平成31年4月24日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。

 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の案件は、天皇陛下御即位慶祝事業の実施についてでございます。それでは、知事から発表いただきますので、よろしくお願いいたします。


天皇陛下御即位慶祝事業について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 お手元の資料ですが、即位されるに当たりまして慶祝事業を実施するご報告です。

 1つ目は、5月4日の皇居での一般参賀の日に合わせまして、ご即位奉祝のための県庁内における記帳所の設置です。

 2つ目は、ここに例示がありますが、4月27日から5月6日の10連休中ですが、県庁1階玄関ホールにおいて皇太子殿下ご来県写真、先月の天皇皇后両陛下ご行幸啓写真のパネル展を実施いたします。

 3つ目が、即位の日に当たります5月1日に、資料に記載の文化施設4施設の観覧を無料にいたします。

 それから、万葉集ゆかりの令和改元に関する記念事業、既報でございますが、実施をしております。それに関する資料を提供させていただきます。一連のご報告ということでございます。

司会:
 ありがとうございました。

 それでは、本発表案件につきましてご質問ございましたら、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

天皇陛下御即位慶祝事業について

奈良新聞:
 今回、万葉文化館が特別展を開くということで、奈良新聞でも年末に入館者が少ないという指摘をしましたが、千載一遇のチャンスということで、今後、この間、4月にあり方の検討委員会とかも検討されているという話が出ていたので、そこら辺どういうふうな展開で盛り返しを考えているのか教えてください。

知事:
 万葉文化館のあり方自身というのはまだこれからです。何かファンクラブは、また新たに発足することを報告受けています。それから、来館者数自身は、飛鳥資料館などいろいろありますが、明日香村全体はとても地域として人気のスポットになってきてますから、明日香に向かっては盛り上がりはあると思います。

 万葉文化館も、当初の見込みという関係ではいろいろあるでしょうが、そんなにレベル的にどうかということも検証対象になると思います。

 明日香法がある中での万葉文化館ですので、ああいう万葉文化館と、周りの古墳、高松塚古墳とか、明日香の遺跡、風情とは、調和を保つ意味があると思います。それと飛鳥資料館という国の資料館がありますが、明日香を保存するという基本精神の中での万葉文化館だと私は思います。そのようなことも含めて、改めて国営公園にもなってますので、全体として、その中での県営施設のあり方をもう一度この機会に、奈良新聞で報道されておられたので検討しましょうかと動いてます。その様子はこれからというふうに関心を持っています。

奈良新聞:
 何か具体的にもう委員会設置などはございませんか。

知事:
 検討始まって、私もちょっと多少のアイデアはあります。万葉文化館だけでなく、飛鳥議連という大きな会合がございます。飛鳥議連という大きな会合があって、細田博之さんが委員長、もとは野呂さん、竹下さん、明日香立法ができたとき以来国政の関心事項になっております。国発祥の地である奈良県では記紀・万葉集がちょうど1300年前に平城京に移って、作られました。不思議なことです。

 藤原不比等1300年大遠忌がありますが、藤原不比等と持統天皇が主役だと思います。そのような飛鳥、藤原、平城という歴史をどのように歴史認識するかというのが私の関心事です。その中で記紀と万葉集というのは漢字が入ってきたときに古くから口ずさんでいた歌謡を漢字化し、記録に残したということです。というのは万葉仮名を発明したのは一つの当時の日本人の知恵だったと私は思います。そのような古代の歴史をどのように感じて県の施設を展示するのかを、改めて考える機会になればと思っています。

 大きな視野が必要かと思います。私の視野は相当狭いですので、県有施設だからああだ、こうだとはならないと思います。その設立の意図、今後の道筋は、もう少し議論するのが大事かと思います。また、この令和というのが万葉集から引かれたというのも、大きな関心を寄せるきっかけになると思います。

NHK:
 令和の改元が発表されてから、選挙の後の会見を除けば初めての定例記者会見ですが、まずこの令和という改元が決まってどう受けとめていらっしゃるのかと、またこれが万葉集という国書から引用されたことをどう受けとめていらっしゃるのか、そのあたり一言いただけないかと思います。

知事:
 改元について、万葉集から引かれているということですが、私ごときがその感想をいうのもおこがましい感じがいたします。それにほとんど尽きます。元号というのは、世界で使っているのはどこですか、中国は使っているの。

NHK:
 もともとは皇帝制度とか始まったらしいので、今はどうかわかりません。

時事通信:
 今は使ってないはずです。

知事:
 ないの。日本だけか。元号は日本だけ、というほうがとてもすごいなと思います。そういうのはちょっと調べて教えてくださいよ、というような感じなんで。いや、ふと日本だけかな、どうかなと思ったりして。その中で、中国の典籍を尊敬してきた日本だから、これらを利用しているというのも、一つおもしろいです。いまだに尊敬して使っているじゃないですか。

 改元と全く関係ないですが、渋沢栄一も「論語と算盤」で、論語を信奉して近代化をなし遂げたことだから、日本の漢字の利用も割とすごいなと思います。だからもう漢字は日本字です。日本の漢字の使い方は中国語の方にわからないように使っています。みんな漢字で書いてあるのを読めたらすごいね、向こうは簡略字にもなっております。もとの古い漢字は日本しか残ってなかったりするので、(韓国は)ハングルになったし、ベトナムはアルファベットになったし、漢字をそのまま、台湾以外に使っている国はあるのかな。ないよね、漢字国は。漢字国はどこなの。せっかく質問するんだから教えてよ、調べて。レベルをある程度上げて議論したほうがいいかと。

