段々と寒くなり、温かいお茶にホッとする季節となりました。
コンビニに行くと、緑茶の他に紅茶、ブレンド茶等色々なお茶が並んでいます。市販の緑茶や紅茶に使われるお茶はツバキ科の植物で、大きく分けて中国種とアッサム種に分かれます。緑茶に利用されるのは主に中国種で、紅茶はアッサム種となります。お茶は収穫後、ただ乾燥するのではなく、様々な加工が行われます。緑茶は葉を収穫した後、すぐに蒸して、揉んで、乾燥させて作られ、蒸すことで、葉に含まれる酸化酵素を壊して、緑色がきれいになるようにしています。紅茶の場合は、蒸す工程はなく、収穫後、しおれさせ、揉んで、一定の温度に置いてから乾燥させて作られます。蒸さないため、葉に含まれる酸化酵素が壊れず、その働きでお茶は緑色から褐色になり、紅茶特有の香りが生まれます。このような緑茶や紅茶の製茶工程に従えば、品質は別として、中国種を原料に紅茶を作ることも、アッサム種から緑茶を作ることもできます。このようにお茶は、原料だけでなく、製茶工程が重要となります。
日本で珍しいお茶として、高知県の碁石茶、徳島県の阿波番茶、愛媛県の石鎚黒茶等があります。これらのお茶は、製茶工程で、微生物の働きを利用しています。微生物の働きで、独特の味や香りが生まれます。例えば碁石茶は乳酸菌の働きにより、酸味の強い味となります。また、抗インフルエンザ作用や、動脈硬化の予防等の効果があるのではないかと色々な研究が行われています。
奈良県は、柿の産地ですが、柿からとれる葉を利用した柿の葉茶があります。柿の葉茶にはビタミンCが豊富に含まれており、近年、健康飲料として注目されています。柿の葉茶の製茶工程は今のところただ乾燥させたものが多いですが、緑茶や紅茶等のお茶のように、製茶工程によって様々なお茶ができるのではと考え研究を進めています。
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現在研究中の柿の葉を原料にした後発酵茶の試作品
【豆知識】
お茶の製茶工程による分類で、緑茶は非発酵茶、紅茶は発酵茶と呼びます。発酵といえば、お酒やヨーグルト等の製造工程で、微生物による働きを一般的にイメージされると思いますが、お茶の業界では、葉に含まれる酸化酵素を働かせることを発酵と呼びます。烏龍茶は収穫した葉をしおれさせ、酸化酵素をある程度まで働かせた後、釜炒りして酸化酵素の働きを止め、紅茶ほど発酵させずに作ります。このことから烏龍茶は半発酵茶と分類されます。では、微生物を働かせて作る碁石茶などは、何と呼ぶでしょうか?答えは後発酵茶といいます。また、お茶を色で分類すると、緑色の緑茶、紅色の紅茶で、後発酵茶は黒茶と呼ばれます。では、烏龍茶は何と呼ぶでしょうか?答えは青茶と呼びます。
今はインターネット等で色々なお茶が手軽に入手できるようになっていますので、お試しされてはいかがでしょうか。