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第25回 奈良県教育懇談会討議の概要


     ◇日時  平成19年3月20日(火)9:30〜12:00

     ◇場所  奈良市鍋屋町15  共済会館 やまと

     ◇テーマ ・平成18年度教育改革の取組状況調査について
          ・奈良県らしい教育システムについて
    

        ◇発言のポイント
        ・習熟度別学習の実施については、学校の状況を踏まえ方法等を再検討をすべきである。

        ・教育改革にかかわる施策について、具体的な目標値や推進計画を示すべきである。

        ・先生が元気になるというのが、本来の教育改革。先生、学校を支援する体制が必要。

        ・「奈良県らしい教育システム」については、保護者や現場の声を聞きながら進めるべきである。

◇議事概要
【会長】
 まず、「平成18年度教育改革の取組状況についての調査」結果について事務局から。

【事務局】<資料について説明>
 
「平成18年度教育改革の取組状況についての調査」結果について
 学校の経営改善に向けた取組
  ○学校の教育目標、計画の公表
    88.1%が実施。保護者に対し、配布物により公表する学校が多い。
  ○教育目標達成度の公表
    保護者、地域の人々に配布物等で公表する学校がやや増加し、54.4%
  ○保護者及び地域社会等による評価を受けて教育活動の改善を図るシステム
    アンケートや意見聴取の実施率は、小学校74.0%、中学校72.0%、高等学校100%
 学力向上に向けた取組
  ○基礎・基本の確実な定着のための取組
    小学校は、反復学習、少人数指導、音読、スピーチ、補習、教材・教具の開発・工夫など中学校は
   少人数指導、反復学習、小テスト、補習、学習内容の精選、英語の歌など。
  ○習熟度別学習の実施
    小学校高学年では、13.2%の実施率。算数での実施が多い。
    中学校では、28.0%の実施率。数学、次いで英語での実施が多い。
    全般的に、実施率が低下している。(昨年度の実施率、小学校=18.0%、中学校33.6%)
    教員が子どもの理解度を確認しやすい、きめ細かな指導が可能など。反面、児童生徒どうしの教え
   合いがなくなる、不適切なコース選択などへの配慮も必要
  ○小学校高学年での学級担任制の弾力化
    16.9%の小学校で実施(昨年度の実施率、31.6%)
  ○読書タイムの設定
    小学校93.2% 中学校83.2% 高等学校43.2% 障害児教育諸学校33.3%
 体力向上と健康増進に向けた取組
  ○体力テストの実施
    小学校70.3% 中学校57.0% 高等学校93.2% 障害児教育諸学校55.6%が実施
  ○小学校での1校1運動など、子どもの身体活動を促す取組
    47.5%の小学校が実施。ランニング、縄跳びを行っている学校が多い。剣道、木剣体操、竹馬、登
   山、一輪車など地域等の特色に応じた取組もある。
  ○健康3原則(規則正しい食事、適度な運動、十分な睡眠)の習慣付けの取組
    朝食の摂取、運動の奨励、規則的な生活習慣の指導などについて、何らかの取組を行っている学校
   は、小学校79.9%、中学校57.9%、高等学校70.5% 障害児教育諸学校88.9%
 授業改善に向けた取組
  ○校内での相互の授業公開で評価しあう機会の設定
    小学校96.8% 中学校72.9% 高等学校70.5% 障害児教育諸学校88.9%
  ○児童生徒の意見を取り入れることによる授業改善
    積極的に進めている学校は全体で36.9%
  ○保護者や地域の人々への授業公開
    全校種で100%実施。保護者がいつでも参観可能なのは、小学校24校、中学校13校、高等学校7校、
   障害児教育諸学校6校
  ○講師として地域の人材の導入
     86.3%の学校が実施
 勤労観・職業観の育成に向けた取組
   小学校・・・・・・校区の商店、スーパーマーケットなどでの調べ学習、消防署、清掃局などの
         職場見学等
   中学校・・・・・・職業調べ、職場体験学習、職業人を招いた授業や講演(職場体験学習は、ほ
         とんどの学校が第2学年で3日間実施。中には、4日間又は5日間実施する
         学校もある。)
   高等学校・・・・職業人を招いた授業や講演、インターンシップの実施
 社会性の育成に向けた取組
  ○あいさつや言葉遣い等の指導
   小学校198校、中学校98校、高等学校38校、障害児教育諸学校7校で実施
  ○ボランティア活動への参加推進
   小学校109校、中学校74校、高等学校37校、障害児教育諸学校4校で実施
  ○上級生と下級生の合同による交流事業の実施
   小学校160校、中学校32校、高等学校8校、障害児教育諸学校7校で実施
 その他
  ○大学生(短大生・院生を含む)が学校の教育活動の支援に入る事業の実施
   小学校38.8%、中学校31.8%、高等学校18.2%、障害児教育諸学校35.4%で実施
  ○保護者・地域等の人達が学校の支援に参画する事業(外部講師以外)の実施
   小学校55.7%、中学校53.3%、高等学校31.3%、障害児教育諸学校50.0%で実施
  ○現在重点的に取り組んでいる、学校における教育改革
   小学校・・・・・・・学力向上、子どもの安全確保、学校の経営改善、地域連携…等
   中学校・・・・・・・学力向上、学校の経営改善、キャリア教育、教員の資質向上…等
   高等学校・・・・・・学力向上、学校の経営改善、教員の資質向上、地域連携…等
   障害児教育諸学校・・学校の経営改善、子どもの安全確保、教員の資質向上、地域連携…等
 「教育懇談会提言にかかわる取組状況とその評価」について
  これまでの、教育懇談会からの提言に基づき、平成14年度から平成19年1月末までの県教育委員会
 事務局が実施した事業等について、各担当課が自己評価をし、まとめた成果と課題の説明

