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第27回奈良県教育懇談会討議の概要



◇懇談会日時 平成20年2月25日(月)   14:00〜16:30
◇場    所 奈良市法蓮町757-2 春日野荘
◇議    事 ・「新たな提言」(案)について

・「奈良県教育へのメッセージ」(案)について


発言のポイント
○公共心の育成について強調すべきではないか。
○教育というのは、未来への投資という発想に立つべきである。
○奈良県の豊かな文化的、宗教的風土を教育に活かすことは重要。

◇主な意見

【会長】
 これまでの懇談会の流れを確認する。まず、小中一貫教育、中高一貫教育についてはメリット、デメリットがそれぞれ存在すること、これまでに導入、実施されている事例について検討すると、導入には、いくつかの条件が必要であること、(例えば、教職員の連携が必須であること等)奈良県の状況を踏まえて、どこまでやるのかということ等について協議してきた。
本日は事務局で、これまでの小中一貫教育、中高一貫教育についての意見を整理し、「新たな提言」の原案を再提示いただいた。この内容について検討していきたい。まず事務局から資料について説明を願う。

【事務局】
 <資料について説明>
 事務局から「平成19年度 教育改革取組状況調査」と「新たなスタイルの学校等についての意識調査」のデータについての説明。

【会長】
 このデータは、前回の会議には提出されていなかったが、この結果を基にして、提言案、メッセージ案を作成し、委員の皆さんからの意見をまとめて、本日の最終の草案を用意していただいた。
 それでは、まず、提言案から検討していきたいが、事務局から説明を願う。

【事務局】
 <表現の整理と修正>
  前回提示案と送付案から修正したポイントについて説明。
◆中高一貫の中等教育学校については、検討すべき課題等が多く残されており、設置について、検討を継続すべきとする。
◆異校種間の連携をより一層進めるべきと追加する。

【会長】
 事務局から示された草案は、前回までの議論を踏まえて、委員の意見が合意された部分に沿ってまとめていただいたものと理解する。特に前回、争点になった中等教育学校については、議論するべき課題が多く残っているという指摘が多く、今回の提言に織り込むことは見送るが、指摘された課題等については今後も研究、検討を継続していくことと示していただいた。
提案された草案、説明いただいた調査結果について、質問、意見はないか。

【委員】
 中高一貫教育について織り込まないということだが、保護者からなぜ実施しないのかという質問があったときにはどう答えるのか。

【会長】
 中高一貫教育についてまだ十分に理解をいただいている状態にないという点、中等教育学校を設置するとどういう課題が出てくるのか、その課題にどう対応すればいいのかという点などの議論が不十分であることなどが理由になるのではないか。

【事務局】
 教育懇談会の中では、小中一貫教育については整理がついたが、中高一貫教育を導入するには現状では課題が多いという意見が多かったということに沿って提言をまとめた。 

【委員】
 奈良県教育懇談会では、こういう理由で小中一貫教育を推進し、中等教育学校については見送るということについてもう一言あってもよいと考える。

【会長】
 具体的には、どういう文言が必要か。
 前回の議論を簡単にまとめると、小中一貫教育は一律に導入しようというのではなく、条件の整ったところで一つの選択肢として導入し、進めるべきであるというのが懇談会の意見であったと思う。中等教育学校については、私立の中高一貫校との関係や義務教育である中学校とそうでない高等学校を一体化させるという部分で、クリアーしなければならない問題が多くあるということ、さらに選抜方法の面でもまだ検討すべき問題などがあることが指摘された。ただし、中等教育学校は必要ないとの意見はなかった。大いに検討する余地はあるが、今すぐということには無理があり、小中一貫教育から始めようという意見が大勢であったのではないか。 また、小中一貫教育の導入には、過疎地の統廃合の手法としてよりも、そのメリットを活かす形で実現して欲しいという意見があった。

【委員】
 単に、中等教育学校の検討が不十分だったので、提言しませんと取られることは避けたい。小中一貫教育については、一定の成果をあげている奈良県の実績を踏まえて推進することを提言するというのを加えてはどうか。

【会長】
 事務局で検討していただく。
 他に意見がないようなら、大筋この内容でまとめてよろしいか。文言等を最終的に調整し、最終案をまとめ、委員の皆様に郵送させていただく。最終原稿の微調整については、会長、副会長に一任ということでお願いしたい。発表は教育委員会事務局と調整のうえ行う予定。
 次に、これまで、この案を「新たな提言」と表現していたが、具体的な内容に即したタイトルをつけてはどうか。タイトル案として「小中一貫教育等の推進」というのではどうか。

<各委員、同意>

 それでは、提言は「小中一貫教育等の推進」としてまとめさせていただく。今後の予定について事務局から。

【事務局】
 文言の整理等を行い、3月中旬ごろ正式に発表したい。発表前には各委員に送付させていただく。

 それでは、2つ目の「奈良県教育へのメッセージ」(案)について検討したい。
案について、事務局から説明を願う。

【事務局】
<メッセージ案>の説明
◆奈良県教育懇談会がこれまで出してきた提言とその取組状況を振り返り、5つの分野から成果と課題を示す。
◆教育関係者、保護者の皆さん、地域の皆さんの3者に対するメッセージを発信する、等。

<休憩>

【委員】
 体力、健康のところに書かれている子どもの二極化の話は当時随分時間をかけて検討した。その後、具体的にどのように変化してきたのかというデータを示すことはできないか。また、親学サポートブックについても作成して配布しただけでなく、どのような成果があったのか織り込むことができないか。

