決議第2号

北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解促進の取組を推進する決議

 

 1970年頃から80年頃にかけて、多くの日本人が不自然な形で行方不明となった。その後、捜査や亡命した元北朝鮮工作員の証言により、これらの事件の多くは北朝鮮当局による拉致の疑いが濃厚であることが明らかになった。

 日本政府は、北朝鮮当局による拉致被害者として十七名を認定している。この他にも、拉致の可能性を排除できない失踪者は約900名近くいると言われ、奈良県内では特定失踪者として3名の安否が未だに確認されていない。

 平成14年9月に北朝鮮当局は日本人拉致を認め、謝罪し、再発の防止を約束した。そして、同年10月に5人の被害者が帰国したが、他の被害者については、平成16年5月の日朝首脳会談において、北朝鮮当局より、直ちに真相究明のための徹底した調査を再開する旨の明言があったにもかかわらず、未だ北朝鮮当局から納得のいく説明はない。

 日本国内では、平成9年3月に「北朝鮮による拉致被害者家族会」が結成され、また、平成29年5月に「特定失踪者家族会」が結成され、被害者の救出を求める運動が展開されている。令和3年9月末には、1,500万筆を超える救出実現を求める署名が総理大臣に提出された。

 国においては、北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国の責任において解決すべき重要課題と位置づけている。拉致問題の解決のためには、世論の一層の喚起が不可欠であり、特に若い世代に拉致問題への理解促進を図ることが重要との認識のもと、内閣官房拉致問題対策本部及び文部科学省から「北朝鮮当局による拉致問題に関する映像作品等の活用促進について」(令和3年4月23日)が発出され、児童生徒が拉致問題について深く認識し、人権問題として考える契機とするため、アニメ「めぐみ」の学校等における上映を促進するように、都道府県教育委員会を通じて学校等の関係機関に周知することが求められたところである。

 また、政府の拉致問題対策本部においては、全国の中高生を対象とした北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールを実施しており、今後ともこのような取組に積極的に関与することが求められる。

 よって、奈良県議会は、ヘイトスピーチに反対することを留意しつつ、一日も早い拉致被害者全員の救出に向けて、アニメ「めぐみ」の上映、「拉致被害者御家族ビデオメッセージ~必ず取り戻す!愛する家族へ~」、拉致問題啓発舞台劇公演「めぐみへの誓い-奪還-」及び映画「めぐみへの誓い」の視聴や、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール」への参加、拉致問題関連書籍を読むこと等、北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解促進の取組を推進する。

 以上、決議する。

 

   令和3年12月15日

                           奈 良 県 議 会

  

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