【委員】
 昨日出席した奈良県の健康促進の会議では、朝食をとっていない子どもが多くいることについて話題となった。健康3原則の習慣付けについて、県教委の調査結果は好ましい数値になっているが、今後、健康促進会議等とも連携を取って行われてはどうか。

【委員】
 健康3原則の習慣付けについて、中学生の朝食を食べている割合の57.9%は低い値であり問題だ。中学生という一番身体のできていく時期にこの数値では問題があるということを、県教委として強く意識していただきたい。教育目標達成度の公表については、目標・計画の公表が9割くらいの学校でやっていて、結果についての公表は半分しかできていないというのでは、だめな組織の典型ではないか。何のために計画を立てているのかということになる。この点については、指導いただきたい。

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習熟度別学習の実施については、学校の状況を踏まえ方法等を再検討を
  すべきである。


【委員】
 習熟度別学習については、数年前に授業参観をさせていただいたが、その時うまくいかないのではないかという思いがあった。習熟度別で成果を上げているところは、かなりのエネルギーを使って、ほとんどの科目で取り組んでいるから成功する。一部の科目では小手先になってうまくいかない。奈良県では、もう一度原点に立ち返って、本当に習熟度別学習は必要なのか、学年や学校の状況を踏まえて、再度研究することが必要。公立学校では習熟度別より、補習の方がうまくいくのではないか。
 大学生や保護者、地域の人々の教育活動支援については、かなりの人数が参加するようになってきており特筆すべきことだと考える。支援の拡大をさらに進めていただきたいが、大きく評価できる取組である。

【委員】
 勤労観・職業観の育成に向けた取組は、インターンシップ等に力を入れていただいていることで、数字の方も上がってきている。欧州の研修に参加したが、スウェーデン、ドイツなどでは、特に勤労観と職業観にかかわる教育を義務教育に多く取り入れている。加えて高校を卒業してからの職業教育も継続して行われ、それを受けた者は優先的に職業につけるという実態がある。日本でも大学に進学するための勉強ではなく、勤労観・職業観が育成される学習を重要視すべき。職場体験やインターンシップの実績については、数字は上向きだが、まだ期待していた程の数ではないと感じている。また、職業人を迎えた授業や講演については、労働組合の立場からのノウハウの継承や職業観の育成の機会もあればと考えている。

