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とっておきの奈良
 千古の時を重ねた街道は、『日本書紀』推古天皇の条に「難波(大阪)より京(飛鳥)に至る大道を置く」と記され、最古の官道(国道)といわれています。大阪と奈良を結び、江戸時代から竹ノ内街道と呼ばれることになる全長約30kmの古道です。
 この街道が通る竹内地区は山の中腹にあり、深々と緑が美しい大和三山、二上山が一望に。高台に立てば奈良盆地も望め、大和の地が見渡せます。
 懐かしい情景が残る道筋には、歴史ある社寺や江戸時代末期の風情ある家並みが続き、古墳が点在。古道歩きを楽しむ人々からは「安らぎの道」と称(たた)えられ、作家・司馬遼太郎は著書『街道をゆく』の中で、竹内の景色は「大和で一番美しい」と著(しる)したほど。
 江戸時代には宿場町として栄え、訪れた松尾芭蕉や小林一茶が句に詠んだ同じ道を、さかのぼれば遣隋使や遣唐使、渡来人が往来。周辺では遥か縄文から弥生、古墳時代に至る遺物や遺跡も数多く出土するなど、幾重にもいにしえのロマンが重なります。
 ゆるやかに蛇行していく坂道をゆったりのんびりと散策。思いのままにさまざまなスポットに立ち寄って歴史を探訪したり、豊かな自然を味わったり。古き良き大和の情景に抱かれながらの古道歩きが楽しめます。
「大和棟の坂井家」
茅葺(かやぶ)きと白い漆喰壁(しっくいかべ)に格子戸が美しい、堂々たる大和棟の「坂井家」。
竹ノ内街道に面している。
「大和三山の遠望」
西光院(さいこういん)の裏手にある眺望スポットからは大和三山が見渡せる。
   
「昔ながらの小路」
かつて風車で粉を挽いた粉屋の前。往時の風情を残す街道脇の小道は、時が止まったようだ。
   
「芭蕉ゆかりの綿弓塚記念館」
見晴らしが良く、休憩所でもある綿弓塚記念館。街道沿いには連子格子(れんじこうし)の古民家が並ぶ。
   
「竹ノ内街道保存会」
地区住民は先祖伝来の財産である竹内の景観を誇りに思う人が多く、おのずと美しい情景が残されたのではと思っています。私たちの会でも、建物の風情を残すため申し合わせ、歴史を検証してマップを作り、寸劇を上演したことも。夏祭りでは竹燈火会で街道を彩るなど、地区の自然文化を次世代につなごうと約20人が活動しています。
(談:仲田正徳(まさのり)会長)


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