NHK:
 受けとめは今お伺いしました。一方で、令和ということで、万葉に関する今ご質問もありましたが盛り上げていかれると思いますがいかがでしょうか。

 万葉文化館とかですね、特別講座で万葉集かな、取り上げられたりとか、当然観光に資するようなイベントになると思います。その辺はどのように盛り上げていきたいとか、その辺何かお考えはあるんでしょうか。

知事:
 盛り上げていくというのは、NHKさんのお言葉ではないんですか。

NHK:
 我々としてもそうかもしれませんが、県として何かございますか。

知事:
 そうなの、盛り上げていくの、マスコミさんは。よく最近の知事で、改元でフィーバー起こすとかマスコミが騒いでるとかという記事がちょっと出てるけども、そういう盛り上げは、奈良県としては盛り上げていくということはあんまりございません。やっぱり厳粛に、改元というのを味わいたいですよね。

 盛り上げるというのはおこがましい言葉、奈良県は、私としてはあんまりしたくないです。どういうふうに盛り上げるの、NHKさんは。

NHK:
 改元というか、例えば万葉集で何か盛り上げていかれるような、こういうイベントも出されているわけですが、それはやっぱり慶祝という意味であって、何かこれを観光に生かすとか、そういうことは余り考えていらっしゃらないですか。

知事:
 目的は、記念事業で、改元でゆかりがありましたということをお知らせしたいということです。それは事実です。「盛り上げる」という言葉のようなことは気持ちとしてあまりないように思います。もっと厳粛に、改元の意味を、私個人としては味わいたいなと思います。

NHK:
 わかりました。


読売新聞:
 このパネル展ですが、奈良という皇族にゆかりの深い土地柄だから撮影できた、大極殿の視察や神武天皇山陵の参拝など、奈良だから県民の方と観光客の皆さんに見ていただける場面というのが割とあると思います。盛り上げとは違うかもしれないけれども奈良らしさを出せる部分かと思うんですが、そういった部分で今回のご即位に関してどういう思いでいらっしゃいますか。

知事:
 何か各地で盛り上げが盛んというように、報道姿勢を別に疑っているわけではなく、やっぱり即位、天皇陛下がかわられるというのはとても大きなことで、先ほど各国の例はどうですかなんていって、天皇制自体例がない、日本しかない仕組みですので、そのことを私としては味わいたいという気持ちがあり、盛り上げるとかおこがましいことを思うのは失礼だなと、ご質問を受けて先ほどから思っている次第です。事業をいたしますが、ゆかりが深いということは確かですので、そのようなことを奈良としては県民の人にも知っていただきたいですね。

 実際に奈良県へ来られたときの皇室のお出迎えの雰囲気というのは、とても温かい。(陛下に)じきじきお聞きすることはもちろんないですが、宮内庁へお礼の報告に行くのが通例で、この度も行き写真だけお見せしました。前の宮内庁長官はよく知っている人だったので、各地の奉祝の行列の反応がいろいろあって、奈良県はとても温かいですねといつもおっしゃっていただいております。それは天皇家とゆかりが深いということを、県民の、とりわけ古くから住んでおられる地域がありますよね。吉野のほう、国栖(くず)のほうとかね。天皇家のゆかりだとも思って、それを誇りに思っておられる方が結構おられます。県庁は北にありますが、南から明日香、吉野行幸があって、藤原京があって、この平城京に来たわけですが、よく言いますのが、今度の天皇陛下は第126代になられるわけですが、第50代の天皇が桓武天皇なんですよね。奈良から京都へ遷都されたのが桓武天皇、ということは、初代から49代、50人は奈良に何がしかお住まいだったと。初代が橿原におられますから、125人の天皇のうち50人は奈良におおむねお住まいになった経験がおありになりますよということを外国の人にも話したりします。そのことはとても誇りですので。そのような気持ちの延長で、このようなことをさせていただいていると私は思っております。

司会:
 よろしいでしょうか。

 ほかにご質問は、この案件ではよろしいでしょうか。よろしいですか。

 それでは、その他の質問も含めまして、ご質問をよろしくお願いいたします。

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元号の使用について

奈良新聞:
 2つだけちょっとお聞きしたくて、1つは、改元、元号というのは、識者と言っていいんかどうかわからないですけども、そういう人によってはね、もう何かなくしちゃってもいいんではないかというような論議の人もいる。それで続けてきているということで、例えば行政文書一つとっても、きょういただいているのも、ちゃんとこれは平成31年となっています、奈良県の分は。これはやはり続けていかれるということになるわけですよね、当然。

知事:
 (元号を)記載しないことを考えたことはない。

奈良新聞:
 ということになりますよね。やはりそれは、というのは僕らでもよく悩むんですけども、逆にこの最後のほうの図書情報館のとこの資料なんか見たらわかると思うんですけども、万葉集の紹介が出てきているんですけども、寛政元年と書いてあると。寛政元年って何年前だろうってわからんかったときに、うちの社も共同通信社さんなんかのハンドブックに倣って、寛政元年(1789年)と入れると、こういうスタイルをずっととってきているんですけども、そういう年号の考え方というのは、日本独特のものを持つというのはどういう意味であるかということと、先ほどもちょっと触れられたと思うんですけども、こういう西暦を入れるということとかと、どういうふうに知事は実際は感じておられるかなと思って、ちょっと。