【委員】
 過去に習熟度別学習にかかわって、ある中学校を見学したが、平等主義というか、差をつけてはいけないという意識を先生方が強く持ち過ぎているのではないかと感じた。私見であるが、補習も一つの考え方ではあるが、個々の子どもに対するきめ細かな対応は、学習塾や家庭教師で個人的にやりなさいと指導していく以外には無理だというのが率直な思いである。公立学校が一律に行うことには無理があり、それをやることについては考え直すべきではないか。

【委員】
 児童、生徒たちが、自分の現在の学力レベルやランクを認識していないのが問題ではないか。学校もデータを明らかにしないということが問題と考える。習熟度別学習でも、現状ではせいぜい基本クラスと通常クラスの2クラスに分ける程度。基本に立ち返るクラスの子どもたちは学習レベルを下げたからといって、必ずしも熱心に学習するわけではない。勉強しない子どもたちの問題は別のところにあり、習熟度別学習の方法の問題ではないと思う。自己の学力レベルが低いことを各自、認識することが一番大事なことではないか。そのために県下一斉の学力テストを実施できないか。

【事務局】
 4月24日に小学6年、中学3年の児童生徒を対象とする、全国一斉学力テストが実施される予定である。

【委員】
 7〜8年前に習熟度別学習で成果を上げている横浜のある学校を見学した。そこで聞かせていただいた印象的な事例は、帰国子女は英語の学力が高いため、プライドをもって頑張ることが多く、国語等の不得手科目も着実に学力アップすることができるとのことであった。他の子どもたちも、全ての教科ができない子はめったにいないので、1つの教科でも上のクラスにいれば、その子は他の教科についても頑張れる可能性はあるとの考えに立ち、学期ごとにクラスを入れ替えるなどの工夫をし、インセンティブを働かせることを重視しているとのことであった。このようなきめ細かくやれる体制、オープンにして頑張れる体制がないと、習熟度別学習で成果を上げることは難しいのではないか。

【会長】
 習熟度別学習については、実施率の数字だけが示されているが、実施校で成果がでているかという質的なレベルでのレポートはないのか。

【事務局】
 成果の具体的な中身の確認はしている。子どもの理解度が促進したという報告は、学校に対する調査の記述部分で見られたが、理解度の向上を具体的な数値で表したデータは持っていない。

【会長】
 習熟度別授業を行っている学校で、教員や子どもの意識はどう変わったのかを把握しているのか。教育委員会としてはどう評価しているのか。実施学校数だけを比較することは、あまり意味がないのではないか。
 習熟度別学習に取り組むことで一定の成果が見えても、改革を行うことは、教員の負担を確実に増やすことになっている。習熟度別にエネルギーを割くことによって、別のところに問題が起こってくる可能性はある。教育活動の一部だけを重視するのでなくトータルに評価することが必要。改革をやればやるほど、全体として現場の先生方が疲弊するということではいけない。

【委員】
 このシステムを機能させるには、児童生徒を適切に分け、分けたクラスに応じた学習方法がある程度確立しているか、あるいは、フィードバックして確立していける可能性があることが大前提だと思う。それらが曖昧なままで導入すると、ただ児童生徒をクラス分けしただけになってしまう。
 また、思春期に導入する場合、メンタル面のフォローと一緒にやらないと、子どもの成育によくない影響があると考える。学校が、無菌状態で人工的で平等な世界であるべきとは思わないが、そのあたりの配慮は必要である。

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・教育改革にかかわる施策について、具体的な目標値や推進計画を示すべ
  きである。