【会長】
 成果の部分を入れていけばよいとの意見である。懇談会が提言したことがどう活かされたのかが明らかになれば今回のメッセージもより生きることになる。

【委員】
 子どもの社会性の向上の部分で、職場体験やインターンシップについて触れているが、キャリア教育の実践状況などについても加えることができないか。

○公共心の育成について強調すべきではないか。
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【委員】
 メッセージ@の内容で「有為な社会の形成者となることを目指して・・・」という段があるが、社会の利益に貢献するとか、公益性というか、利他的な行動ができるといった表現にできないか。少し婉曲すぎる表現のような気がする。

【会長】
 公共性を身につけた市民とか、公共心をもう少し強調して、分かりやすい表記にしてはどうかという意見だが、法律に詳しい委員の方、どうか。

【委員】
 弁護士は、まず「個人」の権利の前提があって、それを調整するものとして公共の福祉があるという発想なので、ここの文言はなかなか難しい。

【委員】
 「社会・公共の福祉に貢献する」というような文言を使ってはどうか。


○教育というのは、未来への投資という発想に立つべきである。
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【会長】
 事務局で検討、調整していただく。
 次に、行政に対しての部分ですが、ここの表現はどうか。地域へのメッセージと関わるところかも知れないが、なぜ最近は、こんなに教育が貧しくなってしまったのかと考えてしまう。
 
【委員】
 現在の行政を見ると、国でも各省庁が本来の目的、ミッションを見失っているのではないか。厚生労働省や社会保険庁などはその典型である。何のために、その仕事が、行政があるのかを行政の根本に戻って考えるべきだ。

【会長】
 私の持論だが、教育というのは、未来への投資という発想に立つべきで、公共的な事業と捉えるべきと考える。子育ては、親の責任だけではない。親が子を育てるのに世の中がどのようにサポートできるかという視点が必要。子ども集団が安定するためには、大人の社会が安定する必要がある。

【委員】
 保護者の皆さんへのメッセージAの内容で、「ただ、子育てのためには、他の助力を求めることをためらわないこと。」という部分はもう少し別の表現のほうがよいのではないか。

【会長】
 この部分の前のところでは、親の子育てについての責任、やるべきことを示している。この後ろの部分は、しかし、子育ては親だけの責任というのではなしに、公的なものでもあるから遠慮なくサポートを求めてくださいという趣旨を示したところ。

【委員】
 ここの表現は、例えば「教育関係機関や地域のサポートを利用するのも有効である。」という少し柔らかな表現に変えてはどうか。

【会長】
 事務局で検討、調整していただく。

○奈良県の豊かな文化的、宗教的風土を教育に活かすことは重要。
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【委員】
 社会性の向上のところで、「日本古来の伝統的な文化的・宗教的な土壌・・・」の内容について異論はないが、少し表現がわかりにくい。

【委員】
 日本古来という表現と「伝統的」という言葉の意味が重なってしまっている。ただ、奈良県らしい伝統的、宗教的な風土については触れるべきと考える。私のところの大学では薬師寺で学生のインターンシップを行ったが、生徒たちの様子を見るとすばらしい成果があったと思う。(出色であった)ここの部分は、「奈良県らしい」という意味でとても大切だと思う。

【委員】
 表現の「伝統的を」削除するか「宗教的な」の「な」を削除すればどうか。

【会長】
 メッセージの表現と合わせて「豊かな文化的、宗教的土壌を活かす」といった表現ではどうか。

【委員】
 まさに、この宗教的な土壌を活かすことができるというのが、奈良と京都の特色だと考える。奈良の宗教は、国境のない宗教。鎌倉期以降の各宗派には開祖がいるが、奈良の仏教には開祖はいない。教えは釈迦に直接つながる。私は、日本人のDNAには2つの日本人らしい感性があると考えている。それは、京都の小さな茶室に代表される、わび、さび、を日本的なものとする感性と、奈良の寺院、例えば東大寺大仏殿の圧倒的な空間を日本的なものと捉える感性で、両方とも日本人独自の感性である。このような日本人の共通な部分に働きかけることのできる宗教的な土壌が奈良にはある。
教育関係者へのメッセージ@の表現では「文化的、宗教的な風土を活かして・・」という表現で、保護者に対するメッセージAでは「善悪の観念・・」の部分を「奈良県の豊かな文化的、宗教的な風土、土壌を活かし・・」というように、関連性のある言葉で、前文との整合性を図ればどうか。

【会長】
 宗教的な土壌が奈良と京都だけという問題はさておき、メッセージ@は「豊かな文化的宗教的風土を活かし・・」、メッセージAは「豊かな文化的宗教的風土に親しませ・・」という表現ではどうか。他に意見があればどうぞ。

【委員】
 ところで、これまでの提言もそうだが、このメッセージは、今後どう具現化されていくのか。

【会長】
 このメッセージには有効期限はないと考える。施策を実施するときに、このメッセージを根拠付けとして活用してもらえばよいと考える。

【委員】
 私の学校の生徒は、社会にでる直前の世代であるが、私は指導する者として、人として生きていく姿勢を伝えたいと常に考えている。奈良のもっている仏教的な教えとも繋がるが、人として生まれたことの奇跡、人のために生きることの大切さを伝える努力をしている。奈良県外の生徒も多いが、そういった精神を学んで卒業してくれている。

【会長】
 奈良県の擁する豊かな文化と風土、宗教的な土壌等の表現については、事務局で調整していただく。
 もし他に質問、意見等があれば事務局へ随時伝えていただきたい。事務局で委員の意見を整理して、最終案をまとめ、委員の皆様に郵送させていただく。
 以上のようにお願いしたい。
 なお、提言と同じく、最終原稿の微調整については、会長、副会長に一任いただくということでお願いしたい。発表は教育委員会事務局と調整のうえ行う予定。

(以上)


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