意見書第2号
いじめ問題等の対策強化に関する意見書
平成23年10月に滋賀県大津市内の市立中学校に通う男子生徒が自殺をした事件を契機に、いじめ問題が改めて国民的問題となっている。子どもを守り育てる学校で、深刻ないじめを見抜けず、さらに止めることもできず、子どもが死を選ぶということはあってはならない事態である。
いじめ問題等の対策において、児童生徒や保護者の抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能を担うスクールカウンセラーや、学校・家庭・地域のネットワークを築き、児童生徒の問題行動等の未然防止や早期解決に向けて支援を行うスクールソーシャルワーカーの存在は大きな役割を担っている。
文部科学省は「平成22年度スクールソーシャルワーカー実践活動事例集」において、いじめ、不登校、暴力行為などの対策におけるスクールソーシャルワーカーの役割と効果に触れ、「重要な役割を担っている」「その効果が注目されている」と総括している。
しかし、このソーシャルワーカー制度はその位置づけと運用面においてさまざまな諸課題も包含しており、いじめ問題の早期解決に資するために、より効果の高い制度に転換することが求められている。
加えて、国の補助率が3分の1の現状では、配置を拡充するにも限界があり、行財政改革を必死に断行する地方自治体の財政基盤の実情も踏まえると、子どもを守り安心できる環境整備のための国の財政措置拡充によって、より安定的な制度とすべきである。
よって、政府におかれては、実態把握を行った上で制度の改善を積極的に行うとともに、財政措置拡充を推進することを強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年3月25日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
文部科学大臣