知事:
 今、西暦が各国で使われる率が高いですけれど、西暦はキリスト教ゆかりの暦であり、そのほかにイスラムゆかりのヒジュラ暦というのがあります。これは622年が元年なんです。直接は関係ないんだけど、聖徳太子が亡くなった年がヒジュラ暦元年なんです。ヒジュラ暦は、イスラムに行くとみんな知ってます。だから、イスラムのヒジュラ暦はどんなふうに表記され、アルジャジーラはどのように表記しているのかということも少し興味があるんです。また、ヒジュラ暦がどのように使われているかについても、関心があります。西暦以外の年号あるいはその年号の数え方というのは、歴史的にも実用的にも意味があるように思います。標準化するか、個別の暦、経緯を残すかということです。

 日本には、もとは元号はなく、漢字も来てなかった。だから日本書紀では、聖武天皇のときの歴史とか、そういう記述です。日本書紀でも漢字で書いてある、漢文で書いてあるというのが最初ですから、年号は西暦ではわからないです。そのときに中国の元号から日本の元号にかわった時期があって、元号を使い出し、漢字2字で使い出したということです。

 中国の元号が意味があるのは、石上神宮の七支刀です。ちょっと字が薄いのですが、泰始四年と書いてあります。中国の元号で、泰始四年、これが285年だという説で、285年に韓国の百済の王が日本の大王に七支刀を贈ったと、漢字で書いてあります。これもハングル以前の話だけど、漢字で書いてあるのが当時の東アジアの国際語であり、年次も中国の元号が通用してたということも、意味があったのでしょう。先ほどお聞きしたらご本尊の中国が、またそのうち使うようになるかもしれないですが、元号を使わないということでした。しかし元号という風習が日本にあるというのは、おもしろいこと以上に誇らしいことだというふうに思っています。したがって、元号については誇らしい気持ちで使わせていただきたいと思っています。

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市町村サミット

奈良新聞:
 先日、記者クラブにも資料として投げ込んでいただきましたけど、26日に市町村長サミットをされて、そのときに地方政治についてで、3人の行政とか政治の若手のというか、40代ぐらいになる人たちですかね、学者さんを招いて、各市町村長にも出席してもらって、知事と話しされるということが書いてありましたけども、そのテーマが主に代議制のことであったりとか、二元代表制のことであったりということになっていた、改めて今度そういうことを開かれるということの意味というのをどういうふうに捉えておられるのか、お聞きしたい。

知事:
 26日に桜井で地方政治を題材にしたパネルディスカッションがあります。県が主催して、大阪大学の北村亘先生と、京都大学の待鳥聡史先生と、神戸大学の砂原庸介先生と、地方政治について勉強されてる先生が関西にたまたまおられるので、3人に来ていただいて、北村先生の講演と、私を入れた4人でのパネルディスカッションです。市町村長と、市町村議会の人が100人以上参加されるということで喜んでいます。私は、地方政治がよくなれば地域がよくなる、地方政治のうまくいっているところは元気になっているような感じがします。それを実証的に勉強する学問が余り日本で発達してなかった。発達してないというのは、地方行政とか地方財政とか地方制度というのは割と学問が発達して、地方の役人が、職員がいろいろ勉強する題材になるんです。地方政治というのは、その地方政治が学問として、まだ発達十分してないのはどういうことだろうかという本もありますが、余りにバラエティーがあってはっきりと捉えどころがないと、実証的にやるにもなかなか大変だというようなことです。

 徳川時代からずっと変わってきました。特に民生についてはほとんど村落に任されてたというのが私の持論なんですが、政府、幕府とか、城下町は侍の人を統治する侍同士の仕事で、民生なる町民、農家というのは、徴税の対象ではありましたが、管理というのがあまりなかったようで、人民管理も土地管理もなかったように思います。この部分の研究は割と進んできていますので関心がある。

 そこから明治になって、中央政府が地租改正で直接収税するとなって、じゃあ国は民生もやるんだなというふうに要求が出て、民権運動みたいな普通選挙になった。戦後はそれが定着したかのように見えるけれども、地方政府の隅々まで定着しているのかどうかというのが私の問題意識であります。定着して、最近の言葉では住民自治と言われる分野でありますが、住民自治が定着をしているのかどうかというのが研究課題であります。それと対語は団体自治、国と地方との間、地方分権とか団体自治の話ですが、住民自治の話は地方政治のあり方ということであります。代表制のあり方とかいうような話です。

 記事にもたくさん出ていますが、中央から来られる方は、奈良の地方政治を勉強して、じかに入る機会が少ないと思いますが、どうですか。期限も少ないからです。だから、地域に入るととても味わい深いとお勧めする面もあります。地域、地域の個性があるような感じがします。とりわけほかの地域から来られた方には個性を味わっていただきたいと思う次第です。

 国政のベースで地方政治を見るという風習がずっとありました。国の政治は議院内閣制だけど、地方は二元性なので、政治のシステムも全然違います。そういうふうにつくられた原因もまだよく知りません。国政では、議院内閣制、地方政治は、戦前までは知事は官選知事でありましたが、本当の選挙は普通選挙でした。地方の県会議員も選挙はありましたが、地方政治をどのようにするかということを、どんなふうに考えていたのかなというのが、今の研究テーマであります。今からでも、地方政治を活性化するというシナリオができればいいなと思っての勉強会であります。うまく話が弾むかどうかわかりませんが、開催意図というのはそのようなことであります。

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今後の奈良県のビジョンについて

時事通信:
 先日、知事が初登庁で、職員に挨拶されたときに、今後、奈良県政の新しい発展のビジョンが必要であるとか、市町村それぞれのビジョン等をつくって、連結させてやるということをおっしゃって、10連休中に考えてお示ししたいということだったと思いますが、具体的にどういう形になるのか、教えていただけますか。全くこれまでにない新しいものを何かプランとしてつくるということでしょうか。

