奈良の女性起業家紹介 小山内亮子さん(片づけサポートippoippo代表)

多くの人に「自分らしい片づけの楽しさ」を実感してほしい!

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基本情報

  • 事業所名: 片づけサポートippoippo
  • 創業:2020年
  • 業種:コンサルティング型片づけ支援サービス   
  • 住所: 奈良県奈良市(自宅のため、詳細は非公開)
  • TEL:  050-5437-5782 
  • URL:https://ippoippokatazuku.com/

       



部屋だけでなく、その人の価値観も整理する

 私が提供しているのは、家事代行型の整理収納サービスとは異なる、コンサルティング型の片づけサポートサービスです。数時間のコンサルティングの後、方針を立て、別日に依頼者と一緒に片づけ作業をします。
 コンサルティングは「あなたにとって何が大事なのか」をヒアリングすることからスタートします。その基準がはっきりしていないと、片づけがうまくいかないからです。その人の得意な部分や苦手な部分に合わせ、プロの立場から解決までの道を助言します。人生全体を俯瞰し、価値観や時間の使い方すらも整理していくことから「ライフオーガナイザー®」と呼ばれています。

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“ワンオペ”から専業主婦、そして起業へ

 私は以前、東京で照明メーカーのデザインアシスタントとして働いていました。しかし、当時1歳だった長女の育児がいわゆる“ワンオペ”で、体力的にも精神的にも苦しかったのです。そんななか、2012年に、夫の転職のため東京から奈良へ引っ越すことになり「落ち着いて育児をしたいし、新天地で働き始める夫のサポートもしたい」と考え、専業主婦になりました。

 子どもの頃から片づけが好きだった私は、「働いていた頃よりも時間ができるし、これで自宅がきれいになるだろう」と、期待を胸に新生活を始めましたが、専業主婦になってもきれいに片づくことはありませんでした(笑)。新しい環境や育児のなかで、うまく整理ができなかったからです。そんなときに知ったのが、「ライフオーガナイザー®」の存在でした。「自分の生活に活かしたい。プロのやり方を学んでみよう!」という気持ちで、片づけを依頼しました。

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 そこで教わったのは、片づけのルールというよりも「片づけがうまくいかない理由は人それぞれにある」ということ。「ライフオーガナイザー®」は私の状況や大事なものに寄り添う言葉をかけてくれたのです。それまで、物を捨てる・捨てないの判断で夫とたびたび揉めていたのですが、「相手の物に対する気持ちを尊重すること」の大切さに気づかされました。

「もっと学びたい!」と思い、2015年に「ライフオーガナイザー®」の資格を取得。いきなり起業する勇気はなく、経験もなかったので、次女が通う幼稚園で片づけの勉強会のボランティア活動を始めました。
  2017年には、奈良県が主催する女性向けの起業セミナーに参加し、奈良市で起業した女性のお話や参加者同士の交流を通じて、大きな力をもらいました。多くの方が片づけに関心を示してくれて、アイデアまでくださったのです。そして2020年3月、次女が幼稚園を卒園したことを契機に、 それまで行っていたボランティア活動を有償化する形で起業しました。



 

失敗を糧に、サービスの質を考える 

 はじめは失敗もありました。作業時間の見立てがうまくできず、予定していた時間に終わらなかったり、片づけるうちに私だけがどんどん盛り上がってしまったりすることもありました(苦笑)。片づけは疲れる作業ですし、 お客さまが求めるものに寄り添うこと、満足していただけるサービスの質についてたびたび考えさせられました。同時に、「日本ライフオーガナイザー協会」が主催するセミナーを受けたり、協会や業界の仲間と集まったりして仕事の進め方を学びました。

 全国のライフオーガナイザーをはじめ、勇気をいただける、尊敬する人たちにも出会えました。奈良県在住の整理収納アドバイザーで、『オフィスミカサ』の代表でもある長野ゆかさんもその一人です。「片づけで社会を良くしたい」という信念を持ち、それを誠実な姿勢で実行し、事業としても成功しているところを尊敬しています。 起業し、継続していくには、協力してくれる家族と、目標とする人や尊敬する人が必要なのだと感じています。

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お客さまの一言で私も変化

この仕事のやりがいは、お客さまがそれまで迷っていたものにケリをつけて決断し、変わっていくのを間近で感じられること、お客さまの価値観に触れられることです。
 「捨てるから始めない」「価値観から探る」というライフオーガナイズの手法やアプローチの仕方は、テレビや雑誌のような大きな変化が見えにくいこともあります。結果を焦るあまり私主導の片づけになりそうだったある時、コンサルティング中にお子様の物の片づけについて質問したところ、「本当は片づけなんてしなくていいから好きな遊びを思いっきりやってほしい。」という答えが返ってきたことがあり、私は衝撃を受けました。ただ整理整頓をしたいわけではなく、お子さまが好きなことに熱中できる環境を大事にしたいという言葉だったからです。それを受けて“熱中できる空間づくり”を大切にしようと方針を変更しました。

 それ以来、「片づけよりも大事なことがある。いかに整理整頓するかではなく、いかにその人自身が熱中できる空間にするか」をもっと意識するようになり、お客様の家族にとっても、私自身の家族にとっても、それぞれが大切にしている物や想いを尊重する片づけで、関係性まで改善されていくことを実感していきました。この出来事を通して、私は本当の意味でライフオーガナイザーになれたのではないかと思います。

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(片づけ前)

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(片づけ後)


 

自分がやりたいことをやるための、片づけ

 現在の業務内容は、大きく分けて二つあります。一つが、依頼者の自宅やオフィスの片づけサポートです。起業1年目なので、友人や知人を通じて受注しています。新型コロナウイルス感染症対策を行ったうえで、1対1のサービスは、お客さまが安心して受けられるようであればお受けしています。現在は人を集めるイベントの開催が難しいため、オンラインのサービスを新しくつくる予定です。

 そしてもう一つの業務が、子どもが片づけを楽しめるような親子向けのセミナーです。 より多くの方に、プロの手を借りれば、そのときだけでなく、その後もずっと片づけが楽になることを知っていただき、「片づけはさっさと終わらせて、自分のやりたいことをやってください!」とお伝えしたいです。



自分を肯定できる仕事にやっと出会えた

「これから何かやってみたい」と考えている人には、 「ボランティアでも何でもいいから、未来につながることをぜひやってみましょう!」と強く言いたいです。もし自信がなかったとしても、やりながら修正していけばいいのです。
 実は、私は20代の頃から興味の赴くまま、住まいにまつわるいろいろな仕事を経験し、 その「キャリアが続かないこと」にコンプレックスを感じていました。でも、この仕事をすることで、過去の“点”が一本の“線”になりました。自分自身をようやく肯定できる仕事に出会えたのです。どんな人でもやってきたことは無駄にはなりません。すべて役に立つ日が必ずやってきますので、自分の興味や関心を大切にしていってください。

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(9月4日 取材)

印刷用PDF(小山内さん記事)(pdf 437KB)


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