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 特集「農力のあるヒト」③


 結のように


 憧憬と現実を、過去と現在を、そして渓谷と古都を、繋げて、結ぼうと、懸命に働くヒトがいる。山奥の神秘性への憧れを、埋もれた魅力を発掘するエネルギーに昇華させる…生産地と消費地を結ぶ観光ビジネスプランは、古都らしく、茶道のおもてなしの心がルーツだという

藤丸正明さん

 

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吉野の風景1

和菓子の素材を探して、田舎へ、山へ

奈良の友好都市、福岡県太宰府市にあるご祖父様の代から営まれていた和菓子屋が藤丸さんのご実家だ。お父様の代から始められた茶事専門の和菓子は、山奥にまで食材の希少価値を求め、時間をかけて芸術的なまでにイメージを創りあげる世界であったらしい。
しばしばお父様と一緒に食材探しの旅に出掛けた正明さんは、山奥の神秘的な食材との出会い、哲学をもって自然と向き合って農業を営む方々との出会いを経験する。





吉野地方の伝説と食材への憧れ

吉野に惹かれたのは、小学生のとき。伯父さんの家の書庫で遊んでいるうち、南北朝の歴史本、吉野山の観光本をみつける。南北朝時代の悲話、後醍醐天皇の末裔のことなど、身近で伝説的なストーリーが心を捉えた。
加えて、和菓子屋の仕入先である地元・九州の葛業者から「吉野葛にはかなわない」と聞いて、吉野びいきに拍車がかかった。

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学生起業家、山村研究からスタート

吉野のある奈良県の大学に進学。入学したばかりで「地域活性局」という村おこしサークルを学生8人で立ち上げる。吉野郡内の町村にメールや手紙を一斉に送ったが返事をもらうどころか、全く相手にされなかったという。
まずは西吉野村の山村研究と表して活動を始め、その後知人から川上村の助役を紹介され、役場へ出向く。これがチャンスとなって、高原郷の野菜の産直活動が始まるわけだが、学生だから、わずか4年間だから、という限定的な条件だから受けいれられたのだと藤丸さんは謙虚に振り返る





ただの田舎ではない、吉野杉の一等地、川上村

高原郷の農家と懇親会をもったのは、2004年8月。村のエピソードなどを聞くうち、知名度の低い、吉野地方にある田舎、というイメージが一変する。過去には行政が認可する吉野杉の一等地として、黒滝村、東吉野村とともに名を連ねたこと。中でも高原郷の杉は格別で、「木材バブル」と称されるほど経済を潤す時代があったこと。それは、伊勢湾台風の山津波で夫を亡くされた一人親家庭を自立させるだけの経済力を誇ったということも、知ることになる。

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高原郷の野菜のおいしさに出会って

11月川上村の農業祭では、高原郷の野菜だけが村内一番人気!もっぱら味がいい、おいしいとよく売れ、感動する。評判の食材は、ほかにも、科学薬品を一切使わずに木灰で固められたコンニャク、猿があしの部分を食べていくシイタケなど、多彩にそろっていた。精力的に村を回って、おいしい食材に気づいていく。それはこれまで、コンニャクやシイタケをおいしいと感じたことがなかった藤丸さんたち20歳代の若者にとっては新たな発見だった。

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辻合橋
 
彼岸花


野菜嫌いの若者が地域を再生

野菜をおいしいと感じたことがなかったのは、味のあるおいしい野菜を食べたことがなかったからではないかと藤丸さんはいう。学生仲間と畑に入っても、根菜類と葉菜類の区別どころか、どれがジャガイモでどれがタマネギかも分からない有様だったらしい。
高原の畑では、ほうれん草の軸をかじっただけでも甘くておいしい。それなのに大量生産の結果として作られた食材しか食べていない世代は、必然的に野菜嫌いになってしまっている。藤丸さんは、自分達の世代に与えられた課題は、もう一度、地域経済の仕組みを理解し直して、作り直すことだという。そして地域経済のカギになるのはおそらく観光だとも。

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観光地を支える名産地をつくろう

京都には、京都という観光地を支えるために、小豆の名産地・丹波地方が近くにあった。奈良も、観光地として栄えるためには、豊かな土壌をもつ吉野地方を、さらなる名産地として活性化させよう、というのが藤丸さんの狙いだ。
川上村は標高650m、丹波地方より高い。降水量は紀伊半島随一を誇る。その気候が生み出したのが、吉野杉、吉野檜をはじめ、味が違うと評判のいい野菜たちだ。特に白菜をはじめとする冬野菜は霜や霧がかかるので、野菜の糖度が高くなり、おいしい。手作りで、安全安心なのも魅力になるはずだ。

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朝市



文化拠点と生産拠点を結ぶ奈良町情報館

文化拠点・奈良町と、生産拠点・高原郷を結ぶ宅配事業は、当初は「レタスだけ」という注文に難航したが、なんとか月に一度野菜の委託販売に成長。2005年10月からは、運よく元興寺の文化財研究所の南側の軒先を借りて、朝市を始め、すでに70回を数える。 2007年3月には「地域活性局」を株式会社化。観光案内所・奈良町情報館を10月にオープンさせ、インフォメーション事業としてだけでなく、観光地・ならまち文化を発信するとともに、県内の地場産品を発掘し流通・販売で結ぶ。

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職人
 
観光案内風景
 
奈良町で地域通貨

茶道のもてなしの文化を、
            観光の心へ結ぶ

観光のビジネスモデルは、茶道のおもてなしがルーツ。自分の近場にあるものの中からいいものを集めて客をもてなす茶道文化が基本ではないかと考えている。
朝市は、生産者や流通業者を集結させて、奈良町大通りが歩行者天国になるほどにパワーアップさせたい。観光事業者とともに作った地域通貨も、将来は地域ファンドの創設へ。吉野杉・吉野檜館といった地域産業ミュージアムの建設へと、夢はどんどん膨らんでいく。

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  地域活性局風景1 地域活性局風景2
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