【レポート】奈良県立美術館で特別展「ウィリアム・モリス」が開催中です

“モダン・デザインの父”の生涯を紐解く特別展

【ナラプラス現地リポート】(令和3年7月)

ナラプラス現地リポート

奈良県立美術館で、特別展「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」が開催中です。

ウィリアム・モリス(1834~1896)は、芸術家や作家など、多彩な分野で活躍した人物です。“モダン・デザインの父”とも称され、デザインを手掛けた植物をモチーフにした壁紙などは、今なお高い人気を誇っています。
産業革命後のイギリスでは、工場で大量生産された商品が巷にあふれ、かつての職人の手仕事による美しさが失われていました。モリスは仲間とともに会社を立ち上げ、身近な装飾美術品などを製作。芸術と生活の統一を目指してモダン・デザインを提唱した「アーツ・アンド・クラフツ運動」を先導しました。

今回の特別展では、モリス自身の、そして彼の仲間たちによるデザイン・工芸作品80点に、写真家・織作峰子(おりさく みねこ)氏が撮影したモリスにちなむ風景を組み合わせ、そのデザインの軌跡をたどっています。

ナラプラス現地リポート

第一展示室の様子。ウイリアム・モリスの作品とともに、彼が暮らした家や愛した風景を写した写真を時代ごとに展示しています。これまであまり顧みられなかったモリスの幼少期や学生時代にはじまり、晩年に至るまで、デザイナーとしてのモリスの生涯を紐解いています。

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モリスがデザインした壁紙の初期の作品となる ≪柘榴あるいは果実≫(1866年)。作品のモチーフとなった植物の写真なども展示されており、美しいデザインの源泉に触れられます。

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壁紙 ≪るりはこべ≫(1876年)と ≪りんご≫(1877年)。現代のような印刷技術がなかった時代ですから、浮世絵のように木版の多色刷りで仕上げています。間近で観察するとその繊細さに驚きます!

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円熟期の壁紙作品もずらりと並びます。チューリップ・すいかずら・きんぽうげ・やぐるまぎくなど、モチーフの多彩さも驚きです。時代を追うごとにデザインが洗練されているのが感じられます。

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また、会場ではモリスの生涯を追った映像作品2点も上映されています。とてもわかりやすく、ビジュアル的にも美しい作品ですので、ぜひ休憩をかねてご観賞ください。

美しい壁紙に加えてファブリックも多数展示

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今回の特別展では、モリスらがデザインした貴重な織物も多数展示されています。こちらは ≪ハマスミス・ラグ≫(1880年頃)。ペルシャ絨毯の研究に傾倒したモリスは、こうした手織りの作品も手掛けました。

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当時織られたファブリックが間近に観察できるのも、この特別展の大きな魅力です。 こちらは現在も高い人気を誇る、モリスの代表作 ≪いちご泥棒≫(1883年)です。藍(インディゴ抜染)に赤と黄を組み合わせた色鮮やかな労作で、内装用のファブリックとして使用されました。印刷の壁紙とは違う風合いがあります。

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ジャガード織りの ≪孔雀と竜(赤)≫(1878年)。西洋的なドラゴンとピーコック(孔雀)が対になって繰り返されています。

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こちらは別珍製の ≪チャーウェル≫(1887年)。内装用ファブリックです。間近で観察すると、あらためてその様式美に感嘆します。

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モリスは単なるデザイナーにとどまらず、詩人や作家としても高く評価されました。こちらはモリス自身が書いたファンタジー小説『世界のかなたの森』を、自身の印刷工房で製本したもの。3種類の活字体を組み合わせ、デザインや用紙にまでとことんこだわり、細部に至るまで美しいです!

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≪卓上ランプ≫(20世紀初頭)など、モリスの仲間たちの作品も展示されています。モリスが先導した「アーツ・アンド・クラフツ運動」の影響を受けた、芸術的な職人の手仕事で日常生活に美的な豊かさをもたらそうとする精神性が伝わってくるようです。

モリスに傾倒した巨匠・富本憲吉の作品展示も

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第6展示室では「ウィリアム・モリスを愛でた富本憲吉─館蔵品から」と題した展示も行われています。
奈良県出身の近代陶芸の巨匠・富本憲吉(1886~1963)は、モリスの芸術思想に傾倒して20世紀初頭にイギリスへ私費留学をし、モリスを日本へ紹介した先達の一人です。こちらは代表作 ≪磁器 色絵四弁花更紗模様 六角飾筥(じき いろえしべんかさらさもよう ろっかくかざりばこ)≫(1945年)です。

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富本憲吉 ≪土焼 粟田色絵金彩羊歯紋様 香炉(つちやき あわたいろえきんさいしだもよう こうろ)≫(1952年)。モリスと同様に繊細な植物の紋様を用いた富本の作品から、影響や類似点を見つけてみてください。

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ミュージアムショップも注目です。美しいデザインを活かしたファイルケースやポストカードはもちろん、Tシャツやトートバックなどが販売されています。人気の≪いちご泥棒≫のデザインを用いたカフェエプロンや傘などもありますので、ぜひチェックしてみてください!
(※完売となる可能性があります。品切れの際はご了承ください。)

■特別展「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」

●会期:2021年6月26日(土曜日)~8月29日(日曜日)
●開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)
●会場:奈良県立美術館
●休館日:毎週月曜日および8月10日(火曜日)※8月9日は開館
●観覧料:一般1,200円、大学生・高校生1,000円、中学生・小学生800円
※【同時開催】「ウィリアム・モリスを愛でた富本憲吉─館蔵品から」



●美術講座「美術とデザイン─近代から現代へ」

・講師:安田篤生氏(奈良県立美術館 学芸課長)
・日時:2021年8月1日(日曜日)14時~
・申込期間:6月22日(火曜日)~7月18日(日曜日)
※要予約・要観覧券・定員30名


●学芸員によるギャラリートーク(作品解説)


・日時:2021年7月24日(土曜日)、8月21日(土曜日)14時~
※予約不要、当日先着順・要観覧券


■交通案内

「奈良県立美術館」(奈良市登大路町10-6)は、近鉄奈良駅から徒歩約5分です。または、JR奈良駅から奈良交通バス「県庁前」下車すぐです。


(リポート・写真 / ナラプラスライター N)


(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 中路・林野
電話番号 0742-27-8325

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