意見書第9号

シルバー人材センターの安定的な事業運営のために適格請求書等保存方式

(インボイス制度)導入にかかる適切な措置を求める意見書

 

 シルバー人材センター(以下、「センター」という。)は、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき設立された営利を目的としない公的団体である。地域の日常生活に密着した就業機会を提供することなどにより、高齢者の社会参加を促進し、高齢者の生きがいの充実、健康の保持増進、地域社会の活性化、医療費や介護費用の削減などに貢献している。

 

 2023年10月に、消費税において適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入される予定となっている。ところが、同制度が導入されると、引き続き免税事業者として就業を行うセンターの会員は、インボイスを発行することができないことから、センターは従来あった仕入税額控除ができなくなり、消費税の税負担額が新たに増加する。しかしながら、公益事業を行うセンターの運営は収支相償が原則であり、新たな税負担の財源はない。

 

 人生100年時代を迎え、国を挙げて生涯現役社会の実現が求められる中、報酬よりも社会参加・健康維持に重きを置いた「生きがい就労」をしているセンターの会員に対して、形式的に個人事業者であることをもって、インボイス制度をそのまま適用することは、地域社会に貢献しようとしている高齢者のやる気、生きがいをそぎ、地域社会の活力低下をもたらすものと懸念される。センターにとっては、新たな税負担はまさに運営上の死活問題である。

 

 よって、本県議会は政府に対し、シルバー人材センターの会員への配分金等について、インボイス制度の適切な措置を講ずるよう強く求める。

   

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和4年10月24日

                           奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      総務大臣

      財務大臣

      厚生労働大臣

      経済産業大臣

 

シルバー人材センターの安定的な事業運営のために適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入にかかる適切な措置を求める意見書