知事:
 先ほどの質問と関連すると思いますが、地方政治をどのように発展させるかというのは、いろんな角度があると思います。地方政治独自の地方政府というか、地方政治独自の発展ビジョンは日本であり得たのかと。それぞれ絵を描く、選挙のとき特にマニフェスト政治があって、その絵を描く風習が出てますが、本当の地方の根っこがある、政治ビジョンというのはあり得たのかというようなことも一つ観点があります。といいますのは、今までは国の執行機関として県が位置づけられていた。国の動きに合わせて地方の民生なり社会保障あるいは開発など行われてきたというのが、大きな流れだったと思います。

 地方の発展は、例えば工業化あるいは道路、公共事業というので発展してきた面があると思います。公共事業が大きな地方発展の武器だったと思います。自民党政治と裏腹で、自民党の中で公共事業を地方に持ってくるのが地方の国会議員の大きな役目だった。地方の発展は公共事業あってというような政治がずっと続いてきた。それが公共事業はそんなに大きなポジション占めなくても、社会保障を均等にやる。これはまた差がありますよね、社会保障。医療についても、サービスについても差がある。それをどのようにさせるかというのは、国が一律で、診療報酬は一律だけども、一律にさせるかどうか国の課題であったんですが、地域医療構想は知事が策定して実行しなさいというのが、医療制度についてはとても大きな転換だったと私は思います。背景には、地方分権一括法が成立して、国と地方は対等だと、知事の責任を明確にしようという動きができたのは、2000年からです。最近のことですので、地方独自のビジョンというのは本当にできるようになってきたかもしれないというのが気持ちの背景にあります。

 地方独自のビジョンは、地域の発展形態はそれぞれ違うものがあるんじゃないかということからです。昔は北九州市に八幡製鉄をつくると、国営企業を置くということから、今の川崎の扇島に鉄鋼を置く。世界から鉄鉱石を集めて加工して輸出すると、加工貿易の国柄であって、国主導でありましたが、今は地方で雇用の道を探さなければならないということになってきたのが大きな変化、経済的にも。そうしますと、地域のビジョンは、地域の置かれた実情から出てくるものだと考えられるようになってきたと思います。

 奈良県は、人口が増えたのは大阪に勤務する人のベッドタウンでしたので、ポストベッドタウンというのが大きな課題になっていると思います。それは主に北和、西和の話ですけれども、人口減少、高齢化という課題は共通したテーマです。各地域のテーマを、奈良モデルで奈良県はまちづくりを協働でやろうと。そのテーマを見つけたほうがいいという議論を始めていますので、奈良県全体のテーマ、地域のテーマをうまく組み合わせて地域発展のビジョンになればと、今、基本的な考え方としてはあります。

 どのようなことを持ち出すのかというと、それを決めて出すというよりも、議論のためのビジョン案を出すことを考えております。このようなビジョンだとどうだろうかということの議論をしてもらう。国だと、それを審議会にかけてオーソライズして、これでやるんだと政権が発表するけど、そのようなスタイルがいいのかどうか。もっと議論を、この地域を発展させる、やり方について議論しなきゃいけないと思います。どのような議論のやり方がいいのかはもう少し考えなきゃいけないかと思いますが、どっかで練ってて、もし皆さん関心あれば、委員になりますか。そういうような。おもしろいと思うんです。議論だから、別に責任というか、オーソライズするという審議会じゃないから、議論するのは、もしご関心があればですね、いろんな支局を回ってこられて奈良に来たときは、奈良の実情はどうなのかということを、資料を通して直接知れるというメリットはもしかしたらあるかもしれないというようなことを、地域の実情から日本を発展させたらどうかと考え方を持ち始めていますので、奈良の地域ビジョンは検討の材料として、というふうになればと思っています。

 基本的にテーマは、人口が増えて、急速に人口が減少し始めた奈良県にどう立ち向かうかというのが方向、テーマになります。テーマをどうするかは、急速人口減少、それはベッドタウンというのが基本テーマです。すると課題が、政治課題が見えてくるはずでしょうと言いたい。政治課題を県民と共有化したいです。政治課題を共有化したい。

 それで、政治課題を地域の共通政治課題としてできてる、できていないところで、ばらばら感がある。ばらばら感って、私は関係ないと思っている住民の率が多いと、政治が勢いを増さないと、そういう理論なので、いや、そういう個別の利益追求は当然ですが、共通のテーマを持ってもいいじゃないかと、高齢化が一つのテーマだけど、世代間のテーマとして分かれ方も出てくる可能性があります。そのようなテーマの関心の違いというのも一つのポイントであると思いますが、そのことを踏まえながら、奈良県のビジョンを、押しつけじゃなしにフラットに意見が行き来することができればと思います。どのように展開するかというのはまだ課題ですが、そういうことを持ち出してみたいというのが県の発展ビジョンの案を出してみたいということをつぶやいてしまった経緯であります。

時事通信:
 大変関心があるので、もし報道機関側の人を入れてくれるというのであれば、ぜひともと思います。

知事:
 ああ、そうですか。そんな議論になるとね。市町村ともそうですが、テーマがあって議論するのはとても、みんなそれぞれデータも出ますので、そのテーマが正しいのかどうか、共通性が発生するのかどうかはとても大きなことです。政治の持っていき方の一つだと思います。

