新型コロナワクチンの副反応疑い報告状況について(全国)

新型コロナワクチンの副反応疑い報告状況について(全国)(更新日:令和3年12月9日)

 予防接種に伴う副反応等については、予防接種法第12条の規程により、副反応等症状を診断した医師等から厚生労働大臣に報告することが義務づけられています。また、新型コロナワクチンについては、新しいワクチンであることから、ワクチン接種との因果関係が分かっていない症状も含めて幅広く評価を行うため、副反応疑い報告を積極的に行うようお願いしています。

 副反応疑い報告は、医師等からPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)にFAX等でご報告いただき、PMDAは医師等から報告を受理した後、速やかに厚生労働省へ報告します。厚生労働省は、機構から報告を受理した後、速やかに都道府県に当該報告を情報提供し、当該報告を受け取った都道府県は、速やかに予防接種を実施した市町村に情報提供します。

 報告された副反応等については、厚生労働省、国立感染症研究所又は機構において調査等を実施した後、個人情報に十分配慮した上で、公開の場で検討されます。報告された副反応疑い報告やその検討結果については、厚生労働省のホームページ上で公開されています。

 「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html

 

 全国の医療機関から報告された副反応疑い報告について、令和3年11月14日までの分として公表されている資料※から、とりまとめて報告します。

 ※第73回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(令和3年12月3日(金曜日) 開催)
  資料1-1-1 予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について(PDF)

 

 

■接種回数(令和3年11月14日まで)

 新型コロナワクチンは、令和3年2月に開始され、我が国ではこれまで(令和3年11月14日まで)に、接種回数で1億9千万回を超えるワクチン接種が実施されました。
(表中セル内の色は、最大値を元にデータバーで、数値の大小を表しています。)

接種回数

※年齢・性別別の推定接種回数は、11月14日接種分までのデータについて、首相官邸Webサイト(11月17日時点掲載データ参照)の接種回数等に基づく概算値。年齢・性別が不明又はその他とされたものは、「不明」として処理。
※年齢は接種時点又は発症時点の年齢。なお、コミナティ筋注及びCOVID−19ワクチンモデルナ筋注の接種対象者は12歳以上。バキスゼブリア筋注の接種対象者は、必要がある場合を除き、40歳以上。
※接種開始日(コミナティ筋注:令和3年2月17日、COVID-19ワクチンモデルナ筋注:令和3年5月22日、バキスゼブリア筋注:令和3年8月3日)

 

 メーカー別では、接種開始時期が最も早いファイザー社製ワクチンによる接種が最も多かった(ファイザー社製:84%、モデルナ社製:16%、アストラゼネカ社製0.05%)。

 各社のワクチンを接種した方の年齢別では、ファイザー社製では70歳代が最も多く、モデルナ社製及びアストラゼネカ社製では、40歳代が最も多かった。

 

■副反応疑い報告数(令和3年11月14日まで)

 副反応等の報告には、診察した医師により、予防接種との因果関係が「関連あり」「関連なし」「評価不能」とされた全てを含んでいます。そのため、副反応「疑い」報告と呼ばれます。

報告数

※報告数は、予防接種との因果関係が不明な事象も含まれる。
※報告数は副反応疑い報告の件数を集計したもの。1症例(1患者)で複数件の副反応疑い報告が提出される場合があるため、報告数と症例数(患者数)は一致しない。(同一の副反応疑い事例であっても、報告内容(転帰等)の更新等により複数回報告される場合がある。)

 医療機関から提出された副反応疑い報告数は、接種回数に比例して、ファイザー社製が最も多く、モデルナ社製、アストラゼネカ社製の順に多かった。

 各社の報告数を100万回接種あたりの報告数で算出しても、ファイザー社製が最も多かった。

 報告数では、ファイザー社製では40歳代からの報告が最も多く、モデルナ社製では20~24歳からの報告が最も多かったが、各社で年齢別の100万回接種あたりからみると、ファイザー社製では25~29歳が最も多く(347.1件)、モデルナ社製では、15~19歳(273.7件)が最も多かった。

 全てのワクチンでの報告数の合計を年齢別でみると、100万回接種あたりでは、20歳代が最も多く、続いて、30歳代が多かった。

 

 

■副反応等疑い報告のうち、重篤とされた事例数及び死亡数(令和3年11月14日まで)

 「重篤」とは、1.死亡、2.障害、3.それらに繋がるおそれのあるもの、4.入院、5. 1~4に準じて重いもの、6.後世代における先天性の疾病又は異常のもの と、報告した医師により判断されたもので、必ずしも重篤でない事象も「重篤」として報告されるケースがあります。なお、重篤度が「重くない」として報告されていても、症状の転帰が死亡の場合は、重篤に分類されます。
 なお、現在3種類(3社)のワクチン接種が実施されていますが、それぞれ接種回数や接種者年齢が異なるため、報告数の取扱いには注意が必要です。

