意見書第10号

新型コロナウイルス感染症ワクチンの安心・安全、円滑な接種の促進を求める意見書

 

 昨年来、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令されているにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症は、未だ収束が見通せない状況です。国内では2月から新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が始まり、厚生労働省の分析で、2回接種後の感染者は未接種の15分の1以下に抑えられているなど、感染拡大や重症化を抑制するには、ワクチンが有効です。

 しかし、感染力の強いデルタ株が急速に広がり、20代から40代の感染と重症化が増えているだけでなく、接種済みの人にも感染者がでており、接種希望者が、一刻も早く、1人でも多く、安心・安全そして円滑・確実に接種できる体制と環境を整備することが急務です。

 よって、本議会は、国会及び政府に対し、次の事項について実現するよう強く求めます。

 

 

1 ワクチン接種の意義、ワクチンの有効性及び安全性、副反応情報、健康被害が生じた場合の予防接種法に基づく救済制度など、正確かつ具体的な情報を迅速かつわかりやすく伝えるとともに、接種についての疑問や副反応の不安等について誠実に答えること。若年層でワクチン接種が進んでいない現状に鑑み、SNS等を駆使した情報発信等の対策に努めること。

 

2 7月以降、ワクチン需要に供給が追いつかなくなり、集団接種の中断、予約受け付け停止が相次ぎ、職域接種も中断を余儀なくされたことなどを踏まえ、ワクチンの確実な供給に努めるとともに、供給するワクチンの種類・配分量、日程等を、可能な限り早期に具体的に確定させること。

 

3 「ワクチン休暇」の導入の支援をはじめ、ワクチンの接種体制確保のための財政支援を強化するとともに、現場の自治体や医療機関等のそれぞれの状況に丁寧に寄り添い、国としての資源を総動員した支援策を強化し、国民が安心して接種できる環境整備をすすめること。

 

4 1人暮らしの高齢者やホームレス、外国人など、ワクチン接種の希望者が1人も取り残されることなく、ワクチン接種の機会を早期に得ることができるよう、情報提供を強化するとともに、地域の見守りと連携した巡回接種、訪問接種等の環境整備を進めていくこと。

 

5 国民の生命と安全を守るワクチンを自前で確保するため、国産ワクチン開発や製造体制強化への支援をこれまで以上に強力に行うこと。

 

6 ワクチン接種への同調圧力が憂慮される中、ワクチン接種が進む一方で、接種の有無や接種意思の有無による、誹謗中傷や差別、行動制限、職業上の制限などの不利益がないよう、ガイドライン策定や相談体制の整備を行うこと。

 

7 在外邦人の接種を促進するため、一時帰国接種に加え、現地での接種を望む声が大きいことから、大使館の医務官による接種や現地の病院との提携による接種を進めること。


 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和3年10月21日

                             奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      財務大臣

      総務大臣

      法務大臣

      外務大臣

      厚生労働大臣

      新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣

      ワクチン接種推進担当大臣

 

    新型コロナウイルス感染症ワクチンの安心・安全、円滑な接種の促進を求める意見書