時事通信:
 それは非常に新しいことだと思います。

知事:
 そうですか。ではちょっと考えて。連休明けになると思います。


時事通信:
 関連して2点の質問ですが、まず1点は、たたき台なるものを大体いつごろまでに出されるのか、また議論の場をいつぐらいから始めるのか、スケジュール感を教えていただきたい。もう1点は、そのビジョンが県としてどういう位置づけになるのか。例えば、総合計画とか県のマスタープランとか、どのような位置づけのものになるか、知事のお考えを教えてください。

知事:
 いずれもビジョンの話ですね。位置づけは、今まで日本の発展形態は国がこうだと決めていろんな、おもしろいのは全国総合開発計画、今、第5次になっていますが、まだ決まらない。高度成長のときの第3次がピークで花形だったが、4次、5次になってくると、そんなの要るのかという議論から始まってなかなか決まらない。その中でリニアの位置づけとか議論されてるという関係なんですが。すると、全総という、総合という名がはやらなくなってきていることも関係してるのではと思ったりしています。

 すると位置づけは、先ほど申し上げましたように、国でもオーソライズしてこれだと決めて、国の予算、資源を投入、戦後の傾斜生産方式で、鉄鋼だ、繊維だといって、予算を傾注、資源を傾注したというための計画というのは意味があったと思います、傾斜生産。今は国が傾斜生産をするのはあんまり大きな規模ではないように思います。地方政府でもこれに力を入れてというほどの産業開発、大分の港湾開発とか、そのようなプロジェクトはあまりなくなっているような気がしますが。

 すると、このようなものは計画と言えるのかどうかというのが一つあります。計画は、今言われた計画、位置づけというか、どのようなものかというサブスタンスは、どのように呼ぶのか。まだとりあえずビジョンという程度。ビジョンは絵を描けばいいのかということになりますが、それはつまらないなと。実行が伴わないと政治じゃないとは思いますが、そのビジョンのサブスタンス、意味は今までの計画かと言われたら、そうでもないというようなことなんですが。上から決めて押しつけるような、やろうよと言って世の中動くような時代ではなくなってきているような気がします。

 その背景には、一つの高度成長に、集中して予算や資源を投入すれば、それでいいと、みんなハッピーになるようなシナリオはなかなか出てこないんじゃないかと見立てを持っています。もう少し要求が多岐的、多義的になってきています。世界もそうですが、日本もそうなってきている。それを対立的ではなく、調和的に運営するというのが政治の役目だと私は思うんですが、地域だと余計にそうだというように、目標を持ってやりましょう、一つ一つ順序を決めてやりましょうというのが政治の本質じゃないかと私は思いますが、そのようなプログラムを、ビジョンの次に来るのはプログラムということはあろうかと思います。プログラムをつくれたらと思います。ビジョンとプログラム、それを計画というと、昔の何とか総合がついた計画というような意味になりますので、ちょっと違うんだけれどもという感じで。じゃあどうなのと言われると、ビジョンがあって、そのプログラムという感じがあります。

 それから、スケジュールということで、そのような実行するのは、市町村もビジョンつくったらと。市町村のまちづくりのときに、このまちのテーマは何ですかとよく議論で聞くんです。まちをどのように発展させようと思っているんですかって首長さんに聞くんですが、いろいろあるんだけども、このような、これだというのを、計画は総合計画みたいなのがあるけど、総花的であることが多いですね。奈良県も昔あったかも、総花的で皆書いてあると。するとプログラムにならない。プログラムは順番決めなければということに、順番が決められるような計画になればいいけども、それは市においても同じようなことでありますので。

 もう一つは、行政の区域を市とか町村でやらないという、もう少しまとめてですね、圏域。例えば流域、大和川流域のビジョンというのは何かありますかということを投げかけたりしている。防災とか洪水対策がテーマとしてあるでしょうと。それはありますね。それは町を超えて共同作業にしませんか、プログラムにしませんかというような、それは個別ビジョンとして発生する可能性がありますよね。そのような投げかけをしているわけです。行政の区域ごとにビジョンをつくれということから超えて、行政を超えたビジョンということもこの中にある。それは地域医療構想の、構想もビジョン、これはそういう市町村域を超えているわけなんですが、そういう行政のビジョンがあるんじゃないかというのも入っています。

 そのスケジュールは、やってみないとわかりませんが、できるだけそのような議論を進めて、それぞれの首長さんや私の任期がありますので、任期内に何とかやったなと、どこまで進んだかなというふうに見ていただけるような、プログラムになればと思います。ビジョンとプログラムというように。プログラムの中には、どこまで進みそうだというのが出てくるように思いますので、5カ年計画とかというようなものとはまた違う雰囲気ですよね。国は5カ年計画、何かテーマを決めてやるぞといった、国の行政計画のような気がしますので、それに国民が全部乗っていった時代があったということで、今そのようなことはなかなかできないんじゃないかというふうに思っています。

時事通信:
 わかりました。10連休明けを楽しみにしております。

知事:
 またいろいろ議論を。もし、何かこういう場でなくても、いろんな議論する場所がね。皆さん、ご関心あれば、県内の実情、それぞれの実情を知っていただけるという機会にもなればとも思います。またお諮りいたします。

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奈良公園バスターミナルについて

奈良テレビ:
 バスターミナルが開業して10日余りがたちましたが、ここまで滑り出しの状況、知事の所感でも結構ですし、具体的な数字が出ていればお知らせいただきたいのと、あと3日もすれば10連休がやってきますが、どういった効果を見込めるかを教えていただけますか。

