【レポート】県立万葉文化館の開館20周年記念特別展「うま酒の国 大和」(11月23日まで)

文化を生み出す原動力だった「酒」

【ナラプラス現地リポート】(令和3年11月)


ナラプラス現地リポート

 

奈良県立万葉文化館で、開館20周年記念特別展「うま酒の国 大和」が開催中です。
『万葉集』には三輪の枕詞として「味酒(うまさけ)」と詠まれているように、酒は古来より神事と密接に結びついていたと考えられています。また、酒宴の場は、意匠を凝らした酒器や酒をテーマにした絵画などさまざまな文化を生み出す場ともなりました。
この展覧会では、文化の後援者としての酒造家の例についても紹介し、大和を中心とした地域における酒と文化の関わりについて、絵画・考古資料・古典籍・工芸品などの資料を交えて検討しています。
古より文化を生み出す原動力となってきた “酒” の世界の一端に触れられる、とても興味深い内容でした。

ナラプラス現地リポート

特別展「うま酒の国 大和」は、「神と人をつなぐ酒」「人と人をつなぐ酒」「文化を醸す酒」の三章構成となっています。
序章として、美しい表紙が目を引く≪万葉集(平仮名傍訓本)≫(奈良県立万葉文化館蔵)が展示されています。「うまさけ三輪」と詠んだ最初となる額田王の歌「味酒三輪乃山青丹吉奈良能山乃山際伊隠(以下省略)」(巻1-17番歌)を紹介しています。

ナラプラス現地リポート

三輪山そのものをご神体とする、日本最古級の神社・大神神社は、古くから造酒や製薬の神とされてきました。第一章「神と人をつなぐ酒」では、その由来が記述された『日本書紀』、三輪山で出土した、酒造りから神への奉納までの道具を模した土器≪山ノ神遺跡出土土製品≫(大神神社蔵)など、古典籍や考古資料を用いて紹介しています。
取材日(10月10日)には、担当学芸員によるギャラリートークが行われ、来館者の皆さんは熱心に解説に聞き入っていました。
解説中の大きな絵図は≪文政十三年三輪山絵図写≫(大神神社蔵)。明治初年の神仏分離で失われてしまった仏教施設も描かれています。また、この一帯が酒造りには欠かせない清らかな水が豊富であることも見て取れる、とても興味深いものです。

ナラプラス現地リポート

神聖なお酒は、恐ろしい大蛇を退治するためにも使われました。≪出雲国肥河上ニ八俣蛇ヲ切取玉フ図≫(揚州周延、島根県立古代出雲歴史博物館蔵 ※展示は10月31日まで)では、スサノオノミコトが、頭尾が八つある大蛇・ヤマタノオロチにまず酒を飲ませてから退治する有名なシーンが、大迫力で描かれています。

飲食そのものがテーマの珍しい絵巻も

ナラプラス現地リポート

第二章「人と人をつなぐ酒」では、人々が愉しんできたお酒とのつながりを、絵画や工芸品などから紹介しています。
江戸時代前期に描かれた≪伊勢物語絵巻≫から紹介されているのは、酒宴の場面も見られ、物語の中で重要な意味を持つ「狩の使(かりのつかい)」のシーンです。美しい金屏風に仕立てられた≪伊勢物語図色紙貼交屏風≫(ともに斎宮歴史博物館蔵)なども展示されており、同じ場面を比較して鑑賞できます。

ナラプラス現地リポート

≪酒飯論絵巻≫(愛媛県歴史文化博物館蔵)は、酒好きな者、ご飯好きな者、その両方をほどほどに好む者の三者が、効能について自説の優劣を競うというストーリーです。飲食そのものをテーマにした、とても珍しい作品です。

ナラプラス現地リポート

ガラスケースには、≪花籠蒔絵堤重≫(奈良県立美術館蔵)など、江戸~明治時代の酒器類が展示されています。生活の中で使用された酒を愉しむための道具の数々から、人々の生活と酒の深い関わりが感じられます。

ナラプラス現地リポート

弁当箱に屋外でも熱燗を楽しめる仕掛けがついた≪遊山用弁当箱≫、鍋をつつきながら酒も楽しめる炉付きのちゃぶ台≪すき焼き台≫(ともに奈良県立民俗博物館蔵)など、実用されたユニークな品々の展示も。人々の暮らしの中で、酒がどれほど身近で欠かせないものだったかが伝わってきます。

大和の酒蔵の特別販売なども開催

ナラプラス現地リポート

第三章「文化を醸す酒」では、販売促進のために製作された、近代の酒造メーカーのポスター類の展示が圧巻です。
白鶴の≪鶴模様の和服を着た女性≫は、着物の柄でブランドを表しています。有名な赤玉ポートワインの≪グラスを持つ半裸の女性≫(ともに株式会社サカツコーポレーション蔵)なども展示されており、酒文化の変遷が感じられます。

ナラプラス現地リポート

また、奈良県酒造組合の協力により、県内28のすべての酒蔵を紹介するコーナーが設置され、酒蔵マップや紹介パンフレットなどが配布されています。
11月13日・14日の両日には、すべての酒蔵それぞれ選りすぐりのお酒300ml瓶の特別販売も行われます。ぜひご来館ください!

■開館20周年記念特別展「うま酒の国 大和」

●会場:奈良県立万葉文化館
●会期:2021年10月9日(土曜日)~11月23日(火曜日・祝日)
●開館時間:10時~17時30分(入館は17時まで)
●観覧料:一般1,000円、高校・大学生500円、小中学生300円
●休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日) ※11月22日(月曜日)は開館

●「大和のうま酒」特別販売
・日程:2021年11月13日(土曜日)、14日(日曜日)
※「関西文化の日」特別展の観覧料が無料です。
・時間:各日とも 10時~17時(※売切次第終了)
●関連ワークショップ「毛糸のミニチュア杉玉を作ってみよう」
・講師:溝邊悠介氏(奈良県立民俗博物館 主任学芸員)、茶谷まりえ 氏(同館 学芸員)
・日程:2021年11月21日(日曜日)
・時間:10時30分~、11時30分~、13時30分~、14時30分~、15時30分~
・参加費:無料(※申込不要)
※1回につき参加者5名程度、所要時間30分程度。
※当日 10時から整理券配布。

※新型コロナウイルスの状況により内容が変更、または中止となる場合があります。あらかじめご了承ください。
※ご来館の際は、「うつらない」「うつさない」の予防措置の徹底をお願いします。




(リポート・写真 / ナラプラスライター N)


(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 辻本・林野
電話番号 0742-27-8325

この記事を読んで「いいね!」と思ったらお友達にシェアしていただけると嬉しいです。



このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらで更新情報をお届けしています!

Facebookページ まるごと奈良県リンク先(Facebookサイトへ移動します) Twitter せんとくんのつぶやき(twitterサイトへ移動します)

スマホアプリ『ナラプラス』で奈良県の最新情報をゲット!

スマホアプリ「ナラプラス」

このアプリでは、奈良県の地域の話題、奈良の観光や食、文化など、おでかけの情報や、くらしに役立つ情報、災害情報などを中心に記事を配信しています。

アプリの紹介記事ページへ移動する

ナラプラス春ver.

このアプリでは、奈良県の地域の話題、奈良の観光や食、文化など、おでかけに情報や、くらしに役立つ情報、災害情報などを中心に記事を配信しています。

アプリの紹介記事ページへ移動する

 

お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報紙係 TEL : 0742-27-8326 / 
FAX : 0742-22-6904
放送制作係 TEL : 0742-27-8056
県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327
相談ならダイヤル TEL : 0742-27-1100