【委員】
 教育改革の取組状況調査全般について聞きたい。県教委としては、これらの調査項目の目標として、何年か後に100%になることをめざしているのか。例えば、昨年と比較して数値の下がっている項目もあるが、これはこれでよしとするのか。具体的に目標値を設定しているのか。この調査結果をただ見るのではなく、奈良県の子どもはどこが強くて、どこが弱いのかを読み取って、次の課題解決に向けるべきと考える。
 教育懇談会の提言に対する取組状況でも、冊子を配布したという事業があるが、それを成果と判断していいのか。冊子がどう生かされたかというところまで調べて成果が分かるのではないか。
 教育懇談会の提言に対する6年間の取組が網羅されているが、少し物足りないと思う。全県的な教育改革の柱のもとで、目標値や推進計画を策定しているのであれば教えてほしい。

【事務局】
 全県的な教育改革については、30年後の奈良県を見通して昨年度策定した「やまと21世紀ビジョン」、同「実施計画」に基づいて取組を進めている。その中の「学び」の分野で教育懇談会で提言いただいたことをすべて網羅したと考えている。30年は長期のスパンということになるので、5年ごとに「実施計画(アクションプラン)」の部分を見直すという作業を行う予定である。

【委員】
 例えば、評価Aとあるところも、資料配布と書いてあるが、その結果、学力が向上したのか、をよく見てほしい。時間の経過からまだ難しい部分もあろうが、例えば、体力や学力の分布図でレベルの低い部分がどのように改善されたのかトレースして欲しい。数値で示さなくても大学院の経営学研修を受講した教員の活躍内容を具体的に紹介するだけでも効果的である。目標がどのように達成できているのか、そのプロセスを教えてほしい。

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・先生が元気になるというのが、本来の教育改革。先生、学校を支援する
  体制が必要。


【委員】
 今、学校の先生は事務に忙殺されている。先生方の事務処理のバックアップについても研究すべき。子どもたちとかかわる時間が削られてしまっているという実態がある。

【会長】
 先生が元気になるというのが、本来の教育改革ではないか。数値が成果を示すとは限らない。成果を上げた具体例を紹介するということだけでもインパクトがあると考える。

【事務局】
 各委員仰せのとおりと思う。各委員からのご指摘があったプロセス等の評価や具体例による評価について検討して参りたい。
 個人的には、奈良県の子どもの学力は全国的にも高いという認識をしている。県民性として、保護者等も高学歴に対する強い思いを持っているのではないかと推測する。この思いが、逆に子どもにはストレスになったり、子どもの体力・運動能力の低下につながっているのではと危惧している。現在、子どもの体力・運動能力の向上にむけた取組の充実を図っている。
 委員から指摘のあった大学院の経営学研修を受講した教職員については、その成果を見える形にして、他の教職員の励みとしたい。

【委員】
 教員の社会体験研修について、対象人員の増をお願いしたい。

【委員】
 工業会の関係から申し上げる。現在、1か月間程度の企業研修に参加した県職員が500人程度いる。残念なことは、研修が終了すると行政と民間とのつながりが希薄になってしまうこと。研修期間中のつながりがいつまでも継続するようなことを考えてはどうか。

【会長】
 教員が、教員の世界の外側の世界に触れることは大事なこと。また、海外の経験をもつ人を教員としてもっと活用すべきである。

【委員】
 個人的には奈良県の子どもの学力はすごく低くなっているのではないかと危惧している。今年の公立高校の入学試験の問題レベルは従前と比べると相当易しくなっていると思う。また、特色選抜は実施科目が少なく、子どもの学習意欲を低下させているのではないか。特色選抜試験科目以外の科目をいい加減にしている子どもの実態がある。だから県下一斉の学力テストを定期的に実施することが必要だと思う。

【委員】
 子どもの読書活動推進についての取組報告は成人を対象にしたものだけであり、子どもを対象にした取組を行うべきではないか。子どものための図書を購入したり、推薦図書リストを作成するなどの取組を推進すべきではないか。