知事:
 これまでどんな様子か、数字をまだもらってないのですが、ちょっと心配でになって、月曜日の夕方見に行ったんです。月曜日は閑散としてて心配だなと思って、勝牛(バスターミナル内の飲食店)に暇そうだったから夕方入って、どうですかと聞いたら、きょうは珍しく暇なんですとおっしゃってたんで、、”珍しく”が入ったからよかったかなと思いました。そこでぷらぷら歩いていたら、奈良県内の女性の方が、良いものをつくりましたねとおっしゃって、もう一人は近所の老夫婦が、すごいなと、想像よりも立派なものをとおっしゃって、その2組だけですが、具体的な感想をいただいて、とてもうれしいほうの感想でした。

 数字は、またずっとフォローしていますので、店の販売状況とか入館状況とか出てくると思います。様子を見てみますと、スタバ(スターバックスカフェ)は随分はやっていますよね。東のほうの広い場所は、外国人も含めて休む場所あるいは子供をちょっと扱う場所のように使われていて、だんだんそれが定着するような気がします。バスの台数も、数字がまだ入っていないので今日は失礼しますが、関心を持っています。

 連休がどうかは、道路の渋滞あるいは奈良公園の混雑も含めてチェックしています。それとぐるっとバスの成果もチェックしたいと思います。そのようなことをこの連休5月3日から5日、ぐるっとバス利用者でなく、ミ・ナーラの駐車場とか向こうの駐車場、民間駐車場に駐められた人に、ぐるっとバスの一日無料券を配布するキャンペーンを実施しますので、それで駐車がずっと西のほうへ行くか、こちらの自家用車の混雑が多少緩和されるかどうかの実験をします。

 奥(大仏殿前駐車場)へ入って、奥だけ見て帰るパターンだけではなく、こちら(奈良公園バスターミナル)に入ってゆっくり見てもらうパターンになるべく持っていきたいと思います。三輪(大神神社)の参道もそうなんです。なるべく手前に駐めてゆっくり時間を楽しく費やしていただくのがコンセプトですが、西側になるべく駐車してもらって、ぐるっとバスの木簡切符を無料配布する実験をします。そのようなことが効果があるかどうか。

 今までもちょっと実験をして、多少効果があると発見していますので、奈良公園のアメニティー向上と混雑緩和の大きな目標で、奈良公園バスターミナルが、特にバス輸送では多少寄与することもあるのではと期待しています。

奈良テレビ:
 混雑という意味では、知事から見て緩和されたとお感じですか。具体的な数字は出てないとは思うんですが。

知事:
 バスは、何か今のところという感じで、多少緩和されている気がします。いつも思うんだけど、奈良公園の、昔は興福寺の前も道が細かったんだよね、東向きまでこちらのほうは随分道が細かったんですよね。それが広まったけども、県庁の東からは細いまま、大仏殿前までは細いままとなってる経緯がありますが、どうしてトラックなどが行き来するのかなといつも思うんですね、この県庁前がね。

 ナンバーをいつも見たり、いっときチェックしたんですけど、岡山とか埼玉ナンバーの大きなトラックが来ているのは、無料の名阪、天理のインターへ地上を走っていかれるトラックだなと思って、名阪から亀山のほうの無料通過交通の有料化も提案しましたけども、なかなかそうもいかないということで。そのために名阪通過車両の大型トラックの通過地で奈良公園を選ばれるのはちょっとしゃくだからということですね。それはまだ課題としてあります。奈良公園へ殺到される車だけじゃないと、特にトラックなんか奈良公園に何の用事があるんだろうと思っていつも見ているんですけどね。交通というのはどこでも行けるから、まだもう少しリサーチせないかんです。

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大和川の内水害対策

毎日新聞:
 大和川の内水害対策の件ですが、10日ぐらい前でしたかね、市街化編入抑制の区域を指定された形で、見える化という点でお示しされることについては多少評価できるのかなと思うんですが、今後、中長期的に今回指定されたことをどう生かしていきたいか、お考えをお聞かせいただけますか。

知事:
 市街化調整区域はそもそも国の法律で建築物が建てられないんですよね。ところが、市街化調整区域に住宅とか工場が建っている。それは、一つは市街化区域、調整区域という区分ができる前から建っているのと、その後何かの開発行為の許可、あるいは農家住宅の許可などで建った住宅地がある。心配しているのは、その住宅が建って、浸水被害の可能性があるところを知らない人に、危ないのを知らせずに売ったのではないかという疑いも持っています。しかし、今となってはそのようなことは暴き切れないわけなんですよね。これからそのようなことはないようにと、危ないところは危ないよということを周知して判断してもらうと。そもそもそういうところを開発許可や農家住宅の設置で住宅建つのは危ないですよということを警鐘鳴らそうと、わかった以上は警鐘を鳴らす義務があると県としては思っています。そのことに尽きると思います。

毎日新聞:
 既に、先に建てられている方も、あるいは住んでおられる方含めておられると思うんですけども、その人たちに対しては県としてどのように。

知事:
 残念ですね。きっと安かったと思うんですけどね。そのように不動産屋が売ってきたから、それもちょっとその当時うまくそうできたのかもしれないんだけどね。これ以上の危ないところには家が建たないようにというのが今の狙いだけど、今建っているところも含めて、その調整区域も含めて水がつかないようにということを防災対策で今やり始めているんですよね。防災対策で、亀の瀬というのがあるから、大阪のほうに流れないんでね、流す対策は限界があることは奈良県の大和平野ではわかっているので、ためる対策しかないと。

