重要文化財 称念寺本堂

重要文化財 称念寺本堂

称念寺本堂の修理について

 称念寺は、橿原市今井町の南側に位置する浄土真宗寺院です。現在の本堂は、江戸時代初頭に建てられたと考えられています。江戸時代初頭に建てられ、浄土真宗の本堂の初期の形式を残しているものは多くないため、その発展過程を知る上で、非常に貴重な建物となっています。また、16世紀後半に寺内町として成立した今井町の中にあり、信仰の中心だけでなく、町の形成や発展の拠点にもなり、歴史上重要な役割を果たしています。

 ※寺内町:浄土真宗寺院を中心として形成された自治集落。

 修理前は、柱全体が南側へ傾いており、応急措置として設置された丸太の柱で支えられていました屋根は大きくうねり、雨漏りも深刻でした。そのため、建物を全て解体して修理を行うこととなり、平成22年から令和3年にかけて修理を行いました。本堂はこれまで何度か修理を行ってきましたが、全解体して修理を行うのは今回が初めてであり、貴重な発見もありました。工事中に発見された「肘木」という部材に書かれた文字から、寛永18(1641)頃に建立されたことが明らかになりました。

 ※肘木:柱の上に設置し、深い軒を支える部材。社寺建築でよく見られます。

 保存修理では、解体作業と並行して調査を行い、その結果が修理方針に反映されます。今回の修理では建立以降の改変箇所が明らかになったため、現在の称念寺全体の建物が整った江戸時代末期の姿に復原することとなりました。今回の修理を通じて、本堂は江戸時代の姿を取り戻すことができました

 今井町を訪れた際は、是非一度訪れていただきたいと思います。

 

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