令和5年5月8日(月曜日)山下知事就任記者会見1

司会:

 ただいまから山下知事の就任記者会見を始めさせていただきます。

 冒頭、知事から発言がございます。その後、記者の皆様からご質問をいただきたいと思います。

 なお、この記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルで生配信いたします。

 それでは、山下知事、よろしくお願いいたします。

知事:

 改めまして、皆さん、こんにちは。本日はお集まりをいただきましてありがとうございます。

 先ほど就任式におきまして、県の職員に対しまして、私のほうから何点かお話をさせていただきました。今回、私が知事になったことの意味、そして、県職員としての心構え、それから、職員に求めたい仕事のやり方の見直し、それから、奈良県としての今後の情報公開に対する姿勢、それから、私と職員との共同での仕事の進め方、そして、当面の課題に関する方針、また、人事の基本的な考え方、そして、最後に、奈良県の発展に向けての決意ということで、私の所信を述べさせていただきました。現職を破って新しい知事が誕生するというのは1951年以来、奈良県政では約72年ぶりですか、72年ぶりということになりますし、民間出身の知事も初めてですので、県職員としてもいろいろ戸惑うこともあるのではないかというように思って、想像しているのですけれども、決して戸惑っていただく必要はないと。県政改革といっても、県民目線での当たり前の方向に戻すという意味での改革だという点に力点を置いて、職員には訓辞を述べさせていただいた次第でございます。

 ただ、そうはいいましても、やっぱり知事の下、一丸となって、選挙での公約の実現のために頑張ってもらわなければいけませんので、その意味で、職員としてこういう心構えで仕事へ臨んでほしいと、そしてまた、人事については、基本的にどういうように考えているかということも申し述べさせていただいた次第でございます。実質的に今日から執務がスタートするわけでございますけれども、公約実現に向けて、また、奈良県の発展に向けて、職員と一丸となって、全力で奈良県の発展のために力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、報道機関の皆様方にもどうかよろしくお願いをしたいと思います。

 私からは以上となりますが、令和5年度予算の執行の一旦停止につきましては、ちょっとまだ正式に関係部局長に指示をしていませんので、今考えているスケジュールとしましては、庁議という公式の場で部局長に対して指示をした後、また私がこの場に戻ってきて、それに関してのご質問を受けるという形にさせていただきたいと思いますので、予算の執行停止に関するご質問は後ほどということで、それ以外の点につきまして質問をお受けしたいと思います。

司会:

 ありがとうございました。

 今、知事から申し上げました予算の執行停止に関する質問に関しては、庁議後に再度記者会見を開かせていただきたいというように思います。庁議終了後、12時半頃をめどに再度の記者会見を開きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 この点、幹事社さん、よろしいでしょうか。

司会:

 それでは、その他、ご質問がございます方は、挙手にてお願いいたします。

 NHKさん。

記者:

 まず、実質的に今日から知事としての執務がスタートしたと思いますが、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

知事:

 そうですね、もちろん緊張はしていますけれども、もうやる気満々という感じで、今この席に座っております。

記者:

 先ほどお話のあった庁議なんですけれども、庁議は公開されるんでしょうか。

知事:

 庁議は公開しないと聞いています。

記者:

 最後に、ちょっと実務的なことになるんですけれども、今日から新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行しますけれども、奈良県知事としての受け止めと、今後の奈良県としての取組について、改めてお聞かせ願えますか。

知事:

 本当にコロナが発生して、もう約3年半になりますか。本当にこれまで県民の皆様は、不安を抱えながら、また、外出の自粛やマスクの着用など、本当に不自由な毎日を強いられたと思います。そういった意味で、ようやく普通のインフルエンザと同じような扱いになることができたということは、本当に私も喜ばしいことだと思っております。ただ、コロナの感染者がゼロになったわけではございませんし、いろいろとまだ重症の方が、持病を持っておられる方がコロナになれば重篤な症状になるケースもありますので、引き続き県民の皆様には、例えば混雑した場所とか、電車の中とか、そういうところでは、できればマスクはつけてもらったほうがいいのかなと。厚生労働省もそうしたことを推奨していますので、そういうマスクの着用が効果的な場面、効果的と判断されるような場面では引き続き自己の判断でマスクを着用するなどして、感染予防に努めていただきたいと思っております。県といたしましては、コロナの相談窓口、これは選挙の公約でもうたったところでございますが、引き続き5類移行後も従前と同様に開設しておりますので、何かありましたら、そちらの窓口に電話をしていただきたいというように思います。以上です。