 ためるのを、大和川からあふれない、57年の映像がどこかで流れてたけど、あれだけ水がつくんだからと。鬼怒川で水がついたのを、同じ雨が大和平野の上に降ると、同じことが起こると。もうこれはデータでわかるわけなんで、そういうことがたまたま降らないだけだから、あのぐらいの雨が降っても水がつかないようにしようという計画を立てて、直轄事業でやっていただけるというので、大和川の5カ所の直轄遊水地と、内水遊水地をつくろうということで事業としては展開し始めた。

 奈良県のかねてからの課題は、そんな場合でも土地を手放されないというのが課題ですね。共通のビジョンの中で、防災対策しましょうよと。例えば大和川流域の町村で、大和川EU共同体になって防災対策、水がつかない共同体にしましょうよ、こう言ったときに、みんな協力してやろうよと、おまえとこ遅いなと、こう言い合ってやってくれる風情であればいいと。用地買収なんですよね。うちは水つかんもんっておっしゃるんだから。独特ですよね。

毎日新聞:
 また今回、地域としてはピンク色で、水につかる可能性がありますよと示されたわけですので。

知事:
 言ってあげるほうがいいんじゃないですか、言うようにしなきゃって。

毎日新聞:
 今のお話だと、行く行くは県として買い取りみたいな。

知事:
 そんなことはないでしょう。今の住宅は、みんな誰が知らせなかったかと、過去のことだからね、そんなにだましてかというところまで口に出そうになりますが。危ないところを安く売るという商売がはやってたのは残念ですよね。

毎日新聞:
今後、住んでおられる方から、どうしたらいいのかという声が上がってくる可能性があると思うのですが。

知事:
 用心しなければいけないですねということと、水がつかない、溢れないように今、県は一生懸命にしていますから、土地を売って「遊水地を早くつくってください」と言っていただくのが、私から見ると大変力強い政治発言だと思います。

 すると、その遊水地候補になってる人が、水がつく恐れがあるのは自分以外の別の人だからと思っていると、政治がちぐはぐになるじゃないですか。それで、かわいそうだからみんなの税金で使うわけですが、それがいいかどうか、それよりも全体がつかないようにお金を使うのがいいのかどうかという、政治判断を議論する必要がある。そのときに、地権者が絶対に土地を売らないということがまかり通るかどうか、日本独特だからと僕は思います。それで奈良の安全安心が、あるいは便利が阻害されてきたと、歴然たる事実としてあるわけです。

毎日新聞:
 住民さんたちの意識を高めるという狙いもあるわけですか。

知事:
 そういう結果になればと思います。住民同士が直接は対立してないが、利益の方向が違うわけです。皆、自分の土地は安全にしてほしい、どうしてこうなったのかという人と、いや自分の土地は安全だから、という人がいるのを、地方の政治によって調和的に両方うまくいくようにできないか、というのが政治の一つの活動です。政治は当然そのようなことを考えるわけですから、その方向性に共感してもらえるかどうかということですよね。

 共感というのは、一つは今のケースでいえば、遊水地を早くつくるように土地を手放していただく人と、いろんな事情があるから自分の土地を離れられない、離れたくない人がおり、今は現実には手がないですが、水がつかないように早く施策をしてほしいというのは共通の願いなので、もっと力になるようにできるかというのはあると思います。

 南海トラフの安政の地震では、数千人の人が亡くなられました。このたび放送がありましたが、水がつきやすい地域では「ここまで水が来て大変だったが、もっと来る可能性もあり、今自分の住んでるところは大変だ」と。それで高台に移りたいというときに行政はどうするのか、というのと同じ種類の質問であるんですよね。手はない、というのが実情だと思いますけどね。移る人はどうぞ移りましょうと。移るときに移る場所を用意するかは、なかなか判断が難しいですね。全体の防災対策として、津波対策というのは洪水よりもより難しい面があると思います。東北もそうですが、高台に移したらなかなか海での仕事はできないという実情があると思うんですね。移りたい人を応援してくれるのかという今のご質問には、多分手がないのではないかと言わざるを得ないと思います。

 洪水にしろ、津波にしろ、地震にしろ、どのように安全に住んでもらうかという、その課題はあると思います。少なくとも命は助けるというのが大基本になりますが、どんな場合でも安全だというのはなかなかないのが現実だと思います。いろんな災難、災害というのは起こってくるのを構えなければいけない。行政も構えないといけないが、住んでいる人にも備えていただかないといけない、ということが現実です。

毎日新聞:
 どのように安全に住んでもらえるかというのを住民の方にも考えていただくきっかけですね。

知事:
  そうですね、それが大事です。考えていただくところは命は助かっているんです。放送であったのですが、南海トラフでの地震の際に助かった人と逃げ遅れた人とがいて、逃げろと言ったときに、大丈夫だと言った人は助からなかった。危ないなと思った人は助かって、今テレビに出ておられるということはあります。やはり用心、備えというのは越したことはないと思います。どんなふうに来るかわかんないですから。日本は、そのような備えで生きてた民族だと思います、備えのあるところは強い、精神力が強いです。それは日本の誇りです。静かに強い。ほかも強いとこはありますが。

 日本は、例のスリランカのようなテロはないけども、災害はありますから、じっくりした備えが必要と思います。それは人任せでもだめです。行政もやることはあると思いますが、行政任せでもなかなか、能力を超えるような災害に襲われる可能性もあると思います。行政も備えが必要ですが、万全ではないと思います。

