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住みたくなる、 住み続けられる 南部へ
奈良県の南部地域では、1960年から2005年までの間に人口が約40%減少し、過疎化と高齢化が進んでいます。その結果、地域産業の活性化など多くの課題を抱えています。
その課題を解決し、南部地域に再び活気を取り戻すため、県では「奈良県南部振興計画」を策定し、実効的な事業を具体的に示しました。
南部地域の現状と課題は?
南部地域の現状と課題は?
現状はどうなっているの?
 ①南部地域では人口が減少し続けています。これまでも道路など生活環境の整備や福祉の充実、産業の振興など各種の取り組みをしてきましたが、人口減少に歯止めがかかっていないのが現状です。②高齢者比率(全人口に占める65歳以上の人の割合)も28.8%と高いにもかかわらず(県北・西・中部は19%)、③医師不足など医療体制は深刻な状態です。④雇用の場も十分に確保できていません。 ⑤高校・大学への進学を契機に、南部地域から転出し、戻らないケースも見られます。また、⑥バス路線が減少し、買い物ができるお店も減っており、生活の維持が困難になってきています。
どういったことが背景にあるの?
 さまざまな背景が考えられますが、少なくとも雇用の場がないところに人(特に若者)は集まりません。人がいない、つまり患者が少ないところに医師は集まらず、生徒の少ないところでは学校は成り立ちません。またお客の少ないところではバスやお店は維持できません。そして医師や学校、生活基盤が不足しているところに人は集まらず、ますます過疎化と高齢化が進むことになります。
 では、なぜ雇用の場がなくなったのでしょうか。それは、かつての基幹産業であった林業が衰退したことが大きな原因です。南部地域は約92%が森林であり、林業の発展が重要となってきます。しかし、木材の貿易自由化に伴い大量の外材が流入し、また住宅建築様式の多様化などにより木材需要が減少し、さらには木材価格が下落したことなどから、林業が衰退しています。
どういったことが背景にあるの?
なにが課題なの?
 現状とその背景から、次の4点が南部地域の主な課題として見えてきます。まず、雇用の場を確保するために、①若者の雇用の場の創出と、②林業等地域産業の振興が必要となってきます。そして、そこに住んでいる人が安心して暮らし続けることができるように、③医療を中心とした高齢者福祉への支援や、④買い物・バス交通の確保など集落の維持・活性化が必要となります。
 平成21年に行った「奈良県の過疎地域における集落実態調査」においても、行政に望む対策として上の4点が上位に挙げられました。
奈良県南部振興計画の内容は?
概要
 このような現状と課題を受けて、南部地域に再び活気を取り戻し、そこに暮らす県民の方の生活を守るため、実効的な取り組みを進める本計画を策定しました。ポイントは次の4点です。

①対象地域
 下図のように、五條市と吉野郡を「南部地域」とし、その南部地域と同様の課題を抱える地域(宇陀市、山添村、曽爾村、御杖村、御所市、高取町、明日香村)も計画の対象としています。


②対策の3本柱

対策の3本柱

③対象事業
 対象地域内で取り組む事業だけでなく、通勤圏内での雇用創出など、対象地域を活性化するための、周辺地域での取り組みも計画の対象としています。これにより実現可能性のある取り組みを広域で行うことができます。
これらがこれまでの南部振興の取り組みとの一番の違い!
④推進組織
 南部振興に関する全ての事業が円滑に進むよう、関係部局と常時調整を図るために、平成23年度から南部振興監と南部振興課を設置し、地元のニーズや情報をきめ細やかに把握するための地域支援員を配置しました。
具体的な取り組み
 それでは、上記の3つの対策の柱ごとに具体的な取り組みを見ていきます。
産業振興の強化と安定した就業の場の確保
 ①旧耳成高校跡地に拠点商業施設を設置して、農産物の大型直売所とする、②京奈和自動車道IC(インターチェンジ)周辺に産業集積地を形成する、などさまざまな取り組みを計画・実行しています。
 ここではすでに行われている「県産材の安定供給と利用促進」について詳しく見てみます。
県産材の安定供給と利用促進
 南部地域発展のキーとなる林業。その衰退の原因である、生産力と需要の減少を克服するため、県産材の安定供給と利用促進に取り組んでいます。
県産材の安定供給
 木材搬出コストを抑えるために、急峻(きゅうしゅん)な地形でも壊れにくい作業道整備を進めています。また木材生産につながる間伐(かんばつ)を支援し、林業機械の導入にも取り組んでいます。
県産材の利用促進
 県産材を使った新築やリフォームに対して補助金を出したり、県産材を使用した新商品の開発や公共施設の木造・木質化を進めたりするなど、県産材の需要を高めています。

安全・安心・快適な生活を支える社会基盤の整備
 ①南和地域の新しい医療提供体制を構築する(こちら参照)、②京奈和自動車道やそのアクセス道路などを整備する、などさまざまな取り組みを計画・実行しています。
 ここではすでに行われている「広域通院ラインの実証運行」について詳しく見てみます。
広域通院ラインの実証運行
 医師が不足している南部地域。高度医療を受けるためには地域外への移動が余儀なくされます。しかし、バス路線の減便により、遠方への通院に適した時間にバスが運行していないのが実状でした。
 そこで、本年2月28日から、「広域通院ライン」の実証運行を始めました。十津川温泉から五條バスセンターまでの路線を、通院に使いやすい時間で1日1往復運行しています。
広域通院ラインを利用して五條病院に通院されている、十津川村在住の松田廣江(ひろえ)さんにお話を伺いました。
「これまでは、透析や他科の診療を受けた後、疲れた体で車を運転して帰ったり、遅い時間のバスで帰ったりしていたので、すごく便利になりました。また、八木の方にも出やすくなり、買い物も楽しめるようになったんです」

地域の魅力資源を活用した観光・交流・定住の促進
 ①三重県・和歌山県と連携して、昨年7月に建国した「吉野・高野・熊野の国」を中心に、広域で楽しめる観光施策に取り組む、②地域の特性を生かした宿泊施設を誘致する、などさまざまな取り組みを計画・実行しています。
 ここでは、「歴史展示の推進等による明日香の魅力向上」について詳しく見てみます。
歴史展示の推進等による
明日香の魅力向上
 奈良の価値であり、魅力である歴史そのものを分かりやすく展示する「歴史展示」。国家の基盤が形成された明日香の地においては、例えば「国家の成立」というテーマを設けます。それについて、藤原不比等という歴史上の人物から見たストーリーを映像で紹介するなど、奈良の歴史的価値を体感・回想してもらい、誘客につなげます。
 また、「明日香村整備計画」に基づき、無電柱化を進めるなど、明日香を魅力ある風景にするための環境整備にも取り組んでいます。
今後の展望
 今後は、この奈良県南部振興計画に基づいて、事業を実施していきます。そして、地元のニーズを把握し、市町村等と協働して取り組みつつ、毎年計画の内容を見直し、常により良い取り組みを目指します。
知事からひとこと
■ 県南部振興課 ■0742-27-8473 ■0742-23-1425

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