意見書第3号

地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進を求める意見書

 

 少子高齢化や人口減少の進展により、あらゆる現場で人手不足や後継者不足が叫ばれる中で、新しい地域社会の構築は、地方自治体にとって喫緊の課題となっている。また今後は、新型コロナウイルス感染症などの感染症の蔓延を防ぐ上で、人と人との直接的な接触を低減させることが必要となり、働き方や教育、医療や福祉といった、日常生活の現場の変容が求められている。

 

 そして今、政府の「デジタル田園都市国家構想」への取り組みをはじめ、社会のデジタル化への流れが加速する中で、「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現を目指して、地域の課題解決に資するデジタル化を、適切かつ迅速に推進し、すべての住民がその恩恵を享受できる社会を構築する時代が到来した。

 

 そこで政府に対して、子どもたちの学びの継続、医療への適時適切なアクセス、新しい分散型社会の構築、持続可能な地域の医療と介護、地域住民の安全で安心な移動など、特に地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進について特段の取り組みを求める。

 

 

1 すべての子どもたちの学びの継続のために

  すべての地域で、感染症の拡大防止や不登校児童生徒への柔軟な対応など、誰もが何処

 でも安心して学びが継続できるように、リモート授業を可能にするための通信環境等の整

 備、デジタル教材や通信料の無償化など、各家庭の状況に配慮した対応ができるよう、所

 要の措置を講じること。

 

2 医療への適時適切なアクセスのために

  地域住民が安心して医療にアクセスできるよう、オンライン診療等を誰もが身近に受け

 られるように、現在、オンライン診療を適切に実施する前提となっている「かかりつけの

 医師」について、各地域に適切に配備すると同時に、その存在と役割を周知する広報活動

 の充実など、すべての住民が「かかりつけの医師」に繋がれるための取り組みを強化する

 こと。

 

3 新しい分散型社会の構築のために

  地域の新しい兼業農家やデジタル人材の確保に向け、「転職なき移住」を実現するため

 のテレワークの拡大や、サテライトオフィスの整備等に対する補助金等の拡充や税制の優

 遇、更に移住者への住宅取得支援や通信料金の軽減など、分散型社会の構築への総合的な

 取り組みを強化すること。

 

4 持続可能な地域の医療と介護のために

  住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、介護および看護分野における人材

 不足の解消に資するICT技術を用いた支援機器の開発と実証実験への支援を拡充するとと

 もに、当該支援機器の現場への適時的確な導入を促進するために、その機能と安全性を適

 切に評価した上での人員の配置基準の見直しが迅速に図られる体制を整備すること。

 

5 地域住民の安全で安心な移動のために

  政府では、高齢化が進行する中山間地域における生活の足の確保等のため「道の駅」等

 を拠点とした自動運転サービスの実証実験を平成29年度より全国18箇所で実施してきた。

 こうした技術面やビジネスモデル等に関する実験結果を踏まえ、各地域への実装配備が進

 められるように、導入要件の検討や補助事業の創設などに早急に取り組むこと。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   

       令和4年3月25日

                               奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      総務大臣

      財務大臣

      文部科学大臣

      厚生労働大臣

      農林水産大臣

      経済産業大臣

      国土交通大臣

      デジタル大臣

      内閣府特命担当大臣(地方創生)

      デジタル田園都市国家構想担当大臣

      新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣

 

地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進を求める意見書(pdf 149KB)