蜜蜂に寄生するダニについて
蜜蜂飼育において適切な管理を行っていないと、バロア症などの病気の温床となり、他の養蜂家にも影響を与えるおそれがあります。バロア症は蜜蜂の外部に寄生するミツバチヘギイタダニによる疾病で、寄生したダニの駆除には、アピスタン、アピバール、チモバールなどのダニ駆除剤による薬剤処理等の対策を行います。ダニ駆除剤を使用する際には、以下の点に注意してください。
1.既存のダニ駆除剤であるアピスタン、アピバールは、連続使用により薬剤効果の低下が懸念される
2.新たなダニ駆除剤であるチモバールは、高温下(30℃以上)での使用は避ける
ダニ被害を低減するために
ダニ防除のためには以下の方法を組み合わせた総合的管理が効果的とされています。
1.生物学的方法
(1) 雄蜂児誘引法 春期に空の枠(木枠のみ)を蜂群内に挿入し、全体が蓋掛けされたら、取り出して、廃棄する。雄蜂児は働き蜂の蜂児の10~12 倍、ミツバチヘギイタダニを誘引することが知られている。
(2) 女王蜂隔離法 女王蜂を王籠等に入れて巣箱内で隔離し、一時的に産卵を止め、ダニが寄生可能 な巣房がない状態を作る。化学的防除との併用により薬剤の有効性を向上させる。
2.化学的防除
(1) 合成殺ダニ剤(アピスタン、アピバール) ダニ防除効果は高いが、連続使用によりダニが抵抗性(薬剤耐性)を発達させる場合があるため、複数剤の交互利用が推奨される。
(2) 植物抽出成分(チモバール) 外気温が 1 日をとおして 15~30℃となる期間に投与する。日本では秋季の使用が推奨される。
3.物理的防除
巣箱底部にダニがすり抜けるような網板と底面に粘着シートを置くことで、化学的防除剤により蛹から落下したダニを粘着シートで捕まえて除去する。

参考情報
ダニ防除の詳細については、(一社)日本養蜂協会がウェブサイトに公表している「養蜂技術指導手引書5. 養蜂における衛生管理ダニ防除技術[再改定版]」(令和5年度持続的生産強化対策事業養蜂等振興強化推進(全国公募事業)を活用した令和5年11 月第4版)を参考にしてください。
日本養蜂協会ウェブサイト https://www.beekeeping.or.jp/technology/