重篤報告及び死亡報告

※コミナティ筋注の接種対象者は12歳以上。COVID−19ワクチンモデルナ筋注の接種対象者は12歳以上。バキスゼブリア筋注の接種対象者は、必要がある場合を除き、40歳以上。年齢・性別が非開示とされた事例は、不明として集計。

 報告された副反応疑いのうち、医師が重篤と判断した報告数は、ファイザー社製では80歳以上が最も多く、モデルナ社製では20歳代が最も多かった。

 重篤な報告を、ワクチン別に100万回接種あたりでみると、接種回数が最も少ないアストラゼネカ社製が多く、次いでファイザー社製で、モデルナ社製は最も少なかった。

 重篤な報告を、全てのワクチンの報告数を合計して年齢別でみると、100万回接種あたりでは、20歳代が最も多く、続いて、30歳代、40歳代が多かった。

 重篤な副反応疑いのうち死亡報告数は、ファイザー社製が最も多く、特にファイザー社製の80歳以上では重篤報告の44%が死亡報告であり、100万回接種あたりでは26.5件であった。次いで報告数が多いのはファイザー社製の70歳代だが、100万回接種あたりで8.0件であり、100万回接種あたりからみて次に多いのは、モデルナ社製の80歳代で16.6件であった。

 

■性別の接種回数・副反応疑い報告数・うち重篤報告数・うち死亡報告数(令和3年11月14日まで)

性別報告数

※年齢・性別別の推定接種回数は、11月14日接種分までのデータについて、首相官邸Webサイト(11月17日時点掲載データ参照)の接種回数等に基づく概算値。年齢・性別が不明又はその他とされたものは、「不明」として処理。

 

 ファイザー社製ワクチンでは、推定接種者数(回数)では 男:女=1:1.2 で、副反応疑い報告数では、男:女=1:3.0 と女性が多い。重篤とされた報告は 男:女=1:1.7、死亡報告数は、男:女=1:0.8であった。

 モデルナ社製ワクチンでは、推定接種者数(回数)は 男:女=1:0.7 で、副反応疑い報告数では、男:女=1:1.3と女性がわずかに多い。重篤とされた報告は 男:女=1:0.8、死亡報告数は 男:女=1:0.18であった。

 アストラゼネカ社製ワクチンでは、推定接種者数(回数)は 男:女=1:0.5 と男性が多い。副反応疑い報告数では 男:女=1:0.3、重篤とされた報告は 男:女=1:0.4だった。なお、死亡報告はなかった。

 

■アナフィラキシー及びTTS(血栓症:血小板減少症を伴うものに限る。)の件数(令和3年11月14日まで)

 新型コロナワクチンに係る副反応疑い報告の報告基準にある「アナフィラキシー」「TTS」については、医療機関からの報告数は以下のとおりです。

アナフィラキシー及びTTS報告数

※アナフィラキシーについては、それぞれの接種開始以降の累計報告件数。TTSは、いずれのワクチンも令和3年8月3日以降に第一報の報告がなされたものの累計件数。
※アナフィラキシー・TTSともに、事例として医療機関から報告されたものを集計したものであり、ブライトン分類(注)による評価を経て集計したものではない。ブライトン分類でレベル4又は5と分類されたものを含む。

 

 アナフィラキシーについては、報告数は、接種回数に比例してファイザー社製が多いが、年齢別の推定接種者数(回数)で100万回接種あたりとしてみると、アストラゼネカ製が最も多かった。

 TTS(血小板減少症を伴うもの)についても、同様であった。

 

◇年齢別、性別での報告数の詳細や心筋炎・心膜炎の状況については、厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」に掲載されています。

 

(注)ブライトン分類とは 副反応疑い報告は、基本的には自由記載で収集されており、その診断の確度(確かさの度合い)が評価できない場合もあります。海外では、標準化された基準で収集・評価検討されており、国際標準として広く導入されているブライトン標準化症例定義を日本においても適用したものです。 たとえば、アナフィラキシーでは、その確度は通常3段階に分類して決められます。Level 1 は診断特異性が最も高く、Level 2 は診断特異性が中位、Level 3 になれば診断特異性は低いですが、ここまではアナフィラキシーと定義されます。そのほか診断定義に合致しないものとして、Level 4 は分類のための十分な情報が得られていないため判断ができないもの、Level 5 は必須条件を満たさないことが確認されているもの の5つのレベルに分類されます。

薬剤疫学2015;20(2):55-62

 

■ワクチン別の報告された副反応疑い症状

 

 医療機関からの報告を元に集計されており、予防接種との因果関係が不明な事象も含まれていることに注意が必要です。また、1症例(1患者)で複数の症状が報告されていることが多く、症状の合計数は副反応疑い報告数とは一致しません。

詳細は、厚生労働省ホームページに掲載されているデータをご覧下さい。

  ※第73回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(令和3年12月3日(金曜日) 開催)
   資料1-1-1 予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について(PDF)ほか

 

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