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県政の情報発信について

毎日新聞:
 地域の政治課題を県民の方に考えていただく、そのきっかけを与えるというのも県の役割でもあると思います。

知事:
 思っていただいて、ありがとう。感謝します。

毎日新聞:
 昨日耐震化チームの2回目の会合があり、資料を出されましたが、1回目と比べると大分わかりやすい資料が出てきたのと、これまでの検討の状況についても、いつぐらいから耐震診断をしてどういう経緯で今に至っているという部分もあって、そういう部分を出されてきたということは非常にいいことと思います。避難経路図もサンプルで出されてきてて、こちらもちょっとイメージがわかりやすかったので、そういったわかりやすい丁寧な情報発信をしていただければと思います。

 知事も選挙戦において、県政のことがあまり知られていなかった、伝わっていなかったということをおっしゃったと思いますが、今回の統一地方選でも維新が結果的に奈良でも思っていたよりも躍進といいますか、例えば市議選でもトップ当選された方が出たり、当初思っていたよりはやはり大阪の影響を受ける方たちが多いのではないかというのを改めて認識しました。知事の中でもなかなか伝わりにくさを感じておられる部分もあると思うですが、県政の情報発信という点では今後どのようにお考えですか。

知事:
 幾つかのポイントをおっしゃいまして、キャッチした部分の1つは、こちらの広報の姿勢についてです。行政広報マインドブックという案をつくり、書き直してもう一回提示して議論してもらおうかと思いました。最近の雰囲気だとあまり出さない方がいいと思ったんだけど、今の発言聞くと出してもいいのかなとも思い、少し揺れています。できればメンバーがまだそろっている間に行政広報マインドブックを議論したい。こちらの仕立てではありますが。

 行政広報マインドブックは、もとは中央省庁のクラブにいらっしゃったオノさんという毎日新聞のベテラン記者の方の言い残しドキュメントで、広報室長荒井にちょっと教えてあげるからというので聞いたことです。オノさんはもう亡くなったと思いますが、退任されても運輸省の関係のところに働いてもらっていたという、そういうとてもユニークな、味のあるベテラン記者です。そのような思い入れがあるものですから、それがまたここで多少復活するのも思い入れがあってうれしいなと思います。

 そこにも書いてあるのが、結果報道よりも経過報道ということ、YTTの原則だとオノさんは言っていました。YTTって知りませんでしたが、イエスタデー、トゥデー、トゥモローだとおっしゃっていました。どんな報道でも、今ここ報道、今どう思いますかと質問され、いやだからぐだぐだと、イエスタデーはこうだったですねと、明治にさかのぼったり、トゥモローまでなかなか言えないけどもというもの。今ここ報道から、YTTに行けばと。それはオノさんの教えでもあります。

 かつての耐震性という、今ここをちゃんとやるのかと住民の人はそういうふうにおっしゃるが、いやいや経緯があります。先ほどの住宅でもそうですけど、YTTでいえば、イエスタデーはこうでしたと。それがずっと経緯があってというようなことから、報道なり、こちらから資料を出してというような姿勢があれば。例えば、今ここどうなのかとこう聞かれても、いやイエスタデーはこうでしたと。そうご質問だけども余計なことを言いますが、といって広報するというようなことにもつながるかもしれないですね。そういう広報の姿勢はまだこれから。

 それからもう一つは、選挙のときはよく聞いていただいたというのが実感でありますけれども、よく聞いていただいたというのは、真面目な話といいますか、政策の話、これからどうだ、今までどうだというような話ばかりしていましたが、それでも聞いていただいたというようなふうに自分では思います。そういう話は、真面目な政治の話を聞いてご関心があるんだなというのはとても励ましになって、ああ、ありがたい話だというような実感があります。

 そのような人は、これから我が国、中央政治でも大事ですが、そのような人をどのようにコミュニケーションするか。先ほどの総合計画ではないですが、政府の一方的なプロパガンダではないんですよね。コミュニケーションから政策ができ上がっていくというパターンにならないものかと私は思ってますが、それを探りながらやるのに、マスメディアの人がどんな役割を果たしてくれるのかなというふうな関心はあります。報道という形で出るんだけど、出てくる意見が、決めたこちらの意見、報道される方の意見に沿ったものをとるのではなく、もう少し広く、バランスよくとるというのは割と難しいと思います。それをどこかで感じていただくようなことはできないかというような、私どもも行って初めて観衆、聴衆の反応でわかるというのが、先ほどの選挙のときにいろいろ勉強になりましたという言葉は、そういうことです。

 コミュニケーションから民主主義は成り立っているというふうに思いますけれども、コミュニケーションをどのようにするかと、地方政治の課題でもありますし、もちろん国政でも課題でもありますけれども、そのときに今おっしゃった県民の方の意識が、人口が急にふえて、大阪通勤者が生駒などでは5割を超え、平群も5割を超えているというときの、奈良県政への関心というのはどんなものかといつも言われますけど、そもそも僕らが街頭に立つときは、そういう人は出てこられないのが普通ですのでよくわかりませんけれどもね。関心を深めていただければ、それが共通の目的を共有していただくまでになればうれしいと思います。

 その都度訪問先で、今・ここ・私の要求はぶつけられたことあります。聞いておきますけども、そういう話だけじゃないんですよねと。今・ここ・私については市から伝わる話が多いですよねと。だからといって、市の仕事ですねと言ったら、そんなん知らんわというふうにおっしゃるレベルでありましたけど、それも含めて県政へのご理解というのが深まればいいなと思いますが、大阪に関心は十分おありになるのかなというのは報道で知りました。じかにはなかなかなかったです。

 あとは、大阪への影響。結果ではいろいろ出てますが、維新という政党についての投票が上がっているというのは、大阪でもそうですし、奈良県でも上がっているという、知事選の場合はどこに行ったのか、ちょっとよくわからないですが。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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