記者:

 ありがとうございました。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

記者:

 予算の執行停止の中身については、この後ということだと思うんですけれども、大ざっぱに言えば、公約で掲げていた大型事業の関連ということでよろしいでしょうか。

知事:

 そうですね、基本的には、公約に掲げていた大型のハード事業中心ですけれども、予算書を見て、初めて、ああ、こんなことも計画されているのかというように気づいた点もありますので、メインはハード事業ですけれども、そうしたものについて、本当にこのまま予算を執行していいのかどうなのか、その辺、ちょっとヒアリングを経ないと、もうこれは議会の議決通ったものだから、そのまま執行停止というわけにはちょっといかないので、そのための、判断のための猶予をもらうために一旦停止という措置を取ることにいたしました。

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

司会:

 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 朝日新聞さん。

記者:

 早速、予算や事業に手をつけられるということですけれども、県議会との関係というか、実現するためにどのように対処していかれるのか、どう考えておられるのか、お聞かせください。

知事:

 今回、選挙を控えた時期に編成された予算で、選挙の結果、知事が替わるかもしれないということは、前知事も可能性としては、それは認識していたと思うのですが、ただ、ご自身が継続されることが前提の予算になっていますので、到底骨格予算とは言えない、そういう内容に令和5年度の予算はなっていると思います。したがいまして、選挙で公約したことを実現するためには、もうこの予算の一部執行停止も、これは当然やらなければならないというように思っております。そのことにつきましては、6月議会で県議会の先生方からいろんなご質問が出ると思いますので、それに対して真摯にご説明をするという形で対応させていただきたいと思っております。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

記者:

 今、県議会のお話が出ましたけれども、やはり今、自民党をはじめとした会派が過半数を得ておりますけれども、その辺りの現状認識と、対策というのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

知事:

 知事も県議会議員もいずれも選挙で選ばれて、民意を体現している、そういう存在だと思いますので、県議会の先生方とは、きちんと話合いをして、議論をして、丁寧に政策は前に進めていきたいと思っております。43人中22人ですか、ということで、過半数は取られているわけですけれども、選挙で掲げた荒井さんが進めてきた大型プロジェクトの見直しという点については、その事業の必要性、費用対効果、そうしたことをきちんと丁寧に説明することでご理解いただけるのではないかと思っております。全部やめるというわけではなくて、これはちょっと必要性とか、費用対効果に疑問があるというもののみをやめますので、その点は、丁寧に説明をすればご理解いただけるものと期待をしております。

記者:

 もう1点、先ほどの就任式のご挨拶の中で、職員の方に政策立案をどんどん求めるというところは、一つ、山下さんの県政のポイントになろうかなと思うんですが、具体的にイメージしている、どういった仕組みでそういった意見を吸い上げていくか、あるいは、これまでの県政にそういった、どのように問題意識をお持ちだったのか、その辺りを教えていただけないでしょうか。

知事:

 そうですね、予算を伴うものに関しては、当然その予算要求の段階で、こういったものはやめたいと、あるいは、こういったことを新しくやりたいということが各担当課から上がってくると思いますので、予算を伴うものについては、そうした形で令和6年度予算を編成していく中で提案をしてほしいなと思っておりますし、予算を伴わないものにつきましては、ちょっとまだ具体的にはやり方考えてないのですけれども、何かそういう改善提案を各担当課から出してもらって、それに対して知事と意見交換するというようなことがあってもいいかもしれません。生駒市長時代、そういったことをやっていましたので。あるいは、それとは別に、これも生駒市長時代にやっていたことですが、各担当課からそういう改革案を上げるということのほかに、もう職員個人の立場で、自分の所管の仕事以外に関しても自由に提案をしてもらうというようなことをやっていました。それを最終的には市長が判断して採用、不採用ということを決めていたんですけど、将来的には、そうした職員からの提案、コンテスト的なものもあってもいいのかなとは思っています。

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 日経新聞さん。

記者:

 先ほどの就任式でも関西広域連合への全面加入を話されてましたけれども、加入の意義ということと、あと、そこにも関わる関西万博へどのように関わっていきたいかというようなことをお願いします。

知事:

 関西は、本当に生活圏、経済圏がかなり都道府県域を越えて展開していると思います。大阪を中心として、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山など、そうした意味で、やっぱり広域で行政課題に取り組んだほうが効率的にできる行政分野ってたくさんあると思いますので、私としては、なぜそれにこれまで奈良県が部分参加しかしてこなかったのかということが8年前からずっと私は疑問に思っていましたので、これは、近隣府県と連携、協力してできる事業については速やかにやるべきだという思いで、参加を指示したところでございます。それから、大阪・関西万博につきましては、これは本当に国内、国外から多くのお客さんが来るビッグイベントですので、やっぱりこれを奈良県の経済や観光の活性化のために使わない手はないというように思っています。絶好の機会だと思っていますので、そうした意味で、例えば関西パビリオンに奈良県だけ展示ブースがないということについても、これから展示ブース、もし出せるのであれば、そういう方向で万博の事務局にもちょっとお願いをしていきたいと思っていますし、その大阪・関西万博に来るいろんな人をどうやって奈良に来て、ちょっと観光していってもらうか、あるいは、奈良県のすばらしいいろんな産業ですね、産業とか文化、そうしたものを知ってもらうために、どうやってそうしたお客さんたちにアピールしていくか、こうしたこともこれから職員と議論をしたり、また、民間の方の知恵もお借りして、この絶好の機会を逃さないように、最大限できることをやっていきたいというように思っています。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

記者:

 今、観光のことで、文化についても触れられましたけれども、身を切る改革といいますか、行財政改革の中で、文化については、どのように手をつけていかれるお考えなのかをお聞かせください。

知事:

 奈良県における様々な文化というのは、本当に奈良県にしかない貴重なものも含まれておりますので、もちろん文化面に関して、事業を見直すことは全くないということではないとは思うんですけれども、何か文化だからどうこうみたいな、特に切り込むみたいなことは全く考えてなくって、むしろ、やっぱり尊重すべき分野だというふうに思っておりますので、よっぽど何か費用対効果が合わないような事業があれば、それは見直すかもしれませんけど、基本的には奈良県というのは、歴史、文化、そうした他府県にないものを持っているのが奈良県のセールスポイントですから、それは尊重していきたいというふうに思ってます。

記者:

 もう1問、よろしいですか。

司会:

 はい、お願いします。

記者:

 初の民間出身ということもアピールしておられますが、一方で、国とのパイプというものも重要だと言われております。国との関係というのは、これからどのように構築していかれるお考えでしょうか。

知事:

 国とのパイプといってよく言われるんですけど、じゃあ、国とのパイプって実態は何なのかなと思ったときに、省庁とか、国会議員とのつながり、あるいは、首相官邸とのつながりとか、そういうことだろうと思うんですね。例えば地方交付税交付金とか、そういったものはもう算定式が決まってますので、それは特にパイプ云々ということは問題にならないとは思いますが、新規事業をやるために国のいろんなお金を活用させていただくという場面では、そういう省庁の幹部とか、国会議員とかとのコネクションというものが役に立つ場面というのは当然あろうかと思います。それにつきましては、当然、私や、あるいは副知事、幹部職員が上京して、そういった陳情をするということも当然あるでしょうし、各省庁から出向している県職員も多くおりますので、そうしたルートも使えるでしょうし、あとは、奈良県選出の国会議員、これについては今、維新の国会議員は1人しかいないわけですけれども、ただ、他党の議員さんも奈良県の発展を願う気持ちに変わりはないと思いますので、そうした議員さんにもお願いをして、賛同して協力してもらうようなこともしていきたいと思っておりますし、私、日本維新の会の公認ですから、維新の会としても、政党のほうにもいろんな協力をお願いするという手法もあるかなと思ってますので、今言いました様々なルートを使って実現していきたいと思っております。官僚出身だからパイプがある、民間出身だからパイプがないとか、何かそれもちょっとステレオタイプな考え方かなと思いますけどね。

司会:

 読売新聞さん。

記者:

 今、国との関係という話も出ましたけども、県内を見渡すと、奈良市長であったり、今回の生駒市長選で、いわゆる対立候補を応援されたかと思いますが、そういった奈良市、生駒市をはじめとした県内自治体との関係づくりはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

知事:

 これについては、私、再三再四申し上げてるんですけれども、県と市町村との関係については、もう政治と行政というのは峻別したいと思っております。具体的にどういうことかというと、従前、荒井さんのときもそうだったし、柿本さんのときもそうだったと思うんですけれども、知事の後援会の市町村支部というのが県内に張り巡らされていて、そこの支部長に市町村長が就任するということがずっと続いてました。私が生駒市長のときは、たしか、私の認識が間違っていなければ、39市町村長の中で、荒井さんの後援会の支部長をやってなかったのは私だけでした。それは、県と市町村も原理原則的には対等なわけです。もちろん県が許認可権を持ってたり、予算とかの関係で支援をしたりする場面というのがありますから、実質は100%対等ではないかもしれませんが、理念上は対等なわけですよね。ですから、何か市町村長が現職知事の後援会の支部長を務める、あるいは、それに入っていない、その支部長をしてないと何か行政の面で意地悪されるみたいな、そういったことは決してあってはならないと私は生駒市長のときからずっと思ってたんですよ。ですから、私は自分の後援会の支部長に各市町村長になってくださいと応援をお願いするつもりは全くないし、私、維新ですから、多分お願いされても結構ですと言われるんじゃないかとは思いますが、いずれにしても、そういった柿本さんや荒井さんがやってきたようなことをするつもりは全くありません。選挙ですから、それは、各市町村長さんを応援できる場合もあれば、応援できない場合もあると思うんですけれども、選挙の結果がどうであれ、市民も町民も村民も県民なわけじゃないですか。県民は、市民か町民か村民のどれかなわけで、県民一人一人で考えたら、当然選挙で私に入れてくれた人は、自分たちの住んでいる市町村のために何かしてほしいと思ってるわけじゃないですか。そういった思いを受けて、私、選挙に通っているわけですから、政治と行政は全く切り離して、その各市町村の政策で、いいものはいい、ちょっとこれはいかがなものかというのは、いかがなものか、そういう政策ベースで向かい合っていきたいと思います。ですから、選挙で対立関係にあったからといって、そこの市の事業は一切やらないとか、支援しないとか、そういうことは全くありません。よい事業であれば応援するし、ちょっと賛同できなければ距離を置くしと。それは仮に、じゃあ、自分と仲がいいとか、維新の町長は今1人しかいませんけど、維新の町長だからといって要望を全部聞くわけではない。いいものはいい、悪いものは悪い。やっぱりそういう政策ベースで議論していかないと、県と市町村の関係というのがゆがむと思うんですよね。私は、県と市町村の関係をもうちょっとすっきりした関係にしたいというふうに思いますし、私が今言ったことは、多分、市町村長さんにも理解されると思うんです。なので、そうしたスタンスで臨んでいきたいと思ってますし、それは何かの機会があれば、各市町村長さんに直接言いたいなと思ってます。

記者:

 分かりました。最後に1点なんですが、一つ、今日のお話の中で、職員の人事のところで、年功序列ではなくて、例えば若い職員が上司になったりとか、そういったこともあり得ると。そうすると、歓迎する声もあれば、必ず反発する声もあると思います。恐らくそれだけではなくて、改革を進めようとするとなると、必ず反発する声というのはあろうかと思いますが、そのことに対して、新知事としてのお覚悟、どのような今お持ちか、教えていただけますでしょうか。

知事:

 県職員からすれば、例えば、自分たちが今までやってきた事業がちょっと新知事からバッテンを食らうとか、三角をつけられるとかいうのは、あまり気持ちのいいことではないかもしれないんですけれども、ただ、今までこれはやって当たり前とか思ってたことが、じゃあ、本当に当たり前なのかというのは、ちょっと私はもう一度考え直してほしいと思うんですね。というのは、生駒市長のときからずっと思ってましたけど、公務員の文化というのは、基本的に前例踏襲なわけですよ。それは、なかなかトップの判断がないと変えられないという側面はあるのかもしれませんけれども、これだけ社会や経済が極めて激しく変化してるわけですから、行政もそれに応じて変わっていかなければいけないというのは当たり前のことだと私は思うんですよ。ですから、そういう政策の新陳代謝ということが必要であるということは、ちょっと冷静になって考えてもらったら、私は理解してもらえると思うので、これまで当たり前と思ってやってこられた事業であっても、ちょっと冷静に立ち止まって考えて、じゃあ、本当にこれが社会、経済の動きと合致してるのか、あるいは、県民や企業から求められているのかということを一度立ち止まって考えてもらえれば、私が見直したいと言ってることも理解されるんじゃないかと思います。ただ、私が100%正しいとも限らないので、そこはディスカッションの中で、いや、知事、これはこうこうで必要なんですと、こういうふうに役立ってるんですと、ですから、これはぜひ続けさせてくださいということであれば、そうですね、じゃあ、そうしましょうということもあると思います。つまり、一方的なのがよくないんですよね。知事の命令だから、もう何でもかんでも議論もなしに聞いちゃう。逆に知事を恐れて何かあまり意見を言わない。ちょっと私が就任する前の奈良県庁がどうだったかは分かりませんけれども、きちんと政策の吟味がなされていれば、あるいは、知事と県の幹部職員等が本当に胸襟を開いて議論されていれば、普通こうした事業ってちょっと出てこないんじゃないかなというような事業もたくさんあったので、そういう意味でいうと、そういう知事と職員との仕事の共同の在り方、さっきも言いましたけど、そういったものを私は見直していきたいというふうに思ってます。

 それから、実力主義のことなんですけれども、やはりもう日本自体が人口も経済も税収も右肩下がりの時代になっているわけですよね。ですから、民間企業においては、当然、もうそんな年功序列の人事というのは、報道機関もそうだと思うんですけど、ある程度崩れかかっているわけじゃないですか。ですから、もちろん公務員組織も当然、多少は変わってきてますけれども、そうしますと、やっぱり実力のある人に仕事頑張ってもらわないと組織が回っていかないし、そうしないと、能力とかやる気がある人が腐っちゃうような組織というのはよくないと思うので、力のある人が上に立って、その力を発揮できるような組織にしていくことが、この県庁という組織を私は活性化させることにつながっていくと思いますので、そうした人事をやっていきたいと思いますが、ただ、これはやっぱり徐々にということです。もちろん、私はまだ幹部職員がどういう人かというのをほとんど知りませんので、人事の評価できる立場にはありません。なので、当然ゆっくりということにならざるを得ないでしょうし、当然これまで県庁で頑張ってこられた職員の方というのは、若手にはないいろんな知識とか、経験、スキル、あるいは人脈、そうしたものをお持ちですから、年功の意味を全くなくすという趣旨ではないんですけれども、ちょっと年功序列と実力のバランスを変えたいなと思っています。県庁のこれまでの人事がどう行われてきたのかちょっと私もよく分からないので、私が想像で言ってる面もあるかもしれないんですけど、仮に年功序列が偏重をされてきたのであれば、もうちょっとそこに実力主義の割合を増やしていきたいなというふうに思ってます。民間と比べると、やっぱり終身雇用が守られてるわけですから、多少実力主義の人材登用があったとしても、そこはちょっと県の職員の方にはご理解いただきたいなと思っております。以上です。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 奈良新聞さん。

記者:

 ちょっと県政とは外れるかもしれないんですけれども、奈良市の新斎苑の損害賠償請求訴訟の和解案がこのたび奈良地裁から出たんですけれども、弁護士としても関わっておられた経緯もあるので、その辺のお考えを聞かせていただけますか。

知事:

