証拠になると考えられるそうです。
また、カフィル・カラ城での調査では、ゾロアスター教の宗教儀式が描かれた浮き彫りの板絵や、インドやギリシャとの交流を思わせる金銀の宝飾品などが奇跡的に発見されました。
さらに、当時の王様の食事の様子や、この地で盛んだったゾロアスター教と仏教の関係性など、様々な興味深いお話を聞くことができました。
ウズベキスタンの観光プロモーションも

【第2部】は、ウズベキスタン駐日大使による観光プレゼンテーションです。
美しい四季があり、自然豊かなウズベキスタン。現代の日本人にはあまり馴染み深いとはいえませんが、世界有数の治安の良さも自慢で、日本人旅行者が無くしてしまった財布が無事に戻ってきたことなども話題になりました。“青の都”と呼ばれるサマルカンドなど、カラフルで美しい風景も多く、大変な人気を誇っているそうです。
優雅で華やか!ウズベキスタンの民族舞踊

【第3部】では、ウズベキスタンの民族舞踊が披露されました。
様々な曲調の音楽にあわせて、華麗なダンスが繰り広げられました。細やかな刺繍が施された民族衣装もとても華やかで、まるでウズベキスタンのお祭りに行ったかのようでした。

古くから伝わる踊りは「胡旋舞(こせんぶ)」とも言われ、高速回転するのが大きな特徴なのだとか。美しい民族衣装の裾、そして長い三つ編みにした髪が美しく翻ります。
中東やインド、イスラム教やゾロアスター教など、様々な文化的要素が感じられる優美な踊りで、これまで知らなかったウズベキスタンの魅力に触れることができました。
■ウズベキスタン文化交流イベント「ナウルーズ in 奈良」(※終了しました)
●日時:2021年3月13日(土曜日)14時~16時
●場所:奈良県コンベンションセンター 天平ホール(※事前申込制)
●内容:
【第1部】基調講演「シルクロード三題噺 -アジアとヨーロッパを結ぶ道-」宇野隆夫氏(帝塚山大学客員教授、国際日本文化研究センター名誉教授)
【第2部】観光プロモーション(駐日ウズベキスタン共和国大使館)
【第3部】ウズベキスタンの民族舞踊(GULISTON / グリスタン)
※詳しくはこちらをご覧ください。
(リポート・写真 / ナラプラスライター N)
(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 中路・林野
電話番号 0742-27-8325