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上方落語家が歩く、平成の伊勢参りの道

ルート概要

大和と伊勢を結ぶ伊勢参宮の道。峠や川が多く、その険しい道のりが歌に詠まれたこともある。今回は宇陀(うだ)市・榛原(はいばら)を出発し、御杖(みつえ)村までの峠越えを2 回に分けて紹介する。近鉄榛原駅から商店街の中を進むと、旅籠「あぶらや」などの旧家の集まる一角がある。
ここが伊勢街道萩原宿の分岐点である。国道369 号を進み、宇陀川を渡って南西へ少しそれたところに墨坂(すみさか)神社がある。再び国道に戻って高井まで行き、高井からは杉林の中へ。中でもひときわ目立つ巨木が千本杉と呼ばれる杉である。諸木野(もろきの)を抜けて急な坂道を登り石割峠(いしわりとうげ)を目指す。峠を越えてしばらく行くと、逸話が残る姫隠し岩がある。専明寺を越えて県道28 号と合流するところに血原橋バス停がある。
ここから黒岩川沿いに東へ進むと、行悦(ぎょうえつ)の道標がある。宇陀地域の本街道沿いでは、黒岩のほかにも、赤埴、神末などで行悦の道標が確認されている。ここから山粕峠へ向かうがこの坂は比較的緩やかである。山粕峠を越えると、続いて曽爾(そに)村と御杖村の境にある鞍取峠を目指す。この峠も越えてしばらく東進すると土屋原に入り、土屋原中村のバス停の近くに春日神社がある。さらに桜峠を越えて御杖小学校や安能寺を過ぎると、四社神社が見えてくる。最後に牛峠と佐田峠を越えるが、こちらは舗装路で歩きやすい。神末川沿いの御杖神社近くにあるカフェでひと休みし、ゴールまでラストスパートをかける。ゴールでは温泉に浸かって長い道のりを歩いてきた体を癒そう。

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作家の歩いた道
  • スタート:近鉄榛原駅
  • 札の辻
  • 墨坂神社
  • 姫隠し岩
  • 行悦の道標
  • 正倉院
  • 春日神社
  • 四社神社

ゴール:御杖村の温泉 姫石の湯

スポット紹介

札の辻

札の辻

初瀬を通って伊勢へ向かう国道168号線は、榛原町の萩原で二手に分かれ、その先でさらに二手に分かれる。この三叉路「札の辻」の周辺は古くから交通の要衝であり、伊勢街道の追分宿として栄えた。旧南都銀行の洋風建築が目印で、角には「右いせ本かい道」「左あをこ江みち」と刻まれた道標が立つ。また、その正面に建つ昔の姿をとどめた旅籠「あぶらや」や旧鳥見酒造の商家は、当時の賑わいを思い起こさせる。
【住】宇陀市榛原区萩原
【電】0745-82-2457(宇陀市役所商工観光課)
【時】【休】散策自由

墨坂神社

墨坂神社

主祭神は墨坂大神で、古くからこの地に祀られていた天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、神皇産霊神(かみむすびのかみ)、伊邪那岐神(いざなぎのかみ)、伊邪那美神(いざなみのかみ)、大物主神(おおものぬしのかみ)の6神の総称である。『日本書紀』には第10代崇神天皇の治世に疫病が蔓延した時、天皇の夢枕に神人が現れ「墨坂の神と逢坂の神を祀れ」と告げ、それに従ったところ悪疫は鎮静化したとある。創建年代は不明だが、春日造の本殿は赤を基調にした美しい造りになっている。
【住】宇陀市榛原区萩原字天野
【電】0745-82-0114
【時】【休】【¥】参拝自由

姫隠し岩

姫隠し岩

『古事記』にも登場する岩で、仁徳天皇が女鳥王(めどりのみこ)を妻にしようとした時、女鳥王はそれを受け入れなかった。さらには天皇の弟・速総別王(はやぶさわけのみこ)の妻になったため、怒った天皇は二人を殺そうとした。追っ手から逃げていた二人が二人連れで逃げているのを怪しまれないため、姫だけをこの岩の影に隠して逃れたという逸話が残る。
【住】宇陀市室生区田口
【時】【休】散策自由

行悦(ぎょうえつ)の道標

行悦の道標

伊勢本街道沿いには「菅野村 行悦」と刻まれた道標が、確認されているものだけで8基ある。これらは菅野村(現在の御杖村)出身の行脚僧・行悦によって建てられた「六十六部回國供養碑」である。「六十六部」とは日本全国66カ国を回り、1国1カ所の霊場に法華経を1部ずつ納める巡礼で、この巡礼を助けた地元の人々の往生を願い、行悦はこの碑の造立に励んだといわれる。
【住】宇陀市室生区黒岩ほか
【時】【休】見学自由

春日神社

春日神社

本殿は素木の神明造で、祭神は天津児屋根命(あまつこやねのみこと)。また鳥居の横に植えられたイチョウの木は、葉の先がロート状にくるりと巻くラッパ型で「ラッパイチョウ」と呼ばれ、珍しいもの。現在、全国でラッパイチョウが発見されているが、このラッパイチョウが1969年に日本で初めて発見された。樹高約20m、幹周約5.4mの巨樹で、奈良県の保護樹木に指定されている。
【住】宇陀郡御杖村土屋原
【電】0745-95-2898
【時】【休】境内自由

四社神社

四社神社

天照大神をはじめ、春日・八幡・熊野の四柱の大神を祀ることから、宝暦2年(1752)には「四社大明神」と称され、奈良から伊勢神宮へ参詣する人々は、必ずここでお参りをした。拝殿右には、垂仁天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)がみそぎをされた「御井」と呼ばれる井戸と酢の泉の石碑(スッポダ)がある。ハナナガ(獅子祭)は9月9日、例大祭は10月第4日曜日に行われる。
【住】宇陀郡御杖村菅野2309
【電】0745-95-2135
【時】【休】境内自由

御杖村の温泉(姫石の湯)

御杖村の温泉(姫石の湯)

道の駅・伊勢本街道御杖にある入浴施設。姫石は近隣の姫石明神に由来する名前。お湯はアルカリ性単純温泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛などに効くといわれる。大浴場のほか、露天風呂や樽風呂なども備える。休憩スペースでは軽食も可能で、ひと風呂を浴びた後でゆったりとくつろげる。食事処には、鹿肉を使ったメニューもあり。
【電】0745-95-2641
【時】(入浴)11:00~20:00※最終受付19:30まで(食事)11:00~20:00※ラストオーダー19:30
【休】火曜(祝日の場合は営業)
【¥】(入浴)大人600円、もみじ(鹿肉)ラーメン600円、みそアイス250円