【事務局】
 県教委としては、市町村単位で読書活動推進計画を策定するよう、積極的に働きかけているところ。平成18年度末で、7市町村で策定されている。生涯学習の観点から子どもだけでなく成人も含む全ての県民を対象とした読書活動推進に取り組んでいる。図書の推薦リストについては、学校の教員も参加して作成いただいていると聞いている。
 図書購入は市町村教育委員会の領域。機会があれば図書購入、充実のお願いをしている。

【委員】
 保護者の過剰なクレームで困っている教員が多いのではないか。非常事態にきちんと対応できるような体制づくりを考えることが必要ではないか。

【事務局】
 本県でも事例は多く、困っている教員、学校は相当数ある。困っている教員、学校に対して支援、対応できるチームの編成を検討しているところ。その他に、小学校教員用に事例集「16事例で考える小学校と家庭との連携」を作成し対応例を示している。

【委員】
 対応チームを作る場合、教育関係者だけで作るのではなく、外部の者を入れて作るべきと考える。

【委員】
 現在、クレーマー対応は、どんな組織においても求められていること。身内をかばい合う体質にも問題があるので、第三者機関により対応する仕組みが必要だと思う。

  <休憩>

【会長】
 では、次に「奈良県らしい教育システム」について事務局から。

【事務局】 <資料について説明>
  ・小中一貫教育について(構造改革特区での実施状況)
   東京都品川区の小中一貫教育の例
    4・3・2の学年区分、教科担任制や学校設定科目について、学校選択制とのかかわり
  ・中高一貫教育について(全国197校で実施)
   3つの形態(中等教育学校、併設型中高一貫校、連携型中高一貫校)について
  ・コミュニティースクールについて
   地域に開かれ、地域に支えられる学校づくり
    保護者や地域の人々が参加する学校運営協議会による学校運営のしくみについて

【会長】
 考え方の出発点は、中学校段階における様々な課題であるが、これらの課題に立ち向かっていく手法の一つとして制度導入を考えるというのが県教委の考えなのか。
 このテーマで議論を進めて行くには、委員が共有の知識を持たないことには、前に進めない。今後の懇談会の進め方としては、今回が問題提起、次回の会議で事務局からの新たな提案を受け、本格的な議論を展開し、平成19年度一年間をかけて議論の集約ができればと思うが、この考え方でよいか。
 説明の内容について質問はないか?多様な形態があるのは説明のとおり。

【委員】
 小中一貫教育について、品川区の例では、道徳やモラルに関する学習について記述がないことが気になったのだが。

【会長】
 文部科学省の学習指導要領を基に教育するとの説明があるので、それに沿った指導がある。また、新しい科目「市民科」の中で取り組まれている。

【委員】
 今の子どもたちには、公共心、規範意識を重きにおいた教育を進めることが大切。家庭教育の会議に参加しているが、中学校の子どもを対象にした取組が不十分であることが不安。

【会長】
 中学生は、かなり精神的に不安定な時期である。中1ギャップ、小学校から中学校に上がるときの学習、生活両面での段差が大きい。また、小学校と中学校では先生の目のつけどころが違うという話を聞いたこともある。集団づくりも大きく変化してくる時期であり、家庭でも対応は難しい。

【委員】
 品川区の「市民科」は全く新しい教科なのか。

【事務局】
 「市民科」という名称は、品川区独自のもの。道徳、総合的な学習の時間、特別活動を融合させたもので、独自の教科書も作成している。品川区では、勉強や生活の根っこを作る学びとして位置付けている。ねらい等については、インターネット等にも詳しく掲載されている。

【会長】
 文科省の学習指導要領を前提としながらも、集団社会を形成する基礎となる力を養成するとしている。

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・「奈良県らしい教育システム」については、保護者や現場の声を聞きな
  がら進めるべきである。


【委員】
 県教委が新しい試みにチャレンジしようとすることは評価するが、現場の教員は小中一貫教育等をどう考えているのか、県内または先進県における現場の声を聞きたい。