 そうですね。まず、あの和解案自体が私は大いに問題があると思ってまして、本当に奈良地裁の裁判長が住民訴訟制度を理解しているのかということも含めて、もう私は疑問を呈さざるを得ないと思ってます。もともとは、住民訴訟って、今のような2段階ではなくて、住民が直接首長とか職員を訴えて、払われなかったら、市に代わって、市を代表して執行することができました。今やってる第二弾訴訟、損害賠償請求権等の債権を実現するための訴訟ですね、これも住民ができたんですよ。それが、2002年ぐらいだったかな、地方自治法が改正されて、2段階になったんですよ。あんまりこれに割く時間はないんで、短くしますけど、住民は自治体を相手取って、誰それに損害賠償請求せよという判決を求める訴訟をまず起こして、それに勝ったら、自治体が首長とか職員に対して実際に損害賠償請求をすると。前は一本だったんですよ。それが2段階になったと。この地方自治法改正の際の国会の議事録とか、読んでいただいても、この2段目の訴訟というのは、この1段目の訴訟で確定した債権を実現するための訴訟、言わば、取立てのための訴訟にすぎないというふうな議論がされてるんですよね。学者の中では、そもそも第二弾訴訟で和解をするということ自体が想定されていないというふうにおっしゃる学者さんもいるんです。奈良市議会に関西学院大学の名誉教授の曽和先生の意見書が出されてますけれども、私もあれを見る機会がございましたけど、本当にそこに書いてるとおりなんですよ。だから、今回のように、大阪高裁の確定判決を否定するかのような内容の和解案が地裁から出てくるということ自体がちょっと私は問題で、あそこに書かれている理由も、大阪高裁で否定されてるような、合併特例債を使えてちょっと市が得をしたからとか、新斎苑を早期に利用開始できたことで何か市の負担が減ったとか、住民の負担が減ったとか、それって、別に土地の価格を適正な価格で買ったとしても、市や市民にとっては同じようにメリットがあったわけですから、全然理由になっていないことを理由にしてまして、あの和解案自体が、私は非常に問題だと思いますし、本当に地裁から出てきたのか、出してくれというような働きかけが裁判の原告・被告からあったんじゃないかというふうにも思いますし、それをそのまま議会に諮るということは、一回債権放棄の議案が市議会で否決されていることも踏まえますと、ちょっと市民目線からすると、いかがなものかと思うんですよ。元本が5,600万円で、遅延損害金が3,000万円ですから、要するに8,600万円の市の財産を放棄するわけじゃないですか。しかも、大阪高裁が、最高裁まで含めて、払えって言われた債権を放棄するというのは、どういう理屈があるんですかというふうに私は言いたいですよね。しかも、奈良市は財政状況が非常に悪い。県が、荒井さんの時代に重症警報というのを発令している自治体なわけですよ。ですから、それだけ財政状況が悪い自治体が8,600万円もの市民の財産を放棄するということが果たして正当化されるような理屈があるのかと。もう全く疑問ですよね。しかも、その地権者の財産を仮差押えしてるじゃないですか。去年の3月に奈良市議会に供託金を専決処分するという議案が出ましたよね。その金額は多分、供託金の額が2,100万円ですから、かなりの額の財産を押さえてると思うんですよ。地権者が払う金額は3,000万円となってますけど、恐らく3,000万円以上の財産を仮差押えしてるわけですから、普通に判決を取って執行すれば換金できるわけですから、そうした意味でも、全く理解できない和解案ですよね。あと、奈良県が令和5年度予算で何か奈良市に財政支援するという予算も組んでるんです。ただ、それは、もともと奈良市が経常収支比率を5%以上改善するという財政計画を策定して、県に提出するという条件をクリアして初めて県が支援できるという内容になってるんです。そもそもその経常収支比率を5%以上改善するという財政計画が提出されてないので、そもそも支援の対象から今回外れてるんですけれども、そういう財政健全化の計画も出せない自治体が、どうして8,600万円の債権を放棄することを正当化できるのかと、もう全くもって疑問ですね。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。ご質問はよろしいでしょうか。

 NHKさん。

記者:

 先ほどの人事のことに戻るんですが、副知事の人事についてはどのようにお考えでしょうか。民間ご出身の知事ですので、民間人の方を登用されるとか、女性の方を登用されるとか。あと、この件に関してのスケジュール感も併せて教えてください。

知事:

 基本的にはまだ白紙でございまして、ただ、民間出身だから民間出身者をとか、必ず女性知事をとか、そういったふうに何か原理原則を決めてるわけではありません。人物本位ということになると思います。現在の副知事さんの任期もまだ残ってますので、そういう意味でも、副知事に関してはまだ全く白紙ということです。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。ご質問はよろしいでしょうか。

 幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして山下知事の就任記者会見を終了させていただきます。

 なお、再度の記者会見は、庁議終了後、12時40分にこの場所で開催させていただきます。

 どうもありがとうございました。

知事:

 ありがとうございました。

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