平成17年度宇陀川水系等における水銀汚染調査結果について
奈良県農林部農業水産振興課
水銀等による環境汚染問題に対処するための一環として農林水産省消費・安全局(昭和48年から平成15年までは水産庁)から委託をうけて実施した平成17年度の水銀等による魚介類の汚染状況調査の結果は次のとおりです。
調査結果
調査は宇陀川及び芳野川の3地点、1魚種15検体について実施した。
宇陀川水域では、榛原区及び大宇陀区の2地点において、ギンブナ10検体について調査した。
総水銀の平均値は、0.235ppm(検出範囲は0.14ppm~0.49ppm)で、最も高かったのは大宇陀区のギンブナであった。
また、榛原区及び大宇陀区のギンブナの総水銀について、10検体中1検体で暫定的規制値(総水銀0.40ppm:内水面には適用されないが、参考値として使用されている。以下同様。)を超えていた。
メチル水銀の平均値は0.188ppm(検出範囲は0.11ppm~0.36ppm)で、5検体中1検体で暫定的規制値(メチル水銀0.30ppm:内水面には適用されないが、参考値として使用されている。以下同様。)を超えていた。
芳野川水域では、榛原区・菟田野区の地点においてギンブナ5検体について調査した。
総水銀の平均値は、0.328ppm(検出範囲は0.28ppm~0.36ppm)で、暫定的規制値を超える検体は出現しなかった。
メチル水銀の平均値は0.248ppm(検出範囲は0.20ppm~0.29ppm)で、暫定的規制値を超える検体は出現しなかった。
宇陀川及び芳野川水域では、上流地域の長期にわたる水銀鉱山の精錬活動(昭和49年2月廃止)及び水銀鉱床地帯における花崗岩辰砂の風化等による影響で、宇陀川水系のギンブナに水銀が検出された。ギンブナは平常住民の蛋白源として長期的かつ大量に食用に供されることが少ないので、摂食による水銀の影響は少ないと思われるが、ギンブナの多食をさけるべきである。
平成17年度宇陀川水系等における水銀汚染調査結果表
河
川
名 |
魚 種 |
地点名 |
総水銀調査 |
メチル水銀調査 |
検体数 |
検出範囲(ppm) |
平均値(ppm) |
検体数 |
検出範囲(ppm) |
平均値(ppm) |
宇
陀
川 |
ギンブナ |
榛 原 区 |
5 |
0.18~0.25 |
0.220 |
|
|
|
大宇陀区 |
5 |
0.14~0.49 |
0.250 |
5 |
0.11~0.36 |
0.188 |
1魚種 |
2地点 |
10 |
0.14~0.49 |
0.235 |
5 |
0.11~0.36 |
0.188 |
芳
野
川
|
ギンブナ |
榛原区・
菟田野区 |
5 |
0.28~0.36 |
0.328 |
5 |
0.20~0.29 |
0.248 |
1魚種 |
1地点 |
5 |
0.28~0.36 |
0.328 |
5 |
0.20~0.29 |
0.248 |
調査地点の範囲
榛 原 区・・・・・芳野川合流点から室生ダムの水域までの水域
大宇陀区・・・・・芳野川合流点から上流宇陀川の水域
榛原区・菟田野区・・・・・四郷川合流点から宇陀川合流点までの水域
なお、当該調査は平成17年度をもって終了することになりました。昭和48年から平成17年までの33年間の調査の結果によると、(1)宇陀川水系(宇陀川・芳野川)のギンブナに暫定的規制値を上回る検体が継続して検出されたこと、(2)年による多少の変動は見られるものの、検出値が減少する傾向にないことから、調査終了後も引き続きギンブナの多食を避けるようよろしくお願いします。