【委員】
 9年前にアメリカでコミュニティースクールを視察した経験がある。そのとき感じたことだが、アメリカではポイントが2つあった。1つは、学校運営協議会は口は出すが金も出すということ。
2つ目は、校長人事に積極的に関与していることである。そこまでしないことには成功しないと思う。導入することについては前向きに取り組むべきであると思うが、そこまでやれるか危惧する。また、中高一貫教育は都市部で、小中一貫は周辺部(郊外)で運営するのがよいと思う。
 東京都ではいろいろ取り組まれているが、区により様々、バラバラであり、すぐに倣うのは間違いが起こるのではないかと危惧する。おそらく評価が出るのには数年かかると思う。例えば京都市の例をじっくりとみてから、まずチームによるモデルづくりを進めるなど、十分準備をしてから広げていくべきと考える。

【事務局】
 現場の状況は、奈良県では小中一貫を特区で、葛小中学校、田原小中学校において実施している。田原小中学校では同じ校舎で運営している。田原小中学校からは、「生活面で教員が児童生徒に触れる機会が増え、子どもの理解が進んだ。」「中学教員が小学生時代からの子どもを知ることができ、教科の接続が容易になった。」「9年生と1年生などの異年齢の交流が盛んになった。」等が成果として報告されている。課題としては、4・3・2という学年構成にしたため、4年生のリーダーシップが目立つようになったが、6年生に戸惑いがみられるということが報告されている。

【会長】
 事務局から紹介いただいた小中一貫の実践例は周辺部(郊外)での運営の例である。

【事務局】
 平成19年度からは、10の地域の小・中学校を推進地域、推進校に指定する。また、有識者等を交えた小中一貫教育連絡協議会を立ち上げる予定。

【会長】
 小中一貫を導入した場合、教員の区分は変化するのか。

【事務局】
 小学校教諭、中学校教諭の区分はそのままである。

【委員】
 小中一貫導入による教員側の声は紹介いただいたが、保護者の声はどうなのか。

【事務局】
 今のところ保護者の声は聴取していない。ただ、学校を通じて保護者は協力的であると聞いている。

【委員】
 今後の小中一貫教育導入を検討している学校の中に、大規模校はあるのか。

【事務局】
 推進地域10のうちに、大規模校はない。

【委員】
 小中一貫校の4・3・2という新たな学年制について、どのような教育を行うのか、教育課程はどうなっているのか聞きたい。転出入学の際、不都合は生じないのか。

【事務局】
 基本的には、従来の学年で扱う教科書で学習を行う。

【会長】
 教科指導は学習指導要領に基づいて行われるが、9年一貫教育のため、教育課程を効率的に編成することになる。独自編成が認められる部分も大きい。また、45分授業を5〜6年生からは50分授業にするといった工夫も可能である。転出入学には一定の配慮がされることで対応するようである。

【委員】
 今後、奈良県では小・中学校の統廃合はどうなるのか。

【事務局】
 公立小・中学校の統廃合は徐々に進んでいる。小学校については、以前250校あったが、平成19年度には216校になる。今後については、市町村合併の動向によって変化するものであり、ちょっと予測は難しい。

【委員】
 これまでの皆様のご意見はもっともな意見であると聞いていた。今の子どもには基礎的な人間性の教育が欠けていると感じている。人の役に立つこと、おかげさまということをしっかりと教育していかなければならないと思う。心の問題を幼少期から育んでいただきたい。

【委員】
 現代社会では、共働きが一般化してきている。今後、学童保育の充実が必要だと思う。学校の空き教室の活用についても工夫していただきたい。

【会長】
 事務局が提示した事柄について議論を深めていくと、学校選択制についての議論になると考える。コミュニティースクールについては、社会総ぐるみでの教育というスタンスの話となる。さらに、チャータースクールの話に進んでいくものであり、キチンと議論していかなければならない。委員の方々で、議論を進めるにあたって必要な資料等があるならば、その旨、事務局に対して申し出て欲しい。インターネットでも多くの情報が流されているが、東京都三鷹市の取組も参考になる。事務局も、議論に必要な資料を積極的に委員に示されるなど、努力を払われたい。

                                            (以上)

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